人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

パーヴォ・ヤルヴィ+樫本大進+市原愛+甲斐栄次郎+N響でサン・サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」、フォーレ「レクイエム」他を聴く~N響2月Cプロ / コパチンスカヤ(Vn)他のCDを買う

2018年02月18日 07時56分26秒 | 日記

18日(日)。わが家に来てから今日で1236日目を迎え、平昌冬季五輪のフィギュアスケート男子のフリーが17日に行われ 羽生結弦(はにゅう ゆずる)が金メダルを獲得、一方 中学生棋士の藤井聡太五段が17日に行われた第11回朝日杯将棋オープン戦の本戦準決勝で、羽生善治(はぶ よしはる)竜王を公式戦初対戦で破る快挙を果たした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

 同じ羽生でも羽生結弦は金を取って王となり、羽生善治は金を取られて竜王の名に傷を負ったか

 

        

 

16日の金曜日、錦糸町のトリフォニーホールから渋谷のNHKホールに移動する間、時間があったので 久しぶりに渋谷のタワーレコードに行きました  CDショップに行ってCDを買わないわけがないことを知りながら行ってしまうのは私の悪いクセです いったいどこに置くのか

というわけで、CDを4枚買いました 1枚目はバッハ・コレギウム・ジャパンによるJ.S.バッハの世俗カンタータ「急げ、渦巻く風ども  BWV201」と「響け、晴れやかなラッパよ BWV207a」のカップリングによるCD(BIS)です BWV201は私のバッハ・コレギウム・ジャパン入門曲ですが、バッハが作曲したオペラのような楽しい曲で 長い間 発売を待ち望んでいたCDです

 

     

 

2枚目はクロエ・ハンスリップのヴァイオリンによるゴダール「ヴァイオリン協奏曲第2番」他のCD(NAXOS)です  ゴダールって誰よ?と思いましたが、「ジョスランの子守歌」の作曲者だそうです   このCDはヴァイオリン協奏曲第2番の冒頭部分を試聴して買いました。衝撃的な曲です。全曲聴くのが楽しみです

 

     

 

次の2枚はいずれもヴァイオリニスト、パトリシア・コパチンスカヤによるヴァイオリン協奏曲のCDです いつだったかFM放送で彼女の弾くベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の演奏を耳にして、今までのヴァイオリニストにない超個性的な持ち味を持っていると感じ、それ以来 手に入れたいと思っていたCDです  

最初の1枚はフィリップ・ヘルヴェッへ指揮シャンゼリゼ管弦楽団をバックに演奏したベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」「ロマンス第1番」「同第2番」「ヴァイオリン協奏曲断章」のCD(2008年)です

 

     

 

もう1枚はテオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナのバックで演奏したチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」とストラヴィンスキー「バレエ・カンタータ『結婚』」をカップリングしたCD(2016年)です

     

     

 

コパチンスカヤは1年後の2019年2月10日、11日に東京でクルレンツィス指揮ムジカエテルナのバックでチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」を演奏します 10日がオーチャードホール、11日がトリフォニーホールなので迷うことなくトリフォニーホールに行くつもりです

 

     

 

どのCDから聴こうかと迷うのは楽しいものです 時間があって気が向いたら試聴記をブログに書くつもりです

 

        

 

16日(金)午後7時からNHKホールでN響第1880回定期演奏会(Cプロ)を聴きました プログラムは①デュリュフレ「3つの舞曲」、②サン・サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調」、③フォーレ「レクイエム」です 出演は②のヴァイオリン独奏=樫本大進、③のソプラノ独唱=市原愛、バリトン独唱=甲斐栄次郎(急きょ降板となったアンドレ・シュエンの代演)、合唱=東京混声合唱団、指揮はパーヴォ・ヤルヴィです

 

     

 

開演にあたり主催者側から、フォーレ「レクイエム」で歌う予定だったバリトンのアンドレ・シュエンが体調不良のため降板し、代わりに甲斐栄次郎氏が歌うことになった旨の説明がありました 後ろの席からは「インフルエンザじゃないの」という声が聞こえてきましたが、アンドレ・シュエンは前日 酔いどれ酒宴だったのではないか

オケのメンバーが配置に着きます。ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置を取ります コンマスはマロこと篠崎史紀氏。ヴィオラには首席客員の川本嘉子さんがスタンバイしています

フランス音楽によるプログラムの1曲目はデュリュフレ(1902-1986)の「3つの舞曲」です この曲は1927年に舞台の付随音楽のために書いた「タンブーラン」に、後に作曲した2曲を加えた楽曲で、第1曲「ディヴェルティスマン」、第2曲「ゆったりとした踊り」、第3曲「タンブーラン」から成ります

「もうすぐ大統領選挙ですか?」と声をかけたくなるような、ロシアのプーチン大統領に風貌が似たパーヴォ・ヤルヴィが登場し、第1曲の演奏に入ります 現代音楽ということで極度に警戒していたのですが、非常に分かり易い曲想で、聴いていて海面下の水の動きを想像しました 第2曲ではクラリネットとフルートによる幻想的なメロディーが印象的でした 一番面白かったのは第3曲で、全体を通じてタンブーラン(太鼓)がリズムを刻み、ファゴットが大活躍します。楽しい1曲でした ヤルヴィは管楽器を立たせますが、イングリッシュホルンの女性は(ほぼ間違いなく)読響の北村貴子さんでした 彼女は首席ではありませんが、N響に呼ばれました。やはり実力があるのでしょうね

2曲目はサン・サーンス(1835-1921)の「ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調」です この曲は「ツィゴイネルワイゼン」の作曲者でヴァイオリニストのパブロ・サラサーテのために作曲され、彼に献呈されました 私はヴァイオリン協奏曲の中ではチャイコフスキー、ベートーヴェン、ブラームス、シベリウスと並んで好きな曲です とくに第2楽章が大好きです。第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンティーノ・クワジ・アレグレット」、第3楽章「モルト・モデラート・エ・マエストーソ」の3楽章から成ります

2010年からベルリン・フィルの第1コンサートマスターを務めている樫本大進がヤルヴィとともに登場し、さっそく第1楽章に入ります 樫本氏の演奏は非常に集中力の高い力強い演奏です。入魂の演奏と言ってよいでしょう 第2楽章は抒情的な旋律が美しく響きますが、樫本氏の演奏は弱音でも芯があるので魂がこもっています 第3楽章は技巧を凝らした曲想ですが、揺るぎない自信と高度な演奏技術で自由自在に鮮やかに弾き切りました 天下のベルリン・フィルを引っ張っていくコンマスの実力を見せつけた見事な演奏でした アンコールの演奏はありませんでした。見識です

 

     

 

休憩後はフォーレ「レクイエム」です フォーレ(1845-1924)は1877年にパリのマドレーヌ教会の礼拝堂楽長となり、後に首席オルガニストになりましたが、この「レクイエム」は1888年1月16日、同教会で執り行われたある建築家の葬儀のために作曲され 5曲だけで演奏されました   フォーレはその後 改訂を加え、1893年1月21日に全曲を同教会で初演しました。さらにフル・オーケストラ用に拡大した作品として編曲、1900年7月12日にパリ万国博覧会の公式コンサートで初演されました

この曲は、第1曲「入祭唱とキリエ」、第2曲「奉献唱」、第3曲「聖なるかな」、第4曲「慈悲深きイエスよ」、第5曲「神の小羊」、第6曲「われを解き放ちたまえ」、第7曲「天国に」の7曲から成ります

ステージ後方に東京混声合唱団のメンバー80名がスタンバイし、ソプラノの市原愛さん、バリトンの甲斐栄次郎氏がヤルヴィとともに入場し配置に着きます 「レクエム」なので市原愛さんは黒の衣装です

ヤルヴィの指揮で第1曲「入祭唱とキリエ」の演奏に入ります 自席は1階ほぼ中央ですが、パイプオルガンの音が右前方の上空から降りてきます。サントリーホールをはじめ パイプオルガンのあるほとんどのコンサート会場では正面にパイプオルガンが設置されていて、音が正面から降りてくるのですが、NHKホールはステージ右上方に設置されているからです したがってオケと合唱の音は正面から、パイプオルガンの音は右上方から聴こえてくるのでバランス上 若干 違和感を感じます紅白歌合戦もやるしN響の定期公演もやるし といった多目的ホールの宿命です ただ、1階後方席や2階席だったらあまり気にならないのかもしれません

第2曲「奉献唱」では途中からバリトンが入りますが、さすがに新国立オペラでは欠かせない大歌手の甲斐栄次郎氏でも、急きょの代演ということでスコアブックを見て歌いますが やや硬さを感じます しかし、それも最初だけでした。第6曲「われを解き放ちたまえ」では2回目のソロを堂々たるバリトンで歌い上げました 第4曲「慈悲深きイエスよ」はソプラノによって歌われる唯一の独唱曲ですが、市原愛さんは緊張感が張り詰める中、コントロールされた美しいソプラノで歌い上げました

東京混声合唱団による合唱は全体を通して素晴らしく、とくに第3曲「聖なるかな」と第7曲「天国に」における透明感のある歌は特筆に値します

 

     

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鈴木雅明+新日本フィルでブラームス「悲劇的序曲」、ハイドン「交響曲第104番”ロンドン”」、メンデルスゾーン「交響曲第5番”宗教改革”」を聴く~ドイツを感じさせる演奏

2018年02月17日 07時55分34秒 | 日記

17日(土)。わが家に来てから今日で1235日目を迎え、平昌冬季五輪のフィギュアスケート男子のショートプログラムで、羽生結弦(はにゅう ゆずる)選手がダントツ・トップの成績を収めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      くまのプーさんのぬいぐるみ をたくさんもらったので 欲しい人にゆずるってさ

      ゆずる君のおかげて ショパンのバラード第1番のCDが売れそうな気がするなあ

 

                 

 

昨日、夕食に「麻婆茄子」と「生野菜とタコのサラダ」を作りました 昨日は午後と夜にコンサートがあったので午前中に作りました

 

     

 

                 

 

昨日午後2時から、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「ルビー・コンサート」を、午後7時からNHKホールでN響定期演奏会(Cプロ)を聴きました ここでは、すみだトリフォニーホールで開かれた新日本フィルの「第12回ルビー(アフタヌーン・シリーズ)コンサート」について書きます

プログラムは①ブラームス「悲劇的序曲」、②ハイドン「交響曲第104番ニ長調”ロンドン”」、③メンデルスゾーン「交響曲第5番ニ長調”宗教改革”」で、指揮はバッハ・コレギウム・ジャパン音楽監督・鈴木雅明です

 

     

 

弦の配置は左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対等配置をとります コンマスは西江王子です。いつも通り第2ヴァイオリンの篠原英和氏と松崎千鶴さんを確認 松崎さんは手前の奏者の陰で姿が隠れてしまいよく見えません。とても残念です

1曲目はブラームスの「悲劇的序曲」です この曲は1880年夏に滞在した温泉保養地バート・イシュルで作曲した2つの序曲のうちの1曲です もう一つは「大学祝典序曲」ですが、両曲とも歌劇の序曲という性格の曲ではなく、独立した演奏会用の楽曲です

鈴木雅明氏が登場、さっそく演奏に入ります。B.C.Jの定期演奏会と同様に彼はタクトを使用しません 冒頭の衝撃的な2つの和音を聴くと、ベートーヴェンのコリオラン序曲を思い浮かべます。ブラームスは交響曲だけでなくこうした作品でもベートーヴェンを意識していたのかな、と思います 

速めのテンポでグングン進める推進力が引き締まった演奏を実現します 最後のフィナーレを聴き終わって感じたのは「ドイツ」でした 言うまでもなく、バッハもベートーヴェンもブラームスもドイツ出身です

2曲目はハイドン「交響曲第104番ニ長調”ロンドン”」です フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)はロンドンのザロモンの招へいにより1791年1月から翌92年6月までと、1794年2月から翌95年8月までの2回 イギリスに渡り、いわゆる「ザロモン交響曲集」と言われる12曲の交響曲を作曲しました この第104番の交響曲もその一つで、1795年4月~5月頃初演されたと考えられています この曲は、第1楽章「アダージョ~アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット:アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:スピリトーソ」の4楽章から成ります

鈴木雅明氏の指揮で第1楽章が決然とした序奏で開始されます この曲でも鈴木氏は速めのテンポで引き締まった演奏を展開します 堅めのマレットで打ち込まれるティンパニが小気味の良いリズムを作り出します 第2楽章の中盤でゲネラル・パウゼ(全休止)がありますが、ポーズが長く、一瞬 演奏が止まってしまったかと思いました こういうところは計算通りかも知れません 第3楽章のメヌエットは極めてテンポが速く、ここでもティンパニの乾いた音が心地よく響きます 続けて演奏された第4楽章では、強弱のメリハリを付けた軽快な演奏が展開し怒涛のフィナーレを迎えました

 

     

 

プログラム後半は、メンデルスゾーン「交響曲第5番ニ短調”宗教改革”」です メンデルスゾーンは神童として知られていたばかりでなく、ヨハン・セバスチャン・バッハの「マタイ受難曲」を1829年3月11日に復活上演し、バッハの偉大さを世の中に知らしめたことでも知られています メンデルスゾーンはバッハと同じルター派プロテスタント教会の信者でしたが、1830年は、16世紀の神学者だったフィリップ・メランヒトンがルター派の信仰信条をまとめた「アウグスブルク信仰告白」の宣言(1530年6月)から300年にあたることから、メンデルスゾーンはそのために交響曲の作曲を進めていました そして1830年5月頃にこの交響曲第5番を完成しましたが、社会情勢の変化等により初演は1832年11月まで待たなくてはなりませんでした

この曲は、第1楽章「アンダンテ~アレグロ・コン・フーコ」、第2楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「レシット」、第5楽章「コラール”神はわがやぐら”:アンダンテ・コン・モト~アレグロ・ヴィヴ―チェ」の5楽章から成ります

鈴木雅明氏の指揮で第1楽章が神秘的な音楽で開始されます 管楽器によるファンファーレと弦楽器による静かな讃美歌のような曲想が交互に奏でられます。ここは まるでワーグナーを聴いているような錯覚を覚えます  第2楽章は一転、見通しのいい景色を見ているような曲想です   第3楽章のアンダンテは「悲しいまでの美しさ」とでもいうような曲想で、短いのが残念なくらいです   続けて演奏される第4楽章はフルートのソロから入りますが、白尾氏の演奏はさすがは首席という見事なものでした  さらに続けて演奏される第5楽章はルターのコラール「神はわがやぐら」が奏でられます。堂々たる楽章、堂々たる演奏です

この曲を聴き終わって感じたのは、やはり「ドイツ」でした   言うまでもなくメンデルスゾーンはドイツの作曲家です

この日のコンサートはドイツの作曲家ヨハン・セバスチャン・バッハの音楽を演奏するために組織された「バッハ・コレギウム・ジャパン」の音楽監督・鈴木雅明氏が指揮をとったことにより、全体を通して(ハイドンはドイツ出身ではないけれど、ドイツ・オーストリア系ということで)ドイツを感じさせる演奏が繰り広げられた、と言えるのではないかと思います

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藝大モーニング・コンサートでハチャトゥリアン「フルート協奏曲」、ライヒャ「トロンボーン協奏曲第2番」を聴く / 上野deクラシック(軽井沢チェンバーオケ)のチケットを取る

2018年02月16日 07時53分07秒 | 日記

16日(金)。昨日は上野にコンサートを聴きに行きましたが、動物園にはパンダのシャンシャン目当ての つづら折りの長蛇の列が見られ、上野公園では早くも桜が満開になっていました 寒桜ですけど

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で1234日目を迎え、14日の米株式市場でアマゾン・ドット・コムが終値ベースの時価総額で初めてマイクロソフトを抜き、米国と世界の株式市場でアップル、アルファベットに次ぐ第3位に浮上した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                 頭文字の スリーA が米国の金持ち企業の トップ・スリー になったってことだね

 

        

 

昨日、夕食に「豚もやし炒めのおろしポン酢かけ」「生野菜サラダ」「まぐろの山掛け」「海老ダンゴ、エノキダケ、チンゲン菜のスープ」を作りました 「豚もやし~」の味付けは塩、胡椒、日本酒とポン酢です

 

     

 

        

 

昨日、東京藝大奏楽堂で「第12回藝大モーニング・コンサート」を聴きました プログラムは①ライヒャ「トロンボーン協奏曲第2番」、②ハチャトゥリアン「フルート協奏曲」です ①のトロンボーン独奏は福田えりみ、②のフルート独奏は鈴木美良乃、管弦楽=藝大フィルハーモニア、指揮=梅田俊明です

藝大フィルハーモニアはいつもの編成で、左サイドにヴァイオリン・セクションを集めています コンミスは澤亜紀さん。会場は6~7割程度埋まっているでしょうか

1曲目の「トロンボーン協奏曲第2番」は、ドイツ人のトロンボーン奏者で作曲家として活躍したライヒャ(1878-1946)が1902年に作曲した作品です ライヒャはサンクトペテルブルク交響楽団やマリインスキー歌劇場管弦楽団のトロンボーン奏者として活躍した後、ロシアの音楽大学の教授や学長まで務めた人とのことです この曲は第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド」の3楽章から成ります

まるで舞踏会にデビューするかのようなブルー系の鮮やかなドレスを身にまとった福田えりみさん(藝大4年生)が颯爽と登場し、梅田氏の指揮で第1楽章が開始されます 朗々と流れる曲想はちょっとシューマンのようです。トロンボーンのパートは超絶技巧を要する箇所が散見され、かなり演奏が難しそうです しかし、福田さんは果敢に挑戦、とくにこの楽章終盤のカデンツァでは最高音から最低音までトロンボーンの音色を生かした見事な演奏を展開しました 第2楽章のゆったりした曲想はトロンボーンにピッタリです そして第3楽章では超絶技巧ながら軽快な音楽が奏でられ、力強いフィナーレで曲を閉じました

 

     

 

休憩なしの後半はハチャトゥリアン「フルート協奏曲」です ハチャトゥリアン(1903-1978)はロシア帝政下のグルジア(現ジョージア)出身のアルメリア人作曲家ですが、「剣の舞」を想い起こします この作品は1940年にヴァイオリン協奏曲として作曲されたものを、20世紀を代表するフルート奏者のジャン・ピエール・ランパルの演奏を聴いて感銘を受け、彼にこの協奏曲をフルート用に編曲するよう依頼したことから生まれた作品です 第1楽章「アレグロ・コン・フェルメッツァ」、第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

藝大4年生、小柄な鈴木美良乃(みらの)さんが爽やかなブルーの衣装で登場、梅田氏のタクトで第1楽章が開始されます フルートは最初から速いパッセージの超絶技巧を要求されます 私はランパルの演奏を1度だけ生で聴いたことがありますが、その技巧はとても人間業とは思えませんでした その彼がフルート用に編曲したのですから相当演奏困難な曲であることが想像できます しかし、鈴木美良乃さんはその困難に立ち向かいます 速いパッセージで音量が多少小さくなるのはやむを得ないでしょう。この楽章の中盤でのフルートとクラリネットとの対話は詩情豊かで素晴らしいものがありました また終盤のカデンツァはフルートの美しい音色を存分に生かした演奏でした 第2楽章はゆったりしたメロディーで子守歌のような詩情を感じさせますが、彼女の演奏で特に感心したのは、音楽の表情付けがとても素晴らしいということです 第3楽章は舞曲風の速いパッセージをエネルギッシュに演奏し華やかにフィナーレを迎えました

演奏に約40分かかるこの超絶技巧曲を完奏するには、表現力を含めた演奏テクニックはもちろんのこと、それ以前に体力と精神力が必要だと思いますが、鈴木美良乃さんはそれらすべてを備えていると思いました

この日演奏した二人の女子学生はこの3月に卒業し 4月からそれぞれの道へ進まれるとのことですが、頑張っていただきたいと思います   名前が「えりみ」さん、「みらの」さんと独特なので きっと忘れないと思います いつかどこかのコンサートで演奏する姿を拝見するのを楽しみにしたいと思います

 

     

 

        

 

4月25日(水)午前11時から東京文化会館小ホールで開かれる「上野 de クラシック 軽井沢チェンバーオーケストラ」のチケットを取りました  プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲第14番K.449」~第1楽章、②チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」~第3、4楽章」ほかです   演奏は ピアノ=居福健太郎、ヴァイオリン=依田真宣、瀧村依里、小川響子、チェロ=富岡廉太郎ほかです  全自由席1,000円なので 早めに並ばなければなりません

 

     

     

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エドガー・ライト監督「ベイビー・ドライバー」を観る~ギンレイホール / R.D.ウィングフィールド著「フロスト日和」を読む~滅茶苦茶おもしろい警察小説

2018年02月15日 07時52分12秒 | 日記

15日(木)。2011年2月15日にtoraブログを立ち上げてから今日で満7年になります  あの日から1か月も経たないうちに3.11東日本大震災と東電原発事故が起こったのでした。あらためて月日の流れの速さを実感します  この7年間で書いたブログは本日で2653本になりますが、計算が合わないのは1日2本書いた日があるからです

とういうことで、わが家に来てから今日で1233日目を迎え、昨日のバレンタインデーを振り返るモコタロです

 

     

      ご主人がどこかでもらってきたチョコレートらしい チョコっと食べてみたいな

 

        

 

神楽坂のギンレイホールで「ベイビー・ドライバー」を観ました これはエドガー・ライト監督による2017年アメリカ映画(113分)です

ベイビー(アンセル・エルゴート)は天才的なドライビング・センスを見込まれて強盗団の”逃がし屋”として働いている 彼は子供の頃の事故の後遺症で耳鳴りに悩まされているが、音楽によって外部から遮断されることで耳鳴りが消え、驚くべき運転能力を発揮することができる そんな彼がある日 ウエイトレスとして働くデボラ(リリー・ジェームズ)と恋に落ち、逃がし屋から足を洗うことを決心するが、ベイビーの才能を惜しむ犯罪組織のボス(ケビン・スペイシー)に脅かされ 無謀な強盗に手を貸すことになる

 

     

 

この映画は、主人公のベイビーが  iPod  で音楽を聴きながら高度なテクニックで運転する、という設定なので、終始ご機嫌な音楽が流れます(たぶんロック)が、私には1曲も分かりませんでした

スピード・カーアクションやロック好きにはたまらない映画だと思います

 

        

 

R.D.ウィングフィールド著「フロスト日和」(創元推理文庫)を読み終わりました 著者のウィングフィールドは1928年イギリス、ロンドン生まれ。石油会社に勤務する傍ら執筆を始め、68年にラジオドラマの放送作家としてデビュー 72年に小説第一作「クリスマスのフロスト」を執筆したが、出版は84年になってから。その時大きな話題を呼びシリーズ第二作「フロスト日和」が刊行され 作家専業となった。2007年死去

 

     

 

結論から先に書くと「とにかく長い それでも こんなに面白い警察小説があるだろうか」という感想です

この小説は、イギリスの地方都市、デントン市の警察署犯罪捜査部の警部 ジャック・フロストが主人公です ヨレヨレのレインコートに えび茶色のマフラーがトレードマークのフロストは、規律が求められる警察署の中では極めて異色の存在で、服務規程を守らず、きわどいジョークを連発し、地道で真面目な捜査と書類仕事が大嫌い その上、上司の命令はすぐに忘れ、叱咤されれば言い訳たらたら。そして 部下からは毛嫌いされている 服装だけなら「刑事コロンボ」を思い浮かべるけれど、同じようでも まったくキャラが違う。「だらしがない」のを絵に描いたような刑事だが、同僚たちは彼に一目置いて尊敬さえしている どうやら過去に大手柄を立てて勲章をもらっているらしい それと、事件に関わる容疑者やその関係者たちはどうもフロストと普段から顔なじみの様子が窺えます。いかにフロストが市内で顔が広いかという証拠です

フロストは 目の前の事件が未解決なのに、次の事件に首を突っ込むので、仕事を終えて早く家に帰りたい同僚の若い警部はいつまでたっても開放してもらえない フロストはいつ寝ているのか? と疑いたくなるほど 早朝から深夜まで働いている。それでいながら事件はなかなか解決しない そんなフロストが市内で起きた浮浪者死亡事件、連続婦女暴行事件に挑んでいます

この本は文庫本ですが700ページを超えます。普通の文庫本の2倍のボリュームがあります 読む前から怖気づいてしまいそうですが、いったん読み始めると面白くて読む手が止まりません はっきり言って、同じ内容を本格ミステリー的に書けば半分の350ページで済んでしまうのではないか、と思います しかし、話があっちへ行ったりこっちへ来たりする「残りの半分」がこの作者の本領発揮なのです とにかく滅茶苦茶楽しい会話やギャグが次から次へと繰り出してきて、思わずニヤニヤ、ときに爆笑しながら読み進めることになります しかし、そうやって読者を油断させておいて 最後にはダメおやじ刑事フロストが鮮やかに事件を解決するのです

もう一つこの小説を面白くしているのは、芹澤恵さんの翻訳が素晴らしいということです

私はこの作品が面白かったので、第一作「クリスマスのフロスト」を購入済みであることは先日のブログに書いた通りです こちらは約530ページなのでいくらか気分が楽そうです

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ジム・ジャ―ミッシュ監督「パターソン」を観る~バスの運転手で詩人のパターソンの変わらない日常生活を描く:ギンレイホール

2018年02月14日 08時02分02秒 | 日記

14日(水)。わが家に来てから今日で1232日目を迎え、平昌冬季五輪の男子モーグルで 五輪初出場で銅メダルを取った東京都渋谷区出身の原大智選手が「雪降ったら交通マヒする都心部。冬季の種目でメダルが取れたのは誇りに思う」と語った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      ターンじゃなくて スクランブルでもあったら 金メダルも夢じゃなかったかもね

 

        

 

昨日、夕食に「筑前煮」と「生野菜サラダ」を作りました 筑前煮は昨年1度作って以来2度目ですが、美味しく出来ました

 

     

 

        

 

近所で下のような警告文を発見しました

 

     

 

警告文があるといいうことは、線路を歩く人がいるってことですね 正体は、これです

 

     

      都電荒川線の踏切に掲げられた警告文でした よい子は線路は歩かないように!

 

        

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで「パターソン」を観ました これはジム・ジャ―ミッシュ監督による2016年アメリカ映画(118分)です

ニュージャジー州パターソンに暮らすバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)は、毎日ほぼ同じ時間に起きて妻にキスしてから いつも通り仕事に向かう 帰宅すると妻と夕食をとり愛犬マービン(ブルドッグ)と散歩に出て、バーでビール1杯だけ飲んで家に戻る彼は詩を書くのを趣味としており、行く先々で詩を手帳に書きとめる 妻のローラ(ゴルシフテ・アストラカン)は彼の才能を認めていて作品を世に問うように勧めているが、本人にはそんな気がない ある日、夫婦で映画を観て帰宅すると、彼の手帳がズタズタに食いちぎられていた 失意のパターソンは散歩に出たが、そこで日本人の詩人(永瀬正敏)に出会い、マッサラな手帳をプレゼントされる。彼は再びそれに詩を書き始める

 

     

 

この映画は、アメリカの地方都市のバスの運転手の毎日変わらない日常生活を淡々と描いた作品ですが、犬とともに過ごす彼の行動を見ていると、「パターソン」ではなくて「ワンパターン尊」ではないかと思ってしまいます しかし、観ていると温かい気持ちになってきます 彼は小さなマッチ箱一つから美しい詩を編み出します。パターソンが詠んだ詩は、英語で映像に表れますが、きちんと韻を踏んでいることが分かります 最後の日本人の詩人との会話で「自分の作った詩は翻訳させない」ということで一致しますが、「韻を踏む」ということで言えば、英語と日本語はまったく違いますから良く理解できます 彼はごく普通の平凡な市民ですが、詩という趣味を持つと心が豊かになり 妻はもちろんのこと他人に対しても温かく接することができる ということを教えてくれているようです

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鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパンでJ.S.バッハ「ヨハネ受難曲BWV245」を聴く / 「ド」は赤、「ミ」は緑、「ソ」は青~共感覚の感じる7音は虹の色~日経の記事から

2018年02月13日 08時02分57秒 | 日記

13日(火)。わが家に来てから今日で1231日目を迎え、1968年2月12日に世界初の市販用レトルトカレー「ボンカレー」が発売されてから ちょうど50年経った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      和服姿が決まってた松山容子さん お元気ですかぁ?  再びカレーな姿を見せて!

 

        

 

昨日、夕食に「牛タンの塩焼き+カルビ焼き」「生野菜サラダ」「卵スープ」を作りました  「牛タン~」は肉を焼くだけなので料理とは言えませんが、休日だったので まあいいか、と思っています

     

 

        

 

11日の日経朝刊・社会面に「ドレミの7音、虹の色~新潟大『共感覚』持ち主を調査」という見出しの記事が載っていました 記事を超訳すると

「音を聞くと色を思い浮かべる特殊な知覚『共感覚』の持ち主が感じる『ドレミファソラシ』の7音の名前が虹の色に対応しているとの調査結果を、新潟大の伊藤浩助助教のチームが10日までにまとめ、英科学誌電子版に発表した チームは共感覚を持つ日本人大学生の男女15人に『ドは何色に感じるか』と、『ド』から『シ』までの音名をランダムに質問する実験を4回繰り返し、平均値から共通するパターンを探ると、『ド』は赤、『ミ』は緑、『ソ』は青と、「赤、橙、緑、青、藍、紫」などと表現される虹の色とほぼ順序良く対応していることが判明した さらに、色は音そのものよりも音の名前との結び付きが強いことも示した。今回の実験は日本語のため『海外でも同じ傾向か調べたい』という

音に色を見い出す「共感覚」ということで言えば、作曲家のオリヴィエ・メシアンやフランツ・リストがいます また 小説では 第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した柚月裕子著「臨床真理」の主人公は共感覚の持ち主でした 共感覚をはじめ特殊能力を一切持たない 鈍感覚 の私には「共感覚」とはどんなものかさっぱり想像できませんが、音楽を聴いていて色が浮かんできたら 反って鑑賞の妨げになるのではないか、と思ってしまいます

 

        

 

昨日、初台の東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの第126回定期演奏会「J.S.バッハ『ヨハネ受難曲BWV245』」を聴きました 出演はソプラノ=松井亜希、アルト=ロビン・ブレイズ、テノール/エヴァンゲリスト=ハンス・イェルク・マンメル、テノール=ザッカリー・ワイルダー、バス=ドミニク・ヴェルナー、加来徹、合唱・管弦楽はバッハ・コレギウム・ジャパン、指揮は鈴木優人です 鈴木優人がB.C.Jの定期演奏会で父・鈴木雅明氏に代わって指揮をとるのは今回が初めてです

「ヨハネ受難曲BWV245」は1724年4月7日にライプツィヒで初演されました  この日は、ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)がライプツィヒのトマス・カントルに就任して初めての聖金曜日(受難日)でした この曲の中心となっているのは、新約聖書の「ヨハネによる福音書」第18~19章に記されたイエス・キリストの受難の出来事です

 

     

 

バッハ・コレギウム・ジャパンは毎年「マタイ受難曲」か「ヨハネ受難曲」を年間プログラムに組み込んでいますが、その時ばかりは会場がほぼ満席になります 今回も例外でなく満席に近い状況です オケの配置はいつもの通り、弦楽器は左サイドにヴァイオリンとヴィオラが、中央に通奏低音(チェロ、ヴィオローネ、コントラ・ファゴット、オルガン)が、右サイドにフラウト・トラヴェルソ、オーボエがスタンバイし、センター手前に指揮者・鈴木優人が弾き振りするチェンバロが配置されています

ソリスト・合唱団に続いて鈴木優人が登場し、さっそく第1部の演奏に入ります この曲は冒頭の第1曲(合唱)から感動的です

「主よ、私たちを支配されている方よ、その誉れは全地にあまねく輝いています。あなたの受難を通して示してください。あなた、まことの神の子が いかなる時にも 低さの極みにおいてさえ栄光を与えられたことを」

B.S.J合唱団 自慢の透明感のあるコーラスがキリストの受難の物語を歌い始めます

この曲はエヴァンゲリスト(福音史家)が物語を朗唱(レチタティーボ)してソリストや合唱をつないでいく重要な役割を担っています 自らはアリアや合唱を歌わず、朗唱だけなのですが、反って難しい役割かも知れません エヴァンゲリストを担ったハンス・イェルク・マンメルはドイツのシュトゥットガルト生まれのテノールですが、前半は声が上ずったり、かすれたりするところがあったものの、ほぼ出ずっぱりの重責を立派に果たしました

イギリス出身のアルト、ロビン・ブレイズは、いつも通り安定感のあるカウンターテナーで歌い上げました 特に第2部 第30曲のアリア「成し遂げられた!おお、病み衰えた魂の慰めよ!~」は聴きごたえ十分でした イエスを歌ったバスの加来徹は以前よりも存在感を増していました

私が今回一番良かったと思うのはソプラノの松井亜希さんです とくに第2部の終盤で、フラウト・トラヴェスソの菅きよみ、オーボエ・ダ・カッチャの三宮正満、ヴァイオリンの若松夏美、ヴィオラ・ダ・ガンバのライナー・ツィパーリング、オルガンの重岡麻衣のバックで歌った第35曲のアリア「溶けて流れよ、私の心よ、涙の潮に乗って、いと高き者をたたえて!  世と天に危難を語れ、お前のイエスが亡くなられた、と」は今回の公演の白眉で、透明感のある彼女の歌声が胸に浸みました

そして終曲の一つ前の第39曲の合唱「安らかに憩え、聖なるむくろよ、私はもうこれ以上、嘆き悲しみますまい。安らかに憩い、私をも憩わせてください~」は、バッハへの長い旅の終わりを告げる感動的なコーラスです

この日の公演は第1部=約40分、休憩=20分、第2部=約75分の所要時間でしたが、あっという間でした 鈴木優人のB.C.J定期公演への指揮者デビューはひとまず成功だったのではないかと思います

ところで、私はここ数年 高すぎる公式プログラム(1100円!)は買わないことにしているので、下に掲げるCDジャケットに収録された「歌詞対訳」に目を通しながら演奏に耳を傾けました 逐一読むのではなく、今どの辺を演奏しているのかが把握できる程度にチラ見していましたが、それが良かったと思います

ということで、この公演を聴くにあたって、バッハ・コレギウム・ジャパンのCD(1995年4月。カザルスホールでのライブ録音)で予習しておきました

 

     

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片山杜秀氏のエッセイ「クラシック界の未来」を読んで思うこと~日経 文化面から / 真山仁著「売国」を読む~正義を貫く若き検事の闘い

2018年02月12日 07時51分03秒 | 日記

12日(月・休)。わが家に来てから今日で1230日目を迎え、平昌冬季五輪の女子アイスホッケーに出場した五輪初の南北合同チーム「コリア」が10日の対スイス戦に出場し、文在寅大統領や北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の実妹・金与正氏らが観戦するなか、0-5 で敗れた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      最初から勝ちを放棄した政治的なチームだったから仕方ない 選手は納得してる?

 

        

 

昨日の日経朝刊・文化面に評論家・慶応大教授の片山杜秀氏が「クラシック界の未来」というタイトルのエッセイを寄せていました 片山氏と言えば、昨年9月のサントリーホール・サマーフェスティバル「片山杜秀がひらく『日本再発見』」のプロデューサーとして大澤壽人らの音楽を紹介し、隠れた作曲家の名作を世に知らしめた立役者です エッセイを超訳すると

「2020年の東京オリンピック以降のクラシック音楽界は大丈夫か、という声を聞く オリンピックまでは文化芸術に対する公的助成の規模は保たれるだろうが、2021年以降の公共の予算は、介護や子育てや教育で手いっぱいになるだろう 企業の社会貢献でも、クラシック音楽の優先順位は決して高くならないだろう。クラシック音楽にはお金がかかる。100人の交響楽団が2000人の聴衆を相手に演奏する。独唱と合唱と管弦楽を合わせて200人で1500人の観客を前にオペラを上演する。ポップスなどと比べて効率が悪い チケット代を常識的水準に保てば満員でも赤字になる。公共や民間の援助を受けないと成り立たない だいたい60年代以後の若者は、親や祖父母の世代への反発もあって同じ音楽でもロックやフォークに自由な気分を求めていった この世代は歳をとってもなかなかクラシック音楽に靡かない。これは日本に限らない。これからの政治家や財界人や官僚のリーダーからも、クラシックを大切に思う人は減っていくだろうう しかも日本を含む先進資本主義国の経済と社会の様相は変貌する一方だ。厚い中間層が解体して貧富の差が広まる。それは即ちクラシック音楽趣味を持ち得る階層が崩れていくということだ 西洋諸国にとってのクラシックは『伝統芸能』であり『観光資源』でもあるから、無くなっては困るというコンセンサスは残るだろう。しかし、日本には歌舞伎や文楽や能もある。クラシック音楽は援助しないと成り立たない厄介な外来文化にすぎない。その事情がますます顕在化するのが平成の次の御代になるのだろう。厳しい時代だが、クラシック音楽は一定規模で定着している趣味には違いない。たとえ縮小するにしても『市民権』はある。適正な規模での生き残りの主張をしていけば、なお未来はあると信じる

コンサートに行く聴衆のうち最もシェアが大きい層は 比較的時間もお金もある60代以上のシニア層であることは議論の余地がありませんが、問題はその下の層です  20~50代は働き盛りの現役世代なので どうしても仕事優先となり、人によっては毎日が残業だったり、あるいは休日出勤があったりと 思うようにコンサートに行く時間が作れないのが現状だと思います これは今さかんに言われている「働き方改革」によって「残業なし」の生活慣習を社会的に築き上げていくしかないと思います (もっとも クラシック音楽鑑賞を趣味としている人たちは、どんなに忙しくても万難を排して聴きにいくものですが

現在 在京、地方を問わず各オーケストラが「未来の聴衆」を開拓するための試みとして 小中学校等への出張演奏会をはじめとするアウトリーチ活動を展開していますが、彼らが大人になる前にクラシック音楽が廃れてしまったら元も子もありません 片山氏が上記のエッセイでそうした活動に触れていないのは、そこまで待てないからだと思います

片山氏は「日本には歌舞伎や文楽や能もある」としていますが、それらの芸術だって主な鑑賞者は60代以上のシニア層ではないのか、そういう意味ではクラシック音楽と共通の課題を抱えているのではないか、と思います

片山氏のエッセイを読んで、初めて気づかされたのは「これからの政治家や財界人や官僚のリーダーからも、クラシックを大切に思う人は減っていくだろう」という指摘です 政府や地方公共団体による文化活動への助成金や企業メセナなどを司る立場の人たちが『クラシックは金食い虫だ。出来るだけ助成金を減らそう』と考えるようになるならば、クラシック音楽はますます廃れていってしまうでしょう 欧米諸国のように寄付文化が根付いていない日本では、オーケストラ等の音楽団体にとって公的な助成金は不可欠の収入源です より幅広い世代の聴衆を獲得する努力とともに、助成金を出す立場にいる人たちの間に もっと「クラシック音楽ファン」を増やしていくことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか

 

        

 

真山仁著「売国」(文春文庫)を読み終わりました  真山仁は1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒。新聞記者、フリーライターを経て2004年「ハゲタカ」でデビューしました

物語は二人の主人公の視点から描かれていきます 一人は気鋭の検察官・冨永真一で、圧倒的に不利だった殺人事件の裁判を検察側の勝利に導いた功績を認められ、特捜部に配属されて新たな任務に挑むことになる もう一人は、宇宙開発に挑む若き女性研究者・八反田遥で、幼いころから父親の影響で宇宙に憧れ、日本の宇宙開発を担う研究者を目指して奮闘する毎日だった 特捜部に移って初めて冨永に与えられた仕事は、群馬県の土建会社による脱税事件の応援だった。会長宅から 裏金献金リストと見られる手帳が発見されるが、書かれていた地名や数字がなかなか解明できない。背後には大物政治家の影が見え隠れしており、特捜部としては何としても立件したい案件だった。そんな中で、冨永の親友で幼なじみの近藤左門が失踪するという事件が起きる 左門は 文科省で宇宙開発やJASDAの長期計画を策定する宇宙委員会の事務方を務めていた。冨永は特捜部の本来業務の傍ら左門の行方を捜し始める。すると、そこにも大物政治家の影が見え隠れしていた 一方、八反田遥は宇宙航空研究センターの指導教官・寺島光太郎教授に導かれ、日本の宇宙開発の現状と問題点を目の当たりにする。しかし、裏側では密かに政界が絡んだ陰謀が進行していた

 

     

 

この作品は、「週刊文春」の 2013年5月から2014年8月までに連載された作品を2014年10月に単行本として刊行したものです

この作品の大きな特徴は後半に至るまで、この二人の行動にまったく接点がなく、絡み合うことがないことです それぞれ独立した物語が平行して進んでいき、最後に接点が結ばれる形をとっています

日本を動かす立場にいる登場人物によって語られる言動は、”正義”というものが立場・思想によって変化していくことを表している一方で、あくまでも職務上の正義をまっとうしようとする若き検事の熱い想いを描いています

この作品は映像化したら面白いのではないかと思いますが、文庫本の帯に「テレビ東京系で10月からシリーズ・ドラマ化」とありました 「テレビが先か、本が先か」と迷うかも知れませんが、本を先に読むことをお薦めします

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テミルカーノフ+ルガンスキー+読売日響でチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」、ラフマニノフ「交響曲第2番」を聴く / サントリーホール・チェンバーミュージックガーデンのチケットを取る

2018年02月11日 08時10分21秒 | 日記

11日(日)。わが家に来てから今日で1229日目を迎え、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の実妹・金与正氏が10日午前 正恩氏の特使として韓国の文在寅大統領と会い 「早い時期に面会する用意がある。都合の良い時期に訪韓してほしい」とする正恩氏の考えを口頭で伝えた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

      

              訪朝はいいけど 拉致されないように気を付けないとね あとで埒が明かなくなる

 

        

 

昨日は、6月2日から17日までサントリーホール『ブルーローズ』で開かれる「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」のメンバー会員先行発売開始日でした 受付開始の午前10時ジャストに同ホールのWEBサイトにアクセスして15公演を押さえました

 

     

 

まず最初に取ったのはカザルス弦楽四重奏団による「ベートーヴェン・サイクルⅠ~Ⅵ」の全6公演セット券(限定50席)です ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲(第1番~第16番)を4日間連続6公演で演奏するプログラムです

 

     

 

次に取ったのは6月2日(土)午後6時からの「オープニング・コンサート『堤剛プロデュース2018』」です ベートーヴェン「チェロ・ソナタ第4番」、ドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番”ドゥムキ―”」他ですが、萩原麻未さんがピアノを弾くので外せません

次いで6月3日(日)午後5時からの「アジアンサンブル@TOKYO」を押さえました これは、滅多に演奏されないメンデルスゾーン「ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲ニ短調」が取り上げられているので、躊躇なく取りました

 

     

 

次に取ったのは「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅠ~Ⅲ」です ウィーン・フィルの元コンマス、ライナー・キュッヒル氏率いる弦楽四重奏団により、ブラームス「弦楽四重奏曲第1番~第3番」「クラリネット五重奏曲」「ピアノ五重奏曲」「弦楽六重奏曲第1番」が演奏されます

 

     

 

次に13日(水)午後7時からの「竹澤恭子の室内楽」を取りました。これはメンデルスゾーン「弦楽五重奏曲第2番」が演奏されるので外せません

 

     

 

上記のコンサートは いずれも「指定早割」があり、相当格安料金になっています  例えば「オープニング・コンサート」は指定5,000円が指定早割では4,500円と1割引きになっています また、カザルス弦楽四重奏団の「ベートーヴェン・サイクル」は各公演が指定5,000円のところ3,500円と3割引きになっています

以上の公演ほか、6月6日(水)午後1時からの「プレシャス1pm 室内楽の超達人たち」公演と、6月3日(日)、16日(土)の10:30~12:30に開かれる「ENJOY!室内楽アカデミー・フェロー演奏会Ⅰ・Ⅱ」を取ったので合計15公演を聴くことになります 本当は15日(金)の「トリオ・ヴァンダラー  円熟のピアノ三重奏」公演と、17日(日)のフィナーレ公演も取りたかったのですが、すでにコンサートの予定が入っているので諦めました

 

     

 

        

 

昨日、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで読売日響第204回土曜マチネシリーズ公演を聴きました これは2月16日の定期演奏会がN響とダブったため振り替えたものです。プログラムは①チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番変ロ短調」、②ラフマニノフ「交響曲第2番ホ短調」です ①のピアノ独奏は1972年モスクワ生まれのニコライ・ルガンスキー、指揮は読響名誉指揮者ユーリ・テミルカーノフです

 

     

 

与えられた振り替えの席は2階G列12番です このシリーズは人気があるのか、かなり埋まっています 

1曲目はチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番変ロ短調」です 今でこそピアノ協奏曲では世界一を争うほど有名なこの曲も初演を巡っては紆余曲折がありました チャイコフスキーはモスクワ音楽院の創設者ニコライ・ルビンシテインに、同音楽院の教師に取り立てられるほど、二人は良好な関係にあったのですが、チャイコフスキーがこの曲の初演をルビンシテインに依頼したところ、なぜか「陳腐で演奏不可能だ」と酷評されてしまったのです。チャイコフスキーは「一音符たりとも変えない」と怒りまくって、この作品をドイツの指揮者ハンス・フォン・ビューローに献呈してしまったのです ビューローはこの作品を絶賛し、アメリカへの演奏旅行で取り上げて大成功を収めました その後、ルビンシテインは考えを改め、モスクワ初演の指揮を担当し、ソリストとしても各地で演奏するようになりました

この曲は第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ・エ・モルト・マエストーソ~アレグロ・コン・スピリット」、第2楽章「アンダンティーノ・センプリーチェ」、第3楽章「アレグロ・コン・フォッコ」の3楽章から成ります

オケの編成はいつもの読響の並びで 左サイドにヴァイオリン・セクションを集めています   コンマスは日下紗矢子さんです。長身のルガンスキーがテミルカーノフとともに登場しスタンバイします

第1楽章が劇的な序奏で開始されます。ルガンスキーは冒頭部分こそダイナミックに演奏しましたが、その後2カ所ほど「?」と思うところがありました それでも後半は盛り返し ダイナミックな演奏に終始しました  第2楽章はフルートが美しく響きます。弦が綺麗です   ルガンスキーは叙情的に音を紡いでいきます。第3楽章はピアノとオケとの丁々発止が楽しく聴けました

ルガンスキーはアンコールに、チャイコフスキー/ラフマニノフ編「子守歌」をしみじみと演奏し、聴衆のクールダウンを図りました


     


プログラム後半はラフマニノフ「交響曲第2番ホ短調」です ラフマニノフは1897年に行われた交響曲第1番の初演が失敗に終わり、スランプに陥ってしまいました その後、1901年初演の「ピアノ協奏曲第2番」が大成功を収めたことから彼は復活を果たし、1907年に完成したのが「交響曲第2番」です 翌08年にペテルブルクで行われた初演は大成功を収めました この曲は第1楽章「ラルゴ~アレグロ・モデラート」、第2楽章「アレグロ・モルト」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

テミルカーノフの指揮で第1楽章が低弦の重い序奏から入ります 弦楽器がとても綺麗です 途中、コールアングレの美しいメロディーが奏でられますが、先日の読響アンサンブルでも見事な演奏を披露していた北村貴子さんの演奏は素晴らしいものがありました また、コンマス日下紗矢子さんのヴァイオリン・ソロも美しく響きました テミルカーノフは指揮棒を持たず、かなり大きく腕を振りますが、動きは必要にして最小限と言えます

第2楽章のスケルツォを経て、第3楽章では弦楽器を中心に、ラフマニノフのロマンティシズムの極致とでも言うべき演奏を展開しました 第4楽章の冒頭はホルンを中心とするブラス・セクションの厚みのある演奏が際立っていました それに、何と言っても弦楽器の渾身の演奏による うねり が凄い 

読響の面々の演奏姿を見ていると、全員がテミルカーノフをリスペクトしており、各自が持てる力を最大限に発揮し 渾身の演奏で指揮者の要望に応えようとしていることが窺え、そのためスケールの大きな感動的な演奏が生まれているように思えます 逆に言えば、テミルカーノフという指揮者は、「この人のためなら、惜しみなく持てる力を出し切ろう」と思わせるカリスマ的な魅力と実力を備えているのだと思います

第4楽章のフィナーレで最後の一音が鳴り終わると、背筋が寒くなるような感動で満たされました こういう感覚は数多くコンサートを聴いていても数えるほどしかありません 

私がテミルカーノフの指揮によるコンサートを聴くのは2015年6月の読響コンサート(マーラー「交響曲第3番」)以来ですが、正直に言って あの時は今回ほど強い印象がありませんでした しかし、今回 ラフマニノフを聴いて すっかりテミルカーノフのファンになりました   素晴らしい指揮者だと思います

 

     

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新交響楽団第241回演奏会のチケットを取る / フランソワ・トリュフォー監督「逃げ去る恋」を観る~「アントワーヌ・ドワネルの冒険」シリーズ最終編 / 井岡瞬著「代償」を読む~徹底した悪人を描く

2018年02月10日 08時02分41秒 | 日記

10日(土)。昨夕、元の勤務先NPCの同僚S氏とE氏と私の3人で西新橋のHCビル地下のK亭で遅い新年会をやりました 退職後の職場の厳しい現状に思いを馳せつつ、われわれはもう卒業してしまったからどうしようもないよな、と嘆くことしきりでした そこで3時間ほど生ビールと日本酒の冷酒を飲んで、新橋駅近くのカラオケ・ボックスに移り、約1時間 一人4曲程度 歌いました    3人が歌ったのは 矢沢永吉、高橋真梨子、沢田研二、森進一、はしだのりひこ、小林旭、加山雄三といった昭和の歌ですが、男だけ3人のカラオケって何とも侘しく、やっぱり女性がいないと味気ないなあ、と思ったりしました

話は180度変わりますが、昨日 整骨院に行く途中の民家の壁に下の掲示を発見しました 犬のフンの後始末について、飼い主に注意を呼びかける掲示はどこでも見かけますが、犬に呼びかける掲示を見たのは これが初めてです 「犬に日本語は読めないよ」とフン害するのは犬当違いの野暮というもので、「座布団1枚」と声をかけるのが犬識というものです 

こういう意外な発見は「路上考現学」の研究対象になるでしょうか? これからも面白そうな発見があったらご紹介していこうと思います

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で1228日目を迎え、トランプ米大統領は 昨年7月14日のフランス革命記念日にマクロン大統領に招かれた際 パリで見た軍事パレードに刺激を受け、首都ワシントンで大規模な軍事パレードを計画するよう国防総省に命じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「軍事パレード超カッコいい!  ボクもやってみたいなぁ」って まるでガキだな

 

                 

 

4月22日(日)午後2時から東京芸術劇場コンサートホールで開かれる「新交響楽団第241回演奏会」のチケットを取りました プログラムは①シュミット:歌劇「ノートルダム」より「間奏曲」と「謝肉祭の音楽」、②コルンゴルト「劇的序曲」、③シューベルト「交響曲第8番”ザ・グレート”」です 指揮は寺岡清高です。私はコルンゴルトが好きなので「劇的序曲」に期待します

 

     

 

        

 

早稲田松竹で、フランソワ・トリュフォー監督「逃げ去る恋」を観ました。これは監督・脚本・台詞フランソワ・トリュフォーによる1978年フランス映画(94分)です ジャン・ピエール・レオー主演の「アントワーヌ・ドワネルの冒険」シリーズの第5話にして最終編です

アントワーヌは印刷所で校正係として働きながら、新たな若き恋人のサビーヌと交際している自分の恋愛体験を小説にまとめて出版したアントワーヌは、別居を続けていた妻クリスティーヌと協議離婚した。ある日、妻が引き取る息子アルフォンスを音楽学院の合宿にやるため、駅まで見送りに来たアントワーヌは、反対ホームの列車に「二十歳の恋」で描かれた昔の恋人コレットを見かけて、思わず列車に飛び乗ってしまう 彼女と昔話に花を咲かせ お互いの境遇を語り合う

 

     

 

この映画の特徴は「アントワーヌ・ドワネルの冒険」シリーズの第1作「大人は判ってくれない」から第4話「家庭」までの登場人物が回想シーンとして再登場していることです  いわば「シリーズ集大成」といったところです

この映画を観ていると、これまでの一連のシリーズで主役のアントワーヌ・ドワネルを演じたジャン・フィリップ・レオ―は、フランソワ・トリュフォー監督の分身とも言える存在ではないか、と思われてきます

 

        

 

井岡瞬著「代償」(角川文庫)を読み終わりました 著者の井岡瞬は東京生まれ。広告会社勤務を経て、2005年「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞してデビューしました

 

     

 

世田谷区の団地で両親と暮らす小学5年生の奥山圭輔は平凡な生活を送っていたが、煙草の火の不始末による火事で両親を亡くし、遠縁にあたる浅沼家が身元引受人になることになった 浅沼家に身を寄せることになった圭輔は同学年の達也と暮らすことになったが、浅沼家は圭輔に冷たく当たり、圭輔は過酷な思春期を送ることになった その後、親友の諸田寿人とその親戚筋の牛島夫妻の助力により、浅沼家を出ることになった圭輔は、進学して弁護士になる そこで、強盗致死事件の容疑者として逮捕された人物から名指しで弁護の依頼を受ける。依頼人は、親の離婚で浅沼から安藤姓に変わった達也だった 気が進まない圭輔だが、悩んだ末引き受けることになる。その事件とは、板橋区の運送会社が強盗に襲われ、社員の一人が撲殺された。犯人は93万円余を奪って逃走した。遺留品はなかったが、内部事情に詳しい者の犯行との見方から、1か月前に勤務態度の不良を理由に解雇された達也が浮かび上がったーというものだった 皮肉にも最も弁護したくない容疑者の弁護をするべく法廷闘争が繰り広げられる

この作品は、前半が主人公・圭輔の過酷な少年時代を描き、後半が弁護士となった圭輔の法廷での活躍を描いています 前半で、いかに浅沼家の母親・道子と達也が圭輔に酷い仕打ちをしたかを描き、後半で彼らの罪を断罪します 徹底した悪人とはどういう人物かが克明に描かれていて、「こんな奴は生かしておいてはならない」と憤る読者のために、因果応報の結末が用意されています 途中で読むのを止めるのが惜しくなるほど面白くて一気読みしました。お薦めします

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高関健+桐榮哲也+東京シティ・フィルでラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、ブラームス「交響曲第1番」他を聴く~熱演で会場の温度が上昇

2018年02月09日 08時06分25秒 | 日記

9日(金)。わが家に来てから今日で1227日目を迎え、江崎鉄麿沖縄・北方相が7日の衆院予算委員会で、同日の「北方領土の日」を「沖縄北方の日」と言い間違えた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      安倍内閣の閣僚人事の一部は 不適材不適所 だということが良く分かる発言だな

 

        

 

昨日、夕食に「ニラのスタミナ丼」「生野菜とタコとツナのサラダ」「ウインナとエノキダケとチンゲン菜のスープ」を作りました 「すた丼」は、大学院の卒論作成のため2日に一度程度しか家に帰らない息子の好みを忖度して作りましたが、今朝になっても 家に帰ってきません 前回作った時ニラが少なかったので今回は多めに入れましたが、上に乗せた卵黄が崩れてしまいインスタ映えしなくなったのが残念です

 

     

 

        

 

昨夕、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで東京シティ・フィルのコンサートを聴きました これは「2018都民芸術フェスティバル」参加公演で、プログラムは①ドヴォルザーク:交響詩「真昼の魔女」、②ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」、③ブラームス「交響曲第1番ハ短調」です ②のピアノ独奏は桐榮哲也、指揮は常任指揮者・高関健です

 

     

 

オケの面々が配置に着きます。弦楽器は左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置、いわば”高関シフト”です コンマスは戸澤哲夫さん

高関氏が登場し1曲目のドヴォルザーク:交響詩「真昼の魔女」作品108の演奏に入ります

この曲はチェコの詩人カレル・ヤロミール・エルベンの詩集「民間伝承の花束」に収録された物語詩を基に書かれたとのことです この交響詩の内容は、「騒ぐ息子をなだめるために『真昼の魔女を呼ぶ』と言うと、小さな魔女が現れて踊り出すが 教会の鐘とともに消えてしまう。しかし、父親が家に帰ると妻と息子が倒れていて、妻は生き返るが息子は息を引き取る」という内容です

フルート、ファゴット、クラリネットといった木管楽器を中心に昔話の世界を彩っていきます 15分程度の短い曲ですが、色彩感溢れる音の物語を堪能しました

2曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」です コントラバスが舞台左サイドにスタンバイしているため、右サイドに置かれていたグランド・ピアノがセンターに運ばれます

ラフマニノフは1892年にモスクワ音楽院作曲課を首席で卒業したものの、1897年に行われた交響曲第1番の初演が失敗に終わり、それがトラウマになり作曲活動に集中できなくなってしまいました いわゆる「スランプ」ですね。その後、1900年の春に精神科医ニコライ・ダーリ博士の催眠療法を受けたのをきっかけに、彼は自信を取り戻し 再び作曲に挑んだのがこの「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」でした 1901年10月に開かれた初演コンサートではラフマニノフ自身がピアノを弾き、大成功を納めたことから自信を取り戻したと言われています この曲は第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の桐榮哲也(とぅえい てつや)が指揮者と共に登場します。桐榮氏は桐朋学園を経て、ベルリン芸術大学を卒業。パリ・エコールノルマル音楽院で学んだとのことで、内外のコンクールに入賞しています

第1楽章は独奏ピアノが鐘の音を模した和音により開始され、次いでオーケストラが第一主題を力強く演奏します 第1ヴァイオリンにチェロがかぶさって聴こえてくる厚みのある美しい音にビックリしました シティ・フィルの弦楽器の素晴らしさを再認識した瞬間でした 

高関健氏の指揮で曲を聴いて いつも思うのは、「音楽と共に呼吸が出来る」ということです これは高関氏のテンポ設定が常に人間の自然な生理に呼応している証左だと思います 不思議にも、他の指揮者ではこういう風に感じることはあまりありません さらに、彼の指揮は演奏者にとってとても分かり易いのではないか、と感じます

第2楽章ではフルート(竹山愛さん?)の演奏が素晴らしかった 第3楽章のフィナーレはピアノとオケが渾然一体となって熱演を繰り広げ深い感動を呼びました

 

     

 

プログラム後半はブラームス「交響曲第1番ハ短調」です ブラームスにとってベートーヴェンの9つの交響曲は高く聳える山脈のような存在でした その山脈を超えるレヴェルの高い作品を完成させない限り 交響曲は世に出せないと思い込んでいたのです そんな真面目な性格のブラームスは、最初の交響曲を書くのに、構想から完成(1876年9月)まで20年余りの長い年月を要しました それだけに重厚で充実した作品となり、指揮者ハンス・フォン・ビューローは「この曲はベートーヴェンの第9交響曲に続く第10交響曲だ」と評したと言われています

この曲は第1楽章「ウン・ポコ・ソステヌート」、第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「ウン・ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ」、第4楽章「アダージョ~ピュウ・アンダンテ」の4楽章から成ります

第1楽章がティンパニの連打による序奏によって開始されます ティンパニから始まる曲というとベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」を思い出しますが、共に印象的な開始です この楽章と次の第2楽章では、特にオーボエの演奏が冴えていました また第2楽章の終盤ではコンマス戸澤氏のヴァイオリン独奏が聴かれますが、美しさの極みでした 第3楽章は管楽器と弦楽器の掛け合いが楽しく聴けました

私はこの曲で一番の聴きどころは第4楽章だと思っています 序奏の後半で長調に転じ、ホルンの牧歌的な演奏(「クララへの愛のあいさつ」)が高らかに奏でられますが、このホルンが素晴らしく、それを受け継ぐフルートがまた素晴らしく、背筋が寒くなるほどでした 次に弦楽器によって有名な第1主題が演奏されますが、高関氏は急にテンポを落として もったいぶったりせず、むしろオケに淡々と演奏することを求めていたのが良かったと思います フィナーレはシティ・フィル総力を挙げての渾身の演奏で、会場の温度を上昇させました

鳴りやまない拍手とブラボーに、アンコールとしてブラームス「ハンガリー舞曲第1番」をノリノリで演奏し、再度会場の温度を上昇させました

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