人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ヴィオッティ+ゲリンガスによる代演は成功したか?~東響オペラシティシリーズ第81回演奏会を聴く

2014年07月21日 08時14分26秒 | 日記

21日(月・祝)。昨夕は、プロ野球日本シリーズが終了したので、息子からテレビのチャンネル権を奪取、EテレでN響のコンサートを観ました 今年5月28日にサントリーホールで開かれた定期公演で、指揮は広上淳一です。シューベルトの交響曲第5番が終わり、マーラーの交響曲第4番が始まりました

広上はシューベルトの時と同様、演奏中終始リラックスした様子で指揮をしています 小さな身体を大きく見せるかのようにオーバー・アクションを採るので非常に分かり易く面白いのですが、もっと面白いと思ったのは彼を映すカメラ・アングルです マーラーの第1楽章が始まってしばらく経った時、第1ヴァイオリン席の譜面台から指揮者を見上げるようなアングルの映像が映し出されたのです 天井の照明を背景に広上が、カメラを驚かすように指揮棒をカメラ側に付き出してくるシーン、まさに第1ヴァイオリンに”ツッコミを入れてくる”ようなシーンが映し出され、「おお、迫力があるな」と感心しました。その後も、何度かこの角度で指揮者が映されましたが、広上がタコ躍りしながらツッコミを入れてくるシーン、もとい、まるでタコが踊っているかのように身体をリラックスさせて指揮棒をコンマス側に向けてくるユーモラスなシーン、が何度か見られました

画像を注意深く見ると、コンマス(篠崎マロさん)の譜面台の裏側辺りに小型カメラが付けられているのが認められました クラシック・コンサートの中継もこういう工夫が施されれば、ファンが増えるかも知れないと思いました

かつて、ヘルベルト・フォン・カラヤンが来日した時、N響のコンサートの中継録画を観て驚いたといいます フルートがメロディーを吹くときはフルート奏者が、チェロが弾くときにはチェロ奏者がアップで映し出されていたからです 何故それが可能だったのかといえば、楽譜が読めるディレクターの指示によって、楽譜が読めるカメラマンがカメラの位置を変えてスタンバイし、いつでも理想的なカメラ・アングルから演奏者を映し出すことが出来たからです カラヤンは驚くべき日本の技術思考をドイツに持ち帰り、新しい映像技術に生かしたと言われています もしカラヤンが現在も生きていたら、コンマス席の譜面台に小型カメラを付けて指揮者を映し出していたでしょう

 

  閑話休題  

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで、東京交響楽団オペラシティシリーズ第81回演奏会を聴きました プログラムは①スメタナ「我が祖国」より「モルダウ」、②ドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」、③チャイコフスキー「交響曲第4番ヘ短調」で、指揮はウルバンスキの代役ロレンツォ・ヴィオッティ、②のチェロ独奏はヴァシリエヴァの代役ダ―ヴィド・ゲリンガスです それにしても指揮者もソリストも代役なんて前代未聞です。さて、どうなりますか

 

          

 

コンマス・水谷晃の合図でチューニングが始まります。終わったかと思ったら、第2ヴァイオリン奏者の楽器が不調らしく交換されました 指揮台に表れたヴィオッティは長身で痩せ形。スイス・ローザンヌ生まれの24歳です。1曲目のスメタナ「モルダウ」の演奏に入ります

ボヘミアの森に湧いた清水が、だんだん水嵩を増してプラハを経てエルベ河に合流するまでを音によって描いていきます ヴィオッティにとって、まずは名刺代わりの1曲です

曲が終わり、ステージ中央にチェロの台が設置されます。2曲目はドヴォルザークの名曲「チェロ協奏曲ロ短調」です ソリストのゲリンガスが指揮者とともに登場します。ゲリンガスは一見、大学教授のような厳格な雰囲気を醸し出しています

この曲はドヴォルザークがアメリカ音楽院の学長を務めていた時(実質2年半)に作曲されました。古今のチェロ協奏曲の王者と言っても過言ではないでしょう

ヴィオッティのタクトで第1楽章が開始され、オケに次いでゲリンガスの力強いチェロが入ってきます 指揮者もソリストもスケールが大きく、思わず引き込まれます しばらくすると、今度はヴィオラ奏者の楽器が不調らしく右端の奏者が楽器を抱えて舞台袖に引き上げました。こういうのって伝染するのでしょうか

第2楽章のアダージョはゲリンガスの聞かせどころです。郷愁を誘うメロディーを朗々と奏で、聴衆を無口にします。そして第3楽章は再び力強いアレグロで聴衆を魅了します あらためてプログラムのゲリンガスの略歴を見て納得 モスクワ音楽院でムスティスラフ・ロストロポーヴィチに師事し、1970年チャイコフスキー国際コンクールで第1位金賞を受賞しています

演奏が終わるとゲリンガスの方からヴィオッティを引き寄せてハグをし、お互いを讃え合います ヴィオッティは音楽と人生の大先輩ゲリンガスをリスペクトしていることが態度で分かります 満場の拍手とブラボーに気を良くしたゲリンガスはアンコールを演奏しました 最初はバッハのような曲ですが、後でロビーの掲示で確認したら、コリアーノの「ファンシー・オン・バッハ・アリア」という曲でした まだまだ止まない拍手に、今度は高音部を中心とする静かで繊細な曲を演奏しました カザルスの「鳥の歌」かなと思ったのですが違いました。途中で人間の歌声が聞こえてきたので、誰かが曲に合わせて歌っているのかと思ったのですが、ゲリンガス自身が歌っているようでした 実に声も良く歌も上手です。これには、またまた大拍手です

20分間の休憩時間にロビーに出ると、CD売り場はゲリンガスのCDを求める人々で黒山が出来ていました。分かります、その気持ち

休憩後はチャイコフスキーの「交響曲第4番ヘ短調」です。チャイコフスキーの交響曲を聴くのは本当に久しぶりです。彼の3大交響曲はどれも好きですが、ストレス解消にはこの4番が一番です 第1楽章冒頭の”運命の動機”の人生のどん底に突き落とされるような悲劇性、第2楽章の、悲劇から救い出そうとするかのような慈愛に満ちたメロディー、第3楽章の弦のピチカートの弾むようなリズム、第4楽章の”運命”を乗り越えた後の喜び。どの楽章も魅力に満ち溢れています

ヴィオッティは大柄な身体を生かしてダイナミックな指揮ぶりを見せ、歌わせるところはタップリと歌わせ、各楽章の魅力を十分に引き出していました 第1楽章の後、一旦間を置きましたが、第2楽章のアンダンティーノから第3楽章スケルツォを経て第4楽章のアレグロまでを一つの大きな流れとして捉え、楽章の間を空けずに続けて演奏しました。これは彼の演奏の特徴です

演奏が終わると、ヴィオッティは肩で大きく息をして、「これで、やっとウルバンスキの代役を務め終った。あ~良かった」という安堵の表情を見せていました。会場の聴衆は大きな代演を果たし終えた24歳の若き俊英に惜しみない拍手を送りました

ロレンツォ・ヴィオッティという名前は憶えておきましょう。いつかまた聴く機会があるでしょう

 

          

 

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メッツマッハ―+新日本フィルでベートーヴェン「第5交響曲」を聴く

2014年07月20日 07時42分14秒 | 日記

20日(日)。私は毎週土曜日の午前、ワイシャツにアイロンかけをしています 1週間分6枚と娘のブラウス2枚程度、合計8枚くらいです。先日、職場の連中と飲んでいる時「ワイシャツをクリーニングに出しているか」という話になり、私を除く全員(4人)が出しているということが分かりました 私は数年前まで衣替えの時に限ってクリーニングに出していたことがありましたが、現在ではそういうことはありません

「アイロンをかけるって時間がかかるだろう。8枚だったら1時間以上かかるよね」などと言われましたが、そんなことはありません。ノーアイロンでない普通の長袖Yシャツでも25分もあれば終わります。1枚3分程度です。そう言うと皆びっくりしていました

私が自分でアイロンかけするのは、経済的な理由もありますが、良い運動になるからです 作業が終わると背中に汗をかいています 好きな音楽を聴きながらであれば、アイロンかけも楽しいものです 昨日はHJリムの「ラヴェル&スクリャービン」のCDを聴きながら作業をしました

 

          

 

  閑話休題  

 

昨日、すみだトリフォ二―ホールで新日本フィル定期演奏会を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「バレエ音楽”プロメテウスの創造物”序曲」、②ツィンマーマン「私は改めて、太陽の下に行われる虐げのすべてを見た」、③ベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調”運命”」で、指揮はインゴ・メッツマッハ―、②のバス独唱はロ―マン・トレ―ケル、語りは松原友、多田羅廸男です

 

          

 

オケは左から第1ヴァイオりン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります したがってチェロがど真ん中に位置しますが、首席の位置を見ると、川上徹氏の隣にいつもと違う人が座っています。元N響首席の木越洋氏です。その前は新日本フィルの首席を務めていたので、その縁で今回の出演となったのでしょう。コンマスはチェ・ムンスです

第1曲目のベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲は、当時の天才舞踏家サルヴァトーレ・ヴィガノのウィーン滞在中の依頼で1800年から01年にかけて作曲されました ベートーヴェンにバレエ音楽というのは何か違和感がありますね

アダージョの序曲で始まりますが、メッツマッハ―は最初の一音で会場の雰囲気をベートーヴェンの世界に一変させます 見事な求心力と言うべきでしょう

2曲目はツィンマーマンの「私は改めて、太陽の下に行われる虐げのすべてを見た」の日本初演です ツィンマーマンと言えばオペラ「軍人たち」を思い起こします。私は新国立劇場で2回観ました。この「私は改めて、・・・」は1972年のミュンヘン・オリンピック大会のためにキール市から委嘱された作品です テクストは旧約聖書の「伝道者の書」と、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」の「荒野の誘惑」「大審問官」の章から採られています

ステージ上は弦楽器、管楽器はもちろん、様々な打楽器が並べられています 指揮者の隣にはバリトンのトレーケルが、2階正面のパイプオルガンの左右にはテノールの松原友とバス・バリトンの多田羅廸男がスタンバイし、2階左右席にはトロンボーンが控えます

主に管楽器と打楽器をバックに、トレーケルが「私は改めて、太陽の下に行われる虐げのすべてを見た」と歌い(というより唸り)はじめ、2階正面の松原と多田羅が呼応して歌い(唸り)始めます 後半に入ると二人は叫びながら飛び跳ねたりしますが、終局になると二人はその場に座り込んで何やらブツブツと独り言をつぶやき始めます 指揮者もその場に座り込んでじっと頭を垂れます。そして、最後はバッハのカンタータ「おお永遠、いかずちの言葉よ」BWV60のコラールが流れ、フォルティッシモで曲を閉じます

聴いていて、何と絶望的で暗い曲か、と思いました ツィンマーマンが委嘱されるきっかけとなった1972年のミュンヘン・オリンピックで一体何が起こったのかを思い返してしまいます

旧西ドイツのミュンヘンでオリンピックを開催中の1972年9月5日、選手村に「黒い九月」のメンバー8名が敷地のフェンスを乗り越えて侵入し、イスラエル選手団宿舎に突入、2名を殺害、9名を人質に取りました。結果的には彼らは全員生きて帰ることはありませんでした

ツィンマーマンは、この事件を予見してこの曲を作曲したのではありません。なぜなら彼は1970年に精神を病んでピストル自殺を図ったからです この曲の完成は自殺の直前だったといいます。そうは言うものの、私は何故か、彼がこの不幸な事件を予測していたのではないかと思えてなりません

日本初演に対するトりフォニーホールの聴衆の反応は温かいものがありました 会場一杯の拍手にブラボーが飛び交い、指揮者のメッツマッハーはもちろんのこと、トレーケル、松原、多田羅の各氏は何度もステージに呼び戻されていました

 

          

 

休憩後はベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調”運命”」です ここで、ハタと考えました。メッツマッハ―は何故このプログラムを組んだのだろうか、と。統一性ということでは3曲とも「ドイツ」の作曲者による作品であることですが、それでは何故、同じベートーヴェンでも第3”英雄”でも第6”田園”でもない第5”運命”なのか?・・・・やはり、2曲目のツィンマーマンの曲との連関性で考えるしかないでしょう

メッツマッハ―の指揮は、オケに戦いを挑むような挑戦的とも言える指揮ぶりです 時に指揮台上で飛び跳ねたりして、身体全体を使ってエネルギッシュな指揮をします 終始”快速テンポ”を維持し、現代のベートーヴェンを再現します。オケの面々は、指揮者の兆発に嬉々として応えている様子が見られ、音楽をする喜びに満ち溢れていました メッツマッハ―という指揮者は、演奏者をそのように仕向ける能力に長けているのではないか、さらに、聴衆の心を引き込む強い力を持っているのではないかと思います

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待望のHJリムによるチェイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」のチケットを入手

2014年07月19日 07時25分31秒 | 日記

19日(土)。チケットを2枚買いました 1枚は10月5日(日)午後2時から東京藝大奏楽堂で開かれる「藝大オペラ~モーツアルト”コジ・ファン・トゥッテ”」です この公演は10月4日と5日が東京藝大奏楽堂で、10月29日(水)が新国立劇場(オペラパレス)で挙行されるのですが、4日と19日はすでに他のコンサートの予定が入っているので消去法で5日を選びました 「コジ・ファン・トゥッテ」はアンサンブル・オペラの代表作です。藝大の学生たちがどんな二重唱、三重唱、あるいは四重唱でアンサンブルを聴かせてくれるのか楽しみです

 

          

 

待望の韓国の女性ピアニスト、HJリムのコンサートが実現します 11月30日(日)午後2時からサントリーホールで開かれる東京都交響楽団のプロムナードコンサートで、プログラムは①スッペ「美しきガラテア」序曲、②チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」、③ベートーヴェン「交響曲第8番」で、指揮は垣内悠希、②のピアノ・ソロはHJリムです

実はこの日、東京交響楽団の東京オペラシティシリーズ定期公演が同じ時間帯であるのですが、チケットは知人に譲ります。何としてもHJリムの演奏を聴きたいのです

昨年私が聴いた170回のクラシック・コンサートの中で、RJリムのピアノ・リサイタル(ベートーヴェン・チクルス)がダントツのマイ・ベスト1でした リサイタルのあったその日、ロビーで「ベートーベン・ピアノソナタ全集」のCDを買い、サインをもらいました

 

          

 

彼女のことですから、並みの演奏はしないはず。超高速テンポか超スローテンポか、どちらかになるのではないかと予想します 欲を言えば、またベートーヴェン・チクルスをやってほしいと思います 実現したら、予定しているコンサートはすべてキャンセルして連日通います

 

          

 

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奥田英朗著「我が家の問題」を読む~あるある、そういうこと!

2014年07月18日 07時01分16秒 | 日記

18日(金)。日経の夕刊文化欄に連載中の「日本指揮者列伝」が昨日3回目を迎えました 音楽ジャーナリスト・岩野裕一という人が書いていますが、今回はクラシック音楽好きなら知らない人はいない斎藤秀雄氏を取り上げています 斎藤秀雄氏が、大学受験生時代にお世話になった英和辞典の編纂者である齋藤秀三郎氏の子息であることを知ったのは大学を卒業してからでした

言うまでもなく斎藤秀雄氏は、指揮者の小澤征爾、秋山和慶やチェリストの堤剛などを育てた名音楽教育者です その名は「サイトウ・キネン・オーケストラ」として残されています

私がここで書きたいのは、その齋藤秀雄氏ではなく、斎藤氏が心酔したドイツの指揮者ローゼンストックのことです ローゼンストックは1936年秋、新交響楽団(現N響)が近衛秀麿を辞任に追いやった後釜としてドイツから招聘した指揮者です 岩野氏の言葉を借りれば「ローゼンストックの指導は峻烈をきわめ、実力不足だった新響のメンバーは徹底的に鍛え直される」ものだったようです

マスコミ倫理懇談会という組織がありますが、何代か前の事務局長だったNさん(故人)の自慢は、ローゼンストックの指揮でベートーヴェンの「第9」を歌ったことでした とはいうものの、直前の練習に出席できなかった友人に代わり”口パク”で歌ったところ、ローゼンストックが指揮棒を自分の方に向けて『そこのヤツ、ちゃんと歌え』と言わんばかりに睨めつけたというのです ”口パク”が通用しない恐ろしい指揮者に震え上がったということです

齋藤氏はローゼンストックに個人的に師事して指揮法や音楽全般にわたる指導を受けました。ひょっとして、ローゼンストックが来日していなかったら”世界のオザワ”は生まれていなかったかもしれません

音楽とは関係はありませんが、Nさんにまつわるエピソードをもう一つ Nさんの同僚Kさん(故人)から聞いた話です。新聞関係団体に勤めていた若い時代、イタズラ好きのKさんは昼寝をしているNさんのメガネをそっと外して、レンズに赤色のインクを塗りたくって、Nさんの顔に戻した。そして、Nさんの肩を揺すって「大変だ、火事だ」と大声で叫んだ。目を覚ましたNさんは目の前が真赤な火の海になっているので慌てふためいた しかし、すぐに真相が分かりカンカンになって怒り出した それが原因かどうか分かりませんが、Nさんは通信社に転職しました。時を経てまた戻ってきましたが

いまKさんのようなイタズラをしたら侮辱罪か何かの疑いで訴えられるかも知れません 人々の心が寛大な古き良き時代の話です

 

  閑話休題   

 

奥田英朗著「我が家の問題」(集英社文庫)を読み終わりました 奥田英朗は1959年岐阜県生まれ、雑誌編集者やコピーライターなどを経て1997年「ウランバーナの森」で作家デビューしました 彼の作品は「邪魔」「空中ブランコ」「オリンピックの身代金」「最悪」「真夜中のマーチ」「ララピポ」「ガール」など、文庫化したものはすべて読んでいますが、どれもが面白い作品ばかりです この「我が家の問題」も、生活に密着した身近なテーマを取り上げ、「あるある、そういうこと」と思わず膝を打つような出来事を、面白おかしく書いています

 

          

 

「甘い生活」は、新婚で、何の不満もない完ぺきな妻であるが故に、息苦しく感じてまっすぐ家に帰れない男の贅沢な悩みが書かれています。傍から見れば”超羨ましい”悩みです

「ハズバンド」は、どうも夫は仕事ができないらしい、と察知してしまった妻が、美味しい弁当を持たせて夫を励まそうとする物語です。甲斐甲斐しいですね

「絵里のエイプリル」は、偶然取った電話で両親が離婚の危機にあることを知ってしまった女子高生が、友達にどうしたらよいかと相談し、自ら考えていくことを通して成長していく過程を描いた作品です。著者は結論を書いていません。それはそれで良いと思います

「夫とUFO」は、残業続きの夫が「UFOを見た」と言うのを聴いた妻が、夫の異常を察知し、会社でいくつもの仕事を押し付けられて悩んでいることを知り、何とか夫を救おうと、宇宙人に変装して夫の前に現われ「会社を辞めなさい」と言う話です。登場する妻の言うように、辛かったら会社なんか辞めればいいのです

「里帰り」は1週間で北海道と名古屋のそれぞれの実家に帰省しなければならない夫婦の物語です。読んだあとは、「えっ、そうなの?どこの家でもそうとは限らないんじゃないかなあ」というのが正直な感想です

「妻とマラソン」は作家の妻が、家族の後押しで東京マラソンに出場するまでと、マラソンにおける奮闘ぶりを書いた物語です。専業主婦は何か夢中になるものを持っていた方が、本人のためにも家族のためにも良いということを描いた作品です

奥田英朗の作品にハズレはありません。お薦めします

 

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「小澤征爾さんと、音楽について話をする」「我が家の問題」他を買う

2014年07月17日 07時04分01秒 | 日記

17日(木)。「クイズのような『お話』をひとつ。父親と息子が車に乗って事故を起こし、大けがをして別々の病院に運ばれた。すると、息子の運ばれた病院で出てきた医師が『これは私の息子です』と言う。はて、一体どうしたことか ▼首をかしげた方もおいでだろうが、答えは簡単、医師は母親だった。医師イコール男性という思い込みが、簡単な問題を難問にすると、織田正吉著『笑いのこころユーモアのセンス』(岩波書店)は説く

上に掲げたのは今朝の朝日新聞「天声人語」冒頭です。私も一瞬”思考が立ち止まって”しまいました 「天声人語」を女性筆者に任せては、という便りをもらったこともあるそうです。試しに期間限定でやってみてはどうでしょうか

 

  閑話休題  

 

本を4冊買いました 1冊目は「小澤征爾さんと音楽について話をする」(新潮文庫)です。これは作家・村上春樹と音楽家・小澤征爾との対談集です 村上春樹氏も相当クラシック通なので、どんな会話になっているのか読むのが楽しみです

 

          

 

2冊目は奥田英朗著「我が家の問題」(集英社文庫)です 今まで読んだ奥田英朗の作品に裏切られたことはありません

 

          

 

3冊目は貫井徳郎著「乱反射」(朝日文庫)です この人の本はいつか読んだことがありますが、その時面白かったことと、本の帯の「第63回推理作家協会賞受賞作」という謳い文句につられて買いました

 

          

          

4冊目は、同じく貫井徳郎著「愚行録」(創元推理文庫)です はっきり言ってこれは杏さんの推薦の言葉に惹かれました

 

          

 

内容についてはいずれも、このブログでご紹介していきます

 

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低料金コンサートのご案内~東京藝大関係を中心に

2014年07月16日 07時00分54秒 | 日記

16日(水)。昨日、皇居前広場で丸の内消防署主催の「自衛消防訓練審査会」が開催されたので見学に行きました 1コース=男子隊・女子隊、2コース=警備隊に分かれ、3人一組で、火災発生に伴う自火報の発報から消火栓を操作してホースで火元を消火するまでの演技と時間を競います わがNPビル自衛消防隊は2コース警備隊の6番目に出場しました。出場順は先日、丸の内消防署でくじ引きがあり、私が6番を引きました。夏の暑いさ中は朝の早いうちに演技を済ませた方が有利です

今年の警備隊の参加チームは合計47隊で昨年より4隊増えています 丸の内消防署管内は全国の大手企業の本社が集中しており、警備も優秀な人材が集中していることから、丸の内地区での順位はそのまま全国の順位ということを意味します

審査の結果、第1位=1チーム、第2位=2チーム、第3位=3チームのほか優秀賞が複数チーム選ばれ、わがPCチームは「優秀賞」を受賞しました

指揮者=I君、1番員=T君、2番員=H君の3名は暑い中、厳しい練習に耐え、よく頑張って立派な成果を挙げてくれました 昨夕は旨いビールが飲めたと思います ただ、忘れてはならないのは、この「優秀賞」は3人だけの力で勝ち取ったものではないということです 練習を指導して下さったT社のN部長、U課長をはじめ、練習中仕事のカバーをしてくれた防災センターの隊長以下隊員諸君のサポートがあっての「優秀賞」であることを認識してほしいと思います。ともかく、3人を誇りに思います。お疲れ様でした

PCチームの雄姿は当社ホームページ http://www.presscenter.co.jp でご紹介しています

 

  閑話休題  

 

先日東京藝大奏楽堂で配布されたコンサートのチラシの中から低料金で聴けるクラシック・コンサートをご紹介します 1枚目は7月21日(月・海の日)午後6時から東京藝術大学奏楽堂で開かれる「海にきらめく珠玉のチャリティガラコンサート」です ロッシーニやプッチーニのオペラ等のオペラのアリアなどが歌われます。入場料はS席4,100円、A席3,600円、B席2,600円です。問い合わせ先は日本声楽家協会03-3821-5166です

 

          

 

2枚目は7月26日(土)午後3時から文京シビックホールで開かれる「文京シビック合唱団・第12回定期演奏会」です プログラムは①グノー「レクイエム」、②フォーレ「ラシーヌ賛歌」、③同「パヴァーヌ」で、演奏は松尾葉子指揮藝大フィルハーモニア。入場料は全席指定2,000円です。問い合わせ先はシビックチケット03-5803-1111です

 

          

 

3枚目と4枚目は第60回藝大オペラ定期公演、モーツアルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」です 公演は3日間あり、10月4日(土)、5日(日)が午後2時から東京藝術大学奏楽堂で、10月29日(水)が午後6時から新国立劇場(オペラパレス)です。演奏は高関健指揮藝大フィルハーモニア、ソリストは藝大の学生です。入場料は4日、5日がS席5,000円、バルコニー席4,000円で、19日がS席5,000円、A席4,000円、B席3,000円、C席2,000円となっています。オペラパレスがお薦めです。私は5日しか日程が空いていません。「チケットぴあ」でも扱っています

 

          

          

 

5枚目は10月9日(木)午後5時から東京藝大奏楽堂で開かれる「藝大学生オーケストラ プロムナードコンサート」です プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲第12番K.414」、②ドヴォルザーク「交響曲第8番ト長調」で、指揮とピアノは迫昭嘉です。これは入場無料です。問い合わせ先は同オーケストラ運営室050-5525-2375です

 

          

 

6枚目は、11月15日(土)午後3時から東京藝大奏楽堂で開かれる「第51回藝大学生オーケストラ定期演奏会」です プログラムは①チャイコフスキー「幻想序曲”ロメオとジュリエット”」、②ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」、③チャイコフスキー「交響曲第5番ホ短調」で、指揮は尾高忠明、②のピアノ独奏は有森博です。入場料は全席自由1,500円です。「チケットぴあ」でも扱っています

 

          

 

7枚目は、音楽大学オーケストラ・フェスティバルです 11月16日(日)には昭和音楽大学(指揮:大勝秀也)、東京藝術大学(指揮:尾高忠明)が、11月24日(月・祝)には上野学園大学(指揮:下野竜也)、武蔵野音楽大学(指揮:時任康文)、洗足学園音楽大学(指揮:秋山和慶)が、12月6日(土)には国立音楽大学(指揮:高関健)、桐朋学園大学(指揮:ラデク・バボラーク)が、12月7日(日)には東邦音楽大学(指揮:田中良和)、東京音楽大学(指揮:川瀬賢太郎)が演奏します 時間はいずれも午後3時からで会場は11月の2公演がミューザ川崎シンフォニーホール、12月公演が池袋の東京芸術劇場です。入場料はいずれも全席指定で1,000円、4回通し券(200セット限定)3,000円です。問い合わせ先はミューザ川崎=044-520-0200、東京芸術劇場ボックスオフィス=0570-010-296です

皆さん、学生オケを侮ってはいけません。10枚のCDより1回のコンサートを 私のモットーです

 

          

 

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準・メルクル+国立音楽大学オケでベルリオーズ「幻想交響曲」を聴く

2014年07月15日 07時01分11秒 | 日記

15日(火)。昨日の夕刊各紙に米指揮者ロリン・マゼールが13日に死去した(享年84歳)というニュースが載りました。私はマゼールの指揮を一度だけ見たことがあります。1980年台初め頃だったと思います マゼール指揮クリーヴランド管弦楽団のコンサートに友人が急用で行けなくなり、代わりに行ってくれというチャンスが巡ってきたのです その時のプログラムが何であったか、まったく覚えていないという慢性的健忘症状態ですが、最初で最後に見たマゼールの指揮ぶりは『指揮なんて、おちゃのこさいさいだよ』といった気軽なもので、爽快感も重厚感もない、あっけらかんとしたものでした チケットを譲ってくれた友人には本当のことが言えず、適当に感想を伝えましたが、正直、良い印象はありませんでした

マゼールは7月~8月に開かれるPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)世界ツアーでPMFオーケストラを振る予定だったのが、健康上の理由で降板、急きょ佐渡裕が代役を務めることになったというニュースに接したばかりでした。それほど悪い状態だとは思いもよりませんでした

ところでマゼールのCDで、良くも悪しくも一番印象に残っているのは、ウィーン・フィルを振ったマーラーの「交響曲第3番」(1985年録音)です 私は同じウィーン・フィルを振ったクラウディオ・アバドの同曲の演奏が最も理想に近いと思うのですが、マゼールのテンポは、ほとんど”止まりそう”です あそこまで遅くすると、”あざとい”としか言いようがありません。ほとんど『胃もたれしそう』な演奏です。私はこの演奏を高く評価する音楽評論家を信用しません マゼールは、若い時に振ったチャイコフスキーの幻想序曲「ロミオとジュリエット」のような、溌剌とした演奏の方がよほど良いと思います。ご冥福をお祈りいたします

 

          

          

 

  閑話休題  

 

昨夕、初台の東京オペラシティコンサートホールで国立音楽大学オーケストラの第121回定期演奏会を聴きました プログラムは①R.シュトラウス「交響詩”ドン・ファン”」、②リスト「ピアノ協奏曲第1番変ホ長調」、③ベルリオーズ「幻想交響曲」という、ド派手な曲を3つ揃えた選曲で、演奏者は指揮=準・メルクル、②のピアノ独奏=アレッシオ・バックスです

 

          

 

自席は1階25列10番、左ブロック右通路側です。会場は明らかに演奏者の家族・友人・知人と分かる聴衆がほとんどです 私のように準・メルクルの「幻想交響曲」を目当てに来る一般客はごく少数でしょう。とにかくほぼ満席状態です

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという態勢をとります。コンマスは中台寛人君。チューニングが終わり、準・メルクルが登場します

1曲目のR・シュトラウス「交響詩”ドン・ファン”」は、シュトラウスが24歳の時に作曲した最初の交響詩です。「ドン・ファン」と言えばモーツアルトの「ドン・ジョバンニ」の”女たらしの主人公”を想起しますが、R・シュトラウスはオーストリアの作家レーナウの劇詩「ドン・ファン」を題材に選び、理想の女性を求めて遍歴し、満たされない思いの中で死を選ぶ純粋な人物を音楽で表現しました

準・メルクルは冒頭の鋭い立ち上がりで聴衆の心を一気につかみます この人の最大の特徴はメリハリの効いた音楽作りです。学生オケは懸命にタクトに着いていきます。管楽器群も頑張っています

ピアノが左袖から入れられセンターに設置されます。ピアノのアレッシオ・バックスがメルクルとともに登場します プロフィールによると、バックスは8歳でピアノを始め、翌年バーリ音楽院に入学し、通常10年かかるコースを半分の5年で修了し、首席で卒業したという逸材です

メルクルのタクトで2曲目のリスト「ピアノ協奏曲第1番」が開始されます。バックスはメルクルのメリハリの効いたサポートに呼応して明快で力強い音楽を奏でます 一方、第2楽章のアダージョでは詩情豊かに美しい演奏を展開します。第4楽章のフィナーレは大管弦楽を巻き込んで突き進む迫力が圧巻でした

鳴り止まない拍手に、ブラームス作曲シフラ&バックス編曲「ハンガリー舞曲第5番」の超絶技巧音楽をいとも鮮やかに演奏し聴衆の喝さいを浴びました

休憩後は待望のベルリオーズ「幻想交響曲」です。昨年7月30日(火)サントリーホールで開かれた前述のPMFオーケストラ東京公演において「幻想交響曲」の指揮をとったのは準・メルクルでした。その時の演奏が印象深く、再び彼の指揮で聴きたいと思っていたのです

「幻想交響曲」は「ある芸術家の生活のエピソード」というサブタイトルを持っています。一人の女性を恋する若き音楽家(ベルリオーズ自身)の心象風景を描いています

第1楽章「夢ー情熱」、第2楽章「舞踏会」、第3楽章「野の情景」、第4楽章「断頭台への行進」、第5楽章「魔女の夜宴の夢」から成りますが、「舞踏会」はいいですね メルクルは軽快な身のこなしで優雅な音楽をリードします 素晴らしかったのは第3楽章「野の情景」におけるコーラングレと舞台裏のオーボエとの会話です。プロに近づいていますね

「断頭台への行進」はいつ聴いても興奮します。ファゴットは最高でした そして、最後の「魔女の夜宴の夢」の終盤、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律が流れる中、舞台裏で打ち鳴らされる教会の鐘の音が印象的です

準・メルクルのタクトが上がると、会場一杯の拍手とブラボーが飛び交いました メルクルは管楽器をセクションごとに立たせ、全員を立たせます。そして、舞台裏で演奏していたオーボエ奏者と鐘を鳴らしていた打楽器奏者を舞台中央に誘い、拍手を求めました。破格の扱いです

さて、この日ステージ上には延べ100人以上の音大生が登場し演奏したわけですが、彼らは多くの学生の中から選抜されて舞台に上がったのだと思います そうした背景をもとに考えて、果たしてこの中の何人が音楽で生計を立てていくことになるのか、最終的にプロとして生き残るのはどれだけの人数か・・・・と他人事ながら心配になってしまいました

ここは前向きに考えたいと思います 一生懸命演奏してくれた学生たちにエールを送ります。今を大切に、これからも頑張ってください

 

          

 

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米澤穂信著「犬はどこだ」を読む~初期の作品の傑作

2014年07月14日 07時00分40秒 | 日記

14日(月)。昨日は息子の通う大学の父母懇談会・個別面談会が飯田橋のホテルで開かれたので参加しました 会場に入りきれない多数の父母が参加したため、入場できなかった父母は別室のサテライト中継で”参加”したようです 普段、お世話になっている先生と話をする機会がなかったので個別面談は貴重でした 参加して良かったと思っています。息子には進みたい道を進んでほしいと思います

 

  閑話休題  

 

米澤穂信著「犬はどこだ」(創元推理文庫)を読み終わりました 著者の米澤穂信は1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞を受賞してデビュー、2011年には『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞を受賞しています この作品はミステリ作家としての評価が定まり始めた頃の1冊です

主人公の紺屋が開いたのは犬探しを専門とする調査会社「紺屋S&R」だった。S&Rとはサーチ・アンド・レスキューのこと。ところが、開業早々舞い込んだのは失踪人探しと古文書の解読だった

依頼人・佐久良且二が持ち込んだのは孫の桐子を探してほしいという依頼で、一方、ある集落の自治会長をしている百地啓三が持ち込んだのは古文書の解読だった 一方的に弟子入りを申し出てきた学生時代の剣道部の後輩・半田平吉(ハンペー)を巻き込んで、失踪事件の解明に挑むが、この二つの依頼は微妙にシンクロしていき、失踪した桐子が実はネット上のトラブルに巻き込まれていたことが判明する ところが、それは彼女が巻き込まれたのではなく、その反対であることが最後に判明する さて事の真相はいかに・・・・

 

          

 

初期の作品だけに、最近の作品と比べると、やや切れ味が鈍いと思われるところもありますが、最後のどんでん返しは彼ならではです

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東京藝大「生誕150年 R.シュトラウスの弦の響き」を聴く~アモイヤル+江口玲のヴィオリン・ソナタほか

2014年07月13日 07時28分25秒 | 日記

13日(日)。昨日はトッパンホール主催のゴーティエ・カプソン(Vc)とユジャ・ワン(P)によるデュオ・コンサートのセット券発売日だったので、朝10時過ぎに何度かクラブ事務局に電話をかけまくりました。やっと繋がったのは正午少し前でした

コンサートの日程は12月15日(月)、16日(火)で、プログラムは15日が①ドビュッシー「チェロ・ソナタ」、②プロコフィエフ「チェロ・ソナタ」、③ラフマニノフ「チェロ・ソナタ」、16日が①ベートーヴェン「”魔笛”の主題による7つの変奏曲」、②ブラームス「チェロ・ソナタ第1番」、③同「チェロ・ソナタ第2番」です

このチケットを入手するために先日、トッパンホールの会員になったのです 何としてもユジャ・ワンを生で聴きたい一心です すでに通路側席や、鍵盤の見える左サイドの良い席はなく、右ブロックの後方の席になってしまいましたが、彼女の演奏が聴けるのならどこでもいいです

 

          

 

  閑話休題  

 

7月8日付のtoraブログがアマチュア・オーケストラの草分け「新交響楽団」のフェイスブックでシェアされています toraブログはこれからも新交響楽団を応援していきます

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、東京藝大奏楽堂で「生誕150年 R.シュトラウスの弦の響き」公演を聴きました プログラムはR.シュトラウスの①チェロ・ソナタ、②ヴァイオリン・ソナタ、③歌劇「カプリッチョ」より「序曲」、④23人の独奏弦楽器のための「メタモルフォーゼン」です

 

          

 

前日に続いて同じ会場で聴くことになりましたが、この日は1階11列27番、右ブロックの左から3つ目の席をとりました 自席でプログラムを見ていると、元東京シティフィルの事務局長Yさんが「いやあ、偶然ですね」と言って2つ向こうの席に座りました。コンサート会場で出会う知り合いと言えばこのYさんくらいです

1曲目の「チェロ・ソナタ」はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が19歳の時の作品です。ボヘミア出身のチェロ奏者ハヌシュ・ヴィーハンに献呈しました。ピアノの伊藤恵がブルー系のドレスでチェロの河野文昭とともに登場します 二人とも藝大音楽学部教授です

私は初めてこの曲を聴きましたが、19歳の若い時から饒舌な、しかし美しい音楽を書いていたのだな、と感心しました しっかりした伊藤恵のピアノに乗って、河野のチェロが朗々と響き渡ります。この人のチェロは明るくていいですね

2曲目の「ヴァイオリン・ソナタ」は23~24歳頃の作品です。ヴァイオリンは天下の巨匠ハイフェッツのもとで5年間学んだピエール・アモイヤル、ピアノは私が大好きな江口玲です 江口玲は電子楽譜を持参しました。この曲も饒舌な曲ですが、オペラのアリアのような流麗な部分もあります。かなりロマン的な音楽です アモイヤルは江口のシュアなピアノに支えられて伸び伸びと演奏を展開します つくづく思ったのは、アモイヤルもずい分歳を取ったなあ、ということです

 

          

 

休憩後の最初は作曲者晩年の曲、歌劇「カプリッチョ」から「序曲」です 本来はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが各2人ずつで演奏されますが、この日は拡大して総勢20名の弦楽合奏によって演奏されます コンマスは新日本フィルのコンマスなどを歴任し、現在藝大教授の松原勝也、指揮は同じく教授の澤和樹です

メロディーを聴いていて、いつか新国立オペラで聴いたオリジナル編成による「序曲」を思い出しました。作曲者最後のオペラの序曲は深い味わいがあります 藝大教授陣を中心とする室内オーケストラはニュアンス豊かにオペラのエッセンスを表現していました

最後の「23人の独奏楽器のためのメタモルフォーゼン」はGRS23による演奏です GRSって何?と思って解説を読むと「藝大リヒャルト・シュトラウス」の略だそうです。あまりの『そのまんま』ネーミングに声も出ません ヴァイオリン10、ヴィオラ5、チェロ5、コントラバス3によって演奏されます。タイトル通り、23人の”独奏者”が演奏するので、譜面台が通常は2人に1台のところを1人1台、計23台用意されます

ヴァイオリンセクションの態勢を見ると、コンマスの松原勝也から右へ漆原朝子、玉井菜摘、野口千代光という並びになっています この態勢について、プログラムの巻頭言に澤和樹氏が「席順が”総選挙”によるものかどうかは謎だ。乞う御期待!」と、AKB48に引っかけた”受け狙い”のキャッチを書いていましたが、独り言として無視することにします

リヒャルト・シュトラウスはドイツが戦後の混乱にあった頃の1945年4月にこの「メタモルフォーゼン」を作曲しました その後スイスに移住しますが、この曲は1946年1月チューリッヒで初演されました

藝大の教授陣を中心とする23人のプロフェッショナルの演奏は重心が低く重厚感があります いつしかLPレコードで聴いたカラヤンがベルリン・フィルを振った演奏を想起していました。渾身の演奏でした

 

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東京藝大「日独名手の饗演」を聴く~ベルリン・フィルのフックス、シェレンベルガー登場

2014年07月12日 07時05分06秒 | 日記

12日(土)。昨日は台風一過の真夏の青空でしたね いつかブログで書きましたが、私は小学生の時、”タイフウ・イッカ”を、何かあると台風のように町内を巻き込んで混乱に貶める”台風一家”だと思い込んでいました 恐ろしい家族がいるものだ、捕まったら捜査一課のお世話になるのかと 

 

  閑話休題  

 

昨夕、上野の東京藝大奏楽堂で「奏楽堂シリーズ 東京藝大管・打楽器シリーズ 日独名手の饗演」を聴きました プログラムは①アルブレヒツベルガ―「アルト・トロンボーン協奏曲」、②クロンマー「2本のクラリネットのための協奏曲」、③フンメル「序奏、主題と変奏」、④R.シュトラウス「クラリネットとファゴットのための二重小協奏曲」です いずれも馴染みのない曲なので所有CDを探してみたら、R.シュトラウスの曲だけありました

 

          

 

全自由席なので早めに会場に向かいました。雨の中、傘をさして長蛇の列に並んで待っていると開場時間を5分ほど前倒しして入れてくれました という訳で1階12列13番、センターブロック左通路側を押さえました。会場の入りは7割位でしょうか。もったいないです

オケがスタンバイし、コンミスの石田紗樹さんの合図でチューニングが始まります オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという態勢をとりますが、総勢20人という小編成で、うち男子学生は5人しかいません

元ベルリン・フィル首席オーボエ奏者の指揮者シェレンベルガ―とソリスト古賀慎治が登場し、1曲目のアルブレヒツベルガ―「アルト・トロンボーン協奏曲」が始まります アルト・トロンボーンは通常のトロンボーンより小さめです。楽器が小さいほど高音が出るのかと思っていたら、そうでもないようです。これは意外でした アルブレヒツベルガ―という人は、ほぼモーツアルトと同時代を生きた作曲家・オルガ二ストで、モーツアルトも彼を買っていたようです

第1楽章はアレグロ・モデラート、第2楽章はアンダンテ、第3楽章はアレグロ・モデラートとなっています。実際に曲を聴くと、速い「アレグロ」ではなく、ちょっと速めの「アレグロ・モデラート」になっているのがミソで、モーツアルトやハイドンの協奏曲の曲想を思い出させます 都響の首席を務めた経験のある古賀慎治は、モーツアルトと同じ”古き良き”時代の雰囲気を醸し出します

オケが拡大し35人程度になります。2曲目のクロンマー「2本のクラリネットのための協奏曲」は、ベルリン・フィル首席奏者フックスと藝大教授・山本正治の独奏で演奏されます クロンマーは現在のチェコで生まれた作曲家ですが、生涯に300曲以上の作品を残したと言われており、その当時はベートーヴェンと人気を二分したほどだそうです

シェレンベルガ―のタクトで第1楽章が始まりますが、まるでモーツアルトのオペラの序曲のような明るく溌剌とした曲想です 聴いていて、おそらく当時はクラリネットの名手が少なくとも2人はいただろうな、と思いました 見ていると2人のソリストの演奏スタイルはまったく正反対です。フックスが”動”だとすれば山本は”静”です。フックスは常に身体全体を使って演奏します。ベルリン・フィルの体質でしょうか

第2楽章は悲劇的な様相を呈しています。2本のクラリネットはしみじみとハ短調を奏でます 第3楽章は再び明るさを取り戻し、喜びに満ちたフィナーレを迎えます。この曲は凄く気に行ったのでCDで欲しくなりました

聴いていて途中で気が付いたのですが、隣席のサラリーマン風の中年男性が時々プログラムにメモを取っているのです 10中8,9ブログをやっていますね、ご同輩 ただ、面白いのはメモをとるタイミングが私とはまったく違うのです。人それぞれです

休憩後の最初はフンメル「序奏、主題と変奏」です。フンメルはウィーンでモーツアルトの家に2年間住み込んでピアノを学んだというラッキーな人です 実力もあったと見えて、ハイドンの後任としてエステルハージ家の宮廷楽長を務めました。オーボエ・ソロをシェレンベルガ―が務める関係で、山本正治が指揮をとります

曲はアダージョの序奏に続いて明るいテーマが出てきます。続いてオーボエによる相当テクニックを要するパッセージの変奏が繰り広げられます これはシェレンベルガ―の独壇場です。もう凄いとしか言いようがありません。「元」が付いても天下のベルリン・フィル奏者です

4曲目のR.シュトラウス「クラリネットとファゴットのための二重協奏曲」はクラリネット=フックス、ファゴット=都響主席・岡本正之のソロによって演奏されます この曲はルドルフ・ケンぺ指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の演奏によるCDで予習しておきました

 

          

 

リヒャルト・シュトラウスは、隠遁生活を送っていた1947年、スイス・ルガーノ放送からの依頼でこの曲を作曲しました 全体は3つの楽章から成りますが、切れ目なく演奏されます。聴いていて思うのは、この曲はまるでオペラの中の会話ではないのか、ということです クラリネットとファゴットの会話に、時々第1ヴァイオリンが加わって盛り上がる、という感じです これはもうご機嫌な曲でした。都響首席の岡本はベルリン・フィルのフックスに負けていませんでした。実に楽しいコラボでした

何度かステージに呼び戻され、最後はフックスとシェレンベルガ―だけが出てきて、フックスがたどたどしい日本語で、

「もう少し、アンコールを・・・・・・」(以下は聴こえない)

と言ってアンコールを演奏しました あとでロビーの掲示で確かめたら、マンガ―二の「パジナ・ダルバム」(?)という曲でした。映画音楽のような音楽で、静かでいい曲でした これだけのコンサートが2,000円で聴けるのですから、藝大はありがたいですね

 

          

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