人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「METライブビューイング2014-15」3枚綴りチケット入手

2014年10月21日 07時00分32秒 | 日記

21日(火)。わが家に来てから24日目を迎えたモコタロです 

 

         

         かぼちゃのおばけにのっかっちゃたよ、あとがおとろしぃ

 

  閑話休題  

 

所沢高校のクラス会の通知が届きました 前回開いたのは3年前、東日本大震災のあった年の5月でした。このブログを始めたのはその年の2月です 通知には11月29日(土)午後3時から埼玉県所沢市内の中華料理店となっています。実はこの日、午後2時から、かつしかシンフォニーヒルズで韓国のヴァイオリニスト、シン・ヒョンスのヴァイオリン・リサイタルを聴く予定が入っているのです クラス会は約2時間として5時頃終了するでしょう。一方リサイタルの方も約2時間として4時頃終了するでしょう。青砥から所沢まで1時間くらいはかかるでしょうから、クラス会が終わる頃に会場に着く計算です

リサイタルを聴いてからクラス会に滑り込むか、2次会から参加するか、あるいは、事故にでも遭ったと思ってコンサートを諦めて最初からクラス会に出席するか・・・・内山田洋とクールファイブの心境です。思案橋ブルース、古ッ よーく考えて結論を出そうと思います

 

  も一度、閑話休題  

 

「METライブビューイング2014-15」のチケットが発売されています これは米メトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ映像を世界的に配信・上映する企画で、日本では現地での上演日の約1か月後に公開されます

 

          

 

今シーズンは11月1日から来年5月29日までの7か月間に全10作品が上映されます ラインアップは次の通りです(上映はすべて土曜日に始まり翌週金曜日に終わります)

①ヴェルディ「マクベス」 11月1日~11月7日

②モーツアルト「フィガロの結婚」(新演出) 11月15日~11月21日

③ビゼー「カルメン」 12月13日~12月19日

④ロッシーニ「セヴィリアの理髪師」 1月24日~1月30日

⑤ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 2月7日~2月13日

⑥レハール「メリー・ウィドウ」(新演出) 2月21日~2月27日

 

          

 

⑦オッフェンバック「ホフマン物語」 3月7日~3月13日

⑧チャイコフスキー「イオランタ」(MET初演)、バルトーク「青ひげ公の城」(新演出) 3月28日~4月3日

⑨ロッシーニ「湖上の美人」(MET初演) 4月11日~4月17日

⑩マスカー二「カヴァレリア・ルスティカーナ」(新演出)、レオンカヴァッロ「道化師」(新演出)

 5月23日~5月29日

 

          

 

今回の10作品の中で私が期待しているのは、『楽しいオペラ』として「フィガロの結婚(新演出)」、「セヴィリアの理髪師」の2作品。『歌手で選ぶオペラ』として、アンナ・ネトレプコの歌う「マクベス」「イオランタ」(MET初演)、”METのディーヴァ”ルネ・フレミングの歌う「メリー・ウィドウ」(新演出)、ジョイス・ディドナートの歌う「湖上の美人」(MET初演)といったところです。もちろん全作品を観るつもりです

東京都心の上映会場は新宿ピカデリー、東銀座の「東劇」、TOHOシネマズ六本木ヒルズです

チケット代は1作品につき一般3,600円、学生2,500円ですが、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」だけは一般5,100円、学生3,600円となっています なお、特別鑑賞券(3枚綴り:9,300円)が販売されています。1枚当たり3,100円の計算で、3作以上観る場合は絶対にお得です ただし「マイスタージンガ-」には使えません。チケットは上映劇場のほか、ローソンチケット、イープラス、セブンチケット、チケットぴあでも販売されています

映画とはいえ、超一流の歌手陣によるオペラを観るチャンスです。METライブビューイングでオペラデビューはいかがですか

 

          

 

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東京藝大ピアノ・シリーズ「ベートーヴェンのピアノ・ソナタ~ウィーン時代後期」を聴く

2014年10月20日 07時00分27秒 | 日記

20日(月)。わが家に来てから23日目を迎えたモコタロです 

 

          

          だれか、ここから出してくれ~、何なんだこの白いヤツは!

 

  閑話休題  

 

20年近く履き続けてきたGパンの膝の部分が大きく裂けてしまったので、新しいジーンズを買いました 新宿の「ビックロ」で試着してブルーとブラックの2着を買いました それにしても同じジーンズを20年近くも履き続けてきたということは、その間、体型がほとんど変わらなかったということで、その事実に自分でも驚いている今日この頃です

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、上野の東京藝大奏楽堂で藝大ピアノ・シリーズ「ベートーヴェンのソナタ第4回『ウィーン時代後期』」を聴きました 1週間前に第3回『傑作の森』を聴いたばかりです。今回のプログラムは①ピアノ・ソナタ第30番ホ長調、②ヴァイオリン・ソナタ第10番ト長調、③ピアノ・ソナタ第31番変イ長調、④チェロ・ソナタ第4番ハ長調、⑤ピアノ・ソナタ第32番ハ短調です

 

          

 

全自由席のため開場時間より10分前の2時20分に着いたのですが、奏楽堂前にはすでに2列の九十九折りの行列が出来ていました それでも1階16列24番、センターブロック右通路側席を押さえました。会場は8割方埋まっている感じです

1曲目はピアノ・ソナタ第30番ホ長調です。ピアノ独奏は藝大准教授の青柳晋です ベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタは普段聴く機会がないので曲がすんなりと頭に入ってきません。予習不足を認めざるを得ません

2曲目はヴァイオリン・ソナタ第10番ト長調です。演奏はヴァイオリン=藝大教授・澤和樹、ピアノ=同教授・渡邊健二です この曲の冒頭はヴァイオリンとピアノの会話のような曲想ですが、澤と渡邉の演奏を聴いて思い出したのは、カラヤンの秘蔵っ子アンネ・ゾフィー・ムターの弾いた第10番のCDです 彼女の演奏は”恋人同士の会話”に思えたのに対して、今回の演奏は”友人同士の会話”に聴こえました 演奏者によってずい分印象が違うものだと思いました

3曲目はピアノ・ソナタ第31番変イ長調です。ピアノ独奏は藝大教授・迫昭嘉です。これも明らかな予習不足ですが、全体的にはベートーヴェンの打ち建てた大伽藍といった印象を受けました      

 

          

 

休憩後の最初の目はチェロ・ソナタ第4番ハ長調です 演奏はチェロ=藝大教授・河野文昭、ピアノ=藝大非常勤講師・大田佳弘です。何度か河野文昭のチェロを聴きましたが、朗々と響かせる美しい音色が素晴らしいと思います

最後はピアノ・ソナタ第32番ハ短調です。ピアノ独奏は藝大教授・植田克己です。ベートーヴェンはこの曲を最後にピアノ・ソナタは作曲していません 30番、31番と違って、32番は私にとって比較的なじみのある曲です 他のソナタと違いこの曲は2楽章から成ります。第3楽章に成り得るスケッチもないとのことで、どうもベートーヴェンは最初から2楽章の曲として想定していたようです 第1楽章冒頭の強烈な和音から入りますが、これがベートーヴェンだ という力強い曲です。次から次へと様々なメロディーが現われ、他の作曲家にない独特の世界を形作っていきます。何と美しく、何と力強いのか

 

          

 

今回は2週連続でベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴いてきたわけですが、バッハの平均律クラヴィーア曲集が鍵盤音楽における「旧約聖書」、ベートーヴェンのピアノ・ソナタが「新約聖書」と呼ばれるのが分かるような気がします ベートーヴェンの素晴らしいところは、改良が加えられていくピアノの性能に応じて、ピアノの表現領域を広げていったところです ベートーヴェンは常に音楽革命の最前線にいました

 

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ウルバンスキ+庄司紗矢香+東響でドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲」を聴く

2014年10月19日 08時36分17秒 | 日記

19日(日)。わが家に来てから22日目を迎えたモコタロです 

 

          

           ぼくのうしろにあるのは、ご主人さまのLPの一部だよ

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第624回定期演奏会を聴きました プログラムは①キラル「交響詩”クシェサ二”」②ドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲イ短調」③ルトスワフスキ「管弦楽のための協奏曲」で、指揮はクシシュトフ・ウルバンスキ、②のヴァイオリン独奏は庄司紗矢香です

 

          

 

ウルバンスキを見るのは久しぶりです。前回振る予定だったコンサートが、彼のケガのため来日出来なくなったからです オケは通常の東響の態勢です。左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという配置です。コンマス・水谷晃の合図でチューニングが行われ、指揮者を待ちます

1曲目の「交響詩”クシェサニ”」を作曲したキラルは1932年にポーランドで生まれ昨年死去しました。ウルバンスキが彼の曲を選んだのは追悼の意味があるのかも知れません この曲の題名はポーランド語で「打つ」という動詞から取られた造語で、「閃光」と訳されることもあるということです

長身の青年指揮者ウルバンスキのタクトが振られ、弦楽器による息の長いファンファーレが開始されます 弦楽器による分厚いオルガン的な響きが会場を満たします。途中から管楽器が加わり、突然、打楽器を巻き込んだ強力な不協和音が支配します。その時、隣席のおじさんがガクッとズッコケました まだ曲が始まったばかりなのに、あなた寝てましたね

終盤にはまるで民謡のような明るい曲が現われ、続いて弦楽器は弦楽器、管楽器は管楽器で、セクションごとにやりたい放題やっているかのような不協和音が鳴り響き、最後は調和のとれた曲想で曲を閉じます 10分にも満たない小曲ですが、私は面白く聴きました 少なくともシェーンベルクなどと違って聴きやすい曲だと思いました。なお、ウルバンスキは暗譜で指揮をしました

鮮やかな赤のドレスを身にまとった庄司紗矢香がウルバンスキとともに登場します ドヴォルザークの「ヴァイオリン協奏曲イ短調」は、明らかにブラームスのヴァイオリン協奏曲の影響を受けています。ブラームスのヴァイオリン協奏曲は1879年に初演されていますが、ドヴォルザークはその年にヴァイオリン協奏曲を作曲しているのです その後、ヴァイオリンの名手ヨアヒムのアドヴァイスを受け改訂を重ね1883年に楽譜を出版しています

第1楽章冒頭の庄司の弾くヴァイオリンの音色を聴いて、艶のある美しい音だな、と思いました あらためてプログラムを見ると、使用楽器は「上野製薬株式会社から貸与されている1729年製ストラディヴァリウス”レカミエ”」であることが分かりました もちろん演奏が素晴らしいからこそ、その音色が生かされる訳ですが 第1楽章から第2楽章へは続けて入りますが、アダージョの何と美しいことか・・・・ そして第3楽章のフィナーレになだれこみます。ドヴォルザーク特有の舞曲を主題とする旋律が美しく奏でられます

鳴り止まない拍手に、庄司はパガニーニの「うつろな心による変奏曲」から1曲を超絶技巧を駆使して演奏し会場を唖然とさせました すぐそばで聴いていた弦楽セクションの演奏者たちも、曲が終わるや否や、ため息をつきながら拍手を送っていました。プロも認める実力者ですね

休憩後はポーランドの作曲家ルトスワフスキの「管弦楽のための協奏曲」です。ルトスワフスキは1913年生まれで、この曲を書いたのは1950年から54年の間です。ウルバンスキはこの曲も暗譜で指揮をします。自国の作曲家の曲にはこだわりを持っているのでしょう

曲は3つの楽章から成りますが、全体的にはバルトークから影響を受けていることを感じます 彼の曲も比較的分かり易い曲ですが、1度聴いただけではよく理解できません

ウルバンスキは何度もステージに呼び戻されます。若く背も高くスマートなので人気があります。彼の活躍を通して少しでもクラシック人口が増えるといいと思います

 

          

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ショスタコーヴィチ「室内楽選集」、アヴデーエワのショパン、アバドのマーラー「第3番」を買う

2014年10月18日 07時45分54秒 | 日記

18日(土)。わが家に来てから3週間目を迎えたモコタロです 

 

          

                               照れちゃうなぁ 毎日写真撮られちゃって

 

  閑話休題  

 

昨日午後、東京ビックサイトで「危機管理産業展2014」を見学してきました。防災用品を中心に多数の企業が出展していました

 

          

 

珍しいところでは、防衛省がNBC偵察車を展示していました

 

          

          

 

また、最近話題になっているエボラ出血熱対応感染防止服も展示されていました こういう服が必要ないことを祈るばかりです

 

          

 

1時間ほど見学して社に戻りましたが、あちこち歩き回ったのでとても疲れました

 

  閑話休題  

 

新宿のタワーレコードでCDを9枚買いました 置き場所もないのにどーすんのよ、という自責の念にかられながら買ってしまいました 最初は5枚組のショスタコーヴィチ室内楽選集です。収録曲は①24の前奏曲とフーガ、②ピアノ・ソナタ第1番、③同第2番、④ピアノ三重奏曲第2番、⑤チェロ・ソナタ、⑥ピアノ五重奏曲ほかです 演奏者はウラディミール・アシュケナージ、リリア・ジルベルスタイン、リン・ハレル、ボザール・トリオ、フィッツウィリアム弦楽四重奏団ほかです。これはピアノ五重奏曲が欲しくて買ったようなものです

 

          

 

次はマルタ・アルゲリッチ以来45年ぶりに女性としてショパン・コンクールで優勝したロシアのピアニスト、ユリアンナ・アヴデーエヴァの2枚組CDです 収録曲は①ショパン「前奏曲全曲」、②シューベルト「3つのピアノ曲」、③プロコフィエフ「ピアノ・ソナタ第7番」です

 

          

 

最後はクラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルによるマーラーの「交響曲第3番」の2枚組です 実はこのCDは持っているのですが、CDの表面にひどい汚れが付いていて見苦しく音も濁るので再発売を待っていたのです マーラーの第3番の演奏の中では最高の演奏だと思います

 

          

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新国立劇場でモーツアルト「ドン・ジョバンニ」を観る~期待のレミージョの歌うドンナ・アンナ

2014年10月17日 07時02分04秒 | 日記

17日(金)。わが家に来てから20日目を迎えたモコタロです 

 

          

            いやーまいったよ 歯にアタリメが挟まっちゃってさぁ

 

  閑話休題  

 

昨夕、初台の新国立劇場でモーツアルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」を観ました キャストは、ドン・ジョバンニにアドリアン・エレート、ドンナ・アンナにカルメラ・レミージョ、レポレッロにマルコ・ヴィンコ、騎士長に妻屋秀和、ドン・オッターヴォにパオロ・ファナーレ、ドンナ・エルヴィーラにアガ・ミコライ、マゼットに町英知、ツェルリーナに鷲尾麻衣ほか。指揮はラルフ・ヴァイケルト、オケは東京フィルハーモニー、演出はグリシャ・アサガロフです

 

          

 

無類のプレイボーイ、ドン・ジョバンニは、ある晩騎士長の娘ドンナ・アンナの部屋に忍び込むが、アンナに騒がれ、駆け付けた騎士長と乱闘し刺殺してしまう 従者のレポレッロと逃走する途中で、かつての妻で捨てた女ドンナ・エルヴィーラに追い回されながら、結婚直前の村娘ツェルリーナを誘惑したりして放蕩の限りを尽くす やがて一連の悪行がばれて、騎士長が眠る墓場に逃げてくるが、そこで騎士長の石像を晩餐に招く約束をする 石像は招かれた館でドン・ジョバンニに放蕩生活を反省し心を入れ替えるよう説得するが、彼はそれを拒み、地獄に落とされる

 

          

 

新国立劇場におけるドンジョバンニの上演は2000年、2001年、2008年、2012年に次いで今回が5回目ですが、私はすべて観ています アサガロフによる演出では、舞台をスペインのセビリアからイタリアのヴェネツィアに移し、当時の稀代の色男カサノヴァをドン・ジョバン二に重ねています。この演出は前回に次いで2回目ですが、METでもタイトルロールを歌ったクヴィエチェンのセクシーな歌と演技(前回)が忘れられません

ラフル・ヴァイケルトがオーケストラピットに入ってタクトが振り下ろされます。その冒頭、ティンパ二の強打がドン・ジョバンン二の運命を暗示します 私はこの序曲から、レポレッロが登場して「夜も昼もこき使われて」と歌い、その後ドン・ジョバンニが登場して、ドンナ・アンナの屋敷に忍び込んでいき、しばらくして二人がもつれ合って登場し「手を離せ!」「逃がすものですか!」と歌うところが、このオペラで一番好きです 躍動感溢れる二重唱、三重唱の魅力に満ち溢れています

ドン・ジョバンニが出てきた時、「あれっ、能見君、今日はクライマックス・シリーズで巨人相手に投げるんじゃなかったの?」と叫びそうになりました ドン・ジョバンニ役のエレートが阪神タイガースのエース能見投手に似ているのです(実際には岩田が投げて阪神が2連勝したようですが)。エレートはウィーン国立歌劇場の専属歌手を長く務めていたこともある本格派のバリトンで、歌唱力は抜群です 欲を言えば、前回のクヴィエチェンのような”いやらしさ”がもっとあれば、いかにもドン・ジョバンン二になったのに、と思います

レポレッロを歌ったマルコ・ヴィンコは昨年10月に新国立オペラ「フィガロの結婚」でタイトルロールを歌って喝さいを浴びたバスです 今回もきびきびした演技とともに深みのあるバスを聴かせてくれました

さて、楽しみにしていたドンナ・アンナ役のカルメラ・レミージョですが、最初のうちはやや演技過剰気味かなと思ったのですが、ストーリーが進むにつれて自然に見えるようになってきました。もちろん歌は文句なしのソプラノです。とにかく美人は得です

今回聴いていて一番印象に残ったのはドン・オッタ―ヴォを歌ったパオロ・ファナーレでした 新国立劇場では「コジ・ファン・トゥッテ」のフェルランドを歌っていますが、良く通る素晴らしいテノールです

もう一人、ドンナ・エルヴィーラを歌ったアガ・ミコライは、2008年にドンナ・エルヴィーラを、2012年にドンナ・アンナを新国立劇場で歌っています 3回目とあって堂々たる歌いぶりです。第1幕の前半でドン・ジョヴァンニともみ合うシーンで、被っていた鳥の羽付帽子が脱げそうになり、落ちないように苦労していましたが、途中であきらめて脱いだまま演技していました。こういうアクシデントもあるのですね

最後に付け加えたいのは、ツェルりーナを歌った鷲尾麻衣です。東京藝大卒で、文化庁派遣芸術家在外研修員としてニューヨークに留学経験もあるとのこと。今回が新国立劇場初出場ということですが、この人は声量もあり、声も美しいので、近い将来新国立で「フィガロの結婚」のスザンナを歌うチャンスがあるかも知れません

ところで、「ドン・ジョバン二」の演出で解釈の分かれる点が1つあります それはドン・ジョバンニはドンナ・アンナを襲って”目的を果たしたのか”という点です。今回のアサガロフの演出では明らかに”目的を果たした”という解釈をとっています。彼はどこにもそのようなことは書いていませんが、根拠は3つのシーンにあります

一つは、ドンナ・アンナが騒いだため、騎士長が出てきて決闘に至るまでのシーンです。レミージョ演じるドンナ・アンナが父親である騎士長を引き止めますが、その時彼女は、闘うことによって父親にもドン・ジョバンニ(正確に言えば、この時、彼女は自分を襲った相手がドン・ジョバンニだとは気が付いていない)にも死なないでほしいという表情を見せていたのです 私は「ドンナ・アンナは自分を襲った男(=ドン・ジョバンニ)を憎みながらも、心の底では愛しているのではないか」と思いました

二つ目は、ドン・ジョバンニが地獄へ落ちた後、ドン・オッタ―ヴォからあらためて求婚された時、ドンナ・アンナは1年間待ってほしいと答えたことです 婚約しているのだから伸ばす必要はないのではないかと思います。もっとも、これは演出上の問題ではありませんが

三つ目は、フィナーレの六重唱のシーンです ドンナ・アンナは騎士長の石像の所にあった黒い目隠しマスクを取り上げ、心を奪われたような表情を見せて最後まで手放さないのですが、そのマスクはドン・ジョバンニがドンナ・アンナを襲った時に付けていたものだったのです やっぱり、ドンナ・アンナはドン・ジョバンニが好きだったのではないか、と思います

昨夕はモーツアルトのオペラが生で聴けて「生きていて良かった」と思いました。この日の公演は奇しくも私が今年聴いた150回目の公演でした

 

          

 

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連城三紀彦著「夜よ鼠たちのために」を読む~なぜかローレンス・ブロックを想起

2014年10月16日 07時00分56秒 | 日記

16日(木)。わが家に来てから19日目を迎えたモコタロです 

 

          

            散歩してるだけだよ 上から目線で見ないで! 

 

 プロフィール欄の写真をトラ  から モコタロ  に替えました。今後ともご贔屓に

 

  閑話休題  

 

昨日、新潟市内で第67回新聞大会が開かれ、当社からも3名が参加しました(私は留守番)。 大会の席上、産経新聞前ソウル支局長が起訴されたことに対し次のような決議がなされました

「ソウル中央地方検察庁が産経新聞前ソウル支局長を名誉棄損で在宅起訴したことに対し、日本新聞協会は強く抗議する。報道の自由と表現の自由は、民主主義の根幹をなす原則であり、韓国を含む民主主義国家群は憲法で保障している。しかし、今回の起訴は、この原則に反して言論の自由を侵害し、人々の知る権利に応えるための取材活動を委縮させる行為であり、速やかな処分の撤回を求める」

日本の新聞界が一致してこのような抗議をするのは当然のことです もちろん、言論の自由を標榜するからには、朝日新聞は一連の誤報事件を真摯に反省し、他の新聞も朝日を「他山の石」としてこれからの報道に取り組んでほしいと思います それにしても、韓国にはもっと言論の自由があると思っていたのですが、とんでもない誤解だったようです。言論発展途上国と言われても仕方ありませんね

 

  閑話休題  

 

連城三紀彦著「夜よ鼠たちのために」(宝島社文庫)を読み終わりました 連城三紀彦は1948年、名古屋市生まれ。早稲田大学政経学部を卒業。81年に「戻り川心中」で第34回日本推理作家協会賞を、84年に「宵待草夜情」で第5回吉川英治文学新人賞を、「恋文」で第91回直木賞を受賞しました 2013年10月に逝去しています

この作品集はサスペンス・ミステリー9編を収録していますが、「このミステリーがすごい!2014年版」の「復刊希望!幻の名作ベストテン」の第1位に輝いた作品集です

 

          

 

収録されているのは9つの短編ー「二つの顔」「過去からの声」「化石の鍵」「奇妙な依頼」「夜よ鼠たちのために」「二重生活」「代役」「ベイ・シティに死す」「ひらかれた闇」です いずれも1981年から83年までの間に「週刊小説」などの雑誌に載った作品なので、35年も前の作品ということになりますが、まったく古さを感じません

サスペンス・ミステリーなので個々の作品の内容を紹介することは避けますが、なぜこの作品集が「復刊希望!幻の名作ベストテン」に選ばれたのか、実際に読んでみて納得しました 意外な真相が明らかになったかと思うと、次の瞬間にはそれをひっくり返すどんでん返しが待っている・・・・・・練りに練った構想のもと、読者の期待を裏切ることに執念を燃やす筆者の顔が思い浮かぶようです

私が連城三紀彦の作品を読んだのはこれが初めてですが、一連の短編を読んでみて、どこか乾いた感触が、なぜかローレンス・ブロックの小説に似ているな、と思いました

 

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HJリムのベートーヴェン「4大ピアノ・ソナタ」演奏会再び~これは事件だ!!

2014年10月15日 07時00分34秒 | 日記

15日(水)。わが家に来て18日目を迎えたモコタロです 

 

          

           旅ゆけば~とくらぁ 江戸っ子だってねぇ 草食いねぇ

           

  閑話休題  

 

11日(土)の朝日「あのとき それから」コーナーに昭和61年の「サントリーホール開館」が取り上げられていました この年の12月25日に長女が生まれたのでよく覚えています。記事には主な音楽ホールの開館年が年表で出ています。東京方面だけ抜粋してみると次の通りです

1890年 奏楽堂(上野) ※重要文化財。現在改修工事中。東京藝大校内にある奏楽堂とは別。

1929年 日比谷公会堂(日比谷)

1961年 東京文化会館(上野) ※現在改修工事中。

1973年 NHKホール(渋谷)

1986年 サントリーホール(赤坂)

1989年 オーチャードホール(渋谷)

1990年 東京芸術劇場(池袋)

1997年 新国立劇場(初台)

  〃   すみだトリフォニーホール(錦糸町)

2004年 ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎)

私は上記のすべてのホールでコンサートを聴きましたが、どの席で聴いても音響が好いのはサントリーホールかも知れません

 

  閑話休題  

 

11日(土)の東京交響楽団の定期演奏会の時に会場入口で配布されていた1キロもありそうなコンサート・チラシの中に、とんでもないチラシが混じっていました それがこれ ↓ です。

 

          

 

韓国のピアニストHJリムのピアノ・リサイタルです 公演は2回あり、11月22日(土)午後2時から第一生命ホールで開かれるのがベートーヴェンの4大ピアノ・ソナタ演奏会(「悲愴」「月光」「ヴァルトシュタイン」「熱情」)です

もう一つは12月12日(金)午後7時からヤマハホールで開かれるJ.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻(全24曲)」演奏会です 驚いたのは11月22日のコンサートが「発売中」となっていたことです(バッハの方は10月17日発売)。私はあちこちにアンテナを張っているつもりでしたが、この公演は網に掛かりませんでした 今回のチラシで初めて知りました。とてもショックです

昨年6月21日(金)に浜離宮朝日ホールで聴いたHJリムのベートーヴェン「ピアノ・ソナタ・リサイタル」(「悲愴」「葬送」「熱情」「第32番」)は、2013年に聴いた170回のコンサートの中でダントツの第1位でした これは、今回も何が何でも聴きに行かなければなりません さっそく手帳を見ると11月22日は、つい先日チケットを買ったばかりの藝大フィルハーモニア合唱定期演奏会(バッハ『クリスマス・オラトリオ』)の予定が入っていました 時間帯も午後3時からでほとんどカブっています。クルシミマスが、何の迷いもなく「クリスマス・オラトリオ」を捨てるしかありません もしHJリムのベートーヴェンを聴かなかったら一生後悔するでしょう

 

          

 

一方、12月12日はどうか、と手帳を見ると、フォーレ四重奏団のコンサートが入っていました 演奏曲目は①マーラー「ピアノ四重奏曲断章イ短調」、②R.シュトラウス「ピアノ四重奏曲ハ短調」、③ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番ト短調」です

正直なところ、これは相当迷いました しかし私は、フォーレ四重奏団の2011年12月8日(木)のコンサートを、その年に聴いた124回のコンサートの中でベスト5に選んでいます その時に、また来日する時には絶対に聴きに行こうと決心していたのです HJリムはもちろん聴きたいのですが、フォーレ四重奏団を諦めるわけにはいきません。涙を呑んでHJリムのバッハを諦めます さっそくHJリムのコンサートを企画しているART∞LINKSに会員登録してネットで11月22日のS席を予約して、セブンイレブンでチケットを入手しました

 

          

 

HJリムのコンサートのために諦めざるを得なくなった公演がもう一つあります 11月30日(日)午後2時から開かれる東京交響楽団の「東京オペラシティーシリーズ」公演です プログラムは①ショスタコーヴィチ「バレエ組曲”黄金時代”」、②アルチュ二アン「トランペット協奏曲変イ長調」、③チャイコフスキー「交響曲第1番ト短調”冬の日の幻想”」で、指揮は秋山和慶です

 

          

 

その代わりに選んだのが同じ日の午後2時からサントリーホールで開かれる東京都交響楽団の「プロムナード・コンサート」です プログラムは①スッペ「喜歌劇”美しきガラテア”序曲」、②チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番変ロ短調」、③ベートーヴェン「交響曲第8番ヘ長調」で、②の独奏はもちろんHJリム、指揮はブザンソン国際指揮者コンクール優勝者・垣内悠希です

 

          

 

それにしても、どうしてこう、聴きたいコンサートがダブってしまうんでしょうか なぜかその日だけ狙い撃ちするかのようにピンポイントでダブります 今回の”予定変更”による経済損失は2公演合計で7,900円。決して安くはありませんが、HJリムを聴くためのコストと割り切ることにします

 

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東京藝大ピアノ・シリーズ「ベートーヴェンのピアノ・ソナタ~傑作の森」を聴く

2014年10月14日 07時01分00秒 | 日記

14日(月・祝)。大型台風19号も去って東京は台風一家(台風一過とも言う)の青空が広がっています モコタロがわが家に来てから17日目を迎えました 

 

        

              話しかけても返事がない・・・・・いったい君は何ものだ?!

 

  閑話休題  

 

昨夕、自宅で私の誕生祝をささやかにやりました 娘がステーキを焼いてくれました

 

        

 

赤ワインを飲んで、ステーキを食べて満腹になったところで、一休みしてケーキにかかりました ケーキは巣鴨駅に入っている高野のフルーツケーキです。紅茶は賞味期限さえ気にしなければ味は最高でした

 

        

            

  閑話休題  

 

昨日、大型台風19号が接近する中、上野に出かけ、東京藝大奏楽堂で藝大ピアノ・シリーズ「ベートーヴェンのソナタ第3回『傑作の森』」を聴きました

 

          

 

全自由席のため開場時間より5分早く会場に着きましたが、すでに長蛇の列が出来ていました それでも1階13列24番、センターブロック右通路側席が押さえられました 会場は8~9割方埋まっている感じです。ステージ中央には黒光りしたスタインウェイが偉容を誇っています

この日のトップバッターは藝大教授・伊藤恵。ベートーヴェンの傑作「ピアノ・ソナタ第21番ハ長調『ヴァルトシュタイン』」を弾きます。黒の衣装に身を包まれた伊藤が登場、ピアノに向かいます

第1楽章冒頭の低音部の主和音が躍動します。これはベートーヴェンが1803年にエラール社から新しいピアノを贈られたことから、音域の広い表現が可能になった領域です 伊藤の演奏は力強く確信に満ちたもので、もしベートーヴェンが現代に生きていて、この会場でスタインウェイを弾く彼女の演奏を聴いたなら、「21世紀には女性がこんなに凄い演奏をするのか」と、ダイナミックな演奏にぶっ飛んだことでしょう。伊藤恵といえばシューマンとかショパンのイメージがありますが、ベートーヴェンもかなりイケます。迫力がありました

 

          

 

 

次いで2曲目「ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調」がヴァイオリン=松原勝也(藝大教授)、ピアノ=有森博(藝大准教授)のコンビで演奏されます。第1楽章で松原のヴァイオリンの艶のある音色を聴いて、ベルギーの巨匠アルチュール・グルミュオーを思い起こしました 実に美しい音です。モーツアルトの時代のヴァイオリン・ソナタが「ヴァイオリン伴奏付ピアノ・ソナタ」だったのに対し、ベートーヴェンのそれはヴァイオリンとピアノが対等の立場で演奏されます 有森博は一見、麦わら帽子を被せたら似合いそうな田舎のおっさんのようですが(有森さん、ゴメンナサイ)、ピアノから出てくる音は侮れません。実にメリハリのある素晴らしい演奏を展開します

3曲目は「ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調『告別』」を藝大非常勤講師の佐々木崇が演奏します この曲はベートーヴェンのパトロンであり弟子でもあったルドルフ大公との別れと再会を音楽にしたものです 第1楽章「告別」、第2楽章「不在」、第3楽章「再会」という副題はベートーヴェン自身が楽譜に書き込んだものです。佐々木は淡々とベートーヴェンの寂しさ、そして喜びを素直に表現します

 

          

 

休憩後の最初は「ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調」です。ヴァイオリンは紀尾井シンフォニエッタの主要メンバーで藝大准教授の玉井菜採、ピアノは藝大准教授の坂井千春です この曲は全体的に明るい色調の曲です。玉井の使用するストラディヴァリウスが会場に響き渡りますが、ピアノの主張がやや強いので、ヴァイオリンがもっと前に出た方が良かったかも知れません

さて、この公演のトリは藝大准教授の江口玲です 「ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調『熱情』」を演奏します。この人の演奏は安心感があります。いつ聴いても対峙する曲に自信を持ち、確信のもとに演奏します。堂々としていて揺るぎがありません

圧倒的な拍手 とブラボーの後、この日の出演者全員が再度登場し別れを告げます。私はこの日と翌週日曜の連続券を買っているので1回あたり2,500円と格安です。来週がまた楽しみです

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モーツアルトがいっぱい~映画「ミンヨン 倍音の法則」を観る:岩波ホール

2014年10月13日 08時03分08秒 | 日記

13日(月・祝)。皆さま、本日は国を挙げて私の誕生日を祝っていただきありがとうございます えっ、今日は体育の日で、お前の誕生日は関係ないって・・・・あっそう

 

  閑話休題  

 

わが家に来てから16日目を迎えたモコタロです 

 

          

            ぼくの後ろにあるのはご主人さまのCDの一部だよ  

 

  閑話休題  

 

昨日、神保町の岩波ホールで「ミンヨン 倍音の法則」を観ました 監督は「四季・ユートピアノ」(1980)や「川の流れはバイオリンの音」(1981)で詩情豊かな映像にモーツアルトの音楽を乗せて美しい世界を表現した佐々木昭一郎です

 

          

 

ミンヨンは『倍音の法則』(Harmonics Minyoung)という小説を書くソウルの大学生。亡き祖母の親友、佐々木すえ子の家族写真に魅入られ、すえ子への思いが募っていく ミンヨンは妹ユンヨンの後を追うように日本へ渡り、通訳や司会者として活躍する そこでストリート・チュルドレンのユー少年や、風鈴職人など色々な人々との出会いがある 彼女は夢の中で時代を超えて戦時中のすえ子の人生を生きる。現代社会の歪んだ社会の中で、ミンヨンは人々との交流を通じて音楽の喜びを噛みしめる

 

          

 

出演者は、これまでの佐々木監督の作品と同様、一般の人々です 主人公のミンヨンを演じるのは韓国在住のミンヨンで、日本語も英語も堪能な女性です ユンヨンは彼女の実際の妹です。プログラムに佐々木監督のメッセージが載っていますが、この映画は、ミンヨンとの出会いがなければ実現しなかったことが分かります ミンヨンに出会った瞬間、次回作の主人公はミンヨンで行こうと決めたと述べています ミンヨンとユンミンは、風鈴を作る職人、昔ハーモニカを作っていた職人、海の水から塩を作る職人、十字架を背負って長崎まで歩く牧師などと出逢いますが、台詞だけ聞いていると、いかにも素人の棒読みで中高生の学芸会のようなのですが、それぞれの顔の表情が魅力的で演技以上のものを感じます

映画の冒頭は、青空の下、明るい表情のミンヨンの顔が大写しされ、バックにモーツアルトの交響曲第41番ハ長調『ジュピター』K.551の冒頭部分が流れます 演奏は武藤英明指揮チェコ・フィルハーモニーです。そしてバッハの「目覚めよと呼ぶ声がするBWV645」がピアノで演奏されます

この映画でテーマ音楽のように使われているのは、『ジュピター・シンフォニー』のほか、モーツアルトの「ピアノ協奏曲第22番変ホ長調K.482」の第3楽章です。心弾むようなウキウキする曲です 私の愛聴盤は内田光子のピアノ、ジェフリー・テイト指揮イギリス室内管弦楽団による1986年録音のCDです

 

          

 

そして、もう1曲はミンヨンが「なぜモーツアルトは死ぬ間際にこんなに力強い曲が書けたんでしょうね」と言った「フリーメーソンのための小カンタータ『我らが喜びを高らかに告げ』K.623」です モーツアルトはフリーメースンのメンバーでしたが、フリーメースンのための音楽も何曲か書いています このK.623の曲はそのうち最大の曲で、死を2週間後にひかえた1791年11月18日に、ウィーンのロッジでモーツアルト自身の指揮によって演奏されたと言われています ケッヘル番号(モーツアルト作品番号)の最後はK.626の未完の「レクィエム」ですが、完成されたモーツアルトの最後の作品はこのK.623の「フリーメースンのための小カンタータ」なのです 映画で流れていたのはその冒頭の合唱で、こういう歌詞です↓

「高らかに我らが喜びを告げよ、音楽の楽しい響きを広めよ、兄弟一人一人の心よ、この壁のこだまを受け取れ・・・・・・」

実際に曲を聴けば分かりますが、生きようという意欲と推進力を感じさせる力強い曲想です まさか、その2週間後に息を引き取ることになろうとはモーツアルト自身も自覚がなかったでしょう 私の愛聴盤はイシュトヴァン・ケルテス指揮ロンドン交響楽団によるCDです

 

          

 

この映画ではモーツアルトの音楽だけでも、上記の「ジュピター・シンフォニーの第1楽章」「ピアノ協奏曲第22番の第3楽章」のほかに、「ディポールのメヌエットによる9つの変奏曲K.573」、「ピアノ・ソナタ第15番K.545」、「『ああ、お母さん聞いて』による12の変奏曲K.265」、オペラ「魔笛K.620」から「私は鳥刺し」、オペラ「ドン・ジョバンニK.527」から「手を取り合って」「酒の歌」、晩年の「アヴェ・ヴェルム・コルプスK.618」などが流れます

モーツアルト以外では、ベートーヴェン「『魔笛』の主題による変奏曲」が流れるほか、ミンヨンによって韓国民謡「アリラン」、アメリカ民謡「わらの中の七面鳥」「ジョージア・マーチ」、「アメージング・グレース」、日本の「椰子の実」「リンゴの歌」「みかんの花咲く丘」「星の流れに」などの歌が歌われます その歌の上手なこと ミンヨンは何を歌っても本当に上手です

 

          

 

岩波ホールではプログラムを700円で販売しています。大きな写真で誤魔化して内容のない大方のプログラムと違って、佐々木監督のメッセージはもちろんのこと、映画評論家・佐藤忠男氏の解説、この映画に出演したミンヨンとユンヨン姉妹の手記も寄せられています とくにミンヨンの「映画に出演して」には、小学生の時に父親の仕事の関係で日本に来て、友達や先生との触れ合いの中で日本に対する良いイメージが醸成されたこと、これから一人の市民として両国の関係改善に出きることを考えたい、と締め括られていて、とても良い印象をもちました 感性の鋭いこういう人が一人でも多く存在してほしいと思いました

この映画の上映時間は2時間20分。久しぶりに良い音楽映画を観ました

 

          

 

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ファジル・サイの交響曲第1番を聴く~東響オペラシティシリーズ第82回定期演奏会

2014年10月12日 07時25分45秒 | 日記

12日(日)。モコタロがわが家に来てから15日目を迎えました 

 

          

            小屋の周りに散歩に出たんですけど、なにか?

 

  閑話休題  

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団の東京オペラシティ-シリーズ第82回定期演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「歌劇”後宮からの誘拐”序曲K.384」、②同「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」、③ファジル・サイ「交響曲第1番”イスタンブール・シンフォニー”」(日本初演)で、指揮は飯森範親、②のピアノ独奏はトルコの鬼才ピアニスト、ファジル・サイです

 

          

 

なぜ、1曲目にモーツアルトの歌劇「後宮からの逃走」序曲が選ばれたか? それは2曲目がモーツアルトの曲で、3曲目がトルコ出身のファジル・サイが作った交響曲だから つまり、「後宮からの誘拐」はトルコの太守の後宮に捉われの身となっている貴族の娘コンスタンツェを救い出すべくスペインの貴族ベルモンテが活躍する歌劇だから。トルコがらみだからですね モーツアルトはこの時期、コンスタンツェ・ウェーバーとの結婚を控えて多忙だったと言われています。云わば許嫁のコンスタンツェをヒロインにして受け狙いを図った訳ですが、実を言うと、モーツアルトの本命はコンスタンツェではなく、その姉のアロイジア・ウェーバーだったのですね 姉にフラれたしまったモーツアルトは2番手の妹コンスタンツェにプロポーズをしたのです モーツアルトって本当に幸せだったのでしょうか

オケは左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、正面後方にコントラバスという対向配置をとります 古典派の序曲ということで人数的には小編成です。中央には2曲目を見据えてグランド・ピアノがスタンバイしています。コンマスのグレヴ・ニキティンの合図でチューニングが行われ、指揮者の登場を待ちます

飯森範親のタクトのもと軽快な序曲が始まります。トライアングルやシンバルが活躍する極めてトルコ情緒溢れる曲です

指揮者に伴われてソリストのファジル・サイが上下黒の衣装で登場します モーツアルトの「ピアノ協奏曲第21番K.467」は1785年3月に完成しました。この協奏曲は、すぐ前に完成した第20番K.466とよく比較されますが、K.466が短調でデモ―二シュな曲想であるのに対して、K.467は明るく希望に満ちた曲想です

飯森のタクトで第1楽章が開始され、サイのピアノが入ってきます。この曲はなぜか女性奏者で聴く機会が多いのですが、彼女たちの演奏が優雅なのに対し、サイの演奏は優雅とは対極にある力強く元気な演奏です サイはメロディーを口ずさみながら」演奏します。カデンツァは初めて聴く曲想ですが、サイ自身が作ったものでしょう。跳ねるような感じですが、見事な演奏です

第2楽章アンダンテは映画「短くも美しく燃え」で使われた名曲ですが、これぞロマンティシズムの極致といった曲想です サイは第1楽章で見せた力強さから、一転して男のロマンを語ります。そして間を置かずに第3楽章に入りますが、サイは再び力強い元気溌剌な演奏に戻ります。演奏姿を見ていると、モーツアルトを演奏するのが楽しくて仕方がないといった様子が窺えます

会場一杯の拍手 とブラボーに、この日のテーマに相応しいアンコール曲としてピアノ・ソナタ第11番から「トルコ行進曲」を演奏しました あまりの速さと打鍵の強さに圧倒されているうちに、あっという間に終わってしまいました。これでまた会場は興奮の坩堝です

 

          

 

20分の休憩の後はオケのメンバーが拡大し、フルオーケストラがステージ狭しと配置されます コントラバスは左サイドに移ります。指揮者に伴われて、トルコの民族楽器を演奏する3人のソリストが登場します。ブルジュ・カラダーは尺八のような楽器”ネイ”を吹く女性です セルカン・ハリリはチェンバロンのような鍵盤楽器”カーヌーン”を演奏する男性です そして、アイクト・キョセレルリはパーカッションを演奏する男性です

演奏するサイの「交響曲第1番”イスタンブール・シンフォニー”」は、作曲者自身の解説によると「イスタンブールという都市を描いたもの。この美しい都市の本質を捉えることを目指している」という曲です 全体的には「ネイとカーヌーンとパーカッションによる協奏交響曲」とでも言えるような7つの楽章から成る交響曲です

第1楽章「ノスタルジア」は、冒頭の波の音がイスタンブールへの旅に誘う役割を果たします 第2楽章「教団」はサイがリスペクトするストラヴィンスキーの影響があるように思います 反復とリズムが印象的です。第3楽章「ブルー・モスク」はネイが主役になって演奏を展開します 第4楽章「プリンス島行きのフェリーに乗った陽気に着飾った女性たち」はフルートが速いパッセージを奏でます

第5楽章「ハイダル・パシャ駅からアナトリア方面に向かう旅人たちについて」は列車の動きのような曲想が聴かれます 第6楽章「オリエンタル・ナイト」はカーヌーンが、まるで琴の音のように夜の音楽を奏でます そして第7楽章「フィナーレ」を迎えます。ネイもカーヌーンもパーカッションも、すべてが再度活躍し、最後は再び冒頭の波の音に戻り、静かに曲を閉じます

終演後の拍手大喝采とブラボーの嵐を聴きながら日本初演のこの曲について思ったのは、行き場を失った無調の”現代音楽”に対するアンチテーゼではないだろうか、ということです

 

          

          

コメント (2)
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