人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでヴェルディ「オテロ」を観る~このオペラの主役はイアーゴか?

2015年11月20日 07時31分52秒 | 日記

20日(金)。わが家に来てから419日目を迎え、新しい侵入者を警戒するモコタロです

 

          

           また おねーちゃんが変な物買ってきたよ あんた誰?

 

  閑話休題  

 

昨日、新宿ピカデリーで、METライブビューイング、ヴェルディ「オテロ」を観ました これは今年10月17日にニューヨーク・メトロポリタン歌劇場で上演された公演のライブ録画映像です キャストは、オテロにアレクサンドルス・アントネンコ(テノール)、デズデーモナにソニア・ヨンチェーヴァ(ソプラノ)、イアーゴにジェリコ・ルチッチ(バリトン)、カッシオにディミトリー・ピタス(テノール)ほか。指揮はヤニック・ネゼ=セガン、演出はバートレット・シャーによる新演出です

 

          

 

この物語の原作はシェイクスピアの悲劇「オセロ」で、ムーア人の勇猛な武将が邪悪な部下の罠にかかり、妻への疑念から自滅していく心理劇です このオペラでは3人の歌手がポイントになりますが、オテロを歌ったアントネンコは、目玉むき出しの迫真の演技で、次第に狂気に染まっていく武将を歌い上げました その妻デズデーモナを歌ったブルガリア出身のヨンチェーヴァが第1幕で歌い始めたとき、「あっ、マリア・カラスの声に似ている」と思わず心の中で叫んでしまいました 日本の女優で言えば菅野美穂に似た風貌で、死の予感を漂わせた「柳の歌」をはじめ美しいソプラノで歌い上げました

さて、「このオペラの主役はオテロではなくイアーゴではないか」と思わせたのがルチッチでした。オテロが自分ではなくカッシオを引き立てたことから、彼に嫉妬してオテロを恨み罠にかけようと企てた邪悪なイアーゴを、一つ一つの動きや歌の中で巧みに表現していました

この物語は”猜疑心”や”嫉妬”から自滅していく人間の弱さを描いていますが、この映画の2日前に新国立オペラで観たプッチーニ「トスカ」の第1幕でスカルピアが独白するシーンを思い出しました スカルピアが「イヤーゴは嫉妬する男心をかき乱すためにハンカチを使ったが、わしは扇でやる」と言って、トスカの恋人カヴァラドッシがアッタヴァンティ公爵夫人と浮気をしているのではないかと思わせるよう嫉妬心をあおるのです 

ここで、1858年生まれのプッチーニは1813年生まれのヴェルディのオペラのセリフを引用することによって、先輩作曲家に敬意を表しているのだと思います

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日の夕食は肉野菜炒めを作りました。料理本によると、1回に作るのは2人前までとなっていましたが、面倒なので4人前をいっぺんに作りました。それなりに苦労しましたが、味はまあまあで、子どもたちにも好評だったので安心しました

 

          

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京藝大&延世大音楽学部交流演奏会を聴く~ベートーヴェン「七重奏曲」ほか

2015年11月19日 07時02分32秒 | 日記

19日(木)わが家に来てから418日目を迎え、娘の部屋で靴をかじるところを現行犯で逮捕される直前のモコタロです

 

          

           まさか現行犯で逮捕とは・・・いったい どこで足がついたんだ

 

  閑話休題  

 

昨日、池袋の新文芸坐で高倉健主演映画「網走番外地」と「続・網走番外地」の2本立てを観ました 同じ1965年制作の映画ですが前者がモノクロで後者がカラーです

 

          

 

                       

 

新文芸坐が、高倉健一周忌を記念した特集を組まなければ一生観ることはなかったでしょう。とにかく、若き日の健さんはカッコいい 今回初めて知ったのは、高倉健という俳優が歌が非常にうまかったということです この映画の主題歌を歌っているのですが、素晴らしい歌声です。健さんの魅力を再発見した気分です

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日は、夜コンサートがあったので、例によって子供たちの夕食を作ってから出かけました メニューは、メカジキのソテー、海藻と野菜と生ハムのサラダ、インゲンのお浸し、具だくさん味噌汁です。あとで2人に聞いたら、メカジキのソテーが好評でした。何しろ醤油、味醂、日本酒に1時間くらい漬け込んでからフライパンで焼きましたから

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

昨夕午後7時から、東京藝大音楽学部第6ホールで「東京藝術大学&延世大学音楽学部交流演奏会~日韓国交正常化50周年を記念して」を聴きました これは文部科学省国立大学機能強化事業”国際共同プロジェクト”の一環として開かれたもので、17日(火)にメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」他が藝大奏楽堂で演奏され、2日目の昨夕は①モーツアルト「弦楽五重奏曲変ロ長調K174」、②ベートーヴェン「七重奏曲」、③シューベルト「ピアノ五重奏曲」が演奏されました

 

          

 

チラシによると「入場無料・限定200席・要入場整理券」とあり、「入場整理券は、当日18:00から音楽学部守衛所前にて配布予定」とあったので、5時20分ごろには現地に赴きました するとすでに2人が雨の中、守衛所前で並んでいました。当然私の整理番号は3番です。担当者によると、この番号は入場の順番ではなく、人数を把握するための番号とのことでした。要するに200番までの番号札を持っていれば早い者勝ちということです 時間があるので一旦、公園内のカフェ・レストランで夕食を取って、6時半ごろ奏楽堂近くの第6号ホールに行くと、すでに50~60人の聴衆が並んでいました

 

          

 

ホールは上下左右木造で、座席は固定椅子ではありません。私は左ブロックの前から5列目の右通路側を押さえました

1曲目はモーツアルト「弦楽五重奏曲第1番K174」です。同じ弦楽五重奏曲でも聴く機会がめったにない曲です 交流演奏会という意味でか、ヴァイオリン(韓)、ヴァイオリン(日)、ヴィオラ(韓)、ヴィオラ(日)、チェロ(韓)という並びで演奏します 第1ヴァイオリンのキム・ヒョナさんはメンバーの中ではベテランで、実質的に韓国側の代表的な立場のようです。モーツアルト17歳の時の珍しい作品を聴くことができて幸せでした

2曲目は大好きなベートーヴェンの「七重奏曲」です。左からヴァイオリン(日)、ヴィオラ(日)、チェロ(韓)、コントラバス(日)、ホルン(日)、ファゴット(日)、クラリネット(韓)という態勢を取ります この曲は第1ヴァイオリンの玉井菜採さんのリードで進められます。非常にいいアンサンブルでしたが、もうちょっと遊び心があっても良かったかな、と思うのは無いものねだりでしょうか

 

          

 

                       

 

休憩後のシューベルト「ピアノ五重奏曲”ます”」は日韓の音楽大学の教授クラスを中心とする演奏です ピアノ=迫昭嘉、ヴァイオリン=澤和樹、ヴィオラ=キム・イェジン、チェロ=ヤン・ソンウォン、コントラバス=大槻健というメンバーです。ソウル大で学び、カーティス音楽院で学士を修め、現在、延世大の修士課程在籍中というキム・イェジンが超美人です 迫昭嘉のピアノが終始雄弁に歌います チェロも朗々と歌い上げます さすがは一流のアーティストたちによる演奏です。見事なアンサンブルでした

こういう質の高いコンサートが無料で聴けるのですから、ありがたいものです

 

          

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新国立オペラでプッチーニ「トスカ」を観る~主役級が揃った公演にブラボーの嵐!

2015年11月18日 07時03分31秒 | 日記

18日(水)。わが家に来てから417日目を迎え、ご主人が観に行ったオペラのパンフレットを味見するモコタロです

 

          

          バレーボールでセッターが上げるやつね あれはトスか!?     

 

  閑話休題  

 

昨夕、初台の新国立劇場でプッチーニのオペラ「トスカ」を観ました キャストは、トスカ=マリア・ホセ・シーリ、カヴァラドッシ=ホルへ・デ・レオン、スカルピア=ロベルト・フロンターリ、アンジェロッティ=大沼徹、スポレッタ=松浦健ほか。指揮=エイヴィン・グルベルグ・イェンセン、演出=アントネッロ・マダウ=ディアツ、管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団、合唱=新国立劇場合唱団ほかです

 

          

 

 今回の公演はトスカ、カヴァラドッシ、スカルピアの主役級の3人が揃っていました トスカを歌ったマリア・ホセ・シーリは、歌ばかりでなく演技も迫真に迫るものがあり、トスカに成りきっていました カヴァラドッシを歌ったホルヘ・デ・レオンは安定したテノールで、会場の隅々まで美しく力強い声が響き渡りました ロベルト・フロンターリは悪役スカルピアを見事に演じ、歌いました

 

          

 

トスカについて言えば、新国立オペラではアントネッロ・マダウ=ディアツの演出によって2000年、2002年、2003年、2009年、2012年と今年2015年の6回上演していますが、2002年と2012年にヒロインを歌ったノルマ・ファンティー二の舞台を忘れることが出来ません 歌も演技も最高のトスカと言っても過言ではありません。とくに第3幕ラストの、トスカが城壁から身を投げるシーンでは、それまでの足から飛び降りていた演出ではなく、直立不動で真正面に倒れこんでいく演出にドキッとし、ノルマの演技に感激しました 今回、マリアは真後ろに倒れこんでいきました。残念ながら演出のアントネッロ・マダウ=ディアツは今年8月死去しました

私は第1幕のフィナーレで、人々が神への感謝を讃えるテ・デウムを歌う中、スカルピアが「行け、トスカ」を歌い上げるシーン(上のチラシの場面)が大好きですが、フロンターリは大合唱に負けない声で聴衆を圧倒しました

脇役陣も充実していましたが、今回の公演で特筆すべきなのはエイヴィン・グルベルグ・イェンセン指揮東京フィルハーモニーの演奏です オーケストラ自体が、歌手陣に負けない”歌心”で感動的な演奏を展開していました

 

                           

 

  閑話休題  

 

昨夜はオペラを観に出かけたので、事前に子供たちの夕食を用意しておきました 前日のクリームシチューが残っていたので、それに合った料理を、ということで「ソーセージときのこのドレッシング蒸し」をメインにして野菜と生ハムのサラダを作りました メイン料理を味見したら、ちょっと酸っぱい味がしました 酢がやや多かったかもしれません。またまた反省です

 

          

 

実は、かなり前から右手中指の付け根部分を打撲していて、痛いのを我慢してブログを書いてきたのですが、通っている整体の先生から「右手の指を使っていると、いつまで経っても治りませんよ」と宣告されてしまいました したがって、このブログは左手と右手人差し指で書いています。当分はこういう状態で書くことになるので、ブログに書く文章が従来より短くなります。あらかじめご了承ください

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「東京・春・音楽祭2016」のチケットを5枚買う/トリトンスクエア・ロビーコンサートの報告も

2015年11月17日 07時10分18秒 | 日記

17日(火)。昨日は、午前中から午後にかけて忙しい思いをしました まず内幸町のM銀行に行き、住民税と介護保険料の自動振替手続きをしてから郵便局で別の書類を郵送し、その足で晴海トリトンスクエアに行ってロビーコンサートを聴きました(下に書きます)。ということで、わが家に来てから416日目を迎え、娘が買ってきたガシャポンを気にするモコタロです

 

          

             中に何が入っているんだろうな? 気になるぜ

 

  閑話休題  

 

昨日、晴海のトリトンスクエアの2階グランドロビーでロビーコンサートを聴きました 晴海トリトンスクエアは地下鉄都営大江戸線「勝どき」で降りて徒歩5分程のところにあります。サラリーマンがグランドロビーを行き交う中、午後12時10分にコンサートが始まりました 私は早めに着いたので最前列のど真ん中の席を取りました これほど演奏者に近い席で聴いたのは初めてです。出演は早稲田桜子・真理の姉妹ですが、姉の真理さんのピアノ伴奏で妹の桜子さんがヴァイオリンを弾きました

 

          

 

桜子さんがマイクで曲を解説してから演奏するという形を取ったので、初めて聴く人にとっては分かりやすかったのではないか、と思います ヴァイオリンにもピアノにも小型マイクが付けられていましたが、これはロビーコンサートということで、生演奏の場合、天井が高すぎて音が拡散して遠くまで届かないので仕方のない措置でしょう

演奏曲目は①エルガー「愛のあいさつ」、②ドヴォルザーク「ユーモレスク」、③故郷の人々(聴衆にこの曲を歌わせて、ヴァイオリンはユーモレスクを演奏)、④クライスラー「中国の太鼓」、⑤滝廉太郎「荒城の月」、⑥久石譲「人生のメリーゴーランド~ハウルの動く城より」、⑦スコット・ジョプリン「イージー・リスナース」、⑧モンティ「チャールダーシュ」です 最後の「チャールダーシュ」では、桜子さんがヴァイオリンを弾きながらステージから降りてきて、目の前で演奏したのでドギマギしました。彼女は客席の間を縫うように歩きながら弾き最後にステージに戻ってフィナーレを弾き切り、大きな拍手を受けました。盛大な拍手にこたえ、最後にバッハの「G線上のアリア」を演奏しました

桜子さんのヴァイオリンは1781年製ということで、素晴らしい音が出ていました また、解説でドヴォルザークの「ユーモレスク」はクライスラーが発見してヴァイオリンとピアノのために編曲したということも知りました。この人はなかなかのエンターティナーで、座って聴いている人はもちろんのこと、ロビーを行き交う人々をも引き込むトークにも長けていて、とても感心しました 40分の短いロビーコンサートでしたが、十分楽しむことができました。こういう機会をきっかけに、トリトンスクエアの上方階にある第一生命ホールのコンサートに足を運ぶ人が多くなるといいな、と思いました

 

  も一度、閑話休題  

 

15日(日)に「東京・春・音楽祭2016」のチケットの一部がネットで先行発売されたので、さっそく5枚手配し、昨日セブンイレブンで代金引き換えでチケットを引き取ってきました すでに4月7日(木)のワーグナー「ジークフリート」公演と4月17日(日)のデュリュフレ「レクイエム」公演は手配済みなので、これで7公演を聴くことになります 今回購入したチケットは次の通りです

①東京春祭チェンバー・オーケストラ「室内楽特別コンサート~トップ奏者たちによる極上の室内楽」(3月20日、午後3時から、東京文化会館小ホール)=春祭ではお馴染みのメンバーによる華やかなコンサートで、今回はメンデルスゾーンの名曲「弦楽八重奏曲」が演奏されるので外せません

②ストラヴィンスキーの室内楽(3月30日、午後7時から、東京文化会館小ホール)=ストラヴィンスキーの珍しい室内楽の総集編のようなプログラムです

③ブラームスの室内楽(4月2日、午後2時から、上野学園石橋メモリアルホール)=ブラームスのチェロ・ソナタやクラリネット三重奏曲などが、川本嘉子(ヴィオラ)、向山佳絵子(チェロ)、ミヒャエル・ゲース(ピアノ)によって演奏されます

 

          

 

④若き名手たちによる室内楽の極(4月6日、午後7時から、東京文化会館小ホール)=ベートーヴェンとシューベルトの弦楽三重奏曲とブラームスのピアノ四重奏曲第2番が、読響の長原幸太(ヴァイオリン)、鈴木泰浩(ヴィオラ)ほかによって演奏されます

⑤荒木奏美オーボエリサイタル(4月12日、午後7時から、上野学園石橋メモリアルホール)=新たに東京交響楽団の首席オーボエ奏者に就任した荒木奏美によるリサイタルです ネット上で明らかにされたプログラムによると、東響の仲間も出演し、モーツアルト「オーボエ四重奏曲」、バッハ「フルート・ソナタ」他が演奏されます

 

                           

 

東京・春・音楽祭については、この後、3月24日(木)午後7時から国立科学博物館で開かれる「N響メンバーによる室内楽~ブラームス弦楽四重奏曲 全曲演奏1」のチケットを、先行発売のお知らせがあり次第手配する予定です

 

  最後の、閑話休題  

 

昨日の夕食はクリームシチューを作りました。私のシチューの特徴はジャガイモもニンジンも皮付きのまま煮込むことです。あとは野菜と生ハムのサラダを付けました

 

          

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

下野竜也+上野学園大学、山下一史+東京藝術大学の演奏会を聴く

2015年11月16日 07時18分14秒 | 日記

16日(月)。わが家に来てから415日目を迎え、耳の痒いのが我慢できないモコタロです

 

          

          本当は前足の方が耳に近いから前足を使いたいんだよね

 

  閑話休題  

 

昨日、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで第6回音楽大学オーケストラ・フェスティバル公演を聴きました この日の公演は上野学園大学と東京藝術大学です。自席は1階L列25番、右ブロック左通路側です。出演学生の家族、親類・縁者、友人・知人などを中心に会場は9割方埋まっている感じでしょうか

前半は下野竜也指揮上学園大学管弦楽団により①ストラヴィンスキー「管楽器のための交響曲」、②ぺルト「カントゥス~ベンジャミン・ブリテンの思い出に」、③ブリテン「シンフォニア・ダ・レクイエム」が演奏されました

下野は上野学園大学の教授であることから、このオケを振ることになったわけです。開演に当たり、お互いのエールの交換ということでファンファーレの演奏がありました。東京藝大の藤川君の作曲による「界、響 ファンファーレ」が2階正面のパイプオルガン(モダン面)の前で12人の学生によって演奏されました 神社の鳥居をイメージしたとのことで、厳かな曲想のファンファーレでした

管楽器だけのメンバーがステージに登場、スタンバイします。下野の指揮で1曲目のストラヴィンスキー「管楽器のためのシンフォニーズ」が演奏されます 23人のうち男子学生は3人のみです。相変わらず女性比率の高い大学オケです。この曲は「ドビュッシーを追悼して」という副題が付いていますが、この「シンフォニーズ」というのは「交響曲」ではなく「共に響く」という意味だということです 途中「春の祭典」の音楽のようなメロディーも顔を出し、管楽器同士の会話が交わされます

次のぺルト「カントゥス~ベンジャミン・ブリテンの思い出に」は、エストニアの作曲家アルヴォ・ぺルトが1977年に作曲した音楽です ぺルトは一時、一大ブームがありました。現代音楽の中でも聴きやすい曲想で、いわゆる”ヒーリング・ミュージック”に近い曲として捉えられていたように思います。私もCDを何枚か買いました 共通して言えるのは”静謐な”音楽です この曲も例外ではなく、冒頭、追悼の鐘に導かれて弦楽合奏が静謐なメロディーを奏でていきます

急にティンパ二が強打され、あれ?これぺルトの曲?と思って、プログラムを見ると、ごく小さな文字で「ぺルトとブリテンの両作品は続けて演奏いたします」と書かれていました つまり、その時すでにブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」の演奏に移っていたのです 何しろこの曲を聴くのは初めてだったので分かりませんでした。第1楽章「涙の日」、第2楽章「怒りの日」、第3楽章「永遠の安息を」から成りますが、第2楽章などは、まるでショスタコーヴィチのスケルツォを聴いているような錯覚に陥ります

この日のプログラムは、いかにも現代音楽を得意とする下野竜也が選曲したと思われる精力的なプログラムでしたが、上野学園大学の学生諸君は、よく下野の指揮についていきました。迫力十分の見事な演奏でした

 

          

 

後半は、最初に上野学園大学の三浦君の作曲によるファンファーレ「群青」が11人のブラス奏者によって演奏されました。華やかなファンファーレでした 次いで、山下一史指揮東京藝大シンフォニー・オーケストラによりリヒャルト・シュトラウス「交響詩”ツァラトゥストラはかく語りき”」が演奏されました

ステージの所定の位置に着く学生たちを見て感じたのは、昨年よりも男子学生の比率が高まったのではないか、ということです 昨年までは、大学を問わず圧倒的に女子学生が多かったのですが、今回の藝大は一目見て違いが分かるほど男子学生が目立ちました 音楽大学の現在は変わりつつあるのでしょうか

オケの態勢は、上野学園大学が、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、後ろにコントラバスという編成だったのに対し、東京藝大は第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、後ろにコントラバスという編成をとります。指揮者のスタンスの違いです。この曲ではパイプオルガン奏者もスタンバイします

指揮者の山下一史が登場し、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」の有名な冒頭の演奏に入ります 思い入れたっぷりと演奏させるのかと思っていたら、意外にさっぱりと演奏しました この曲は、ヴァイオリン主席とヴィオラ主席の独奏部分が何カ所かありますが、なかなか聴かせてくれました 管楽器は良く鳴り、弦楽器は美しく響きました

調べたところ、山下+藝大オケは前日の14日(土)に東京藝大奏楽堂で同じ曲を演奏しています つまり、昨日の演奏は2日連続公演の第2日目という位置づけにあったわけです。会場こそ違いますが、結果的に、前日の演奏が最終チェックのゲネプロ代わりになったと言っても過言ではないでしょう

 

          

 

学生オケを聴いていつも思うのは、今は良いけれど、卒業したらどうするのだろうか、ということです 音楽や美術で身を立てるのがいかに難しいことか、学生たちはもとより、ご両親が一番よく分かっていらっしゃるのではないか、と思います お金がかかりますね。大変ですね。同情します

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アニハーノフ+東京ニューシティ管弦楽団でブラームス「交響曲第2番」他を聴く

2015年11月15日 08時24分37秒 | 日記

15日(日)。昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング「オテロ」の座席指定を取ってきました。19日(木)午前10時からの部です。いつもは会場の左サイド後方の席を取っているのですが、今回は右サイドの後方を押さえました。ということで、わが家に来てから414日目を迎え、久しぶりに赤い大きな手に乗るモコタロです

 

          

            あっ こんなところに赤い手が 何かの手違いか???

 

  閑話休題  

 

「パリで6カ所襲撃」のニュースは衝撃的です ISがターゲットにした襲撃場所の一つがコンサートホール(ルバタクラン)だったからです。日本は大丈夫か?と心配になります 今日午後、池袋の東京芸術劇場にコンサートを聴きに行くけれど大丈夫だろうか?用心に越したことはないけれど、どう用心すればよいのか

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、池袋の東京芸術劇場大ホールで東京ニューシティ管弦楽団の第102回定期演奏会を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「歌劇”フィデリオ”序曲」、②シューマン「チェロ協奏曲イ短調」、③ブラームス「交響曲第2番ニ長調」で、②のチェロ独奏は上野通明、指揮は同楽団の客員指揮者アンドレイ・アニハーノフです

 

          

 

今回、アニハーノフを初めて聴くので、いったいどんな指揮をするのか、楽しみにしていました このオケの定期会員になった理由の一つがそれでした

ステージに現れたアニハーノフはかなりの巨体で、貫禄があります。彼のタクトで1曲目のベートーヴェン「歌劇”フィデリオ”序曲」が開始されます ベートーヴェンは唯一の歌劇「フィデリオ」のために4曲の序曲を作りました。レオノーレ序曲第1番~3番とフィデリオ序曲です。「フィデリオ序曲」は最後に作曲されました

アニハーノフは若干遅めのテンポで重々しく音楽を進めます。そのせいか、現代的な速めのテンポから比べると元気がないように思えてきます ただ、フィナーレに向かってはさすがにオケをドライブし元気はつらつで終わります

指揮台の左にチェロの演奏台が設置されます。2曲目のシューマン「チェロ協奏曲イ短調」を演奏するため、ソリストの上野通明がアニハーノフとともに登場します この青年はパラグアイに生まれてスペインのバルセロナで過ごし、2004年に帰国したという珍しい経歴の持ち主で、内外のコンクールで入賞している若手の実力者です

アニハーノフはこの曲に限ってタクトを持たず、両手で指揮をします。私はこの曲を聴くのは初めてです。第1楽章が始まり、チェロが入ってきますが、”ロマンティック”(ロマン的という意味)という表現が最も相応しい曲想で、上野のチェロが朗々とメロディーを歌います それは続けて演奏される第2楽章も第3楽章でも同様です。とても好感の持てる演奏で、こういう演奏で聴くと、なぜシューマンのチェロ協奏曲はもっと弾かれないのか、と疑問に思ってきます

上野はアンコールにバッハの「無伴奏チェロ組曲第2番」から「サラバンド」を、これも朗々と弾きました

休憩後はブラームスの交響曲第2番ニ長調です。ブラームスは交響曲第1番を21年かけて書き上げましたが、この第2番はわずか3か月で書き終わりました 第1番を書き上げたことで、ベートーヴェンの9つの交響曲からの呪縛から逃れ、リラックスして書くことができたのでしょう 4つの楽章から成りますが、ニ長調という調性からも分かるように全体的に明るい曲です

第1楽章のリラックスしたブラームスを聴いた後、第2楽章のアダージョを聴くと、一転して、暗い北ドイツの空のように重々しい空気に接したような気分になります しかし、第3楽章に入ると、再びのんびりとした明るい音楽が展開します 冬の世界に急に春の兆しが現れたような感じがします ここで、ハタと思いつきました。第2楽章の暗さは第3楽章の明るさを際立たせるために作られたのではないか、と そして、第4楽章でその明るさがさらに解放され、自然賛歌、あるいは人間賛歌とでも言えるような喜びに満ちたフィナーレに突入します

さて、演奏について言えば、このオケはオーボエ、フルート、クラリネットが素晴らしい演奏をします

 

          

 

初めてアニハーノフを聴いた印象は、事前に得ていた情報から描いていた指揮者像よりもかなり大人しい感じがしました もちろん、派手な指揮が良いというわけではありませんが、かなりオーソドックスな指揮ではないか、と思います 一方、東京ニューシティ管弦楽団について言えば、他に名の知れた在京オケが少なからず存在する中で、どのように差別化して生き延びていくのだろうという心配があります 同楽団のキャッチフレーズ「いつもなにかあたらしい」にあるように、同じ曲でも、従来と異なる”版”によって演奏するなど、工夫を凝らしてプログラミングを組んでいることは、クラシック音楽界の中でも大きく評価されていると思います また、チケット代も他のオケに比べて安価です。しかし、それだけでは、聴衆はついてきません。演奏技術の向上をはじめ、プラス・アルファが求められているのではないか、と思います

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

コンサートから帰って、昨夜作った料理は「鶏肉とキャベツのくたくた煮」「モヤシとピーマンの塩炒め」「野菜サラダ」「しめじの味噌汁」です

 

          

 

「鶏肉とキャベツのくたくた煮」は子供たちから概ね好評でしたが、「モヤシとピーマンの塩炒め」は娘から「しょっぱい」という辛口の評価が下されました モヤシを炒め過ぎたという点も含めて反省材料です。次は失敗をしないように気を付けようと思います

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シュトイデ+新日本フィルでモーツアルト「ヴァイオリン協奏曲第3番」他を聴く~新クラシックへの扉

2015年11月14日 07時56分15秒 | 日記

14日(土)。わが家に来てから413日目を迎え、空き箱の下にもぐって避難訓練をするモコタロです

 

          

            リメンバー3.11 地震が来たら逃げる自信がないよ

 

  閑話休題  

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルの「新クラシックへの扉」シリーズ公演を聴きました プログラムは①モーツアルト「歌劇”フィガロの結婚”序曲」、②同「ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216」、③シューベルト「交響曲第7番ロ短調”未完成”」です。演奏は指揮と②のヴァイオリン独奏はウィーン・フィルのコンマス、フォルクハルト・シュトイデです

 

          

 

自席は1階19列16番、センターブロック左から4つ目です。会場は金曜の昼間にも関わらず文字通り満席です これはこのシリーズ特有の低料金設定に要因があると思われます 金・土の同一プログラムによる公演ですが、金曜が一般S席4,100円、A席1,500円に対して、土曜は一般S席4,600円、A席2,000円となっており、断然金曜日の方が格安になっているのです さらに墨田区在住・勤の人は金曜が一般S席3,000円、A席1,200円、土曜は一般S席3,600円、A席1,600円と地元密着の料金設定になっています ご年配の方が圧倒的に多いというのも頷けます

オケのメンバーが登場しますが、シュトイデ氏も他の楽員と一緒に登場したので聴衆は拍手をするタイミングを失いました シュトイデ氏がコンマスの席に座り、指揮者も兼任します。楽員を見渡すと、前日の小ホールでの室内楽シリーズ公演に出演したヴァイオリンの篠原秀和氏、松宮麻貴子さん、ヴィオラの木村恵子さんもスタンバイしています ということは、打ち上げは適当な時間に引き上げたのでしょうか?そんなことはないと思いますが

そう言えば、昨日のブログで「いつもよりも空席が目立ったのは、大ホールでのシュトイデ氏の弾き振りによる”新クラシックへの扉シリーズ公演”に客が流れたのではないか」という趣旨のことを書きましたが、これは間違いで、「大ホールでのシュトイデ氏のヴァイオリン・リサイタルに楽員が流れた」というのが真相のようです 訂正いたします

さて、チューニングが終わり、シュトイデ氏の合図で1曲目のモーツアルト「歌劇”フィガロの結婚”序曲」が演奏されます まさにモーツアルトのテンポで軽快に音楽が進みます。とくにこの序曲はテンポが命です まさにオペラの幕が開くときのワクワク感が湧き出てくる演奏でした 演奏が終わるとシュトイデ氏の合図で全員が客席に向かって一礼します。これは毎年サントリーホールで開いている「トヨタ・マスタープレイヤーズ・ウィーン」のコンマスとして演奏する時のスタイルです。会場の聴衆に大うけです

シュトイデ氏は一旦舞台袖に引っ込んで、再度ヴァイオリンを手に登場します。コンマス席には西江王子がスタンバイします モーツアルトの「ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調」の第1楽章が、シュトイデ氏の合図で始まります。彼は冒頭部分を手で合図しただけで、その後は客席の方を向いてソリストとして演奏することに徹します 第2楽章も第3楽章も同様です。「ヴァイオリンの弾き振り」というと、オケの方を向いてヴァイオリンの弓をタクト代わりに振るソリストが多いようですが、彼はそういうことはしません。一旦客席に対峙したら、西江コンマスに「後のことは任せるからよろしくね」という感じでオケの方を振り返りません それにしても、美しい音でよく歌うヴァイオリンです オーストリア国立銀行から貸与されている1718年製のストラディヴァリウスだそうです 第1楽章をはじめとするカデンツァはあまりにも見事で思わず聴きほれてしまいました。彼のヴァイオリンは柔らかく、包み込むような優しさがあります。人柄が演奏に現れるのでしょう

演奏が終わると、また、シュトイデ氏の合図で全員が客席に向かって一礼します。これがシュトイデ・スタイルのようです

 

          

 

休憩後はシューベルトの「未完成交響曲」です。もちろんこの曲も指揮者なしで、コンマス席に座ったシュトイデ氏が楽員に合図を送りながら演奏します シュトイデ氏の右手の合図で第1楽章が始まります。彼は自ら演奏しながら、最小限の指示しかオケに出しません。たとえば、チェロに対して「もっと音を抑えて」という意味で、右手を下に向けるなどの動きくらいです あとは、楽員の自主性に任せて自然に音楽を作っていくような演奏スタイルで進めます 楽員は指揮台に指揮者がいないので、伸び伸びと演奏しているように思われます。前日のプレ・トークで篠原氏が言っておられたように「指揮者がいないといかにやりやすいか、指揮者がいかに邪魔か、シュトイデ氏の弾き振りで演奏するとよく分かる」というのが楽員の共通の認識のようです

素晴らしい「未完成交響曲」でした。図らずも、新日本フィルは指揮者なしでもシューベルトの交響曲が演奏できることを証明したことになります。新日本フィルに指揮者はいらない、か しかし、それは演奏曲目が古典派あるいはロマン派の初期の音楽だから可能なのであって、これがマーラーやブルックナーになったら、交通整理役の指揮者がいなければ演奏は壊滅状態になるでしょう

会場いっぱいの拍手に、シュトイデ+新日本フィルは、アンコールとしてモーツアルトが一晩で書き上げたと言われる歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲をデモーニッシュに演奏し、コンサートを締めくくりました とてもいいコンサートでした

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日の夕食はステーキにしました コンサート帰りに寄った錦糸町のスーパーで国産牛肉が比較的安く売っていたので150グラム程度の肉を家族分買いました ブロッコリとアスパラも買って帰り、さっそく夕食の準備にかかりました。メニューはステーキ、野菜サラダ、コンソメ・スープです

せっかく作ったのに、娘が帰るのが9時半ごろになるというメールが入ったので、先に食べることにしました 息子はどうせ深夜の帰宅なので対象外です。結局、一人ひとり別々に夕食を取ることになりました 家族そろって夕食を取れるのは日曜日くらいなものです。まあ、仕方がないと言えば仕方ないのですが、自分が用意した食事を一人で食べるのは味気ないものです

 

          

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新日本フィル室内楽シリーズでショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲」他を聴く

2015年11月13日 07時21分36秒 | 日記

13日(金)。わが家に来てから412日目を迎え、体重計に前足をのせてリラックスするモコタロです

 

          

              どうだい 充実した人生を送ってるかい?

 

  閑話休題  

昨夕は、娘が帰りが遅くなるというし、私はコンサートがあるので、毎日真夜中に帰ってくる息子のために夕食を作ってから出かけました メニューは、焼き肉、きゅうりのポン酢炒め、小松菜のお浸し、野菜とワカメのサラダ、トン汁です。この時はまだご飯は炊きあがっていません

 

          

 

ところで料理本の「きゅうりのポン酢炒め」のレシピに「ポン酢しょうゆ大さじ1.5」と書いてあったのですが、果たして”ポン酢しょうゆ”という商品が存在するのかどうか寡聞にして知らないので、ポン酢としょうゆをそれぞれ1.5ずつ入れて炒めました。どうやらこれは失敗だったようです よく考えれば、ポン酢としょうゆを合わせて大さじ1.5ですから、それぞれ0.75ずつで良いはず。アフター・フェスティバル(後の祭り)です ちょっと味見したらしょっぱかったです 「空腹は最高のごちそう」とか言われています。いつも通り息子が空腹のまま家に帰ることを祈りつつコンサートに出かけました

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、すみだトリフォニーホール(小)で新日本フィルの「室内楽シリーズⅦ~楽団員プロデューサー編~ロシア音楽の夕べ」を聴きました 今回のプロデューサーは第2ヴァイオリンの篠原秀和氏で、プログラムは①ストラヴィンスキー「弦楽四重奏のための3つの小品」、②ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第7番ヘ短調」、③同「ピアノ五重奏曲ト短調」です 演奏は、ヴァイオリン=篠原秀和、松宮麻希子、ヴィオラ=木村恵子、チェロ=多田麗王、ピアノ=出久根美由樹です

 

          

 

いつものように、本公演に先立って「プレ・トーク」がありました この日の主役である篠原秀和氏自らが登場し、ロシア室内楽との出会い、ショスタコーヴィチとロストロポーヴィチとの関係、ロストロ氏が新日本フィルと共演したときのエピソードなどを、いつものように原稿なしで立て板に水のように流ちょうに話をされました しかも話し終わったのはちょうど15分後です こうなると”トークのプロ”、”話術の天才”と言わざるを得ません 氏の話によると、ショスタコーヴィチは弦楽四重奏曲を15曲作っていますが、ロストロポーヴィチに「(バッハの平均律クラヴィーア曲集のように)弦楽四重奏曲を24曲作るつもりだ」と語ったとのことです

気になったのは空席が目立ったことです。が、これはすぐに原因が思い当たりました。この日の同じ時間帯に大ホールで新日本フィルの「新クラシックへの扉」公演が開かれているので、そちらへ客が流れているのです しかも、この日はウィーン・フィルのコンマス、シュトイデが指揮ぶりしてモーツアルトのヴァイオリン協奏曲を演奏するのでなおさらです

4人の奏者が登場、さっそく1曲目のストラヴィンスキー「弦楽四重奏のための3つの小品」の演奏に入ります この曲は、1976年に新生ボロディン弦楽四重奏団の来日公演で篠原氏が初めて聴いた曲だそうです。第2楽章は「エキセントリック」というタイトルがついていますが、どちらかというと、3つともエキセントリックな音楽に聴こえました

2曲目はショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第7番」です。この曲は1960年に完成された15分程度の短い曲です 3つの楽章から成りますが続けて演奏されます。ショスタコーヴィチの曲はなぜか不安を感じさせます

 

          

 

休憩後はショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲ト短調」です。ピアノの出久根美由樹を含め5人が登場します 第1楽章「プレリュード」の冒頭、出久根美由樹のピアノがガツンと強打されます。この曲の冒頭はこうでなければなりません 「プレリュード」に相応しい演奏です。それに続いて抒情的な旋律が奏でられますが、これもいいです 篠原氏の第1ヴァイオリンをリード役に、第2ヴァイオリンの松宮さん、ヴィオラの木村さん、チェロの多田氏が呼応します。第2楽章「フーガ」を経て、第3楽章「スケルツォ」に入ります。暗いショスタコーヴィチの曲の中で、ひと際明るく元気な曲で、大好きです

ここで一旦チューニングが入り、第4楽章「インテルメッツォ」に移ります。冒頭、多田氏のチェロのピチカートにのって篠原氏のヴァイオリンが演奏されますが、これは美しいですね そして最後の第5楽章「フィナーレ」に入ります。最後が最高潮で終わるのでなく、そっと終わるところがこの曲の良いところです

会場いっぱいの拍手に、篠原氏が「本日演奏したショスタコーヴィチと同じロシアの作曲家ボロディンもピアノ五重奏曲を作曲しています 今日はボロディンの誕生日に当たります。その曲から『スケルツォ』をアンコールに演奏します」と言って演奏に入りました ボロディンと言えば「ノクターン」が有名ですが、「スケルツォ」を聴いているとボロディンらしさが感じられました。素晴らしい演奏でした

終演後、ロビーで「ワンコイン・パーティー」が開かれたので参加しました。ここでも篠原氏が「ワイン・マスター」としてトークを担当します 「プレ・トーク」から、本番の第1ヴァイオリン、そして「ワイン・マスター」と一人三役で大忙しです

 

          

 

ステージ衣装からカジュアルに着替える暇もなく、ロストロポーヴィチの思い出をこれまた立て板に水のごとく話をされ、多くの参加者を魅了します そして、第2ヴァイオリンを担当した松宮さんとチェロを担当した多田さんにインタビューして、会場に来ているファンと話を始めました 私も一言ご挨拶を、と思ってチャンスを狙っていたのですが、ご本人は「ブタオ」と自称されていますが、それはご謙遜で、なかなかの「モテオ」で人気があります 特に女性が話しかけると離してくれません。ワインを飲みながらしばし様子をみましたが、女性グループにつかまってなかなか開放されそうもないので、途中であきらめて帰ってきました

ということで、篠原氏へのご挨拶とお話は次回に取っておくことにします

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高倉健主演映画「八甲田山」を観る~先達はあらまほしきことなり

2015年11月12日 23時40分26秒 | 日記

12日(木)その2.よい子はその1から見てね

今日午後1時から池袋の新文芸坐で高倉健主演映画「八甲田山」を観ました 1977年制作の171分にわたる超大作です

 

          

 

この映画は、新田次郎の原作「八甲田山死の彷徨」をもとに、日露戦争前夜、対ロシアの訓練のため、大部隊で冬の八甲田山の自然を克服しようとする神田大尉(北大路欣也)率いる部隊と、少数精鋭により案内人を付けて自然に逆らわず八甲田山を踏破しようとする徳島大尉(高倉健)率いる部隊との、生死を分けた自然との闘いを描いた作品です

神田大尉は、少数精鋭により案内を付けて行軍しようと計画するが、上司である山田少佐の命令により磁石と地図だけを頼りに目的地を目指す 山田少佐は行軍の局面で方針を転換し部隊を混乱に貶めるが、神田大尉はそれに逆らえず命令に従うことになる 結果として、多くの部下を凍死させることになり、極寒の中、舌を切って自害する。一方、少数精鋭の徳島隊は全員が無事に帰営する

遺体安置書で神田大尉の遺体を前に、彼の妻(栗原小巻)が「神田は、八甲田山で徳島大尉とお会いできることだけを楽しみにしておりました」と言うと、徳島は思わず泣き崩れます。このシーンは涙無くして見られません

この映画は3年かけて撮影されたとのことで、極寒の中でのロケは厳しく、エキストラが脱走するに至ったといわれています 事実に基づくこの映画を観て思うのは、現代の社会に置き換えてみれば、上司と部下との間に板挟みになって悩む中間管理職(神田大尉)の悲哀が描かれていると同時に、未知の世界への挑戦にはその道のプロ=案内人が必要だということです

ここで思い出すのは、吉田兼好の「徒然草」第52段の「石清水詣で」です。「仁和寺のある法師・・・」で始まる教訓です

「仁和寺のお坊さんが石清水八幡宮を見たことがなかったので、ひとりでお参りに行き、極楽寺や高良社などを拝んで帰ってきた。周りの人に『お参りに来た人がみな山へ登って行ったのだが、私は寺にお参りしたので、そこまではしなかった』と言っていた。こんなことだから案内役(指導者)は必要なことだ」

つまり、石清水八幡宮はお坊さんが登らなかった男山の山頂にあるのですが、彼は山の麓の極楽寺や高良社が石清水八幡宮だと思い込んでいたわけです 兼好法師はこの段を「すこしのことにも先達(せんだつ)はあらまほしきことなり」と結んでいます 八甲田山の雪中行軍でも、徳島隊のように、神田隊に「先達」がいれば生存者はもっと多かったことでしょう

 

          

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高倉健主演「冬の華」を観る~名曲喫茶でチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」が

2015年11月12日 07時24分50秒 | 日記

12日(木)その1.わが家に来てから411日目を迎え、いただきもののゴーフルの缶を強引に口で開けようとするモコタロです

 

          

          缶じゃ 歯が立たないよ 簡単だと思ったら缶違いだった

 

  閑話休題  

 

昨夕、Mさん、Kさん、Yさんの美女3人と新橋の老舗中華料理S亭で会食しました 退職後初めての最下位、もとい、再会を祝して、私は生ビール、女性陣は梅酒で乾杯して、料理をアラカルトで取っていただきました

 

          

 

                           

 

寒かったので、私は途中から紹興酒に変えましたが、これがすごく美味しかったです

 

          

 

焼きそばは新鮮な食材を使っていてボリュームたっぷりで、すごく美味しかったです

 

                           

 

五目チャーハンも最高です

 

                           

 

スープは磯の香のするコクがあるのにキレがある(?)味でした

 

 

          

 

デザートに杏仁豆腐を頼みました。ここの杏仁豆腐は天下一品です

 

          

 

1時間半近くS亭で過ごし、その後、新橋駅近くのカラオケBに行き、4人でそれぞれの持ち歌を歌いまくりました 女性3人は、それぞれの個性が歌に現れていて興味深く聴かせていただきました 「それぞれの個性」とは具体的にどういうことを意味しているのか、といった個人に立ち入った事実関係については個人情報保護法及び国家機密保護法の精神に則り明らかに出来ません 一方、女性陣の過半数は私の歌をスルーして、次の歌の選曲にいそしんでいました。この行為は違法性を問われません。いいじゃないの、幸せならば

会社を卒業しても、美女3人に囲まれて食事をしたり歌を歌ったり出来ることは幸せなことです 12月には4人で焼き肉を食べに行こうと約束をして10時近くに解散しましたが、また次があるというのも幸せなことです Mさん、Kさん、Yさん、楽しい時間をありがとうございました

 

  も一度、閑話休題  

 

「2016都民芸術フェスティバル」のチケットを買い増ししました 先日、オーケストラ・シリーズを4枚と室内楽シリーズを2枚手配したのですが、今回は3月23日(水)午後7時からの東京シティ・フィルのコンサートを手配しました 当初、別のコンサートに行く予定でしたが、プログラムを比べてこちらの方がコスト・パフォーマンスが高いと判断し、予定を変更しました プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」、②ブルックナー「交響曲第4番変ホ長調”ロマンティック”」で、①のピアノ独奏は山元香那子、指揮は高関健です

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

一昨日、池袋の新文芸坐で高倉健主演映画「鉄道員」と「冬の華」の2本立てを観ました 昨日、「鉄道員」について書いたので、今日は「冬の華」について書きます

「関東の東竜会幹部の加納秀次は、会長の坂田良吉を裏切って関西の暴力団に寝返った松岡を殺害し、旭川刑務所に服役した 松岡には3歳になる洋子という娘がいた。服役中、加納はブラジルにいる伯父と偽り、洋子と文通を続けた。ある日、洋子がいつも加納あてに手紙を書いているという名曲喫茶「コンチェルト」で洋子と出会うが、自分の身分を明かすことをせずに別れる ある日、会長の坂田が関西連合の一味に殺され、坂田の息子・道郎は復讐を誓う。加納は堅気の道郎を抗争に巻き込まないように、復讐に出ようとする道郎を引き留め、関西連合に寝返りを打った山辺を殺害する その直前、加納は洋子に電話をして「当分、日本へは帰れない」と伝える。結局、加納は、組を裏切った男を殺害するという15年前と同じ状況に追い込まれることになる

 

          

 

この映画でも、高倉健の”物静かな不気味さ”のような魅力が感じられます この映画は1978年当時の横浜が舞台になっているので、マリンタワーがシンボルマークのように映し出されます 小学校の修学旅行で行ったことを懐かしく思い出しました

この映画で意外なことを発見しました。それは高倉健主演の映画でチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」が使われていたことです 加納(高倉健)が、洋子がよく通っている名曲喫茶「コンチェルト」に行って、リクエストをするシーンです。店内には洋子が好きだというチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」の第1楽章が流れています 係りの女性が加納に「何かリクエストはありますか?」と訊きます。すると、加納はリクエスト・ボードに書かれた「チャイコフスキー『ピアノ協奏曲第1番』」を指して「あれをお願いします」と言います。すると、係りの女性は「いま流れている曲がそうですが・・・・」と言って去ります。後にはバツが悪そうな顔をした加納の姿が残されます

加納が車の中から洋子(池上季実子)を盗み見るシーンがありますが、その時の洋子はヴァイオリン・ケースを抱えていました ヴァイオリンを習う女子高校生がヴァイオリン・コンチェルトではなくてピアノ・コンチェルトが好きだという、そこにちょっと引っかかりを感じました しかし、クラシック好きならヴァイオリン曲もピアノ曲も好きだというのは不思議でも何でもありません

この選曲の理由は、むしろ、チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」第1楽章の冒頭部分が、加納に課せられた運命を象徴するかのように宿命的に響くからでないかと思います

 

          

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする