人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

コルネリウス・マイスター ✕ 読売日響で R.シュトラウス 交響詩「ドン・キホーテ」、歌劇「カプリッチョ」から前奏曲と月光の音楽、歌劇「影のない女」による交響的幻想曲を聴く

2018年06月20日 07時57分53秒 | 日記

20日(水)。わが家に来てから今日で1357日目を迎え、2018 FIFA ワールドカップ ロシア・グループステージ第1戦が19日に行われ、日本代表がコロンビア代表と対戦し2-1で初戦を勝利で飾った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     最初の勝ちは〇〇っ勝ち というから 油断しないで引き締めて行こうぜ 西野くん!

 

         

 

 昨日、夕食に「鶏肉とホウレンソウの卵とじ」「生野菜と生ハムのサラダ」「豚汁」を作りました 「鶏肉と~」は初挑戦ですが、何とか美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで読売日響第579回定期演奏会を聴きました オール・リヒャルト・シュトラウス・プログラムで①交響詩「ドン・キホーテ」、②歌劇「カプリッチョ」から前奏曲と月光の音楽、③歌劇「影のない女」による交響的幻想曲です ①のチェロ独奏は石坂団十郎、ヴィオラ独奏は柳瀬省太、指揮はコルネリウス・マイスターです

指揮者のコルネリウス・マイスターは、1980年ハノーファー生まれ。弱冠24歳で 2005年からハイデルベルク市立劇場の音楽総監督に、10年からウィーン放送交響楽団の首席指揮者兼芸術監督を務めています 2017年4月から読響首席客員指揮者を務めており、今年9月からシュトゥットガルト歌劇場の音楽総監督に就任することが決まっています

チェロ独奏を務める石坂団十郎は日本人とドイツ人の両親のもとに生まれ、ミュンヘン国際音楽コンクール、ルトスワフスキ国際コンクールなど数多くの国際コンクールで優勝しています 現在、バーゼル音楽院とベルリン芸術大学で教鞭を執っています 使用楽器は日本音楽財団から貸与された1730年製ストラディヴァリウス「フォイアマン」です

ヴィオラ独奏を務める柳瀬省太は東京藝大、桐朋学園ソリスト・ディプロマコースで学び、ジュネーヴ国際音楽コンクールのディプロマ賞を受賞しています。神奈川フィルの首席を経て、14年から読響ソロ・ヴィオラ奏者を務めています

 

     

 

演奏に先立って、6月16日に死去した読響名誉指揮者 ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーへの哀悼の意を込めて、チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」から「情景/冬の松林」が演奏されました

オケは左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対向配置をとります コンマスは小森谷巧、その隣は東響のアシスタント・コンマスの廣岡克隆氏と思われます レンタルしましたね

1曲目は交響詩「ドン・キホーテ」作品35です この作品はリヒャルト・シュトラウス(1864‐1949)が1897年に作曲した交響詩で「騎士的な主題による幻想的変奏曲」という副題を持っています。主人公は、17世紀スペインの作家セルバンテスの名作で知られる猪突猛進の夢想主義者の騎士ドン・キホーテの物語を読み過ぎて、自らがドン・キホーテに成り切って痩せ馬ロシナンテにまたがり、従者サンチョ・パンサを伴って遍歴の旅に出るというストーリーです 演奏では独奏チェロ(石坂団十郎)がドン・キホーテを、独奏ヴィオラ(柳瀬省太)がサンチョ・パンサの役割を担います

曲は主題(主従の二人)と10の変奏(原作の数々のエピソード)という形式をとり、冒頭に序奏を、最後に終曲を付け加えています

ソリストの二人が登場し指揮台の左右に分かれますが、左サイドのヴィオラ・セクション側に柳瀬氏が、右サイドのチェロ・セクション側に石坂氏がスタンバイします 

マイスターの指揮で序奏から入りますが、私はこの曲自体がどうもピンときません 実は この曲はルドルフ・ケンペ✕スターツカペレ・ドレスデンのCDで予習をしておいた(5回は聴いた)のですが、この曲のどこがいいのかさっぱり分からないのです この曲のほか「英雄の生涯」「家庭交響曲」あたりもそうです 結局、これらの曲の主人公はリヒャルト・シュトラウス自身だし、作品は大管弦楽による彼の誇大妄想の発露に過ぎないと思うからです 「ばらの騎士」をはじめとする素晴らしいオペラを書いている人の作品とは思えません

 

     

 

そういうわけで、二人の独奏は聴きどころ満載(特に終曲)でしたが、大変申し訳ないのですが、曲自体に魅力を感じないのでコメントのしようがありません

2曲目は歌劇「カプリッチョ」から前奏曲と月光の音楽です 歌劇「カプリッチョ」はリヒャルト・シュトラウスの最後のオペラで、1941年に作曲され、翌42年にバイエルン国立歌劇場で初演されました 登場人物たちがオペラという芸術について議論を繰り広げるという内容です。「前奏曲」はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ各2本ずつによる弦楽六重奏によって演奏されます 弦楽器の最前列の6人(小森谷、廣岡、柳瀬、鈴木、遠藤、富岡)による演奏は叙情的かつ優美です 曲想としては、シェーンベルクの曲の中で私が唯一理解できる「清められた夜」のような感じでした 「月光の音楽」はホルン(松坂隼)が静かに叙情的な旋律を奏でる中、管弦楽が物語を語っていきます

 

     

 

プログラム後半は歌劇「影のない女」による交響的幻想曲です オペラ「影のない女」は1917年に作曲され、1919年にウィーンで初演されました この「交響的幻想曲」は、その主要な楽曲部分を基に編作した作品です

金管楽器、打楽器が大幅に拡大します。前半でソロを務めた柳瀬氏もオケの入ります

マイスターの指揮で演奏に入ります。この曲は「ドン・キホーテ」と違ってオペラが元になっているため、耳に馴染みやすい曲想がふんだんに聴かれ、親しみを感じました 大管弦楽によるゴージャスなサウンドの音楽なので読響にはピッタリです

 

     

 

 

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中山七里著 「恩讐の鎮魂曲(レクイエム)」 を読む ~ 「どんでん返し」以上に モーツアルト 「レクイエム」 の 「ラクリモーサ(涙の日)」 の卓越した文章表現力に驚嘆!

2018年06月19日 07時51分16秒 | 日記

19日(火)。わが家に来てから1356日目を迎え、トランプ米大統領が17日、米韓合同軍事演習の中止方針について、米朝首脳会談で北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長から求められたのではなく、「私の要請だった」とツイートした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     否定はしない 北朝鮮の非核化の費用は日韓で負担しろというのもあんたの要請だ

 

         

 

昨日、夕食に「カレーライス」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました たまにカレーが食べたくなります

 

     

 

         

 

中山七里著「恩讐の鎮魂曲(レクイエム)」(講談社文庫)を読み終わりました 中山七里の作品はこのブログでも数多くご紹介してきました 1961年 岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し2010年にデビューし、その後数々のミステリー作品を世に送り出してきました この「恩讐の鎮魂曲(レクイエム)」は、「贖罪の奏鳴曲(ソナタ)」「追憶の夜想曲(ノクターン)」に次ぐ 御子柴礼司シリーズの第3作に当たります

 

     

 

14歳の時に殺人を犯した御子柴礼司は、医療少年院で生活を送った後、独学で勉強して司法試験に合格、弁護士を開業しているが、敏腕ではあるが金に汚く、裁判に勝つためなら手段を選ばないという悪評を受けている 犯行時の園部信一郎という名を御子柴礼司に改めて弁護士活動を続けていたが、過去の凶悪犯罪が暴露されたことから依頼者が激減し、事務所を安い物件に移さざるを得なくなっていた そんな折、少年院時代の教官・稲見武雄が殺人容疑で逮捕されたというニュースを知る  国選弁護人は決まっていたが、御子柴は恩師を救いたい一心で悪智恵を使ってその弁護の仕事をもぎ取る

事件は、特別養護老人ホームの入居者である かつての恩師・稲見がホームの職員・栃野を撲殺したというものだったが、稲見は最初は御子柴を拒否する 何とか説得して承諾させるが、「自分は職員を殺したことは間違いないのだから罪を認め服役する」と言い張ってきかない 背景に何かあると確信した御子柴は老人ホームに入居する老人たち一人一人に、事件当日いったい何があったのか、殺された職員はどういう人間で入居者にどういう態度で接遇していたのか、について聞き出していく 稲見に殺された職員・栃野は過去に、船が遭難した時、自分が助かるために他人に暴力を振るって救命胴衣を奪い取って生き延びた人物だった その時の裁判所の判断は栃野の行為は”緊急避難”であり罰せられないというものだった。御子柴は そんな過去を持つ栃野が老人ホームで何をしていたのかを追求していき、なぜ稲見は栃野を殺害しなければならなかったのかの真相を突き止める

いつものように まさかの どんでん返しが何度もあります   あらかじめ随所に仕組まれた伏線は後できっちり回収され、最初はまったくバラバラだった登場人物たちがどこかで繋がっていることが説明され、「してやられた」と思います。いつもそうですが

どうでもいいことですが、小説の中に 私が勤めていた元の職場のビルに入居するレストランが出てきて「おやっ!?」と思いました(35ページ)。レストラン名は伏せてありますが、何度も利用したことがあるので懐かしく思いました

さて、タイトルの「恩讐の鎮魂曲(レクイエム)」のレクイエムというのは、老人ホームの入居者・小笠原栄という老婦人がいつもCDラジカセで聴いているモーツアルトの「レクイエム  K.626」のことを指します 裁判が終わり、御子柴が再度ホームにいる小笠原婦人を訪ねた時もCDラジカセでレクイエムを聴いていたとして、中山七里はこの曲について次のように記述しています

「CDラジカセの貧弱なスピーカーからでも、死者を悼む曲想の荘厳さが伝わってくる 『レクイエム』(死者のためのミサ曲)はモーツアルトが作曲途中に病死したために未完であったものを、弟子たちが完成させた曰く付きの曲だ 当時のモーツアルトの精神状態を反映してかひどく陰鬱な印象があり、長らく御子柴の琴線には触れなかった。今流れているのは、モーツアルトの絶筆部分とされる第8曲『ラクリモーサ』(涙の日)の冒頭だ。ニ短調のラルゲット8分の2拍子。咽び泣くようなヴァイオリンの調べに乗って女声合唱が哀悼を歌う 伴奏は単調だが、上向しては止まり、また上向しては止まりの反復が祭壇への葬列を連想させる。階段を上がり切ったところで曲調はそこに留まり、女声は静かに啜り泣く。死者への想いと悲劇への慟哭が胸を締めつける。上向と下向をゆっくり繰り返す中、喪失感と祈りが綯い交ぜになって心の襞に入り込んでくる。メロディはいったん平穏になり、在りし日の思い出に遊ぶが、それもひと時で終わる 慰撫される間もなく曲は短調に落ち、突如として入ってきた男声合唱が更なる哀しみを歌うー」

中山七里がここで書いている「ラクリモーサ」は演奏時間にしてわずか4分弱の曲です 実際にフリッチャイの指揮によるCDでこの曲を聴きながら上の文章を読んでみると、彼がいかに的確に音楽を言葉に置き換えているかが分かります

 

     

 

雑誌か何かのインタビューで読んだのですが、「さよならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」「いつまでもショパン」「どこかでベートーヴェン」などの音楽シリーズをはじめ、音楽に関わる作品を多く書いているのにも関わらず、中山氏は音楽に関してはまったくの素人で 楽器の演奏も一切出来ないと語っていました   それでも、上記のような文章が書けるというのは 小説家とはいえ 驚嘆すべきことです もちろん、文章を書くにあたっては CDを聴いたり曲目解説や音楽関連書籍を読んだりという作業は当然のこととして実行していると思いますが、それを自分自身の言葉として表現するには優れた文章力が必要とされます   ボキャ貧の私などは七里どころか百里も引き離されて、中山氏の足元にも及びません

そんなこともあって、私が中山七里の作品を読んでいつも思うのは、「どんでん返しの帝王」と呼ばれる彼のストーリー展開の見事さはもちろんのこと、それ以上に、上記のような類まれな文章力の凄さです

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園田隆一郎✕田中彩子✕東響でモーツアルト「劇場支配人」序曲 「コンサート・アリア」 「交響曲第36番”リンツ”」を聴く ~ 東響モーツアルト・マチネ

2018年06月18日 07時24分18秒 | 日記

18日(月)。昨日は父の日でした。娘が日本酒と箸をプレゼントしてくれました 日本酒は長野県木曽郡の地酒「中乗さん」という銘柄ですが、ラべルのデザインは娘の高校時代の友人で娘とは別の美大に行ったYさんが手掛けたもので50本限定だそうです 箸は私が普段使っている箸の先端が欠けていたのを見かねて買ってくれたのでしょう 「これからも夕食作り、掃除、洗濯、アイロンがけ、その他もろもろのこと よろしくね」という期待が込められているのでしょうが、父親としては素直に嬉しく思います

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で1355日目を迎え、カナダでの主要7か国首脳会議(G7サミット)で、トランプ米大統領が安倍晋三首相に対し「晋三、日本に大量移民を送れば、君はすぐに退陣するぞ」と暴言を吐いていたと米紙ウオールストリートジャーナル(電子版)が15日に報じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      大量移民を送るまでもなく 次々と噴出する国内問題で退陣は時間の問題だと思う

 

          

 

昨日、ミューザ川崎で東京交響楽団の第34回モーツアルト・マチネ「モーツアルト✕アリア」を聴きました プログラムは①モーツアルト:歌劇「劇場支配人」K.486より序曲、アリエッタ「別離の時の鐘は鳴り」、②アーン:オペレッタ「モーツアルト」序曲、③モーツアルト:コンサート・アリア「私はあなたにうちあけたいのです、おお、神よ!」K.418、④同:交響曲第36番ハ長調「リンツ」K.425です ソプラノ独唱は田中彩子、指揮は園田隆一郎です

 

     

 

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。コンマスはグレヴ・二キティンです

1曲目はモーツアルト:歌劇「劇場支配人」K.486より序曲です 「劇場支配人」は1786年に皇帝ヨーゼフ2世の依頼により書かれた作品です 劇のあらすじは「劇団の興業のため、多くの女優や歌手が売り込みに現われ、オーディションが行われる。歌手に応募した2人の女性がお互いに譲らず言い争いになるが、評価は観客に任せようという意見で一致し、芸術の名誉のために和解する」という内容です

園田隆一郎が指揮台に上がり早速演奏に入ります。モーツアルトらしい軽快で弾むような旋律が会場を満たします いかにも劇場の幕が開くに相応しい音楽です

次にソプラノの田中彩子を迎えて「劇場支配人」のアリエッタ「別離の時の鐘は鳴り」が歌われます 真っ赤な衣装の田中彩子が華やかに登場します ウィーンで声楽を学び、22歳でスイスのベルンの州立歌劇場で開かれた「フィガロの結婚」でソリスト・デビューを飾りましたが、同劇場では日本人初、かつ最年少での歌劇場デビューだったことから大きな話題を呼びました 2016年6月にはTBS系列「情熱大陸」に出演したそうです

アリエッタ「別離の時の鐘は鳴り」はモーツアルトが かつて一方的に心を寄せていた歌手アロイジア・ヴェーバー・ランゲのために書いた歌で、歌手のオーディションに自身を売り込みにきたヘルツ夫人が、別れの苦しみを歌うというものです 田中彩子の歌う声を聴いて、他のソプラノ歌手とはちょっと違うな、と思いました どちらかというと、メゾに近いソプラノかな、と思ったのです この曲が短調から始まることからそう感じたのかも知れません。それでも感情を込めて歌う高音部のコロラトゥーラは見事の一言です

再びオケだけの演奏となります。3曲目はレイナルド・アーン(1875‐1947)が1925年に作曲したオペレッタ「モーツアルト」の序曲です アーンはベネズエラに生まれ フランスで活動した作曲家です。熱烈なモーツアルティアンだったこともあり、1778年のモーツアルトのパリ訪問をフィクションを交えてオペレッタとして描いています

園田隆一郎のタクトで演奏に入ります プログラム・ノートに「モーツアルトの曲を思わせる、快活で気品のある曲」と書かれていますが、ちょっと違うのではないか、と思いました この序曲は確かに「快活で気品のある曲」だとは思いますが、聴いた限りでは「モーツアルトの曲を思わせる」ところはまったくありません 私が感じたのは、まるでブロードウェイ・ミュージカルの序曲のようだ、ということです

話はちょっとそれますが、オペレッタがアメリカ大陸に渡ってミュージカルが生まれたということを考えれば、アーンがオペラではなくオペレッタとしてミュージカルのような序曲を作曲したのは理解できます

ここで、再びソプラノの田中彩子を迎えてモーツアルトのコンサート・アリア「私はあなたにうちあけたいのです、おお、神よ!」K.418が歌われます このアリアはイタリアで活動したパスクワーレ・アンフォッシのオペラ「無分別な詮索好き」(1777)に挿入される曲です 侯爵が疑い深さのために婚約者を失ってしまうという内容です

田中彩子が登場、園田の指揮によりアダージョのテンポで音楽が進みます 田中彩子は荒絵理子の奏でる優美なオーボエに乗せて、アロイジア・ヴェーバー・ランゲのために書いたアリアを美しいコロラトゥーラ・ソプラノで歌い上げました


     


最後の曲目はモーツアルト「交響曲第36番ハ長調”リンツ”」K.425です モーツアルトは1782年にコンスタンツェ(前述のアロイジアの妹)と結婚し、1783年7月から10月まで故郷ザルツブルクに帰郷し 妻と滞在しました そしてザルツブルクからウィーンに戻る途中、10月30日にリンツに立ち寄り、音楽愛好家トゥン伯爵の邸宅に滞在し大歓迎を受けます その時、伯爵から11月4日に現地の劇場でコンサートを開くので交響曲を演奏してほしいと頼まれます 大急ぎで作曲したのがこの「リンツ」だったのです したがって、モーツアルトはわずか4~5日間で 演奏時間にして約25分かかる交響曲を作曲したことになります 演奏するには人数分の譜面が必要となりますが、当時はコピー機がなかったのですべて手書きで写譜したことになります。その時間を考慮して、さらにリハーサルの時間を考慮して、となると正味の作曲時間はもっと少なかったはずです にわかには信じがたいものがありますが、これが神童に止まらず真の天才となったモーツアルトなのです

この曲は第1楽章「アダージョ~アレグロ・スピリトーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります この曲は、モーツアルトが第1楽章に序奏を付けた最初の交響曲です

園田隆一郎のタクトで第1楽章が荘重な序曲で開始されます その後 弦楽器と木管楽器によって活気のある音楽が展開しますが、荒絵理子のオーボエ、福井蔵のファゴットが愉悦間に満ちた素晴らしい演奏を展開します また、第3楽章の中間部(トリオ)でもこの二人の演奏が冴えていました

園田隆一郎の指揮は適正なテンポによる軽快な音楽運びで好感が持てました コンサートで演奏されるモーツアルトの交響曲というと、後期の3曲(第39番、第40番、第41番)と、第25番辺りが定番で、第36番「リンツ」は有名な割には演奏される機会があまりありません その意味では、この日のコンサートはモーツアルト好きには貴重な機会になりました

 

 

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「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅢ~弦楽四重奏曲第2番、弦楽六重奏曲第1番」を聴く~豊嶋泰嗣、堤剛も参加~サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン

2018年06月17日 08時10分55秒 | 日記

17日(日)その2.よい子はその1から見てね モコタロはそちらに出演しています

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」で「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅢ」を聴きました   プログラムは①弦楽四重奏曲第2番イ短調作品51-2、②弦楽六重奏曲第1番変ロ長調作品18です 演奏は弦楽四重奏=キュッヒル・クァルテット、ヴィオラ=豊嶋泰嗣(新日本フィル・ソロ コンマス)、チェロ=堤剛です

 

     

 

自席はRb3列12番、右ブロック右から2つ目の席です 会場はかなり埋まっています

1曲目は「弦楽四重奏曲第2番イ短調作品51-2」です ヨハネス・ブラームス(1833‐97)は弦楽四重奏曲を3曲作りましたが、この作品は作品51番として作られた2曲の弦楽四重奏曲の一つです

第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「クアジ・メヌエット、モデラート」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・ノン・アッサイ」の4楽章から成ります

2日前に聴いた第1番の”慟哭”のクァルテットに比べると同じ短調でも かなり聴きやすい曲想です 特に印象深かったのはロベルト・ノーチに代わって来日したエディソン・パシュコによるチェロの演奏で、第2楽章における慰めるような優しい演奏が心に沁みました


     


プログラム後半は、「弦楽六重奏曲第1番変ロ長調作品18」です この作品はブラームスが27歳の時、1860年に作曲されました

第1楽章「アレグロ、マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト」、第4楽章「ロンド:ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ」の4楽章から成ります

キュッヒル・クァルテットの4人にヴィオラの豊嶋泰嗣(新日本フィル・ソロ コンマス)、チェロの堤剛が加わり、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが各2挺の編成となります

この曲はブラームスの室内楽の中では「ピアノ三重奏曲第1番」とともに大好きな作品です

6人の演奏者が登場しスタンバイします 第1楽章が低弦から入り、ヴァイオリンが受け継ぎます。この冒頭の幸福感に満ちた音楽がたまらなく好きです この作品の魅力をひと言でいえば「厚みのある響き」でしょうか なぜブラームスは弦楽四重奏にヴィオラとチェロを加えて弦楽だけの六重奏曲を作ったのかと言えば、この「厚みのある響き」を求めたからだと思います この楽章では、またしてもチェロのエディソン・パシュコの演奏が冴えわたりました

第2楽章はどちらかと言えば感傷的な曲想です。主題と6つの変奏曲から成りますが、ピアノ・ソロのために「主題と変奏  ニ短調」として編曲され、密かに愛していたクララ・シューマンに献呈されました この変奏曲は聴きごたえがありました

第3楽章は一転、陽気な雰囲気のスケルツォで、キュッヒルはじめ演奏者が楽しんで演奏している様子が窺えました そして 第4楽章に入りますが、第1楽章の幸福感に満ちた音楽に通じる明るく希望に満ちた音楽が奏でられます ここでもチェロのパシュコの演奏が光ります。「代打パシュコ」は大成功だったのではないでしょうか

鳴り止まない拍手に6人は今演奏したばかりの「弦楽六重奏曲第1番」の第3楽章「スケルツォ」をアンコールに演奏し、会場いっぱいの拍手を浴びました

 

     

 

「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン2018」は本日(17日)の「フィナーレ2018」公演をもって終了しますが、私はミューザ川崎での東響「モーツアルト・マチネ」を聴きにいくため、昨夕の公演が最後となりました 毎日のようにサントリーホール「ブルーローズ」に通った2週間強でしたが、過ぎてしまえばあっという間でした 楽しいことは時間が経つのが速く感じるものです

来年は6月1日(土)から同16日(日)まで2週間強にわたりサントリーホール「ブルーローズ」で開かれます この間は出来るだけ多くのチェンバーミュージックを聴くため、会員になっているオーケストラの定期公演以外は予定を入れないつもりです

 

     

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「ENJOY!室内アカデミー・フェロー演奏会Ⅱ」を聴く~サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン~”卒業”して旅立つ若者たちに望むこと

2018年06月17日 07時27分18秒 | 日記

17日(日)その1.わが家に来てから今日で1354日目を迎え、サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の第2日のポルトガル対スペインの試合で、ポルトガルのロナルドが、自身W杯初のハットトリック(1試合3得点)を達成した  というニュースを見てお友だちと会話をするモコタロです

 

     

      モコ:帽子から鳩を出す手品なら出来るよ 友だち:それは鳩トリックでしょ!

 

         

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」で、午前10時半から「ENJOY!室内楽アカデミー・フェロー演奏会Ⅱ」を、午後7時から「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅢ」を聴きました ここでは「ENJOY!室内楽アカデミー・フェロー演奏会Ⅱ」について書きます。これはサントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデンの一環として開かれたコンサートです

プログラムと演奏者は①メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第6番」より第1・2楽章(アミクス弦楽四重奏団)、②ラヴェル「弦楽四重奏曲」より第1・2楽章(北垣彩ほか)、③ブラームス「ピアノ三重奏曲第2番」より第1・4楽章(トリオ・デルアルテ)、④シューベルト「弦楽五重奏曲」より第4楽章(アルネア・カルテット)、⑤シューベルト「ピアノ三重奏曲第1番」より第1楽章(白井麻友ほか)、⑥ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第8番”ラズモフスキー第2番”」より第3・4楽章(アルネア・カルテット)、⑦ブラームス「ピアノ三重奏曲第3番」より第2・3・4楽章(レイア・トリオ)です

 

     

 

1曲目はメンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第6番ヘ短調作品80」より第1・2楽章です この曲はメンデルスゾーン(1809‐47)が晩年の1847年7月に作曲に取り掛かり9月に完成した作品です 作品40の3曲の弦楽四重奏曲を作曲して以来9年ぶりの作品です。作曲の2か月前の5月14日に4歳年長の最愛の姉ファニーが他界したことから、この曲はメンデルスゾーンにしては悲劇的な内容となっています 彼はその半年後の11月4日に姉の後を追うように天に召されました。初演は彼の死の1年後の1848年11月4日にヨーゼフ・ヨアヒムらにより行われました

第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ」、第2楽章「アレグロ・アッサイ」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

演奏する「アミクス弦楽四重奏団」は、ヴァイオリン=宮川奈々(N響第1ヴァイオリン奏者)、宮本有里(藝大フィルハーモニア)、ヴィオラ=山本周、チェロ=松本亜優から成ります

このクァルテットは前回のフェロー・コンサートで「バルトークの第4番」を弾き、素晴らしい演奏を展開したので期待が高まります

4人が登場し早速第1楽章に入ります 冒頭から不穏な雰囲気の音楽が展開します。言葉で表せば「慟哭」の音楽です 第2楽章も悲しみが疾走します。4人の真摯な演奏からメンデルスゾーンの深い悲しみが伝わってきます。緊張感に満ちた素晴らしい演奏でした

2曲目はラヴェル「弦楽四重奏曲ヘ長調」より第1・2楽章です この作品はモーリス・ラヴェル(1875‐1937)が1902年12月から03年4月にかけて作曲し、敬愛する師ガブリエル・フォーレに献呈されました

第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「十分に活き活きと。きわめてリズミカルに」、第3楽章「きわめて緩やかに」、第4楽章「活き活きと、激しく」の4楽章から成ります

演奏は、ヴァイオリン=石倉搖子、竹本百合子、ヴィオラ=井上祐吾、チェロ=北垣彩です このユニットは前回のフェロー・コンサートで「ラズモフスキー第3番」の第4楽章を弾き、チェロの北垣彩さんの演奏が印象に残っています

4人の演奏者が登場しさっそく第1楽章に入ります ラヴェル特有の宙に浮いたような浮遊感が会場を包み込みます ヴァイオリンが、ヴィオラが、チェロがよく歌い、色彩感溢れる演奏を展開しました


     


3曲目はブラームス「ピアノ三重奏曲第2番ハ長調作品87」より第1・4楽章です この曲はヨハネス・ブラームス(1833‐1897)が1880年から82年にかけて作曲した作品で、1882年12月29日にフランクフルトで、フーゴ―・へールマンのヴァイオリン、ミュラーのチェロ、ブラームスのピアノにより初演されました

第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「スケルツォ:プレスト」、第4楽章「アレグロ・ジョコーソ」の4楽章から成ります

演奏する「トリオ・デルアルテ」は、ヴァイオリン=内野佑佳子、ヴィオラ=金子遙亮、ピアノ=久保山菜摘から成りますが、前回のフェロー・コンサートでは「大公トリオ」を演奏し、とくにヴァイオリンの内野佑佳子さんの演奏が強く印象に残りました

3人が登場し第1楽章に入ります。渋い曲ですが、その渋さがよく出た演奏で、ブラームス好きにはたまらない演奏です。第2楽章はブラームスの円熟した境地に達した音楽ですが、今回も内野佑佳子さんのヴァイオリンが冴え、また、今回はピアノの久保山菜摘さんの演奏がとても印象に残りました  個人的な希望を言えば、どうせピアノ三重奏曲を演奏するなら大好きな第1番を選んでほしかったと思います

プログラム前半の最後は、シューベルト「弦楽五重奏曲ハ長調D.956」より第4楽章です この作品はフランツ・シューベルト(1797‐1828)が最晩年の1828年夏に作曲された遺作です。初演は彼の死後の1850年でした

第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「スケルツォ(プレスト)~トリオ(アンダンテ・ソステヌート)」、第4楽章「アレグレット」の4楽章から成ります

楽器編成はヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ2という低音域の充実を図ったものになっています

演奏するのは「アルネア・カルテット」(ヴァイオリン=山懸郁音、今高友香、ヴィオラ=川上拓人、チェロ=清水唯史)とチェロの日下部杏奈です

5人が登場し、さっそく第4楽章の演奏に入ります シューベルトらしい愉悦間に満ちた舞曲風の音楽です。5人は歌心に満ちた演奏を展開しました

このコンサートでは、演奏が終わったグループの代表がマイクを持って演奏を振り返り、次の曲を紹介するのですが、チェロの清水君がマイクを持って次のように話しました

「今 演奏したシューベルトの弦楽五重奏曲は全4楽章を演奏すると50分はかかります   私は今まで2回ほどこの曲を演奏した経験がありますが、この第4楽章だけでも疲れるのに、全楽章を弾くと最後には手が攣りそうになります  それほど演奏が難しい作品です。今日は4楽章だけでしたが、一生懸命弾きました。この後20分間の休憩があり、その後 後半に移ります

その直後「ただいまから15分間の休憩に入ります」と場内アナウンスが流れたので、場内がわっと沸きました   清水君、5分の差をどう埋め合わせしてくれるのよ


     


休憩後の1曲目はシューベルト「ピアノ三重奏曲第1番変ロ長調D.898」より第1楽章です シューベルトはピアノ三重奏曲を4曲作っていますが、最初の曲(D28)は15歳の時の作品で、残る3曲は1827から28年にかけて作曲されました この作品はシューベルトの晩年の1827年に作曲しその年の12月26日に公開初演されました

第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・ウン・ポコ・モッソ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ~プレスト」の4楽章から成ります

演奏はヴァイオリン=白井麻友、チェロ=秋津瑞貴、ピアノ=高橋里奈です

3人が登場、さっそく第1楽章の演奏に入ります   とても1年後にこの世から消えて居なくなるとは思えないシューベルトが作った明るい曲です 3人は歌心と愉悦間に満ちた演奏を展開しました

演奏後、チェロの秋津君がマイクを持って次のような話をしました

「今回のアカデミーでトリオ・ヴァンダラーの指導を受けるチャンスがあったのですが、『シューベルトは言いたいことをすべて作品に盛り込んでいる したがって、演奏者は作品から自分が感じたものを表現するのではなく、シューベルトが何を感じて作曲したのかを考えて演奏すべきだ』と教えらえた時はハッとしました

特に若い演奏家は多くの人たちと接して幅広い知識を獲得していくことが大切だと思います

後半2曲目はベートーヴェン「弦楽四重奏曲第8番ホ短調作品59-2”ラズモフスキー第2番”」より第3・4楽章です この曲はベートーヴェン(1770‐1827)がウィーン駐在ロシア大使アンドレイ・ラズモフスキー伯爵の依頼により1805年から06年にかけて作曲した3曲の弦楽四重奏曲の内の2番目の作品です

第1楽章「アレグロ」、第2楽章「モルト・アダージョ」、第3楽章「アレグレット」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります

アルネア・カルテット」(前出)の4人が再登場し、第3楽章に入ります この曲は3曲のラズモフスキー中でも短調ながら明るさのある曲で、とくに第3楽章の実質的なスケルツォは聴いていて心地良いメロディーが次々と現われ、思わず口ずさんでしまいます 第4楽章の冒頭の弾むような音楽は行進曲調で喜びに満ちています 4人はメリハリを付けて颯爽と弾き切りました

プログラムの最後はブラームス「ピアノ三重奏曲第3番ハ短調作品101」より第2・3・4楽章です この曲はブラームスが1886年夏に避暑先だったスイスのトゥーン湖で作曲されました 1886年12月20日にブタペストでブラームスのピアノ、イェネー・フバイのヴァイオリン、ダーヴィト・ポッパーのチェロにより初演されました

第1楽章「アレグロ・エネルジコ」、第2楽章「プレスト・ノン・アッサイ」、第3楽章「アンダンテ・グラツィオーソ」、第4楽章「アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

演奏する「レイア・トリオ」は、ヴァイオリン=小川響子(東京フィル・フォアシュピーラー)、ヴィオラ=加藤陽子、ピアノ=稲生亜沙紀から成ります

3人が登場、第2楽章から演奏に入ります この曲もブラームスらしい渋い曲です 第3楽章の室内楽的な響きと第4楽章のシンフォニックな響きとが対照的です やっぱり、小川響子さんのヴァイオリンは素晴らしいと思います そして3人のアンサンブルは見事です 

個人的な希望を言えば、どうせピアノ三重奏曲を演奏するなら大好きな第1番を選んでほしかったと思います あっ、これはさっきも書いたか

全7曲の演奏が終わったところで演奏者全員がステージに再度登場し、カーテンコールに応えました 女性陣は色とりどりの衣装が鮮やかです これをもってアカデミー第4期(2年間)が終了ということになります アカデミーの先輩としては現在東京フィルのコンマスを務めている依田真宣君がいます 彼に次いで小川響子さんが同フィルのフォアシュピーラーに就任しています さて次は誰がプロ・オケのコンマスやフォアシュピーラーとして独り立ちしていくのでしょうか? とても楽しみです 

ここで言っておきたいのは、あなた達は恵まれているということです 誰のお陰で好きな音楽が出来るのでしょうか? 感謝の気持ちを忘れないでほしいと思います それぞれの若者たちの今後の活躍を期待しています

 

     

 

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アシュケナージ✕庄司紗矢香✕ヴィキンガ-・オラフソン✕N響でメンデルスゾーン「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲」、コダーイ「ハーリ・ヤーノシュ」、ヤナーチェク「タラス・ブーリバ」を聴く

2018年06月16日 07時58分19秒 | 日記

16日(土)。昨日は娘が1泊旅行に出かけたので、夕食は作りませんでした 自分だけのためには作る気がしません。私にとって料理は家族のために作るものです

料理と言えば、昨日の朝日朝刊の料理欄に「食中毒を防ぐ」として、食中毒予防の視点からは「加熱せずに食べる食品を先に調理すること」と書かれていました 例えば 肉魚料理と野菜サラダを作る場合、野菜サラダから先に作るということです。これは肉を切った時に包丁や手に着いた菌が野菜に移らないようにということです   私はいつも野菜サラダ ⇒ スープ・味噌汁 ⇒ 肉魚料理の順番に作っているので、衛生面からは合理的に調理をしていたことになり、安心しました ただ、記事に「まな板は野菜用と肉魚用と2枚を用意する」と書かれていましたが、そこまでやるか と思いました

ということで、わが家に来てから今日で1353日目を迎え、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案が15日の衆院内閣委員会で、自民・公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決された というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       火事の法案じゃないんだから そんなに焦って強行採決しなくても 火種が残るぞ

 

         

 

昨夕、NHKホールで第1889回N響定期演奏会を聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲ニ短調」、②ヤナーチェク「タラス・ブーリバ」、③コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」です ①のヴァイオリン独奏=庄司紗矢香、ピアノ独奏=ヴィキンガ-・オラフソン、指揮=ウラディーミル・アシュケナージです

オケはいつも通り、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並びで、コンマスは伊藤亮太郎です

 

     

 

1曲目はメンデルスゾーンの「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲ニ短調」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐47)が自宅でのサロン・コンサートで演奏するために1823年に作曲した作品です この時 彼は弱冠14歳でした 友人でヴァイオリニストのエドゥアルト・リーツのヴァイオリン、メンデルスゾーン自身か姉ファニーのピアノを想定して書かれたと推定されています 最初に弦楽オーケストラ版が、その後フル・オーケストラ版が作曲されました 私は6月3日にサントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデンの「アジアンサンブル@TOKYO」で弦楽オーケストラ版による演奏を聴いたばかりです

この曲は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モルト」の3楽章から成ります

拍手の中、ピアノ独奏の1984年アイスランド生まれのヴィキンガ-・オラフソンとヴァイオリン独奏の庄司紗矢香が登場します 背の高いオラフソンと小柄な庄司とはまるで大人と子どもです アシュケナージの指揮で第1楽章が開始されます この曲は”神童の先輩”モーツアルトのピアノ協奏曲がそうであるように序奏が長く、主人公のピアノとヴァイオリンはまるで女王のように「お待たせ~」とばかりにおもむろに出てきます ヴァイオリンとピアノの登場は短調特有の衝撃があります 不思議だったのは、この序奏部を聴いていたらモーツアルトを聴いているような感覚に陥りました アシュケナージは1962年のチャイコフスキー国際コンクールで第1位を獲得している実力派ピアニストでしたが、モーツアルトも得意にしていました それがタクトに現れたかのようでした。多分、ほかの指揮者だったらこういう経験はしなかったと思います

第2楽章を経て第3楽章に入ると独奏ピアノ+独奏ヴァイオリンとオーケストラとの丁々発止のやり取りが激しく展開し華やかなフィナーレを迎えます 全3楽章を聴いて思うのは、庄司紗矢香のヴァイオリンが活気がなかったのに対し、オラフソンのピアノは絶好調だったということです

二人はアンコールにパラディ―ス「シチリアーノ」を演奏し聴衆のクールダウンを図りましたが、庄司はこの演奏で名誉回復しました

休憩後のプログラムは順番が入れ替わり、1曲目はヤナーチェクの「タラス・ブーリバ」です この曲はレオシュ・ヤナーチェク(1854 -1928)が1915年に作曲(初稿)しましたが、その後抜本的な改訂を加え1918年に完成した作品です ニコライ・イーゴリの小説「タラス・ブーリバ(隊長ブーリバ)」に基づく標題音楽で、ウクライナを舞台に、ポーランド人の支配に反旗を翻したコサック隊長ブーリバと彼の息子たちの活躍を描いています

作品は第1曲「アンドレイの死」(次男アンドレイはポーランド人総督の娘と恋に落ちて仲間を裏切るが、コサック兵の攻撃を受け、父親に射殺される)、第2曲「オスタップの死」(長男オスタップは勇敢なコサック兵として頭角を現すが、ポーランド兵に捕らえられ殺害される)。第3曲「タラス・ブーリバの予言と死」(捕らえられたブーリバは火刑台の上からロシアの輝かしい未来を予言する)の3曲から成ります

アシュケナージのタクトで第1曲が開始されます 冒頭のオーボエ首席・茂木大輔がロマンティックな演奏を繰り広げましたが、彼の独奏は久しぶりに聴きました。やっぱり上手いです 第2曲では、終盤のクライマックスにおける伊藤圭のクラリネットの”最後の叫び”が印象に残りました 第3曲では、フィナーレにおける打楽器と金管楽器との対話が、村上春樹の小説でお馴染みの「シンフォニエッタ」にちょっとだけ似ているな、と思いました

最後の曲はコダーイの組曲「ハーリ・ヤーノシュ」です ハンガリーの国民的作曲家ゾルタン・コダーイ(1882‐1967)は1926年にオペラ「ハーリ・ヤーノシュ」を作曲しましたが、この組曲はその中から6つの音楽を選んで管弦楽用に編曲したものです 主人公のハーリ・ヤーノシュは19世紀初めの歴史上の人物で、ナポレオン戦争の退役兵士です。日がな一日 村人たちを相手に空想から生まれた手柄話をして聞かせるという内容です この曲は次の6曲から構成されています

第1曲「おとぎ話が始まる」、第2曲「ウィーンの音楽時計」、第3曲「歌」、第4曲「合戦とナポレオンの敗北」、第5曲「間奏曲」、第6曲「皇帝と廷臣の入場」。

ハンガリーの民族的な打弦楽器ツィンバロン(チェンバロの弦を耳かきの親分みたいな棒で叩くような楽器)が指揮台の左サイドにスタンバイします

第1曲「おとぎ話が始まる」は、R.シュトラウスの「ティルオイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」の冒頭のような位置づけにある音楽です 第2曲「ウィーンの音楽時計」は楽しい音楽です まるでアニメやメルヘンの世界です 子供にこういう音楽を聴かせたら一度に音楽好きになるでしょう 管楽器群が大活躍します。第3曲「歌」では、冒頭のヴィオラ首席のソロが素晴らしく、中盤では茂木のオーボエが美しい音楽を奏でていました 第4曲「戦争とナポレオンの敗北」では、金管楽器群が大活躍します この作品の一番の聴きどころは第5曲「間奏曲」です ここではツィンバロンが大活躍します。オケの音が大きいのであまり良く聴こえないシーンが少なくなかったのが残念でした 第6曲「皇帝と廷臣たちの入場」では金管楽器と打楽器が戦勝に湧く宮廷を描きます

以上のようにプログラム後半は物語性を持った作品を2曲揃えたプログラムでしたが、聴いていて面白いのは断然「ハーリ・ヤーノシュ」です 要するに夢物語なので肩の力を抜いて気軽に聴ける音楽です

この日指揮をとったアシュケナージは今年81歳とのこと。ステージへの入退場に小走りしたりしているのを見ると、大丈夫かな、と心配になりすが、指揮台に上がるとシャキッとするのはさすがです

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「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅡ~弦楽四重奏曲第1番、ピアノ五重奏曲」を聴く~ピアニスト福間洸太朗を迎えて~女性客が多いのはなぜ? サントリー チェンバーミュージック

2018年06月15日 07時52分32秒 | 日記

15日(金)その2.よい子はその1から見てね モコタロはそちらに出演しています

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」で「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅡ~弦楽四重奏曲第1番、ピアノ五重奏曲」を聴きました 演奏は弦楽四重奏=キュッヒル・クァルテット、ピアノ=福間洸太朗です

ウィーン・フィルのコンマスを45年間も務めた実績を誇るライナー・キュッヒル率いる「キュッヒル・クァルテット」はOBのキュッヒルを除く全員がウィーン・フィルの現役メンバーです なお、チェロは自己都合で出演できなくなったロベルト・ノーチに代わりウィーン・フィルのエディソン・パシュコが演奏します

 

     

 

自席はC4列12番、センターブロック右通路側です 会場は満席に近いでしょうか

1曲目は「弦楽四重奏曲第1番ハ短調作品51-1」です この作品はヨハネス・ブラームス(1833‐97)が40歳の時=1873年に作曲されました

第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ロマンツェ:ポコ・アダージョ」、第3楽章「アレグレット・モルト・モデラート・エ・コモド」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

調性に注意しましょう。「ハ短調」はブラームスが長い年月をかけて苦難のうえ作曲した「交響曲第1番ハ短調作品68」と同じ調性です

4人が登場し、さっそく第1楽章が開始されます 冒頭から緊張感に満ちた曲想は 第1交響曲のように付け入る隙がない充実した音楽です ひと言でいえば「慟哭の音楽」です 別の言葉で表現すれば「聴いていて息苦しさを感じる音楽」です 多分、ブラームスが嫌いだと言う人は、こういうところが嫌なんでしょうね 第2楽章は一転、穏やかで幸福感に溢れた音楽です 第3楽章を経て第4楽章「アレグロ」に至りますが、第1交響曲のように最後に”勝利の音楽”が待っているわけではありません。悲劇は悲劇のまま終わってしまいます この辺がベートーヴェンと違うところでしょうか


     


休憩時間にイレに行きましたが、先日のカザルス弦楽四重奏団の「ベートーヴェン・サイクル」の時とは打って変わって、女子トイレに長蛇の列ができています 思い返してみれば、この日は女性の聴衆がかなり目立っていました ブラームスと女性が素直に結びつかなかったので よくよく考えて、次に演奏するイケメン ピアニストの福間洸太朗目当てではないか、と推測しました。これって偏見でしょうか

その後 ホワイエでコーヒーを飲みましたが、カウンター後方の壁に設置されたモニター画面に、今 大ホールで演奏されているフランクフルト放送交響楽団の演奏の模様が映し出されていて、ちょうどラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」の最終楽章が演奏されているところでした ピアニストは韓国のチョ・ソンジン、指揮はアンドレス・オロスコ・エストラーダのようです 例の爺さんは幸いにもブルーローズに来なかったので 大ホールで大きな顔をしているのだろうか、と思ったりしました


     

 

休憩後の2曲目は「ピアノ五重奏曲ヘ短調作品34」です 1862年に29歳のブラームスはこの曲を「弦楽五重奏曲」として書きましたが、その後ヨーゼフ・ヨアヒムらのアドヴァイスを受けて「2台のピアノ」用に改作し、さらに敬愛するクララ・シューマンの助言を得て「ピアノ五重奏曲」として2度目の改作を行いました 要するに、ブラームスは最後は密かに愛していたクララの意見を取り入れるのですね でも、そのお陰で歴史的な傑作が生まれたのです

第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ、ウン・ポコ・アダージョ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:ポコ・ソステヌート~アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

イケメン・ピアニスト福間洸太朗がキュッヒル・クァルテットとともに登場し、さっそく第1楽章の演奏に入ります 何なんでしょうか、このパッションは 秘めた情熱が一気に外に向けて噴き出したような曲想です ドラマティックな曲とはこういう作品のことを言うのだろうか 5人はその曲想の通りドラマティックな演奏に徹します 第2楽章はテンパった第1楽章の肩こりをほぐすような、ゆったりした音楽ですが、第1ヴァイオリンのキュッヒル、第2ヴァイオリンのフロシャウアーによる演奏を聴いていて、「ああ、これこそウィーン・フィルの音」と心の中で叫んでいました キラキラ輝いているというか、独特の艶があるというか、とにかくウィーン・フィルならではの音色を持っています

さて、この曲のハイライトは何と言っても第3楽章「スケルツォ:アレグロ」です ブラームスの曲の中で「スケルツォ」が一番印象に残る作品は何ですか?という質問があったら、私は躊躇なく「ピアノ五重奏曲ヘ短調」と答えるでしょう この楽章には力強い推進力があり、喜びがあります 聴いていて「音のカタルシス」を感じます。福間のピアノと弦楽合奏との丁々発止のやり取りが見事で、聴きごたえがあります 特に素晴らしいのは、ピアノと弦楽器のリズムがズレることによって生じるダイナミズムです そして、第4楽章の緊張感に満ちたフィナーレを迎えます 

会場いっぱいの拍手とブラボーに、5人は今演奏したばかりの「ピアノ五重奏曲」の第3楽章「スケルツォ」を演奏し 再度 大きな拍手喝さいを浴びました


     

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第5回東京藝大モーニングコンサートで小野拓真「渦紋~管弦楽のための」、メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」(Vn:髙木凛々子)を聴く / 透明なコカ・コーラを飲んでみる

2018年06月15日 00時07分39秒 | 日記

15日(金)その1.わが家に来てから今日で1352日目を迎え、山陽新幹線博多発東京行 のぞみ176号 が14日午後2時前後に博多―小倉間で人をはねた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                  新幹線で人身事故なんて滅多に聞かないな  よい子は線路で遊ぶのは止めようね

 

         

 

昨日、夕食に「肉豆腐」「生野菜とアボカドのサラダ」「男前豆腐シラス乗せ」を作りました 豆腐料理がダブっているって? そういう細かいこと言うと嫌われますよ

 

     

 

         

 

コカ・コーラシステムが11日に「コカ・コーラ クリア」(500ミリリットルで税抜き140円)を発売しました コカ・コーラブランドとして初の透明飲料だそうです。黒いカラメルは使わず、様々な香料や果汁を加えコーラの風味を実現したとのことで、カロリーはゼロとしています 私は普段 コーラ類や缶コーヒーの類を飲む習慣はありませんが、近くのコンビニで売っていたので さっそく手に入れて飲んでみました   クリアにコカ・コーラの味がしました

 

     

 

         

 

昨日、午前11時から東京藝大奏楽堂で藝大モーニングコンサートを、午後7時からサントリーホール「ブルーローズ」で「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅡ~弦楽四重奏曲第1番、ピアノ五重奏曲」を聴きました ここでは第5回東京藝大モーニングコンサートの模様について書きます

プログラムは①小野拓真(藝大4年)「渦紋~管弦楽のための」、②メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64」(ヴァイオリン独奏=髙木凛々子)です 管弦楽は藝大フィルハーモニア管弦楽団、指揮はラースロ・ティハ二です

 

     

 

全自由席です。1階13列12番、左ブロック右通路側を押さえました。会場はかなりの入りです

オケはいつもの並びで、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成です 第1ヴァイオリン席に、前日「竹澤恭子の室内楽」でベートーヴェン「大フーガ」を演奏したアミクス弦楽四重奏団の宮本有里さんの姿が見えます 舞台の左サイドにはピアノとハープがスタンバイしています。コンマスはソロ・コンマスの植村太郎です

1曲目は藝大4年在学中の小野拓真君作曲による「渦紋~管弦楽のための」です 小野君のプロフィールを見ると、私立自由の森学園高校卒業後 大東文化大学文学部教育学科を経て 東京藝大音楽学部に入学し 現在4年次在学中という変わり種です よほど作曲の勉強がしたかったのでしょうね

演奏に先立って、本人がマイクを持って登場し「渦紋」について小さなメモを見ながら簡単に説明しました 「カッチカチやで」という感じで 上がりまくっている話ぶりでしたが、真摯な態度に好感が持てました 要するにこの曲は一種の変奏曲で、12の音列が登場し、リズムなどの変化を伴いながら進行していくという作品のようです

リスト音楽院教授で東京藝大音楽学部卓越教授のラースロー・ティハ二の指揮で演奏が開始されます 室内楽的な部分もあり、ストラヴィンスキーの「春の祭典」ばりの部分もあり、まさに変化に富んだ作品でした

大学を2つ出たからといって、「世の中に出遅れた」と焦る必要はありません。人生はこれからです。頑張ってほしいと思います


     


2曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64」です ヴァイオリン独奏は藝大4年在学中の髙木凛々子さんです

皆さまよくご存じの「メンコン」と呼ばれるヴァイオリン・コンチェルトです この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐47)がライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の常任指揮者を務めていた時の1838年に、そのコンマスだったフェルディナント・ダーヴィトとのために書いたものですが、演奏者のダーヴィトと相談しながら書き上げたため完成は6年後の1844年になりました

第1楽章「アレグロ・モルト・アパッショナート」、第2楽章「アンダンテ~アレグレット・ノン・トロッポ」、第3楽章「アンダンテ~アレグレット・ノン・トロッポ」の3楽章から成りますが、続けて演奏されます

濃いピンクの衣装を身に着けた髙木凛々子さんが指揮者とともに登場します 冒頭、弦楽の序奏に導かれて独奏ヴァイオリンが入り第1主題を奏でます この楽章を聴いて感じたのは、彼女は相当 場慣れしているというか、演奏慣れしているというか、自信に溢れているというか、最初から自分のペースで演奏していました プロフィールを見ると、小学生の頃から内外のヴァイオリン・コンクールで入賞しているので、そういうことが影響しているのかも知れません カデンツァは本当に見事で華麗そのものでした 第2楽章以降も自信にあふれた演奏を展開していましたが、彼女の一番良い点は演奏することが楽しくて仕方がないということを顔の表情や動作で表現しているところです それによって、ヴァイオリンから出てくる音が表情豊かに聴こえます 日本人にしては珍しいタイプだと思います。そういう意味で、新鮮さを感じました。有望な新人と言っておきます

 

     

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「竹澤恭子の室内楽」を聴く~コレッリ「ラ・フォリア」、ラヴェル「VnとVcのソナタ」、ベートーヴェン「大フーガ」、メンデルスゾーン「弦楽五重奏曲第2番」~サントリー チェンバーミュージック

2018年06月14日 07時22分31秒 | 日記

14日(木)。わが家に来てから今日で1351日目を迎え、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の首脳会談を受け、上院外交委員会のメネンデス議員(民主)は声明で「北朝鮮は譲歩を引き出した。大統領は残忍な独裁者と笑顔で握手した。自国民を虐げ、親類を殺し、我々の安全保障を脅かす国際社会ののけ者にフリーパスを与えた」と非難し、一方、与党共和党のライアン下院議長は声明で「大統領が朝鮮半島の永続的な平和への道筋をつけたという望みがある」と賞賛した いうニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      トランプが11月の中間選挙で共和党が勝つために結論を急いだことだけは確かだ

 

         

 

昨日、夕食に「いり鶏」「生野菜と生ハムのサラダ」「男前豆腐の食べるラー油乗せ」「豚汁」を作りました 「いり鶏」は久しぶりに作ったので、ちょっぴり味が濃くなりました

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホール「ブルーローズ」で「竹澤恭子の室内楽」を聴きました プログラムは①コレッリ(鈴木鎮一、豊田耕児 編曲)「ヴァイオリン・ソナタ ニ短調作品5-12”ラ・フォリア”」、②ラヴェル「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」、③ベートーヴェン「大フーガ」 変ロ長調作品133、④メンデルスゾーン「弦楽五重奏曲第2番変ロ長調作品87」です 演奏は、ヴァイオリン=竹澤恭子、ヴィオラ=川本嘉子、チェロ=横坂源、弦楽=サントリーホール室内楽アカデミー選抜フェローです

このコンサートは「デビュー30周年記念」と銘打っています 竹澤恭子がインディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールで第1位を獲得したのが サントリーホール開場の年でもある1986年で、その2年後の1988年にカーネギーホールとサントリーホールでデビューリサイタルを開いてから今年が30年目を迎えたといいうことで、サントリーホールとは縁が深いようです

 

     

 

自席はC2列12番、センターブロック2列目右通路側です

1曲目はアルカンジェロ・コレッリ(1653‐1713)の「ヴァイオリン・ソナタ ニ短調作品5-12”ラ・フォリア”」(鈴木鎮一、豊田耕児 編曲)です 「ラ・フォリア」とは南欧イベリア半島で発祥した舞曲です   アダージョの主題と12の変奏曲から成ります たしかCDを持っているはずですが、例によって見つかりません。したがって予習が出来ませんでした

竹澤恭子と川本嘉子(N響首席客員ヴィオラ奏者)が濃紺の衣装で登場、さっそく演奏に入ります 予習は出来なかったものの、何度か聴いたことがあるので、冒頭の音楽を聴いてすぐに思い出しました 変奏曲なので目先が次々と変わり聴いていて飽きません。竹澤恭子のヴァイオリンの音色の美しさと川本嘉子の深みのあるヴィオラが印象に残りました

2曲目はモーリス・ラヴェル(1875‐1937)の「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「トレ・ヴィフ(きわめて活発に、速く)、第3楽章「ラン(緩やかに)、第4楽章「ヴィフ、アヴェック・アントラン(生き生きと、活気をもって)」の4楽章なら成ります この曲はCDを持っていないので予習のしようがありませんでした

竹澤恭子とチェロの横坂源が登場し、スタンバイします 二人とも譜面台を2台横並びに置いて楽譜を置きます。演奏中譜めくりが必要ないようにという配慮でしょう

第1楽章はラヴェル特有の浮遊感が印象的です 第2楽章はピッツィカートから入りますが、力強さがあります 緩やかな第3楽章を経て第4楽章がスタッカート気味の演奏により生き生きと演奏されます ヴァイオリンとチェロという同族の弦楽器2挺で色彩感のある音楽を表出させるのはさすがはラヴェルです 2人の演奏者はその魅力を十分に引き出しました


     


休憩後の3曲目はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)の「大フーガ」変ロ長調作品133です 「大フーガ」は「弦楽四重奏曲第13番変ロ長調作品130」の第6楽章として書かれ、1826年春にスパンツィク四重奏団により初演されましたが、難解と批判され、作品133として独立することになりました 最近では「原点回帰」現象が起こっているようで、先日もカザルス弦楽四重奏団が「大フーガ付」で演奏しました

ここで主役の竹澤恭子は一休み、演奏するのはアミクス弦楽四重奏団の4人です このユニットは第1ヴァイオリン=宮川奈々、第2ヴァイオリン=宮本有里、ヴィオラ=山本周、チェロ=松本亜優の4人から成ります。このクァルテットは6月3日の「ENJOY!室内楽アカデミー・フェロー演奏会Ⅰ」でバルトーク「弦楽四重奏曲第4番」から第4・5楽章を演奏しましたが、強く印象に残る熱演でした

「大フーガ」は先日、カザルス弦楽四重奏団の演奏で「第13番」の第6楽章として聴いたばかりです あらためて違うクァルテットで聴いてみると、ベートーヴェンの時代としては異常なまでの不協和音だったんだろうな、と思います 4人の演奏は集中力に満ちた鋭角的な演奏でしたが、これが「第13番」全体を演奏する中で「大フーガ」を演奏したらどうなるのか、と期待を持たせる演奏でした 第1ヴァイオリンの宮川奈々さんはN響の第1ヴァイオリン奏者として活躍していますが、オーケストラの団員が、特に若い団員が 外部の人たちと演奏グループを作って活動することはとても良いことだと思います

曲目はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐47)の「弦楽五重奏曲第2番変ロ長調作品87」です この曲は1845年に滞在先のフランクフルトで作曲されましたが、モーツアルトに敬意を表してか、ヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ1という編成をとります

第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アレグレット・スケルツァンド」、第3楽章「アダージョ・エ・レント」、第4楽章「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

演奏はヴァイオリン=竹澤恭子、内野佑佳子、ヴィオラ=川本嘉子、川上拓人、チェロ=横坂源です。このうち、内野佑佳子は将来性の面で若手ヴァイオリニストの中で私の一押しです

竹澤恭子の合図で第1楽章が開始され、”喜びが疾走する”躍動感に満ちた音楽が展開します メンデルスゾーンが素晴らしいのは「前へ前へ」という推進力と躍動感です 第2楽章はメンデルスゾーンらしいスケルツォです 第3楽章はこの作品の聴きどころです。冒頭の旋律はまるでシューベルトですが、次第にメンデルスゾーンのDNAが現われてきます 竹澤恭子は叙情性の極致をいくパフォーマンスを見せ、ヴィオラの川本嘉子をはじめとする演奏者がピタリと合わせます 5人の演奏姿を見ていたら、呼吸がぴったり合っていると感じました。竹澤恭子が右に振れれば、他の4人も心の中で右に振れるという感じです。「息が合う」というのはこういう演奏を言うのだろうか、と思いました 第4楽章に入ると、またしても躍動感あふれる音楽が疾走します 特に竹澤、川本、内野の女性3人のパワーが炸裂し、圧倒されます もちろんチェロの横坂源、ヴィオラの川上拓人も素晴らしい演奏を展開しているのですが、女性陣のパワーは彼らを上回っています

とても素晴らしい演奏でした この日初めてメンデルスゾーンの「弦楽五重奏曲第2番」を聴いた方も多かったと思いますが、とてもいい演奏だったので、作品の良さが理解できたのではないかと思います このような隠れた名作がメンデルスゾーンには数多くあります。もっともっと多くの演奏会で取り上げてほしいと思います

それにつけても、と思うのは、メンデルスゾーンは38歳で生涯を閉じ、モーツアルトは35歳で天に召されたように、残念ながら本当の天才は早逝してしまいます 短い生涯の中で数々の名曲を残してくれた二人の作曲家の作品を出来る限り多く聴きたいと思う今日この頃です

 

     

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「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅠ~弦楽四重奏曲第3番、クラリネット五重奏曲」を聴く~サントリー チェンバーミュージック / ノット✕東響の「フィガロの結婚」のチケットを取る

2018年06月13日 08時02分51秒 | 日記

13日(水)。わが家に来てから今日で1350日目を迎え、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談が12日午前、シンガポール南部のセントーサ島にある高級リゾート、カペラホテルで行われ、共同声明が発表された というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                 非核化の費用は日韓で負担しろという以外に 具体的に何が決まったんだろうか?

 

         

 

昨日、夕食に「金目鯛の煮つけ」「生野菜とシラスのサラダ」「マグロの山掛け」「男前豆腐の食べるラー油乗せ」「金目鯛の頭の味噌汁」を作りました この前、カレイを煮つけたとき、要領がよく分からず時間をかけて煮込んでしまい、身がボロボロになり 身も蓋もなくなってしまったので、今回は短時間を心がけたら上手くいきました 「金目鯛の頭(カシラ)の味噌汁」は本当に美味しくて病みつきになりそうです

 

     

 

         

 

12月9日(日)午後1時からサントリーホールで開かれるジョナサン・ノット✕東京交響楽団のモーツアルト「フィガロの結婚」(演奏会形式)のチケットを東響会員先行予約で取りました 2016年の「コジ・ファン・トゥッテ」、2017年の「ドン・ジョバンニ」に次ぐモーツアルトの「ダ・ポンテ三部作オペラ」の第3弾です 歌手陣は充実していますが、中でも楽しみにしているのは「コジ~」でフィオルディリージを歌う予定が 急きょ降板となったソプラノのミア・パーションの伯爵夫人を聴くことです

 

     

 

         

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」で、「キュッヒル・クァルテットのブラームス・ツィクルスⅠ~弦楽四重奏曲第3番変ロ長調作品67、クラリネット五重奏曲変ロ短調作品115」を聴きました  これはサントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデンの一環として開かれたコンサートです

演奏は、キュッヒル・クァルテット(第1ヴァイオリン=ライナー・キュッヒル、第2ヴァイオリン=ダニエル・フロシャウワー、ヴィオラ=ハインリヒ・コル、チェロ=エディソン・パシュコ)、クラリネット=吉田誠です なお、チェロは当初予定されていたロベルト・ノーチから急きょエディソン・パシュコに代わりました

キュッヒル・クァルテットは、ウィーン・フィルのコンマスを20歳から45年間務め上げたライナー・キュッヒルが率いる弦楽四重奏団で、他の3人はウィーン・フィルの現役メンバーです

 

     

 

自席はセンターブロック4列目の右方向です。最前列を見るとド真ん中の席が空いています 平和なコンサートになる予感が

1曲目は「弦楽四重奏曲第3番変ロ長調作品67」です ヨハネス・ブラームス(1833-97)は弦楽四重奏曲を3曲作りましたが、この作品は作品51(第1番と第2番)の2年後の1875年に完成されました ブラームス42歳の時の作品です。第1楽章「ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アジタート(アレグロ・ノン・トロッポ)」、第4楽章「ポコ・アレグレット・コン・ヴァリアツィオー二」の4楽章から成ります

4人の演奏者が登場し配置に着きます 左からVn、Vn、Va、Vcという並びです。第1ヴァイオリンのキュッヒルの合図で第1楽章に入りますが、冒頭からベートーヴェンを通り越してハイドンのような明るく弾むような曲想が展開します もっともブラームスは「ハイドンの主題による変奏曲」を作曲しているほどハイドンに一目置いていたことは確かです 何と言ってもハイドンは「交響曲の父」であり「弦楽四重奏曲の父」でもあります ブラームスが意識していたことは確かでしょう そういうわけで、全楽章を通じてハイドン・テイストの音楽に満ちています

演奏では、第1楽章が冒頭から4人の呼吸が合っていないというか、アンサンブルの点で感心しませんでした 反面、第2楽章「アンダンテ」におけるキュッヒル氏の歌心に満ちた演奏が強く印象に残りました


     


休憩後の2曲目は「クラリネット五重奏曲変ロ短調作品115」です 優れた演奏家に刺激されて作曲家が新しい作品を作曲するというケースはよくあるパターンです ブラームスは1891年3月(58歳の時)、マイニンゲン宮廷管弦楽団の首席クラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルト(当時35歳)と出会います。この出会いをきっかけにブラームスは傑作「クラリネット三重奏曲」や「クラリネット五重奏曲」を作曲しました

第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ~ピゥ・レント」、第3楽章「アンダンティーノ~プレスト・ノン・アッサイ、マ・コン・センチメント」、第4楽章「コン・モート」の4楽章から成ります

キュッヒル・クァルテットの4人にクラリネットの吉田誠が加わります 彼はパリ国立高等音楽院、ジュネーヴ国立高等音楽院で学び、第5回東京音楽コンクール木管部門で第1位を獲得しています

吉田誠が真ん中にスタンバイして第1楽章に入ります 冒頭2挺のヴァイオリンにより憂いに満ちた動機が演奏されますが、キュッヒル、フロシャウアーのデュオは素晴らしい この演奏で聴衆は一気にブラームスの世界に引き込まれます そして主役である吉田誠のクラリネットが入ってきますが、この演奏がまた素晴らしい クラリネット特有の美しい音色が会場の隅々まで響き渡ります この時点で、前半で不満に思っていたことが帳消しになりました

さて、この曲の最大の聴きどころは第2楽章「アダージョ~ピゥ・レント」です ブラームスがモットーにしていた「自由に、しかし孤独に」を音楽で表現したかのような寂寥感溢れる音楽です 吉田誠のクラリネットはまさにそのブラームスの寂寥感を余すことなく表現していました また彼の演奏を支える弦楽4人による弱音の演奏も見事でした こういう演奏で聴くと、本当にブラームスっていいなあ、と思います

5人はアンコールに今演奏したばかりの「クラリネット五重奏曲」から第3楽章を演奏、再び大きな拍手を受けました 

最前列真ん中の席は最後まで空席のままでした 多くの人が毎回こうであることを願っていると思います


     


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