人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

中山七里著「静おばあちゃんと要介護探偵」を読む 〜 暴走する要介護老人と冷静な元女性検事のコンビで事件を解決! / 横浜ランチ・ツアーに行ってきました

2021年04月10日 07時29分56秒 | 日記

10日(土)。わが家に来てから今日で2282日目を迎え、北朝鮮の朝鮮中央通信は9日、金正恩総書記が8日の党会議で、出席した党の末端組織の幹部らに「より厳しい『苦難の行軍』を行うことを決意した」と述べたと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「苦難の行軍」で犠牲になるのは国民だろう  トップ自ら苦難を受け入れるべきだ

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました 栄養バランス抜群で美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、Kiriokaさんと「横浜ランチ・ツアー」に行ってきました 横浜駅西口のNEWoManの最上階「うみそらデッキ」で待ち合わせをして、屋上から海を眺めた後、9階の蕎麦店Sでランチしました その後、地下鉄みなとみらい線に乗車し「日本大通り駅」で降り、そこから日本新聞博物館(NEWSPARK)に電話して、見学の予約を入れました(現在はコロナ対策のため予約制になっている)。同博物館は現在、社団法人 日本新聞協会の一組織となっていますが、開館当時は財団法人組織で独立していました その時、私は新聞協会の職員でしたが、博物館の運営団体である財団法人 日本新聞教育文化財団の監事を兼務していたので、年に数回は監査等で同博物館を訪ねていました そんなこともあってか、招待券で入館すると、どこで聞きつけたか、館長のOさんをはじめ、新聞協会報の記者だったH君、かつて経営部の部下だったT君らが相次いで挨拶に来てくれました OBとしてとても嬉しかったです 現在、全国の新聞発行部数は年々減少傾向にあり、新聞協会の運営する新聞博物館も厳しい状況下にあるので、「大変ですが頑張ってください」と激励してきました 館内では2階の企画展示室で「2020年 新聞報道写真展」を開催中だったので、写真を見ながら世界や日本であった様々な出来事を振り返りました。その後、3階の常設展示室に移り、新聞を巡る歴史的資料や現代の情報社会の現状に関する展示を見学しました。常設展示室は2年前にリニューアルされて、すっかりスマートに生まれ変わっていたのにはビックリしました

 

     

     

 

その後、海を左手に見ながら山下公園を横断して「シーバス山下公園のりば」まで散歩しました ちょっと風が冷たかったのですが、海を見たのは数年ぶりだったので感慨もひとしおでした 山下公園のりばから 船(シーバス)に乗って、ぴあ赤レンガのりば、ぷかり桟橋のりば 経由で横浜駅東口のりば まで約40分遊覧しました

     

 

マリンタワーを近くで見るのは小学校の修学旅行以来です 懐かしかった〜

 

     

     

     

最近は滅多に訪れることのない横浜ですが、昨日は 陸からも海からもその魅力に接することが出来てとてもラッキーでした 「次に横浜ツアーをする時は、みなとみらいの観覧車(全高112.5メートル。「コスモクロック21」というらしい)に乗りましょう」と約束してお別れしました Kiriokaさん、ご一緒いただき ありがとうございました とても楽しかったです

 

     

 

         

 

中山七里著「静おばあちゃんと要介護探偵」(文春文庫)を読み終わりました 中山七里の作品は文庫化されるたびに当ブログでご紹介してきました 1961年、岐阜県生まれ。会社員生活の傍ら、2009年に「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し翌年デビュー その後は「中山七里は7人いる」と言われるほどの多作小説家で、毎年ベストセラーを連発しています

 

     

 

タイトルの通り、この小説の主人公は2人です 一人は大正生まれの80歳、高遠寺静。日本で20人目の女性裁判官となり、東京高裁の判事を務めた女性で、引退して16年経つが、今でも法科大学院の客員教授や講演の依頼が絶えない多忙な毎日を送っている もう一人は静より10歳下で、名古屋の不動産会社の代表取締役・香月玄太郎。商工会議所の会頭、町内会の会長などを務める地元の名士でもありますが、脳梗塞で倒れてからは車椅子生活を送り、介護士の綴喜みち子の世話になっています 二人のそれぞれの性格と役割は、短気で正義感の強い玄太郎が暴走するのを、常識のある静がブレーキをかけて押し止めるといったところです

本書は第1話「二人で探偵を」、第2話「鳩の中の猫」、第3話「邪悪の家」、第4話「菅田壮の怪事件」、第5話「白昼の悪童」の5話から成る連作短編集の形を取っています

第1話「二人で探偵を」は、爆発したオブジェの中から遺体が発見される話。第2話「鳩の中の猫」は捜査対象の詐欺師が襲われた話。第3話「邪悪の家」は認知症の父親がなぜ万引きをするかという話。第4話「菅田壮の怪事件」は静の同級生が密室で死亡している話。第5話「白昼の悪童」は工事現場で外国人労働者が事故に遭い死亡する話です それぞれが、先の読めない展開で、最後にどんでん返しが待っています

中山七里の作品は、どこかに”名言”が何気に書かれています 例えば本作の第1話「二人で探偵を」の冒頭がそうです

「年寄りだからといって老成しているとは限らない、と今年八十歳の高遠寺静はそう思う。年寄りは何かと言えばすぐに若者を見下し、昔話を長々と語りたがる。未来がないから昔語りをする以外にないのだが、本人たちはそれに気づかないか気づかないふりをしている」

「思い当たる節がある」人も、身近に「思い当たる人がいる」人もいらっしゃるでしょう 中山七里はこういうフレーズが得意です

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都響5月度定期Cシリーズのチケットを取る 〜 井上道義✕辻彩奈によるサン=サーンス「Vn協奏曲」ほか / ム二ア・メドゥール監督「パピチャ 未来へのランウェイ」を観る 〜 ギンレイホール

2021年04月09日 07時19分13秒 | 日記

9日(金)。5月18日(火)14時から東京芸術劇場で開かれる東京都交響楽団「第927回 定期演奏会 Cシリーズ」のチケットを取りました     プログラムは①サティ:バレエ音楽「パラード」、②サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61」、③同「交響曲第3番 ハ短調 作品78 ”オルガン付” 」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=辻彩奈、③のオルガン独奏=石丸由佳、指揮=井上道義です ソリストも指揮者も期待できます。今から楽しみです

ということで、わが家に来てから今日で2281日目を迎え、複数の米メディアは7日、共和党のペンス前副大統領が回顧録の出版へ大手出版社と数百万ドル(数億円)規模の契約をしたと伝えたが、2024年大統領選への出馬に向け準備を進めたという観測が出ている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     待望の回顧録! 側近から見たトランプの暴走と馬鹿さ加減が暴露されるに違いない

 

         

 

昨日、夕食に「麻婆茄子」「生野菜サラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 今回はあまり時間がなかったので市販の「麻婆茄子の素」を使用しました。お酒はビールですね

 

     

 

         

 

昨日、ギンレイホールでム二ア・メドゥール監督による2019年製作フランス・アルジェリア・ベルギー・カタール合作映画「パピチャ  未来へのランウェイ」(109分)を観ました

舞台は1990年代の内戦状況下のアルジェリア。ファッションデザイナーを夢見る大学生のネジャマ(リナ・クードリ)は、ナイトクラブのトイレで自作のドレスを販売していたが、イスラム原理主義の台頭により、首都アルジェでは女性にヒジャブの着用を強要するポスターがいたるところに貼り出されていた そんな現実に抗うネジャマは、姉が何者かに暗殺されたことをきっかけに、自分たちの未来をつかみ取るため、命がけでファッションショーを開く決意をする

 

     

 

この映画は、アルジェリアで17歳まで過ごし、本作が長編映画監督デビューとなるム二ア・メドゥールが、自身の経験をもとに製作した作品です

この時代のアルジェリアは、「女性はヒジャブを着用して家で大人しくしているべし」という保守的な考えが蔓延っていました ネジャマの姉は「これから取材に行く」という台詞から、ジャーナリストだと思われますが、何者かに銃殺されてしまいます ネジャマは誇りに思っていた姉の死を無駄にしないためにも、後悔しないように生きようと決意します しかし、ネジャマの前に立ちはだかるのは男性ばかりでなく「女性はヒジャブを着用すべし。派手な化粧は控えるべし」という保守的な女性たちでもありました ネジャマは「なぜ、同性が足を引っ張るの」と強く思ったことでしょう それでも彼女は誰にも媚びず、世間に流されず、自分の意思を貫くために立ち向かいます 彼女の行動がどれだけ世界中の観客に勇気を与えたことでしょう

タイトルの「PAPICHA」とはアルジェリアのスラングで、「愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性」という意味を持つ言葉だそうです また、日本語のサブタイトル「未来へのランウェイ」の「ランウェイ」は、滑走路などの意味を持っていますが、この映画では、ファッションショーでモデルたちが歩く道のことを指しています

この作品は、大統領選を控えた本国では、当局によって説明なしに上映が中止されたといいます アカデミー賞長編映画賞への代表選出についても、エントリー要件を満たしていないとして、選出が危ぶまれましたが、制作陣への政府からの圧力があったと訴え、最終的に特例措置で代表として認められたとのことです その後、セザール賞で新人監督賞、主演のリナ・クードリも有望若手女優賞を受賞し(本当に素晴らしい演技力!)2冠を達成しましたが、未だに本国での公開には至っていないといいます

どの国の政府も、自分たちの都合の悪いことは認めないものです しかし、いつまでも続くと思ったら大間違いです。30年近く前の物語です。一日も早くアルジェリアで公開されることを切望します そうしないと、ム二ア・メドゥール監督が撮った意味が半減します

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尾高忠明 ✕ 砂川涼子 ✕ 新日本フィルによるマーラー「交響曲第4番」の公開リハーサルを聴く ~ すみだトリフォニーホール / 新日本フィルの新しい試み

2021年04月08日 07時01分14秒 | 日記

8日(木)。昨日の日経朝刊 文化欄のコラム「不要不急とよばれて③」に「客席のロボット  私の分身」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、

「3月15日、すみだトリフォニーホールで開かれた新日本フィルの演奏会でアンコールに『ラデツキー行進曲』が演奏された この時、客席の最前列に座るロボット『 OriHime 』も愉快なメロディーに合わせて手を打ち始めた 操作するのは、遠く大阪の病院に入院している坂本絵美だ。病室にいながら、タブレットでロボットの視線を左右に動かし、指揮者や奏者をズームアップする リズムに合わせて画面を叩き、手拍子をする OriHime を通して会場との一体感を楽しんだ  『動画で観ているだけとは全然違った』。心臓移植を待つために入院して約4年、この日は少しだけ会場にいる気分を味わった    人が集まることが難しいコロナ禍。公演を配信する動きが広がり、見えてきたのは、そもそも会場に来たくても来られなかった人たちの存在だ    新日本フィル常務執行役の竹原一衛は『そういう人々の助けになれば』とロボット経由の鑑賞を企画した     今後は地元の高齢者を対象にした公演などを検討するという

当日は別のコンサートの予定が入っていたので、残念ながらこの公演には行けませんでしたが、噂には聞いていました 新日本フィルはこうした先進的な試みに果敢に挑戦するところが好きです コロナ禍のもと、まだまだ厳しい経営状況が続きますが、楽団員も事務局の皆さんも頑張っています みんなで応援しましょう

ということで、わが家に来てから今日で2280日目を迎え、南米チリのチリ大学の研究者らは6日、中国の製薬会社シノパック・バイオテック製のワクチンの有効性が54%だったと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアのスプートニクVにしろ 強権国家の開発したワクチンは怖くて打てないよね

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラ大根」「生野菜とワカメのサラダ」「大根の葉のお浸し」を作りました お浸しは大根の葉を捨てるのがもったいないので、湯がいて削り節をかけてポン酢に浸しました。とても美味しかったです

 

     

     

         

 

昨日午前10時半からすみだトリフォニーホールで新日本フィル「ジェイド」公演の公開リハーサルを見学しました

本番は本日19時からサントリーホールで開かれます プログラムは①モーツアルト「ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K.219”トルコ風”」、②マーラー「交響曲第4番ト長調」で、演奏は①のヴァイオリン独奏=山根一仁、②のソプラノ独唱=砂川涼子、指揮=尾高忠明です

この日はマーラー「交響曲第4番ト長調」のリハーサルが公開されました 開始10分前の午前10時20分頃に会場に着き、入口でパトロネージュ部の西さんから右手首で体温を測ってもらいましたが、いつも通り 体温が低すぎて測定不可となり いつも通り そのまま入場を許されました ロビーで同部・登原さんに呼び止められ封書を手渡されました 先日 入金手続きした新日本フィル「維持会員」の領収書が同封されていました     郵送も可能だったものの この日ホールに来館した時に直接手渡したいと思ったとのこと。その心遣いがとても嬉しかったです 昨年に続き今年も「維持会員」として出来る限り新日本フィルを支援していくつもりです

 

     

 

さて、マーラー「交響曲第4番ト長調」は、グスタフ・マーラー(1860‐1911)が1892年に「天上の生活」(第4楽章)を、1899~1901年に第1〜第3楽章を作曲、1901年11月25日にミュンヘンでマーラーの指揮により初演されました 第4楽章にソプラノ独唱による「子どもの魔法の角笛」の11「3人の天使が優しい歌を歌う」が用いられています 第1楽章「明るく、悠然と、急がずに」、第2楽章「気楽な動きで」、第3楽章「静けさに満ちて」、第4楽章「極めてなごやかに」の4楽章から成ります

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び。コンマスは崔文洙です ヴィオラのトップには今月から首席に就任した中恵菜がスタンバイしています 彼女は「クァルテット・アマービレ」のメンバーですが、当面は両立させていくのでしょうか

指揮の尾高氏が上下黒のラフなスタイルで登場、最初にちょっとしたジョークを飛ばして(マイクなしのため聴こえない)楽団員をリラックスさせてから、第1楽章の演奏に入ります この辺はユーモアたっぷりの尾高氏らしい配慮です この日はゲネプロ(最終練習)ではないので、演奏しては止め、また再開するというやり方で通しました 中盤ではクラリネットとオーボエにベルアップ奏法を求めていました 終盤で、オケに「上へ、上へ」と指示していたのがとても印象に残りました。これを聞いて私は、マーラーの第4番は「上へ上へ」と上昇する音楽だと思いました 第2楽章に入ると、崔は予備のヴァイオリンに持ち換えてソロを弾きましたが、鮮やかな演奏でした 客演している東京藝大准教授の日高剛のホルンが素晴らしい

15分程度の休憩を挟んで後半楽章のリハーサルに入ります 尾高氏は背中にHOLLISTERと書かれた黒のTシャツに着替えています。とてもオシャレです

第3楽章「気楽な動きで」が低弦の静かな響きで開始されます 私はマーラーの音楽では第5番の「アダージェット」と同じくらい第4番のこの緩徐楽章が好きです タクトをとる尾高氏に念じたのは「頼むから途中で止めないで」ということでした その想いが通じたのか、音楽は静かに静かに進行しました 途中でオーボエが出遅れましたが、尾高氏は止めずに進めました 中盤からは止めては指示を出し、また演奏をすることを繰り返しました 東京フィルから客演している加瀬孝宏のオーボエが素晴らしい 尾高氏の指揮は東京フィルで慣れたものでしょう

第4楽章に入ってしばらくすると、ソリストの砂川涼子が舞台袖から登場、指揮者の傍らにスタンバイし ソプラノのソロを歌い始めました この時も「途中で止めないで」と念じましたが、念願が叶い独唱部分は止まることなく美しい声を聴くことが出来ました 砂川さんの澄んだ歌声は彼女の人格そのものだと思います リハーサルのメリットで、2回も彼女の歌を聴くことができてラッキーでした そして、つくづく人間の声ほど素晴らしい楽器はないと思いました

正味2時間のリハーサルでしたが、オケは本日のゲネプロを経て19時からの本番に臨みます 頑張れ、新日本フィル

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イリヤ・フルジャノフスキー&エカテリーナ・エルテリ共同監督「DAU.ナターシャ」を観る 〜 ソ連全体主義の圧政の実態を生々しく描いた作品:シアター・イメージフォーラム

2021年04月07日 07時14分15秒 | 日記

7日(水)。わが家に来てから今日で2279日目を迎え、米セキュリティー会社プルーフポイントの調査によると、インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムからのメールを装ってカード番号や個人情報を盗むサイバー攻撃が昨年8月から今年3月までに約1億8500万通確認された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     アドレスが amezon や amozon になっていないか 良く見てから入力しましょう!

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキのソテー」「生野菜とアボカドのサラダ」「マグロの山掛け」「玉ねぎの味噌汁」を作りました あとは前日の釜めしの残りです。出来るだけ魚を食べなければと思っています

 

     

 

         

 

昨日、渋谷のシアター・イメージフォーラムでイリヤ・フルジャノフスキーとエカテリーナ・エルテリ共同監督による2020年製作ドイツ・ウクライナ・イギリス・ロシア合作映画「DAU.ナターシャ」(139分)を観ました

ソ連某所にある秘密研究所では、科学者たちが密かに軍事目的の研究を続けていた 40代のウェイトレス、ナターシャ(ナターリャ・べレジナヤ)は、同僚オーリャ(オリガ・シカバルニャ)と共に施設に併殺された食堂で働き、閉店作業をしながら客が残したシャンパンやウォッカを飲みながらおしゃべりするのが日課になっていた ある日、店を頻繁に利用する科学者たちが人体を使った実験が成功したことから、オーリャの自宅でパーティーを開くことになった そこで、ナターシャは研究所に招かれていたフランス人科学者リュックと惹かれ合い関係を持ってしまう 自由恋愛が禁止されていた施設内で情事を行ったことがソヴィエト国家保安委員会に知られてしまう ナターシャはスパイ容疑をかけられ、犯罪捜査の上級役員ウラジーミル・アジッポから厳しい尋問を受けることになる アジッポは「飴と鞭」のやり方でナターシャを追い詰め、リュックをスパイとして告発することを命じる 肉体的にも激しい拷問を受け、すでに抵抗する気力のないナターシャは、これを受け入れ、書類に嘘の供述を書く。さらに、今後 他の科学者たちについても逐一密告することを約束させられ尋問は終わる

 

     

 

タイトルの「DAU」というのは、1962年にノーベル物理学賞を受賞したロシアの物理学者レフ・ランダウに因んでいます アインシュタインと並び称されるほどの優秀な学者でしたが、スターリニズムを批判した罪で逮捕された経歴を持っています

公式サイト等によると この映画は、

「ソ連全体主義の社会を前代未聞のスケールで完全に再現し、独裁政権による圧政の実態と、その圧倒的な力に翻弄されながらも逞しく生きる人々を描いた作品。オーディション人数約40万人、衣装4万着、1万2000平方メートルのセット、主要キャスト400人、エキストラ1万人、撮影期間40か月、莫大な費用と15年の歳月をかけて、美しくも猥雑なソ連の研究都市を徹底的に再現した。キャストたちは当時のままに再建された都市で約2年間にわたって実際に生活した」

という作品です しかし、この「DAU.ナターシャ」を観る限り、それほどの衣装も必要ないし、セットも小さいし、キャストもエキストラもそれほど多くないし、事実が違うのではないかと思います いろいろ調べてみたら、どうやらこの作品は全16作のシリーズのうちの1作品に過ぎないことが分かりました シリーズ全16作を撮り切って初めて主要キャスト400人、エキストラ1万人となると思われます

本作は約140分の長尺ですが、その多くはナターシャとオーリャの他愛のない会話と痴話げんかであり、パーティーのどんちゃん騒ぎと その後のナターシャとリュックの情事であり、アジッポによる拷問シーンです しかも、それぞれのシーンが長回しによって、しつこく撮り続けられます しかし、そこには演技性がなく、現実に目の前で起こっている出来事を目撃しているかのように感じます 最近 話題になったリアリティ―番組を観ているような感覚です    それは彼らが「当時のままに再建された都市で約2年間にわたって実際に生活した」からこそリアルに感じるのだと思います

この映画はロシアでは上映禁止となっているそうですが、それはそうだと思います 拷問によってスパイを作り上げることは、実際にソ連がやってきたことだと容易に想像がつくからです

 

本日、toraブログのトータル閲覧数が630万ページビューを、トータル訪問者数が180万人をそれぞれ超えました トータル閲覧数は 6,301,300 P V 、トータル訪問者数は 1,801,635 I P です。なお、gooブログ全体における直近1週間の平均ランキングは 3,005,421ブログ中 477位、日本ブログ村「コンサート・演奏会感想」における本日のランキングは 55ブログ中 1位となっています     これもひとえに普段からご覧いただいている読者の皆さまのお陰と感謝いたします これからも毎日休むことなくド根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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ロベール・ブレッソン監督「少女 ムシェット」&「バルタザール どこへ行く」を観る 〜 シューベルト「ピアノソナタ第20番」 ~ 第2楽章「アンダンティーノ」が流れる:早稲田松竹

2021年04月06日 07時14分49秒 | 日記

6日(火)。わが家に来てから今日で2278日目を迎え、アルゼンチンのフェルナンデス大統領は3日、発熱などの症状があったため2日に新型コロナウイルスの抗原検査をした結果、陽性だったと自身のツイッターで明らかにしたが、大統領は1月以降、ロシア製ワクチン「スプートニク V」を2回摂取していた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチン大統領は ロシア製ワクチンを信用していないから  摂取していないらしい

 

         

 

昨日、夕食に「釜めし」「ちぎり厚揚げと豚バラの和風炒め」「生野菜とアボカドのサラダ」「ジャガイモの味噌汁」を作りました 釜めしは市販のものを使いましたが、とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でロベール・ブレッソン監督映画「少女ムシェット」と「バルタザールどこへ行く」の2本立てを観ました

「少女ムシェット」はロベール・ブレッソン監督による1967年製作フランス映画(モノクロ・80分・4Kデジタルリマスター版)です

フランスの片田舎に暮らす14歳のムシェット(ナディーヌ・ノルティエ)は、アルコール中毒で暴力を振るう父親と重病に苦しむ母親に代わって、赤ん坊の世話をはじめ家を切り盛りさせられていた さらに、学校では同級生や教師から酷い扱いを受け、どこにも居場所のない孤独な生活を過ごしていた ある日、彼女は森の中に逃げ込むが、突然の嵐に遭い道に迷ってしまう やがて森をうろつく密猟者のアルセーヌと遭遇したムシェットは、その夜 彼に強姦されてしまう 翌朝帰宅した少女は、母親の死という悲劇に見舞われる いつものように牛乳をもらいに出かけたムシェットは、村はずれの池に向かう

 

     

 

この映画は、フランスの作家ジョルジュ・ベルナノスの小説を原作に、一人の少女の辿る悲しい運命を描いた作品です 強情で忍耐強い主人公ムシェットを演じたナディーヌ・ノルティエは本作のために抜擢された素人だそうですが、一度見たら忘れられない印象的な目をしています

映画の冒頭ではイタリアの作曲家モンテヴェルディ(1567‐1643)の「マグニフィカ―ト」が流れますが、ラストの悲劇を象徴するかのように響きます

 

         

 

「バルタザールどこへ行く」はロベール・ブレッソン監督による1966年製作フランス・スウェーデン合作映画(モノクロ・96分)です

ピレネーの小さな村に住む教師の娘マリー(アンヌ・ビアゼムスキー)は、幼馴染みの農園主の息子ジャックと、生まれたばかりのロバに「バルタザール」と名付けて可愛がっていた 10年後、バルタザールは鍛冶屋の苦役に使われていたが、その苦しさに耐えかねて逃げ出し、マリーのもとへと向かう 成長したマリーは再会を喜び、バルタザールを連れて歩くが、マリーに想いを寄せる不良少年ジェラールはバルタザールに嫉妬し痛めつける マリーの両親はあまりに誇り高いがゆえに没落してしまう。マリーはジェラールに誘われて悪徳の道に落ちていく バルタザールもマリーから引き裂かれ、次々と人手に渡っていく

 

     

 

この映画は、ドストエフスキーの「白痴」の挿話から着想を得て、一匹のロバと一人の少女との数奇な運命を描いた作品ですが、登場人物の関係性が今一つ解りずらいので一度観ただけでは理解できないきらいがあります また、不良たちがバルタザールの尻尾に藁を括りつけて火を点けて囃し立てたり、鞭で強く打ったりと、今なら「動物虐待」として動物愛護団体からクレームがつきそうな場面もいくつかあります 1960年代だからできたのでしょうが、あまりにもバルタザールが可哀そうです

この映画では、全編を通してシューベルト「ピアノソナタ第20番イ長調D959」の第2楽章「アンダンティーノ」が流れます どこか寂し気な曲想はマリーとバルタザールのそれぞれの悲しい運命を暗示しているかのようです

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新国立オペラでストラヴィンスキー「夜鳴きうぐいす」 & チャイコフスキー「イオランタ」のダブルビル公演を観る 〜 歌唱力・演技力とも優れたソプラノの大隅智佳子にブラボー!

2021年04月05日 07時21分58秒 | 日記

5日(月)。わが家に来てから今日で2277日目を迎え、新型コロナウイルスのワクチン不足が世界的に強まるなか、中国が輸出攻勢をかけており、中国製を承認・契約した国・地域は振興・途上国を中心に70に達し、そのうち37の国・地域が寄付を受けた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「国民の生命を第一に」は理解できるが  覇権主義国家・中国の”見返り要求”が怖い

 

          

 

昨日、新国立劇場「オペラパレス」で新国立オペラ、ストラヴィンスキー「夜鳴きうぐいす」とチャイコフスキー「イオランタ」 のダブルビル公演を観ました 

「夜鳴きうぐいす」の出演は、夜鳴きうぐいす=三宅理恵、料理人=針生美智子、漁師=伊藤達人、中国の皇帝=吉川健一、侍従=ヴィタリ・ユシュマノフ、僧侶=志村文彦、死神=山下牧子、日本の使者1=高橋正尚、日本の使者2=濱松孝行、日本の使者3=青地秀幸。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=高関健、演出=ヤニス・コッコスです

新型コロナの感染症に係る入国制限措置により、指揮者はアンドリー・ウルケヴィチ ⇒ 高関健へ、夜鳴きうぐいすはハスミック・トロシャン ⇒ 三宅理恵へ、中国の皇帝は二カラズ・ラグヴィラ―ヴァ ⇒ 吉川健一へそれぞれ変更となっています

「夜鳴きうぐいす」は、イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882‐1971)がアンデルセンの童話に基づき1908年(第1幕)、1914年(第2、3幕)に作曲、同年5月26日にパリのオペラ座で、ピエール・モントゥー指揮、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)により初演されました ちなみにモントゥーは大混乱となった「春の祭典」初演の時の指揮者です

病気になった中国の皇帝は宮中に呼び寄せたうぐいすの鳴き声のお陰で健康が回復する 日本の使者が機械仕掛けのうぐいすを献上すると、皇帝はうぐいす そっちのけで そちらに夢中になり、本物のうぐいすは宮廷を去ってしまう その後、病が再び悪化した皇帝のもとに うぐいすが舞い戻り美しい声で歌うと、皇帝は死の淵から脱する   感謝する皇帝にうぐいすは毎晩歌いに来ることを約束する

 

     

 

自席は2階3列15番、センターブロック左通路側です 2階席はガラガラですが、1階は結構埋まっているようです ただし1階前の3列は新型コロナ感染症拡大防止のため空席になっています

舞台と登場人物の衣装はメルヘン・オペラに相応しく、赤、青、黄といった原色を多用した鮮やかなもので、ポップな感じを醸し出しています

今回の公演は、出演者変更と相まって、若手の起用が目立ちました 漁師役の伊藤達人、日本の使者役の濱松孝行と高橋正尚は新国立劇場オペラ研修所修了生です

一言で言えば、今回の公演は主役の「夜鳴きうぐいす」を歌った三宅理恵の独壇場でした 三宅は東京音楽大学・大学院修了、バード音楽院特待奨学生修士課程修了。2010年、藤沢オペラコンクール奨励賞を受賞しています 伸びのある美しいソプラノです

 

     

 

「イオランタ」の出演は、ルネ=妻屋秀和、ロベルト=井上大聞、ヴォデモン伯爵=内山信吾、エブン・ハキア=ヴィタリ・ユシュマノフ、アルメリック=村上公太、ベルトラン=大塚博章、イオランタ=大隅智佳子、マルタ=山下牧子、ブリギッタ=日比野幸、ラウラ=富岡明子。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=高関健、演出=ヤニス・コッコスです

こちらも出演者が ロベルトはユーリ・ユルチュク ⇒ 井上大聞へ、ヴォデモン伯爵はヴィクトル・アンティペンコ ⇒ 内山信吾へ、エブン=ハキアは二カラズ・ラグヴィラ―ヴァ ⇒ ヴィタリ・ユシュマノフへ、イオランタはエカテリーナ・シウリ―ナ ⇒ 大隅智佳子へ、それぞれ変更となっています

「イオランタ」はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840‐1893)が童話作家ヘンリク・ヘルツの一幕ものの劇詩「ルネ王の娘」を元に1891年に作曲、1892年にペテルブルクのマリーンスキー劇場で初演された最後のオペラです    このオペラはMETライブビューイング2014/15シーズンで、アンナ・ネトレプコの主演による公演で一度観たことがあります

舞台は中世の とある山中の城。プロヴァンス国王ルネは娘イオランタの目が不自由であることを本人に知らせないように育ててきた  ブルゴーニュ侯爵ロベルトと共に城に迷い込んだ青年ヴォデモン(ブルゴーニュ伯爵)は美しく成長したイオランタに出会い、彼女の目が不自由なことに気づくと、光の素晴らしさを話す 事態を悟った父王は娘の目が治癒すれば娘に真実を明かした罪を許すと宣言する イオランタは治療に耐える決心をしムーア人の医者エブン・ハキアと共に別宮に赴く

 

     

 

ルネ王を歌った妻屋秀和は新国立オペラを代表するバスですが、本作では威厳に満ちたルネ王を堂々と歌い演じていました

エブン=ハキアを歌ったヴィタリ・ユシュマノフは現在、日本を拠点に活動していることから渡航制限にかからず出演することができた唯一の外国人歌手です 期待に違わず立派なバリトンを聴かせてくれました

ロベルトを歌った井上大聞は新国立劇場オペラ研修所第21期修了生ですが、大健闘でした

さて、本公演では誰を指しおいても、イオランタを歌った大隅智佳子が最高でした 歌唱力、演技力の両面で圧倒的な存在感を示しました 彼女は全く目が見えないイオランタに成りきって演技をしていました 歌唱の点では、第7景で光の素晴らしさを説くヴォデモンとそれに戸惑うイオランタの二重唱は感動で背筋が寒くなりました 相手役が絶叫調でイマイチでしたが、大隅はごく自然な歌唱で説得力がありました 歌を聴いて心の底から感動を覚えたのは久しぶりのことでした

大隅智佳子は東京藝大・大学院修了。二期会公演「エウゲニ・オネーギン」タチアーナ、「イドメネオ」エレットラなどで好評を博し、新国立オペラでは「夏の夜の夢」ヘレナ、「フィガロの結婚」伯爵夫人役で出演し絶賛を浴びました 今や飛ぶ鳥を落とす勢いのソプラノ歌手と言えるでしょう

特筆すべきは高関健指揮東京フィルの演奏です 「夜鳴きうぐいす」ともども歌手に寄り添いつつ、素晴らしい演奏を展開しました

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バッハ・コレギウム・ジャパンでJ.S.バッハ「マタイ受難曲 BWV244」を聴く ~ コロナ禍でオール・ジャパンによる公演が定着 / NHK Eテレで毎週木曜夜「クラシックTV」放送開始

2021年04月04日 07時20分06秒 | 日記

4日(日)。昨日の朝日夕刊に「あなたとクラシックに素敵な出会いを ピアニストの清家信也  Eテレでビギナー向け新番組」という見出しの記事が載っていました    超訳すると、

「ピアニストの清家信也と歌手・モデルの鈴木愛理が司会を務める『クラシックTV』(毎週木曜 夜10時)が1日にスタートした   番組は初心者でも楽しめることをうたっているが、清家は『音楽自体のハードルを下げることは本質的ではない。どうして重い音楽なのか、背景をわかりやすく説明して、腑に落ちた状態で聴いてもらうことが大事だと思う    視聴者の皆さんとクラシックの共通点、共鳴する部分を探していきたい』と語る また、『ビートルズもクイーンも もうじきクラシック。どんな音楽のジャンルでも、年月が経てばクラシックになる    だから、どんな人でもクラシックの影がある。その身近さを体験してもらう努力をしたい』と語る    また、作品との出会い方が大切だという。自身は中学1年の時、初めてコンクールの予選で落選し、挫折を味わった。その時、マーラーの『交響曲第5番』に出会い、救われたという    『番組を通じて、人生が変わるような熱量を持って紹介したい。素敵な出会いがある番組にできれば』と語る

面白そうですね よい子の皆さん、スケジュール表の毎週木曜夜10時に「Eテレ クラシックTV」を入れておきましょう

ということで、わが家に来てから今日で2276日目を迎え、新型コロナウイルスの流行を受けて中朝貿易を全面停止した影響で、食料や医薬品などの物資不足が深刻となり、北朝鮮に駐在する各国の外交官や国際機関の職員が相次いで北朝鮮外へ避難したことが判明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     北朝鮮の国民は帰るところがないから可哀そうだ  コロナよりも金正恩の方が怖い!

 

         

 

昨日、サントリーホールでバッハ・コレギウム・ジャパン「第142回定期演奏会」を聴きました プログラムはJ.S.バッハ「マタイ受難曲  BWV244」です 出演は、エヴァンゲリスト=櫻田亮、ソプラノ=森麻季、松井亜希、アルト=久保法之、青木洋也、テノール=谷口洋介、バス=加来徹、加藤宏隆。管弦楽・合唱=バッハ・コレギウム・ジャパン、指揮=鈴木優人です

自席は2階RA2列9番、左通路側席です 1階席の前3列はコロナ感染拡大防止策として空席となっており、P席も空席です。会場は通常配置ですが、結構お客さんが入っています

ステージ上は、チェンバロ、ファゴット、オルガンをセンターにして、左右のサイドにヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ビオローネ(コントラバス)の計10人と、フラウトトラヴェルソ2人、オーボエ2人が同数で対照的に配置されます 26人の合唱(ソリストを含む)も左右同数に分かれます。そして指揮者兼チェンバロの鈴木優人の隣にエヴァンゲリストの櫻田亮が控えます 左グループ(Ⅰ群)のコンマスは若松夏美、右グループ(Ⅱ群)のコンマスは高田あずみです。ソリストは左の合唱グループに森麻季、久保法之、加来徹が、右の合唱グループに松井亜希、青木洋也、谷口洋介、加藤宏隆が入ります

 

     

 

鈴木優人の指揮で第1部第1曲の「序:シオンの娘と信ずる者たちの対話」の演奏に入ります この曲を聴くと、「これからバッハへの旅が始まるんだな」と思います

古楽器特有の柔らかく包み込むような音が会場を満たします さらにどこまでもクリアな合唱が迫ってきます 世界に通用するバッハ・コレギウム・ジャパンのコーラスの特徴は、ドイツ人も驚くという正確なドイツ語と、透明感のある歌唱にあります

エヴァンゲリストを歌ったテノールの櫻田亮は、B.C.Jにおいて 今やなくてはならない存在です 日本におけるエヴァンゲリストのオーソリティと言っても過言ではないでしょう

その意味では、イエスを歌ったバスの加来徹もこの役を自分のものにしています

ソプラノの森麻季は透明感のある美しい声で、とくに高音部がとてつもなく美しく聴き惚れてしまいます ソプラノの松井亜希も、アルトの青木洋也も、テノールの谷口洋介もB.C.Jの常連歌手として申し分のない働きをしましたが、今回すごく良かったと思うのはアルト1を歌った久保法之と、バスⅡ/ペテロを歌った加藤宏隆です 2人とも優れた歌唱力で存在感をアピールしていました

歌手を引き立てる管弦楽では、オーボエ&オーボエ・ダ・カッチャ(ブーメランを拡大したような形の楽器)の三宮正満、フラウト・トラヴェルソ(フルート)の菅きよみと前田りり子、コンミスの若松夏美と高田あずみのソロが際立っていました ヴィオラ・ダ・ガンバの演奏も素晴らしかったです

コロナ禍のせいで、幸か不幸か 歌手陣はオール・ジャパンによる演奏となりましたが、今やこれが普通のスタイルに定着した感があります 海外からの招聘歌手が渡航制限により来日できない現在、考えようによっては、日本人歌手が活躍するチャンスになるわけで、悪いことばかりではないでしょう

第1部=約70分、休憩=20分、第2部=約90分の3時間コースでしたが、最後の第67ー68曲「哀悼と安息」の音楽が流れてきたときは、「これでバッハへの旅も終わるんだな」と思いました それと同時に、バッハの偉大さをあらためて感じました 「マタイ受難曲」だけでもJ.S.バッハの名声は後世に残ったのではないかと思います 作品の多さと多様性、それと後世の作曲家に与えた影響を考えるとき、音楽史においてバッハほど偉大な作曲家はいなかったのではないかと思います

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ディズニー・アニメ『ファンタジア』を観る 〜 「魔法使いの弟子」「春の祭典」「くるみ割り人形」「トッカータとフーガ」「時の踊り」「田園交響曲」他とアニメの融合による映画史に残る傑作

2021年04月03日 07時21分01秒 | 日記

3日(土)。わが家に来てから今日で2275日目を迎え、ミャンマーのチョー・モー・トゥン国連大使は1日、日本経済新聞のインタビューに応じ、国軍のクーデターについて「民政が回復するまで投資を中断し、国軍への資金源を断絶すべきだ」とし、日本政府による「より強い、厳しい行動」を求めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「今は 経済活動よりも 人命の保護を最優先すべきだ」という主張は 説得力がある

 

         

 

昨日の夕食は、2週間に一度作るのが恒例になった「鶏の唐揚げ」です  さすがに作り慣れたので、外カラっと、内ジューシーに出来ました

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでディズニーの長編アニメ『ファンタジア』(1940年製作アメリカ映画・カラー・ステレオ・125分)を観ました

この映画は、クラシックの名曲とアニメーションを融合させた画期的な表現により、映画史に残る傑作として語り継がれているディズニーの長編アニメです 登場するのは①バッハ「トッカータとフーガ・ニ短調」、②チャイコフスキー「くるみ割り人形」 ~ 金平糖の踊り、中国の踊り、葦笛の踊り、アラビアの踊り、ロシアの踊り、花のワルツ、③デュカス「魔法使いの弟子」、④ストラヴィンスキー「春の祭典」、⑤ベートーヴェン「交響曲第6番”田園”」、⑥ポンキエッリ「時の踊り」、⑦ムソルグスキー「禿山の一夜」、⑧シューベルト「アベ・マリア」の8曲です 音楽を担当しているのは巨匠レオポルド・ストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団です 作曲家・音楽評論家のディームズ・テイラーがナレーターを務めています

この作品にはナレーション以外の台詞や効果音はありません 音楽イメージを視覚化して映像と音楽のシンクロナイズを実現しています

娘が小さい頃、この映画を観に連れて行ったことがあります それと前後してレーザーディスク(2枚組3面:下の写真)を購入しました 90年代初め頃だったと思います 残念ながらレーザーディスク・プレーヤーがもはや手元にないので観ることができませんが、50枚位あったレーザーディスクを売り払ったとき、娘が「これだけは売らないで」と言ったので残しておきました

 

     

     

 

レーザーディスクのジャケットに日野康一氏が次のように書いています

「『ファンタジア』は最初から長編として企画されたものではなく、ミッキーマウスが生まれて12年、後輩のアヒル(ドナルド・ダック)に食われかけてしまい、失地回復を考えたディズニーは『魔法使いの弟子』なら生意気なミッキーにピッタリだと考えた そんな時、アメリカが世界に誇る大指揮者レオポルド・ストコフスキーに出会った ディズニーはスタジオへ来たストコフスキーに、ミッキー主演で物語性のある短編アニメ『魔法使いの弟子』を作れないかと持ちかけた 乗り気になったストコフスキーとテストフィルムを作り、内部で試写したところ大好評で、構想が際限なく広がった しかし、テストフィルムまでにかなりの金をかけてしまい、短編ではペイしないために長編『コンサート映画』(仮題)へ発展、選曲に音楽評論家でラジオ解説者のディームズ・テイラーが加わり、3人で8曲を選び出した ストコフスキーが提案して RCAの実験室で完成した世界最初のステレオ録音を採用、当時最高のコンディションにあったストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団によって収録されたあと、音楽に基づいてアニメが約2年がかりで創造された 当時のレコードはSP時代で、か細い音楽が聴こえた 『ファンタジア』のオーディオ『ファンタサウンド』は9チャンネル超ステレオ録音。RCAビクターの全面的協力のもとに実行され、世界オーディオ史にモニュメントを築いた 参考までに、LPモノラル・レコードの実用化は1954年、ステレオLPは1959年、CDは1982年。いかに『ファンタサウンド』が画期的なものかお分かりだろう

 

     

 

この映画で気に入っているシーンがいくつかありますが、まず第一に思い浮かべるのは、やはり「魔法使いの弟子」です ミッキーが魔法を使って箒に水汲みをさせたものの、途中で眠っている間に水が溢れ、魔法使いに叱られるという内容です 全作品の中でこの作品がカラーが一番鮮明です 「くるみ割り人形」ではキノコが踊る「中国の踊り」が可愛らしい 「春の祭典」は地球の誕生と生命の歴史を描いたスケールの大きな作品です 「田園交響曲」は舞台をギリシャの神々が住んでいたオリンポス山として、ペガサスの群れや、ケンタウロス(半人半獣)たちのロマンスなどを描いています 「時の踊り」では、フラミンゴ、カバ、象、ワニたちが登場して、コミカルなバレエを踊ります

この作品を最後に観たのは30年近く前だと思いますが、今回久しぶりに観て、様々なシーンを思い出しました 演奏に入るストコフスキーのシルエットがカッコいい

ウォルト・ディズニーは『ファンタジア』について次のように語っています

「『ファンタジア』は時代を超えた映画といえよう。10年、20年、30年後もずっと鑑賞され続けるに違いない この作品は、アイディアそのものを具体化した唯一の形式であり方法であって、代わりの作品など作ることはできない。改良したり手直しはできたとしても、それ以上のことはできない

30年後どころか、80年以上経った現在でも世界各地で上映され、あるいはDVDで観られ続けています 『ファンタジア』は年齢を問わず楽しめる不滅の名作です

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ヴィットリオ・デ・シーカ監督「ひまわり」を50周年HDレストア版で観る 〜 哀愁を誘うヘンリー・マンシーニの音楽

2021年04月02日 07時17分09秒 | 日記

2日(金)。手の腱鞘炎や腰痛等の治療のため通っているA整骨院のA院長が、腹腔動脈剥離の治療のため3月8日から休診していたのですが、昨日から現場復帰されました この間、他の整骨院やリラクゼーションに通うこともなく、身体全体の痛みを我慢してきました 昨日久しぶりにマッサージを受けて身体が生き返りました 私のコンサート・映画館通い(腰に悪い)が可能なのはA先生のマッサージがあるからだということをあらためて痛感しました

ということで、わが家に来てから今日で2274日目を迎え、国軍によるクーデターが起き 混乱が続くミャンマー情勢について、国連安全保障理事会は3月31日、英国の要請で非公開の協議を実施したが、国連側に制裁を科す方向で一致できるかが焦点だったものの、中国とロシアなどが反対し 意見がまとまらなかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     内政不干渉が大義名分だろうが  わが国の内政にも干渉するなという意味が大きい

 

         

 

昨夕は久しぶりに「カレーライス」を作りました 今回は牛バラ肉のビーフカレーです。お酒はワインですね

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐でヴィットリオ・デ・シーカ監督による1970年製作イタリア・フランス・ソ連・アメリカ合作映画「ひまわり」(107分:50周年HDレストア版)を観ました

結婚して幸せな日々を送っていたジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)だったが、第2次世界大戦が勃発し、アントニオはソ連の最前線に送られてしまう 終戦後、帰らない夫を探しにソ連を訪れたジョバンナは、敗走中に極寒の雪原で倒れた彼を救ってくれたロシア人女性マーシャと女児カチューシャと家庭を築いていたアントニオと再会する 逃げるようにイタリアに戻ったジョバンナだったが、数年後、もう一度やり直したいとアントニオが訪ねてくる しかし、ジョバンナも別の男と結婚し赤ん坊を抱えていた。ジョバンナは、かつて戦場へ赴くアントニオを見送った駅の同じホームで再び彼を見送り、立ち尽くして嗚咽するのだった

 

     

 

ジョバンナは、かつてイタリア軍が戦闘していたという南部ウクライナの街でアントニオの写真を見せて回りますが、そのときジョバンナの前に、地平線の彼方まで続くひまわり畑が広がっています ひまわりの下には戦争で犠牲になった多くの人々が眠っていると言われます。しかし、ジョバンナは「夫はここにはいない」と言って、まだアントニオが生きていることを信じて探し続ける決心をします それだけに、夫が別の女性と暮らしているのを目の前にした時は、言い知れない悲しさと屈辱を感じたのです この辺のジョバンナ役のソフィア・ローレンの強さと弱さの演じ分けは見事です

スクリーンいっぱいに広がるひまわり畑を背景に流れるヘンリー・マンシーニのテーマ音楽が郷愁を誘います このひまわり畑はソビエト連邦時代のウクライナの首都キエフから南へ500キロメートルのところにあるヘルソン州で撮影されたそうですが、その広大さに圧倒されます

この映画は戦争によって引き裂かれた一組の夫婦の行く末を描いていますが、世界中の国々で現実のこととして こうした悲劇が起こっていたのだと思います   人の運命なんて一瞬先は闇です

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クリスティアン・ペッツォルト監督「水を抱く女」を観る 〜 バッハ「チェンバロ協奏曲ニ短調BWV974」が全編を通して流れる:新宿武蔵野館 / 3月実績はコンサート=15回、映画=19本、読書=3冊

2021年04月01日 07時18分45秒 | 日記

4月1日(木)。今日から4月、新年度です 昨日、左上の奥歯を被せる金属が出来たので歯医者に行ってきました     取りあえずこれで2本の歯が無事に金属で覆われ、安心して食物が食べられるようになりました 歯石を取るためもう一度通院しなければなりませんが、次回で終わりです

さて、私の「3つの目標」の3月実績は、クラシックコンサート=15回、映画=19本、読書=3冊でした 新型コロナの影響でコンサートが3回分中止になったのが残念です

ということで、わが家に来てから今日で2273日目を迎え、厚生労働省の職員23人が、時短営業の要請が出ている東京都内で深夜まで営業している店を選び、マスクなしで送別会を開いていたことが明らかになった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     厚生労働省の職員は更生が必要だ  過重労働と合わせて 公務員志望者が減るわけだ

 

         

 

昨日、夕食に「鮭の西京漬け焼き」「ニラ玉」「生野菜サラダ」「マグロの山掛け」を作りました 暑い一日だったのでビールにしました

 

     

 

         

 

昨日、新宿武蔵野館でクリスティアン・ペッツォルト監督による2020年製作ドイツ・フランス合作映画「水を抱く女」(90分)を観ました

ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ(パウラ・べーア)は、アレクサンダー広場に隣接するアパートで暮らしながら博物館でガイドとして働いている 恋人ヨハネス(ヤコブ・マッチェンツ)が別の女性に心変わりし悲嘆に暮れる彼女の前に、愛情深い潜水作業員クリストフ(フランツ・ロゴフスキ)が現れる。2人は強く惹かれ合い、新たな愛を大切に育んでいく やがて、ウンディーネが何かから必死に逃げようとしているような違和感をクリストフが感じ取ったことをキッカケに、彼女は自分の宿命に直面することになる

 

     

 

この映画は「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して、水に還らなければならない」という宿命を負った女の物語(ギリシャ神話「水の精:ウンディーネ(オンディーヌ)」)をモチーフにした作品です

クラシック音楽の世界では、チャイコフスキーが1869年にオペラ「ウンディーネ」を作曲、ドビュッシーが1913年にピアノ曲「オンディーヌ」を発表しています また、水の精を主人公としたオペラにドヴォルザーク「ルサルカ」(1900年)があります

本作品ではマルチェッロ(1684‐1747)が作曲した「オーボエ協奏曲ニ短調」を J. S. バッハがチェンバロ用に編曲した「チェンバロ協奏曲 ニ短調 BWV974」の第2楽章「アダージョ」をピアノで弾いた音楽が全編を通して流れます 悲しい宿命を背負った主人公ウンディーネに寄り添うように物悲しい旋律が流れ、胸に迫ってきます

この映画は、神秘的なウンディーネを演じたパウラ・べーアが魅力的です 別の作品も観てみたくなりました

 

     

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