12日(土)。私の場合、コロナ禍に伴うコンサート中止は全113公演(うち延期6公演)ですが、昨日、東京都交響楽団から7月定期演奏会以降4回分の公演中止に伴う払戻金が銀行口座に入金しました これで、まだ払い戻しがないのは新国立オペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を含む3公演を残すのみとなりました 払い戻しのほとんどは、振替公演がなく強制的に払い戻されるコンサートです 極端な例は、新国立オペラとNHK交響楽団の2020/2021シーズンの年会費です 両者とも払い込んだと思ったら、1回も公演実績がないまま、同じ金額が払い戻されてきました とにかく今は過渡期です 昨日開催された新型コロナに関わる政府の分科会で、コンサートの「定員の50%以内」の撤廃が決まったようなので、これから新たな段階に入ります まだ、海外からの渡航制限が解除されていないので、海外在住アーティストの来日は今後の課題として残りますが、今より条件が良くなることは確かです オーケストラをはじめとする音楽事業主催団体には ここで踏ん張ってほしいと思います
ということで、わが家に来てから今日で2172日目を迎え、米マイクロソフトが10日に公表した報告書によると、ロシアのハッカー集団は過去2週間で政党や支援団体など28の組織に攻撃を試みたのをはじめ、中国やイランからの攻撃も続いている というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ロシアや中国やイランのハッカーより 余程たちが悪いのはトランプ大統領じゃね?
昨日、夕食に「肉野菜炒め」「生野菜サラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 下の写真は娘がぬか床で漬けたキュウリ、エリンギ、オクラです ぬか漬けは娘の職場で流行っているそうですが、意外にもオクラが一番美味しかったです
昨日午後2時から、すみだトリフォニーホールで新日本フィルの「第33回ルビー(アフタヌーン コンサート・シリーズ)」公演を聴きました
開演に先立って、午前11時からホール隣接のホテル6階のチャペルでルビー公演のためのレクチャー(「60分ワンコイン講座」)があり、参加しました クラシック音楽関係のプログラムや雑誌等で売り出し中の音楽ライター小室敬幸氏からこの日の公演プログラムを中心に、フランス音楽の歴史的な位置づけ、普仏戦争とフランス音楽の関わり、サン=サーンスを中心とする国民音楽協会の活動、エリック・サティとフランス6人組の関係などについて簡潔で分かり易い説明があり、非常に参考になりました コロナの影響か、この日はいつもの半分の11人の参加でしたが、熱心に耳を傾けていました 司会進行がいつもの登原さんではなかったのが寂しかったかな
アルカキット錦糸町内で昼食後、ホールに移動してロビーでたむろしていたら、ちょうど登原さんが通りかかったので声を掛けました 登原さんが「手の方はいかがですか?」と、右手首の腱鞘炎のことを気遣って下さったので、「まだ完治していないんですよ」と答えると、「毎日長いブログを書いているせいでしょうかね?」とおっしゃるので、「そうかもしれないですね 文章を打っている時は何ともないんですが、長文を打った時は 後で痛みを感じることがあるんですよ」と答えました。登原さんの優しい心遣いが嬉しかったです
さて、この日のプログラムは①ビゼー「カルメン組曲 第1番」、②サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61」、プーランク「シンフォニエッタ」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=三浦文彰、指揮=矢崎彦太郎です 本公演は当初、沖澤のどか の指揮、②のソリストはシルヴィア・フアンの予定でしたが、コロナ禍による渡航制限等の影響により変更となり、指揮者の変更に伴ってバーンスタイン「キャンディード」とラヴェル「ボレロ」がプーランク「シンフォニエッタ」に変更になりました
さて本番です オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び。コンマスは西江王子です ヴィオラの首席には、多くのオケから呼ばれる安達真理さんが客演しています また、オーボエは7月度定期に続いて、1985年から1990年まで新日本フィルの首席を務め、最近まで東京藝大教授を務めていた小畑善昭氏が客演しています 弦楽奏者は全員マスクを着用、隣同士のソーシャルディスタンスを取る必要から譜面台は1人1台を使用します
1曲目はビゼー「カルメン組曲 第1番」です この曲はジョルジュ・ビゼー(1838-1875)が1873年から翌74年にかけて作曲した歌劇「カルメン」から、エルネスト・ギローがオーケストラ用に編曲した組曲です 「前奏曲~アラゴネーズ」「第3幕への間奏曲」「セギディーリャ」「アルカラの竜騎兵」「終曲(闘牛士)」から成ります 小室氏の解説によると、フリッツ・ホフマンが編纂した2つの組曲は演奏される機会が多いが、ギローによる組曲第1番の演奏は珍しいとのことです
矢崎氏の指揮で第1曲「前奏曲~アラゴネーズ」の演奏に入ります 冒頭の弦楽器による集中力に満ちた悲劇的な演奏が素晴らしい そして、その後、オーボエとフルートが良く歌います
「第3幕への間奏曲」はフルートとハープによる美しいメロディーで開始されますが、野津雄太(首席・契約団員)のフルートが素晴らしい 私は太古の昔、1年間だけヤマハ音楽教室でフルートを習ったことがありますが、彼ほどバッチリ決めたらさぞかし気持ちが良いだろうと思いました
「セギディーリャ」では小畑のオーボエと野津のフルートが冴えていました 「アルカラの竜騎兵」では河村幹子と石川晃のファゴットが決まっていました 「終曲(闘牛士)」は、「静」の世界からいきなり「騒」の世界へ移ります まさにオーケストラ総力を挙げての、コロナなんかぶっ飛ばせ という爽快な演奏でした 聴き終わって、なぜ第1組曲が選ばれたのかが分かるような気がしました
2曲目はサン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61」です この曲はカミーユ・サン=サーンス(1835-1921)が1880年に作曲、1881年にサラサーテにより初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンティーノ・クァジ・アレグレット」、第3楽章「モルト・モデラート・エ・マエストーソ~アレグロ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります
ソリストの三浦文彰は2009年ハノーファー国際コンクールで史上最年少の16歳で優勝した俊英です ご存知の通り、東京フィルのコンマス三浦章宏氏のご子息です
全体を通して聴いた印象は、極めて抑制の効いた理知的な演奏をするヴァイオリニストだな、と思いました それを可能にしているのは確かな演奏テクニックです 高音は綺麗だし、低音は太くどっしりと安定しています 今回が初共演の矢崎氏と新日本フィルの確かなサポートを受けて、自由自在の演奏を繰り広げました
三浦はアンコールに超絶技巧曲を鮮やかに演奏し、聴衆を唖然とさせましたが、残念ながら曲名は分かりませんでした
プログラム最後はプーランク「シンフォニエッタ」です この曲はフランシス・プーランク(1899-1963)が1947年に作曲、翌48年にロンドンで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・フォッコ」、第2楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」、第4楽章「フィナーレ」の4楽章から成ります
私は、前日公開リハーサルで一度この曲を聴いているので、予習はバッチリです
矢崎の指揮で第1楽章に入りますが、冒頭からおもちゃ箱をひっくり返したような音楽が展開します 「エスプリの効いた」というよりも、「軽妙洒脱な」と言った方が相応しい音楽です 目まぐるしくテンポが変わり楽器の音色もカラフルです 第2楽章は実質的にスケルツォです。リズムが強調された楽しい音楽が展開します 第3楽章はクラリネット首席の仲舘荘志、オーボエの小畑善昭、フルートの野津雄太、ファゴットの河村幹子といった木管の演奏が素晴らしい あわせて、弦楽セクションの精緻なアンサンブルが美しい 第4楽章はひと言でいえば fan fan fan !といったウィットと悦びに満ちた音楽です フィナーレはプーランクの”どや顔”が見えるようです 「フランス音楽をフランス音楽らしく」という指揮者・矢崎彦太郎の意図が十全に生かされた演奏だったと思います
アンコールにラヴェル「クープランの墓」より第3曲「メヌエット」が優美に演奏され、オール・フランス音楽コンサートを締めくくりました
帰りがけに2020/2021シーズン定期会員継続特典CDをいただいてきました 上岡敏之指揮新日本フィルによるバルトーク「管弦楽のための協奏曲」(2019年10月11日・ルビーシリーズのライブ録音)です 私は当日この演奏をトリフォニーホールで聴いています 財政事情が厳しいなか、特典CDどころではないのではないかと思いますが、新日本フィルのファンとしては楽しみでもあるので、有難くいただいてきました