人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

バッハ・コレギウム・ジャパンでJ.S.バッハ「ミサ曲ロ短調 BWV232」を聴く ~ コロナ禍の影響によりオール日本人歌手による熱演

2020年09月21日 07時19分37秒 | 日記

21日(月・祝)。わが家に来てから今日で2181日目を迎え、米メディアは19日、トランプ米大統領あてに猛毒のリシンを含む封筒を米当局が見つけ、トランプ氏の手元に渡るのを阻止したと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     いくらトランプが史上最悪の大統領だということが事実だとしても それはアウトだ

 

         

 

昨日、初台の東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパン「第139回定期演奏会 ~ J.S.バッハ『ミサ曲 ロ短調 BWV232』」を聴きました 演奏はソプラノⅠ=澤江衣里、ソプラノⅡ=松井亜希、アルト=布施奈緒子、テノール=西村悟、バス=加来徹。合唱・管弦楽=バッハ・コレギウム・ジャパン、指揮=鈴木優人です 当初ソリストは ソプラノⅠ=ジョアン・ラン、ソプラノⅡ=オリヴィア・フェアミューレン、テノール=ユリウス・プファイファー、バス=ドミニク・ヴェルナーの予定でしたが、新型コロナ禍の影響により日本人歌手に総入れ替えとなりました

「ミサ曲ロ短調  BWV232」はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が1724年から1749年にかけて作曲したミサ曲です 「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」と並びバッハの3大宗教曲の一角を占めています この作品は大きく第1部:ミサ(キリエ、グロリア)、第2部:ニケーア信経(クレド)、第3部:サンクトゥス、第4部:オザンナ、ベネディクトゥス、アニュス・デイとドナ・ノビス・パーチェムの4部から構成されています

コンサート会場における人数制限は19日に解除されていますが、この日の公演は定員の50%未満の市松模様の座席配置をとります。それに伴い再指定された自席は1階29列7番です

 

     

 

オケのメンバーが入場し、次いで合唱とソリストが配置に着きます 通常の配置は指揮者の近くに弦楽器、その後方に管楽器、そして最後方に合唱団が配置されますが、演奏中の(特に声楽の)飛沫拡散防止の観点から、最後方に弦楽器と管楽器が扇型に横一列で並び、その手前に合唱団が、指揮者の一番近くにソリストがそれぞれ扇型に並びます 最後方の配置は、左からフラウトトラヴェルソ(2)、コンマス・若松夏美以下ヴァイオリン(6)、ヴィオローネ(コントラバス)、オルガン、ヴィオラ(2)、トランペット(3)、ティンパニ、コルノ・ダ・カッチャ(ホルン)、ファゴット(2)、オーボエ(2)という並びで、オルガンの手前にはチェロ(2)が、オーボエの手前にはチェンバロがスタンバイします

鈴木優人の指揮でキリエの演奏に入ります 合唱が「キリエ」と歌い出した途端、透明感のある純粋な歌声が会場に響き渡りました BCJの一番大きな特徴は、ドイツ人も驚くという正確なドイツ語とクリアな歌声です 第2曲「キリストよ、あわれみたまえ」の澤井衣里と松井亜希の二重唱が美しい 第4曲「グロリア」のナチュラル・トランペットとティンパニが祝祭的な響きを醸し出し、合唱を盛り立てます この曲を聴くとワクワクします 第6曲「われらの主を、褒め~」の松井亜希につけるオブリガートを演奏する若松夏美の演奏が素晴らしい 第8曲「主なる神、天の王~」のソプラノの澤江衣里とテノールの西村悟の二重唱は息がピッタリで、フラウトトラヴェルソ(フルート)の前田りり子と菅きよみの伴奏がよく寄り添っています 第10曲のアリア「父の右に座視したもう~」の布施奈緒子のアルトが三宮正満のオーボエに良く溶け合っていました 次の第11曲「主のみ聖なり~」の加来徹のバスが安定感抜群で、日高剛のコルノ・ダ・カッチャ(ホルンのような楽器)がよく付けていました この楽器はバルブがないので、演奏が非常に難しいと思われますが、あれだけの演奏ができるのは日フィル、読響、N響(首席代行)を渡り歩き、東京藝大准教授を務める逸材だからこそです 第12曲「精霊とともに~」の合唱は、スピード感があふれ、高揚感がたっぷりでした 以上「キリエ」と「グロリア」で前半が終了しましたが、ちょうど4時でした。ちょうど1時間かかったことになります

25分の休憩後、「ニケーア信経」以下の演奏に移りますが、印象は前半と同様で、歌手陣と合唱がよく頑張り、管楽器を中心にソリストによく寄り添っていました

松井亜希と加来徹の二人はBCJのソリストとしてお馴染みなので、期待通りの実力を発揮していましたが、この日の収穫はソプラノの澤江衣里とアルトの布施奈緒子、そしてテノールの西村悟の3人です 女性2人はすでに合唱団の中で活躍し、ソリストとして歌うこともありましたが、西村悟はBCJデビューだったのではないかと思います オペラだけでなくバッハも歌える歌手として期待できると思いました

最後の第27曲の合唱「われらに平安を与えたまえ」の最後の音が消えたのが5時22分でした

 

     

 

「音楽の友」9月号に「朝岡聡 meets 鈴木雅明&鈴木優人  J.S.バッハ『ミサ曲ロ短調』を語る」というインタビュー記事が載っています 鈴木優人氏がBCJで『ミサ曲ロ短調』を指揮するのは初めてとのことです インタビューの中で、優人氏が冗談交じりに「指揮するのは100年早い?(笑)」と問いかけると、父・雅明氏は「誰にとってもこの作品を指揮するのは100年早いですよ(笑)。何て言うのかな、『ミサ曲ロ短調』は、極端な言い方をすると指揮できるような曲じゃないんですよ!」と答えています さらに「私が『ミサ曲ロ短調』を初めて指揮したのは、実は20年前です 中学生の頃からカール・リヒターのレコードを聴きまくっていて、バッハの音楽で一番演奏したかった曲ではあったけれど、どうすれば良いかはずっと分からなかった 物語をフォローしたり劇的にストーリーをつくったりするカンタータや受難曲は、オペラとも若干共通するところがあって、どちらかと言えばやりやすかったのです 一方『ミサ曲ロ短調』は、どうやったら形になるか長い間分からなかった。それで2000年に初めて指揮してみたらわかった!『自分がどうやったら良いかずっと考えていたこと自体が馬鹿げている この曲はそんな音楽ではない・・』というのが分かったのです」と述べています これに対して、優人氏は「この曲の演奏は、例えれば宇宙飛行みたいなもので、もちろん多くの人々の支えと高度な訓練を受けた飛行士が必要なのですが、個々の飛行士によって成否が決まるわけではありません。この曲の演奏に参加するとなったら、全員が全身全霊で任務を全うするのみ・・ということです」と語っています

この日の公演は、コロナ禍により海外在住のソリスト陣が参加できなかったことに伴い、図らずもオール・ジャパンでの演奏になったわけですが、指揮者・鈴木優人氏にとっては、共にバッハの宇宙飛行をする上で「禍を転じて福と為す」となったのではないか、と思います さてご本人はどういう感触を持たれたでしょうか

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