人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ブラームス国際コンクールのビオラ部門で日本勢が3位までを独占」の記事を読んで思うこと / チャールズ・ウィルフォード著「コックファイター」を読む ~ 無口の闘鶏家の挑戦

2020年09月08日 07時14分48秒 | 日記

8日(火)。昨日の日経朝刊によると、「オーストリア南部ウェルター湖畔で5日、ヨハネス・ブラームス国際コンクールのビオラ部門の決勝があり、主催者によると、日本勢が1位から3位までを独占した 第1位は近衛剛大さん(22・オランダ在住)、第2位は有富萌々子さん(24・ウィーン在住)、第3位は湯浅江美子さん(24・ミュンヘン在住)。また、4日の声楽部門では森野美咲さん(31・ウィーン在住)が1位となった さらに森野さんと岡山城東高の同級生で、伴奏を務めた木口雄人さん(31・ウィーン在住)も最優秀ピアノ伴奏賞を受賞した」とのことです

まさに日本人演奏家の快挙と言うべきニュースですが、個人的には喜んでばかりいて良いのか、と疑問に思います 上に挙げた5人の入賞者に共通しているのは、日本人ではあるがヨーロッパ在住であるということです 5人の経歴の詳細が分からないので推測の域を出ませんが、ヨーロッパの音楽大学や大学院で特定の指導教授に師事しながら研鑽を積んでいるのではないか、と思います 私が言いたいのは、「海外留学しなければだめなのか?  日本の音楽大学や大学院で学んだだけでは入賞するのは難しいのか?」ということです たぶん、そうなのでしょう。世界各国から集まってくる優秀なコンテスタントたちの中でトップ3に入るには、クラシック音楽の本場で学ぶのが有利なのでしょう でも、本当の勝負は入賞後からの活躍だと思います。5人の皆さんのご活躍をお祈りします

ということで、わが家に来てから今日で2168日目を迎え、米国で、トランプ大統領に反発する共和党の選挙参謀らが結成した政治団体「リンカーン・プロジェクト」が、話題となる選挙広告を次々と繰り出し トランプ氏の攻撃を続けているが、創設者はその目的を「米国史上、最も腐敗し無能な大統領を追い出すこと」と語っている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     身内の共和党からも口撃が止まないトランプの逃げ場は 得意のフェイクニュースか

 

         

 

昨日、夕食に「ラタトゥイユ」「キャベツとニンジンの中華スープ」「冷奴(ミョウガ、オクラ、削り節のせ)」を作りました ラタトゥイユは脇雅世先生のレシピですが、野菜(ナス、ズッキーニ、赤・黄パプリカ、玉ねぎ、トマト)をフライパンで1種類ずつ炒めてから鍋で一緒に30分以上煮込んでいます 塩とニンニクしか使っていませんが、野菜の煮汁の旨みが出て とても美味しく出来ました

 

     

 

         

 

チャールズ・ウィルフォード著「コックファイター」(扶桑社ミステリー)を読み終わりました    著者のチャールズ・ウィルフォードは1919年アーカンソー州生まれ。幼くして孤児となり、流浪の青年時代を送ったのち、年齢を偽って陸軍に入隊し、目覚ましい戦禍を挙げた。1953年に長編デビューしたが、長い間評価されず、80年代に再評価され人気を得た

 

     

 

舞台は1960年代のアメリカ南部。プロの闘鶏家(コックファイター)フランク・マンスフィールドは、生涯の目標である最優秀闘鶏家賞のメダルを手にするまでは、誰とも口を利かないという”沈黙の誓い”を立てて、闘鶏に命を懸けてきた そんなフランクは同じ闘鶏家のジャック・バークとのサシの勝負で敗れてしまい、最後の鶏まで失い文無しになってしまう しかし、彼は目標達成のため、得意のギターを活かしてナイトクラブでアルバイトをしたりして資金をつくり、知人から優秀な鶏を譲り受け、闘鶏の活動を再開する

一般には馴染みの薄い闘鶏を題材に取り上げ、飼育法から、鍵爪に取り付ける武器や、戦略、闘いのルールに至るまで、事細かに小説に織り込みながら、鶏同士の闘いを通じて「男の世界」を描いているのが魅力です 中には、負けた鶏の首を手で引き千切るシーンが出てきたりして、「マジかよ」と思わず のけ反る場面もありますが、負けたのは鶏でも、プロの闘鶏家にとって負けた悔しさは鶏以上なのだと思います 今の時代なら、動物虐待そのものですが

文章を読んでいて感じたのは軽快なテンポ感です それはおそらく齋藤浩太氏の翻訳によるところが大きいと思います ひと言でいえば「ハードボイルド」調の文章表現と言えるでしょうか 主人公のフランクや闘鶏家の仲間たちの会話や行動が小気味の良いテンポで展開します

面白いのは、フランクがナイトクラブのアルバイトでギターを弾いているのを聴いた未亡人バーニス・ハンガーフォードが、演奏に感激し、自宅にフランクとナイトクラブのオーナーを招いて、客人のために何か弾いてくれと頼むシーンです フランクがギターで、ある曲を長々と弾きますが、演奏が終わると クラブのオーナーが「実はフランクはセビリアの巨匠セゴビアに10年間師事していたのです」と話すと、未亡人が「わたし、音楽のことならちょっとは知ってるの バッハに耳を傾けると、それがピアノでもギターでもおんなじ、聴こえてくるのはスタイルですわ」と話します これに対し、オーナーはフランクに「バーニスさんは、君が弾いていた曲をバッハのフーガだと思われたらしいが、それもちょっとした勘違いさ あれはアルベルト・シュヴァイツァーの曲だってことを知らなかったんだから。バッハをテーマにシュバイツァーがわざわざ君のために作曲した曲だってことをさ。間違えて当然だよ」と語ります

実はフランクは自作の3曲しかギターが弾けないのです 未亡人の家で弾いたのは、フランクの(無口の)告白によると「通りの少し先の玄関ポーチで、金属格子のブランコに座り、チェーンを軋ませて前に後ろに揺らしながら一人の女が笑う。育ちのいい南部娘の嬉しそうな、満足した笑い。彼女はそう、たぶん母親だ。まだ小さい息子と娘の。坊主が何か母親を喜ばせることを言い、彼女は笑ってそれを隣に座る夫に繰り返す・・・」というシーンを思い浮かべて即興で弾いただけなのです セゴビアもバッハもシュバイツァ―も、すべてがオーナーの口から出まかせ、大ウソというわけです このシーンなどは、「知ったかぶり」をおちょくっているように思います この場面に限らず、魅力のある文章に溢れています。一気読みをお勧めします

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