人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

川瀬賢太郎 ✕ 郷古廉 ✕ 東京シティ・フィルでマクミラン「ヴァイオリン協奏曲」、ベルリオーズ「幻想交響曲」を聴く / 阪田知樹「ラフマニノフ『ピアノ協奏曲全曲演奏会』」のチケットを取る

2023年02月18日 07時06分19秒 | 日記

18日(土)。4日ほど前、ツイッター最高経営責任者イーロン・マスク氏の「我々が『アルゴリズム』の調整をする間、待っていてください」という英語のツイートがスマホ画面に表示されました 昨日も別のツイートが表示されました。私はマスク氏のフォロワーではないので、「なぜ急に?」と思っていたところ、昨日の朝日新聞朝刊 経済面に次のような記事が載りました

「米ネットメディア『プラットフォーマー』は14日、米ツイッター社がイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の指示を受け、同氏のツイートが表示されやすくなるようアルゴリズム(計算手順)を変更していたと報じた    報道が事実なら、2億人以上が利用する『公共の広場』を経営者自らがゆがめたことになる 報道によると、米プロフットボールが開かれた12日、マスク氏が試合に関するツイートを投稿。バイデン米大統領が投稿した試合に関するツイートが約2900万回表示された一方、マスク氏のツイートは約900万回にとどまったという このことを不満に思ったマスク氏は、自らのツイートが利用者の画面に表示されやすくなるように従業員に指示。従業員は投稿の表示順を決めるアルゴリズムを調整し、マスク氏の投稿が通常の千倍表示されやすくなるようにした この影響で、マスク氏をフォローしていない多くの利用者の画面にも同氏の投稿が表示される状態になっていたという 米メタやツイッターなど大手SNSは、投稿についた『いいね』の数など数千の要素を考慮して、投稿の表示順序を決めている その順序づけに使われている人工知能(AI)のアルゴリズムをめぐっては、中立性や透明性を求める声が強まっており、報道が事実なら『ツイッター離れ』を加速しかねない

ツイッターの利用者の一人として思うのは、「マスク氏の行動は”企業の私物化”で、フェアじゃない」ということです しかし、「無料で利用させてもらっている」身としては正面切って批判する資格があるのかな、と思ったりします 今ご訪問いただいている toraブログ はNTT系の 「gooブログ」を利用していますが、これも無料です 記事の投稿に当たって広告などが表示されたりしますが、文句は言えません 12年間もの長い間、大変ありがたく利用させてもらっています

現在、toraブログはツイッターにも同じ記事を投稿していて、本日現在のフォロワーは合計2002人(うちツイッター分は48人)となっています ツイッターを通してのフォロワー48人はとても貴重で、プロの音楽家の皆さんからの「いいね」もツイッターを通じて押されるケースが圧倒的に多いのが実情です 無料である限りこれからも利用するつもりですが、やっぱりトップによる「企業の私物化」はいただけません それが公共的な性格を帯びているメディアだったり、SNSだったりすればなおさらのことです

ということで、わが家に来てから今日で2958日目を迎え、ウクライナ空軍は16日、ロシアがウクライナ全土の重要なインフラ施設に対して、同日未明にかけて大規模なミサイル攻撃を行った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     国民の8割がプーチンを支持するロシアは ウクライナを破壊し尽くしたツケを負う

 

         

昨日、夕食に「鶏のクリームシチュー」と「生野菜とツナのサラダ」を作りました 寒いとどうしてもシチューやカレーや鍋系の料理が多くなりますね

 

     

 

         

 

9月17日(日)13時半からサントリーホールで開かれる阪田知樹「ラフマニノフ『ピアノ協奏曲 全曲演奏会』」のチケットを取りました 「ピアノ協奏曲第1番~第4番」と「パガニーニの主題による狂詩曲」を一挙に上演します。伴奏は大井剛史指揮東京フィルです ラフマニノフの「全曲演奏会」は数年前に清水和音の演奏を聴いて以来です 私の「若手一押し」のピアニストがどのようなラフマニノフを演奏するのか、今から楽しみです

 

     

 

         

 

昨夜、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第358回定期演奏会」を聴きました プログラムは①マクミラン「ヴァイオリン協奏曲」、②ベルリオーズ「幻想交響曲 作品14」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=郷古廉、指揮=川瀬賢太郎です

川瀬賢太郎は1984年東京生まれ。2007年東京音楽大学卒業。2006年10月、東京国際音楽コンクール”指揮”部門で第2位(最高位)に入賞    神奈川フィル常任指揮者を経て、現在、名古屋フィル正指揮者(23年4月から音楽監督)、札幌交響楽団正指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢パーマネント・コンダクターを兼任しています

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものシティ・フィルの並び コンマスは戸澤哲夫です。いつもは管楽器群が平台のため顔が良く見えなくて困っていましたが、今回は外部から招聘した指揮者ということでか、ひな壇に乗っていて良く見えます 普段からこうしてほしいと思います

1曲目はマクミラン「ヴァイオリン協奏曲」です この曲はスコットランド出身のジェームズ・マクミラン(1959~)が2009年に、ワディム・レーピンの独奏を念頭に作曲し、2010年にロンドンで、レーピンのヴァイオリン独奏、ワレリー・ゲルギエフ指揮ロンドン響により初演されました 第1楽章「ダンス」、第2楽章「ソング」、第3楽章「ソングとダンス」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の郷古廉(ごうこ すなお)は1993年宮城県生まれ。2013年ティボール・ヴァルガ  シオン国際ヴァイオリン・コンクール優勝、並びに聴衆賞・現代曲賞を受賞 22年4月からNHK交響楽団ゲスト・アシスタント・コンサートマスター(4月からゲスト・コンサートマスター)を務めています

川瀬の指揮で第1楽章がオケの総奏による激しい一撃で開始されます ムチの音がビシッと聴こえたので、まるでラヴェル「ピアノ協奏曲」みたいだな、と思いました 楽章タイトルの「ダンス」のイメージからは程遠い激しい音楽が繰り広げられます 独奏ヴァイオリンにとっては超絶技巧曲ですが、冷静な郷古は何食わぬ顔でビシビシと決めていきます 打楽器群が大活躍で、中盤ではバーンスタインの「ウエストサイド・ストーリー」のメロディーが聴こえてきました 第2楽章は一転、抒情的な音楽が奏でられます 第3楽章に入ると、再び独奏ヴァイオリンの超絶技巧が展開し、ドイツ語による人の声も聴こえてきます 郷古の完璧なカデンツァを経て、打楽器群が大活躍するフィナーレになだれ込みます すごい演奏でした 川瀬 ✕ 郷古 ✕ シティ・フィル は攻めています

会場いっぱいの拍手に郷古は、グレゴリア聖歌「怒りの日」の旋律が採用されたイザイの「無伴奏ヴァイオリンソナタ 第2番」から第2楽章「憂鬱」を静かに そして鮮やかに演奏し、後半の「幻想交響曲」に繋げました

 

     

 

プログラム後半はベルリオーズ「幻想交響曲 作品14」です この曲はエクトール・ベルリオーズ(1803-1869)が1830年に作曲、同年パリで初演されました 曲の内容は「失恋して絶望した若い芸術家がアヘンで自殺を図るが、死に至らず、昏睡状態になって奇怪な幻想を見る その中で恋人はいつも決まった旋律として現れ、彼は夢の中で恋人を殺し、悪魔の饗宴に身を置く」というもので、彼の経験に基づいています 第1楽章「夢、情熱」、第2楽章「舞踏会」、第3楽章「野の風景」、第4楽章「断頭台への行進」、第5楽章「魔女の夜宴の夢~魔女のロンド」の5楽章から成ります

ハープ2台が、指揮者を挟むような形で、下手はコンマスの手前、上手はヴィオラ・トップの手前あたりにスタンバイします まるで白鳥が羽根を広げているような形です🦢

川瀬の指揮で第1楽章が開始されますが、テンポがかなり遅く、このまま行くんだろうか、と心配になりました しかし、後に続く演奏を聴いて、メリハリのある演奏を目指していることが分かりました 竹山愛のフルートによる「イデー・フィクス(固定楽想)」の演奏が素晴らしく、チェロ、コントラバスといった低弦が地響きのようなもの凄い音を出していたのが印象的です 第2楽章では舞台の左右に配置された2台のハープの音がストレートに伝わってきて、川瀬の意図は十分活かされたと思いました

第3楽章では、冒頭の高橋舞のイングリッシュ・ホルンと舞台裏のオーボエとの対話が素晴らしく、終盤における2台のティンパニによる雷鳴が不穏な第3楽章を暗示していたのが印象的でした 第4楽章「断頭台への行進」では何といってもファゴットの演奏が印象的です そして弦楽セクションの渾身の演奏による大きなうねりが素晴らしい ティンパニの強打がとどめを刺します 第5楽章では、小クラリネットの狂ったような演奏が素晴らしい そして、チューバと舞台裏の(教会の)鐘によりグレゴリア聖歌「怒りの日」の旋律が演奏された後、クレッシェンドで狂乱のフィナーレを迎えます

川瀬の若き情熱が楽員に乗り移ったかのような熱狂的な演奏でした 平均年齢が若い東京シティ・フィルの勢いが前面に出た素晴らしい演奏でした

演奏を聴き終わって あらためて驚いたのは、この曲が作曲されたのはベートーヴェンの死(1827年)のわずか3年後だったということです 時代は古典派からロマン派へ移る過渡期にありました 天才を乗り越えて 新しい音楽を開拓したのは やはり天才でした

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヤクブ・フルシャ ✕ ピョートル・アンデルシェフスキ ✕ NHK交響楽団でドヴォルザーク:序曲「フス教徒」、シマノフスキ「交響曲第4番”協奏交響曲”」、ブラームス「交響曲第4番」を聴く

2023年02月17日 07時03分03秒 | 日記

17日(金)。第一生命ホール主催の「室内楽ホールdeオペラ 林美智子のモーツアルト『ダ・ポンテ三部作』」のうち、5月13日(土)の「コジ・ファン・トゥッテ」と6月10日(土)の「ドン・ジョバンニ」のチケットを先行発売で取りました 過去に上演した公演の再演です 私は3公演とも鑑賞しましたが、とにかく楽しい公演で、再演したら是非観たいと思っていたものです 7月8日の「フィガロの結婚」は東京フィルのコンサートと重複していて観られないのが残念です

 

     

 

本公演の大きな特徴は、全アリアをカットし、重唱のみをクローズアップして「アンサンブル・オペラ」の楽しさを追求した点です また、オケの代わりにピアノ1台でカバーし、舞台道具は椅子しかないという極めてシンプルな舞台となっています 林美智子さんの演出が冴えています これは今から楽しみです

 

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2957日目を迎え、ドバイに滞在し、去年7月の初当選以来一度も登院していないガーシー氏について、参院懲罰委員会は16日、理事懇談会を開き、ガーシー氏への処分内容を決める懲罰委員会を21日午前10時から開催することで合意したが、当日はガーシー氏側に弁明の機会を与えるが ガーシー氏本人は出席せず、NHK党の浜田政調会長が代理で出席し弁明することになる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     働かない国会議員を 高い歳費で養うほど 国民は寛容じゃない 即刻クビにすべきだ

 

         

 

昨日の夕食は「おでん」にしました🍢 寒い日が続くとおでんが食べたくなります からしを付け過ぎて涙が出てきました

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールでN響11月度定期演奏会Bプロブラム2日目公演を聴きました プログラムは①ドヴォルザーク:序曲「フス教徒」、②シマノフスキ「交響曲第4番 ”協奏交響曲”」、③ブラームス「交響曲第4番 ホ短調」です 演奏は②のピアノ独奏=ピョートル・アンデルシェフスキ、指揮=ヤクブ・フルシャです

ヤクブ・フルシャは1981年チェコ・モラヴィア地方のブルノ生まれ 現在バンベルク交響楽団首席指揮者。チェコ・フィル、ローマ聖チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の各首席客演指揮者を兼務しています 2010年から2018年まで東京都交響楽団の首席客演指揮者を務めました

 

     

 

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものN響の並び コンマスはゲスト・コンマスの白井圭です

1曲目はドヴォルザーク:序曲「フス教徒」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1883年に作曲、同年11月13日にプラハで初演されました

タイトルの「フス教徒」とは、15世紀初頭に宗教改革を行い火刑に処せられたヤン・フスの支持者を指し、1420~1434年の間、チェコに独立政権を樹立しました

スメタナは「わが祖国」でフス教徒を扱いましたが、この曲はドヴォルザーク版「わが祖国」のように思います 冒頭の木管を中心とするコラール風の旋律から、終盤の金管を中心とする力強い勇壮な音楽まで、一編の叙事詩のような曲想で、フルシャは生まれた祖国の偉人を誇るかのように堂々たる響きをN響から引き出していました

2曲目はシマノフスキ「交響曲第4番 ”協奏交響曲”」です この曲はカロル・シマノフスキ(1882-1937)が1932年に作曲、同年10月9日にボズナン市で作曲者自身のピアノ独奏で初演されました 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アンダンテ・モルト・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・ノン・トロッポ、マ・アジタート・エ・アンシオーソ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏のピョートル・アンデルシェフスキは1969年、ポーランド人とハンガリー人の両親のもとワルシャワで生まれました

オケは14型に縮小し、フルシャの指揮で第1楽章に入ります 冒頭から独奏ピアノが入ってきて民俗的な旋律を奏でますが、誤解を恐れずに言うと、まるでトイ・ピアノで演奏しているような音と曲想で、シマノフスキのイメージが変わりました ひと言でいうと、トイ・ピアノにより超絶技巧で演奏されるファンタジー音楽といった感じです アンデルシェフスキのピアノは切れ味が鋭く、あいまいなところがありません 第2楽章では、神田寛明のフルート、ヴィオラ・トップ、白井コンマスのヴァイオリン・ソロが冴えた演奏を繰り広げました ティンパニに導かれて間断なく入った第3楽章では、独奏ピアノが時に打楽器的に扱われ、鋭いリズムを刻みます じっくりと耳を傾けていると、アンデルシェフスキは超絶技巧曲を、そうと感じさせないようにあっけらかんと演奏していることが分かります この人は相当巧いと思いました フルシャ✕N響はピタリとソリストに寄り添いました

満場の拍手にアンデルシェフスキは、バルトーク「シク地方の3つのハンガリー民謡」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました

どうでもいい話ですが、隣席の女性が演奏中ずっとウタタ寝をしていて、椅子の背もたれに頭をゴチンとぶつけていました どうやらこの人、前にコックリするタイプではなく、後ろに頭を反らすタイプのようです 正確に数えたわけではありませんが、30回はゴチンとやってました その度に 椅子は大丈夫か? と心配になりました(その前に 頭を心配しろ) しかし、後半のブラームスでは終始 真面目に耳を傾けていたので、どうやら「コンサートでは、知らない曲は寝て過ごす」ことを信条にしているようです ゴチンをして後頭部にコブができても大勢に影響はありませんが、隣の椅子を振動させるのは止めてほしいと思います

 

     

 

プログラム後半はブラームス「交響曲第4番 ホ短調 作品98」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1884年から85年にかけて作曲、1885年10月25日にマイニンゲンで作曲者自身の指揮で初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「アレグロ・ジョコーソ」、第4楽章「アレグロ・エ・エネルジーコ・エ・パッショナート」の4楽章から成ります

オケは再び16型に拡大し、フルシャの指揮で第1楽章が繊細な演奏で入ります 提示部の反復を聴いていると、まるで音楽に合わせて呼吸をしているような気になります 穏やかな第2楽章を経て、第3楽章で曲想が一変します 元気溌剌・・・まるで1曲目の「フス教徒」の世界に戻ったかのように、フルシャはオケを煽り立て、生き生きとした演奏を展開します 第4楽章では、神田寛明のフルート、吉村結実のオーボエ、伊藤圭のクラリネットを中心とする木管楽器群が素晴らしい演奏を展開します 中盤から終盤にかけて、フルシャはアクセルを踏んでN響を煽り立て、エネルギッシュな演奏を引き出します 私はこれほど激しい第4楽章を聴いたことがありません しかし、ブラームスの第4楽章の速度指定をあらためて見ると「アレグロ・エ・エネルジーコ・エ・パッショナート」となっており、フルシャは指定通り指揮しているに過ぎないことが分かります 指揮者によって解釈がそれぞれ異なるにしても、フルシャの指揮には説得力があります 第1楽章で晩年の枯淡の境地かと思われた演奏は、第4楽章を青年の躍動感で駆け抜けました 清々しいブラームスでした

満場の拍手にカーテンコールが繰り返されました

 

     

 

楽員を代表してホルン奏者の野見山和子さん(元・都響)からフルシャへ花束が贈呈されました 粋な計らいですね

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

有吉亮治 ✕ 清水和音でモーツアルト「2台ピアノソナタK.448」、ブラームス「3つの間奏曲」&「ハイドンの主題による変奏曲」を聴く ~ 芸劇ブランチ / リバーサルオーケストラ第6回を観る

2023年02月16日 07時01分57秒 | 日記

16日(木)。昨夜、日テレで「リバーサルオーケストラ」第6回を観ました ストーリーの概要は次の通りです

「初音(門脇麦)の左腕も回復し、バレンタイン・ガラコンサートに向けてこれからという大事な時に、チェロ首席の玲緒(瀧内公美)が練習に現れない 団員たちの間では指揮者の朝陽(田中圭)に振られたからだという噂が立つ 初音は朝陽たちと一緒に玲緒のマンションを訪ねるが、玲緒は「合コンに行く」と出かけようとして取りつく島もない   そんな中、朝陽はティンパニの藤谷(渋川清彦)を意外な場所へ誘う。一方、西さいたま市議会議員の本宮(津田健次郎)は玉響がバレンタイン・ガラに出演することを知り、またしても邪魔しようと企む また、初音の幼なじみで人気ヴァイオリニスト三島(永山絢斗)も初音を挑発する 果たして玉響のバレンタイン・ガラは成功するのか

 

     

 

さて、今回のストーリーで流れたのは、チャイコフスキー「交響曲第5番」第4楽章(オープニングテーマ)、ラヴェル「ボレロ」、パッヘルベル「カノン」、ドビュッシー「月の光」、チャイコフスキー「交響曲第6番”悲愴”」より、ビゼー「カルメン」より前奏曲ほか、ムソルグスキー「展覧会の絵」より、リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」より、ブラームス「交響曲第1番」第4楽章、エルガー「エニグマ変奏曲」よりニムロッド、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」第1楽章といった曲でした 例によって清塚信也氏により巧みにアレンジされていて、演奏時間も短いので曲目の特定が困難でした しかし、6回まで観て分かったのは、オープニングテーマ以外にも何曲かが毎回のように登場していることです 門脇麦さんをはじめ俳優の皆さんも、回を重ねるごとに演奏スタイルがサマになってきたように感じます

ということで、わが家に来てから今日で2956日目を迎え、米国務省が設立した「紛争監視団」は14日、ロシアが昨年2月以降、少なくとも6000人の子どもを、ウクライナからロシアが占領するクリミア半島の再教育施設に組織的に移転させていたとする報告書を出したが、親ロシアの思想を植え付けることなどが目的とみられ、巨大な再教育ネットワークの存在を浮き彫りにしている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     拉致・誘拐して再教育とは北朝鮮と同じだ さすがは専制主義国家は行動が似ている

 

         

 

昨日、夕食に「茄子と鶏肉の炒めもの」「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました 「茄子と~」は、本当は鶏肉、茄子、パプリカのほかに、オクラとミョウガを入れたかったのですが、近所のスーパーには売っていなかったので諦めて、余りもののピーマンを入れました

 

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで「第40回芸劇ブランチコンサート ピアノ・デュオの極み」を聴きました プログラムは①モーツアルト「2台のピアノのためのソナタ  二長調K.448」、②ブラームス「3つの間奏曲 作品117」、③同「ハイドンの主題による変奏曲 作品56b」です ピアノ演奏は有吉亮治、清水和音です

 

     

 

自席は1階 I 列13番、センターブロック左通路側です     この日も、ウィークデーの真っ昼間にも関わらず多くの聴衆が集まりました 1時間強のコンサートで2400円は格安です

有吉亮治は東京藝大卒業後、文化庁新進芸術家海外研修生及びローム・ミュージック・ファンデーション奨学生としてジュネーヴ高等音楽院に留学 日本音楽コンクール第1位をはじめ、国内外のコンクールに入賞を果たしています

1曲目はモーツアルト「2台のピアノのためのソナタ  二長調K.448」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1781年11月23日に行われた実業家アウエルンハンマー邸の音楽会で、当家の令嬢ヨゼーファと共演するために作曲した作品です 柴田克彦氏のプログラムノートによると、ヨゼーファはモーツアルトから「うっとりするような演奏をする」と評価される一方で、「化け物のようなブス」とか「豚のよう」とか貶されていたといいます 今こんなこと言ったら間違いなく「セクハラ」で訴えられます 想像するに、村上春樹の短編小説「謝肉祭」に出てくる「僕が知り合った中でもっとも醜い女性」のような存在だったのだろうか

この曲は第1楽章「アレグロ・コン・スピーリト」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「モルト・アレグロ」の3楽章から成ります

体型がよく似た二人が登場し、清水が下手(第一ピアノ)、有吉が上手(第二ピアノ)にスタンバイし演奏に入ります 快速テンポによる疾走感溢れる演奏が展開します モーツアルトはテンポが肝心です この音楽を聴きながら、この曲は一時流行った「頭の良くなるモーツアルト」とか、「日本酒の醸造所でこの曲を聴かせると まろやかな味になる」とか言われてもてはやされた作品ではなかったか、と思いました    第2楽章では2台のピアノの会話により抒情的な音楽が繰り広げられます 第3楽章は再び快速テンポで、喜びの音楽が疾走します 爽快な演奏でした

 

     

 

2曲目はブラームス「3つの間奏曲 作品117」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1892年に保養地バート・イシュルで作曲、1893年にウィーンで初演されました 第1曲「変ホ長調:アンダンテ・モデラート」、第2曲「変ロ短調:アンダンテ・ノン・トロッポ、エ・コン・モルト・エスプレッシオーネ」、第3曲「嬰ハ短調:アンダンテ・コン・モート」です この作品は大好きで、アファナシエフのCDでよく聴いています

有吉亮治のソロで演奏に入ります。第1曲は慈愛に満ちた音楽で、つくづくブラームスはいいなあと思います 第2曲は泉が湧きあがるような曲想で開始されますが、寂寥感に満ちています 第3曲は暗く沈んだ音楽で、ブラームスの晩年の境地が現れているかのようです 有吉のピアノは一音一音がとても美しく、心に沁みました

最後の曲はブラームス「ハイドンの主題による変奏曲 作品56b」です この曲は「交響曲第1番」完成の3年前の1873年に作曲されました 主題となっているのは、ハイドンの「フェルトパルティータ(ディヴェルティメント)Hob.Ⅱー46」の第2楽章に用いられた「聖アントニーのコラール」です

有吉が下手、清水が上手にスタンバイし、演奏に入ります 曲自体がテンポ、強弱、曲想の変化が著しい変奏曲ですが、二人はピアノによる対話を通して、変幻自在にブラームスの音楽の多様性を表現しました

次回以降は座席が変わります 室内楽はやっぱり1階席がいいと思います

 

     

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヤン・パスカル・トルトゥリエ ✕ 阪田知樹 ✕ 東京都交響楽団でフローラン・シュミット「管弦楽とピアノのための協奏交響曲」、ショーソン「交響曲変ロ長調」他を聴く

2023年02月15日 07時04分38秒 | 日記

15日(水)。本日、toraブログが開設満12年を迎えました 2011年2月15日に開設以来、身内の不幸で3日間ほどブログ・アップできなかったのを除き、この12年間毎日書き続けて参りました 本日現在のトータル閲覧数は 7,608,002 PV、トータル訪問者数は 2,355,280 IP です。閲覧数が12年間で合計760万8千 PVということは1日平均1737PVとなります これからも1日も休むことなく書き続けて参りますので、よろしくお願いいたします

ということで、わが家に来てから今日で2955日目を迎え、ウクライナの隣国モルドバのマイア・サンドゥ大統領は13日の記者会見で、ロシア、ベラルーシ、セルビアなどの外国人が非武装の市民を装って政府機関の建物を攻撃して人質を取り、ロシアが支配する非合法政府に体制を転換する計画をロシアが企てていると指摘した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「過ちて改めざる これすなわち 過ちという」=プーチン・ロシアに捧げる格言より

     

         

 

昨日、夕食に「シャケの西京焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「豚汁」を作り、「マグロとタコの刺身」と一緒にいただきました 和食はいいですね

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京都交響楽団第967回定期演奏会Bシリーズを聴きました    プログラムは①フォーレ:歌劇「ペネロープ」前奏曲、②フローラン・シュミット「管弦楽とピアノのための協奏交響曲 作品82」、③ショーソン「交響曲 変ロ長調 作品20」です 演奏は②のピアノ独奏=阪田知樹、指揮=ヤン・パスカル・トルトゥリエです

困ったことに、この3曲とも生まれて初めて聴く作品です。CD4000枚、LP1500枚所有しているのに、この3曲についてはカスリもしません いかに偏ったコレクションなのかと自分のことながら呆れます 定期会員でなければ、あえてこのコンサートのチケットは買わないでしょう 逆に言えば、定期演奏会ならではのプログラムで、二度と生で聴けないかもしれない貴重な機会となります 問題は自分にとって「吉」と出るか「凶」と出るか、です

 

     

 

拍手に迎えられて楽員が配置に着きます 弦は16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの都響の並び。コンマスは四方恭子、隣は山本友重というダブル・コンマス態勢を敷きます

指揮を執るヤン・パスカル・トルトゥリエは往年の名チェリスト、ポール・トルトゥリエの長男として1947年に生まれました BBCフィル首席指揮者、アルスター管弦楽団首席指揮者、ピッツバーグ交響楽団首席客演指揮者などを歴任し、世界各地のオーケストラを指揮しています

1曲目はフォーレ:歌劇「ペネロープ」前奏曲です この歌劇はガブリエル・フォーレ(1845-1924)が1907年から12年にかけて作曲、1913年3月4日にモンテ・カルロで初演され、サン=サーンスに献呈されました ペネロープはホメロスの叙事詩「オデッセイア」で扱われているイタケ王ユリースの妻の名前です

かなり背丈のあるトルトゥリエの指揮で演奏が開始されます。終始穏やかな曲想が淡々と進み、ワーグナーの無限旋律を思い起こさせます 起伏に乏しい曲ながらも良い曲だと思いました

2曲目はF・シュミット「管弦楽とピアノのための協奏交響曲 作品82」です この曲はマスネやフォーレに師事したフローラン・シュミット(1870-1958)がボストン交響楽団の創設50周年を記念する作品として、セルゲイ・クーセヴィツキーの委嘱により1931年に作曲、1932年11月25日にボストンで初演されました 第1楽章「アセ・アニメ(十分に生き生きと)」、第2楽章「ラン(遅く)」、第3楽章「アニメ(生き生きと)」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の阪田知樹は2016年のフランツ・リスト国際ピアノコンクール第1位、6つの特別賞を受賞しているほか、数々の入賞歴を誇ります 東京藝大を経て、ハノーファー音楽演劇大学大学院ソリスト過程に在籍中です

トルトゥリエの指揮で第1楽章が開始されます 間もなく阪田の独奏ピアノが入ってきますが、知的で切れ味鋭い演奏は変わりありません この曲はタイトルの通り、『ピアノ協奏曲』ではなく、『管弦楽とピアノのための協奏交響曲』なので、独奏ピアノがオーケストラの中に溶け込んで演奏するスタイルを採りますが、阪田のピアノは強靭で滅多なことでは音が埋もれません オケのフォルテを突き破ってフォルティシモでピアノが立ち上がります 第2楽章の叙情的な演奏も素晴らしい 第3楽章では、バルトークのように、ピアノが打楽器的に扱われ、鋭いリズムを刻みます 独奏ピアノとオーケストラの丁々発止のやり取りでフィナーレに向かいますが、終わりそうでなかなか終わりません まるでドヴォルザークの第8交響曲のようです この執拗な音楽づくりはこの作曲家の性格を表しているのだろうか いずれにしても、阪田の知的で集中力に満ちたアグレッシブな演奏は特筆に値します 若手男性ピアニストの中では一押しのピアニストです

何度もカーテンコールが繰り返されましたが、アンコールはありませんでした。見識です

 

     

 

プログラム後半はショーソン「交響曲 変ロ長調 作品20」です この曲はエルネスト・ショーソン(1855-1899)が1889年から90年にかけて作曲、1891年4月18日にパリで初演されました 第1楽章「ラン(遅く)~アレグロ・ヴィーヴォ」、第2楽章「トレ・ラン(とても遅く)」、第3楽章「アニメ(生き生きと)~トレ・アニメ(とても生き生きと)」の3楽章から成ります

トルトゥリエはこの曲を暗譜で指揮します 何度も指揮して自信があるのでしょう 第1楽章が重厚な序奏で開始されます 何となくワーグナーの滔々たる音楽を思い浮かべます 第2楽章は、ワーグナーの影響をもろに受けているように感じました ショーソンを含めた同時代のフランスの作曲家はワーグナーの影響を相当受けているようです 第3楽章の冒頭は、まるでブルックナーの「スケルツォ」が始まったかのような嵐の音楽を感じました フィナーレに向けてのトランペットの叙情的な演奏がとても印象に残りました

カーテンコールが繰り返され、トルトゥリエが何度も指揮台に上り、満場の拍手に包まれました 言うまでもなく、この日の演奏は「吉」と出ました

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

佐藤正午 原作、廣木隆一監督「月の満ち欠け」& ジュリアン・デュビビエ監督、ビビアン・リー主演「アンナ・カレーニナ」の2本立てを観る ~ 「月の満ち欠け」の舞台となった早稲田松竹で

2023年02月14日 07時02分10秒 | 日記

14日(火)。東京シティ・フィルから2023年度の「定期演奏会」(東京オペラシティ:全9回)と「ティアラこうとう定期演奏会」(全4回)のチケットが送られてきました これで、定期会員になっているすべてのオーケストラの2023年度のチケットが揃いました

 

     

 

また、「2023年度 公開リハーサル」(入場無料)の案内が同封されていました

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2954日目を迎え、米国防総省は12日、米軍が中西部ミシガン州とカナダの国境にあるヒューロン湖の上空で飛行物体を撃墜したと明らかにしたが、一方、中国山東省青島市の海洋発展局は12日、山東半島沖で「正体不明の飛行物体が発見され、撃墜の準備をしている」と発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     世界的に 気球が解決すべき危急なテーマとなって 衛星は永世的に影を潜めたみたい

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフカレー」と「生野菜サラダ」を作りました カレーには赤ワインが良く合いますね

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「アンナ・カレーニナ」と「月の満ち欠け」の2本立てを観ました 昨日は上映開始40分前に現地に着いたのですが、すでに長蛇の列ができていました 現在、早稲田松竹はコロナ対策で定員153席のうち110席を販売しています この日は整理番号札が配布され、私は63番でした 私を含めて、日曜日に観られなかった人たちが集まって来たのでしょうか、たちまち満席になりました

さて、早稲田松竹で現在上映されているのは、下の写真のように「月の満ち欠け」+「アンナ・カレーニナ」、「月の満ち欠け」+「東京暮色」の2本立てです 私にはこの3本が何の脈略もない組み合わせのように思われましたが、後述の通り「月の満ち欠け」を観て納得しました

 

     

 

「アンナ・カレーニナ」はジュリアン・デュビビエ監督による1948年製作イギリス映画(モノクロ・110分)です

俗物的官僚の代表的人物カレーニン(ラルフ・リチャードソン)と政略結婚させられた美貌のアンナ(ヴィヴィアン・リー)は、愛なき生活の不満から、貴公子ウロンスキー(キーロン・ムーア)と恋に落ち、駆け落ちまでするが、男に対する嫉妬と罪の悔悟から、鉄道で自らの命を絶つ

 

     

 

この映画は、レオ・N・トルストイの傑作「アンナ・カレーニナ」の第3回目の映像化作品です ジュリアン・デュビビエ監督はフランス人ですが、イギリスまで出向いて撮影しているので、会話は英語で交わされます この映画は、ヒロインのビビアン・リーの魅力がすべてです

古典の名作を原作とするモノクロ映画では、よくクラシック音楽が使われます この映画では、ショパン「ノクターン作品9-2」、ヨハン・シュトラウス1世「ラデツキー行進曲」、チャイコフスキー「ワルツ」、グリンカ:歌劇「ルスランとルドミューラ」序曲が使われていました

 

         

 

「月の満ち欠け」は佐藤正午の同名小説を廣木隆一監督が2022年に映画化した作品(128分)です

小山内堅(大泉洋)は、愛する妻と家庭を築き、幸せな日常を送っていたが、不慮の事故で妻の梢(柴咲コウ)と娘の瑠璃を同時に失ったことから日常は一変する 悲しみに沈む小山内のもとに、三角哲彦(目黒蓮)と名乗る男が訪れる 事故当日、娘の瑠璃が面識のないはずの三角に会いに来ようとしていたという そして、三角は娘と同じ名前を持ち、自分がかつて愛した「瑠璃」という女性(有村架純)について語り出す それは数十年の時を超えて明らかになる許されざる恋の物語だった

 

     

 

私は基本的に単行本は買いません その理由は、文庫本に比べて高額だし場所を取るからです しかし、佐藤正午の「鳩の撃退法」と「月の満ち欠け」だけは文庫化が待ちきれなくて、単行本を買いました 「月の満ち欠け」が刊行されたのは2017年4月でしたが、私は読んだ感想をその年の9月15日付のブログに書いています ストーリーが「輪廻転生」「人の生まれ変わり」をテーマにしているので、同じ名前の「瑠璃」「るり」という人物が複数登場したり、時間の流れも過去と現在が入り乱れていたりと、物語が複雑で、すべてを明瞭に覚えているわけではありませんでした それでも、今この映画を観ている「早稲田松竹」が小説の舞台になっていることは忘れようがありませんでした どういうシーンの舞台になったのかまでは覚えていませんでしたが、この映画では、三角と瑠璃が偶然同じ時間帯に早稲田松竹で観ていたのが小津安二郎監督「東京暮色」で、次回上映作がジュリアン・デュビビエ監督「アンナ・カレーニナ」と予告されていました さらに、7歳の瑠璃が三角のアルバイト先のレンタルビデオショップで観たのも「アンナ・カレーニナ」でした 早稲田松竹は今回、映画「月の満ち欠け」のストーリーを中心に据えて映画に登場した「東京暮色」と「アンナ・カレーニナ」を組み合わせて再現上映したのです

2つの上映作品が気になったので、あらためて原作をぱらぱらっと読んでみました すると次のような記述を見い出しました

「その日、早稲田松竹は通例の2本立てではなく、3時間を超える大作『ドクトル・ジバゴ』を上映していた ジュリー・クリスティーがヒロインのラーラを演じる映画である。ヴィヴィアン・リー主演の『アンナ・カレーニナ』のほうは次回上映の予告編として見ることになった

これによると、2人が早稲田松竹で観たのは「東京暮色」ではなく「ドクトル・ジバゴ」ということになります あるいは原作の別ページに「東京暮色」を観る場面が書かれているのに見落とした可能性もありますが、320ページを超える作品をもう一度全て精読する気にはなりません 映画は必ずしも原作に忠実でなければならない、というものでもないでしょう 深く考えないことにします

 

     

 

ところで、佐藤正午がインタビューに答える形で小説の作法などを語った「書くインタビュー」などによると、佐藤氏は実際に早稲田松竹を訪問し自分の目で見て館内の様子を書いているわけではないことが分かります 編集者に依頼して写真を撮ってもらったり、ネットで調べたりして書いているのです 彼は長崎県佐世保市を離れて小説のための取材することはありません。それは佐藤正午スタイルとでも言うべきもので、終始一貫しています

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「チャイコフスキー・ラストコンサート」 ~ 死の9日前の演奏会の再現 ~ 日経「名作コンシェルジュ  Music」から / 原田ひ香著「ドライ」を読む

2023年02月13日 07時00分34秒 | 日記

13日(月)。昨日は早稲田松竹で「アンナ・カレーニナ」と「月の満ち欠け」の2本立てを観るつもりで、上映開始30分前に現地に着いたのですが、すでに長蛇の列で、10時半開始の「アンナ・カレーニナ」も12時35分開始の「月の満ち欠け」も満席となってしまいました 早稲田松竹はもともと定員が153席と少ない上、現在コロナ対策で一部座席を市松模様配置にしているため定員より少ない座席しか販売していないこと、さらに日曜日ということも重なって、早々と満席になったものと思われます 15時20分以降の部を観ると終了が夜になってしまうのでこの日は諦め、月曜日の今日出直すことにしました

ということで、わが家に来てから今日で2954日目を迎え、英BBCによると、ここ数か月でロシア人の妊婦5000人以上がアルゼンチンに入国しているが、ロシアのパスポートよりも自由度が大きく171か国にパスポートなしで入国できるからであるとみられる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     どの親だって ウクライナに賠償責任を負うロシアに 子どもを託すのは躊躇するよ

 

         

 

昨日の夕食は「餃子」「肉まん」「ワカメスープ」でした 土曜・日曜は夕食作りをお休みしているのでアップしなくても良かったのですが、娘が北海道旅行のお土産に持ち帰ったサッポロ CLASSIC「富良野 VINTAGE」を撮りたくてアップしました

 

     

 

         

 

昨日の日経朝刊のコラム「名作コンシェルジュ  Music」(音楽評論家・鈴木淳史氏)でフェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団による「チャイコフスキー・ラストコンサート」のCDが取り上げられていました これは1893年10月にチャイコフスキー自身の指揮により演奏された交響曲第6番”悲愴”ほかのコンサートを再現した演奏会(100年後の1993年:大阪のザ・シンフォニーホール)のライブ録音CDです プログラムはチャイコフスキー「交響曲第6番”悲愴”」で始まり、休憩を挟んだ後、ラロシュの幻想曲「カルモジーナ」、チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」、モーツアルト「イドメネオ」より「2つの舞曲」だったとのことです 鈴木氏の指摘を待つまでもなく「今ならば、順番を逆さまに演奏した方が通りが良さそう」です この演奏会はチャイコフスキーにとって最後のコンサートとなりました その9日後に彼は突然亡くなったからです

さて、演奏曲目の順番ということではベートーヴェンの「交響曲第5番”運命”」と「同第6番”田園”」が同日初演された時のプログラミングが面白いです

Wikipediaを参考に時代を遡ってみます

時は1808年12月22日、会場はオーストリア・ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場 この日のプログラムは演奏順に次の通りで、交響曲から始まっています

①交響曲第5番 ヘ長調「田園」(注:現在の第6番)

②アリア「Ah perfido」作品65

③ミサ曲 ハ長調  作品86より「グロリア」

④ピアノ協奏曲第4番 ト長調

 ( 休 憩 )

⑤交響曲第6番 ハ短調(注:現在の第5番)

⑥ミサ曲 ハ長調より「サンクトゥス」と「ベネディクトゥス」

⑦合唱幻想曲

以上、全体で4時間を超える長いコンサートで、この演奏会の記録によると「暖房もない劇場で、少数の観客が寒さに耐えながら演奏を聴いていた」とされており、聴衆や演奏家の体力も大きく消耗したこともあり成功しなかったようです しかし、同じ日に「運命」と「田園」と「ピアノ協奏曲第4番」を演奏するなんて、何と贅沢なコンサートだったのでしょう 「タイムトンネル」があったら、その日にワープして寒さに震えながらでも聴いてみたいと思います

 

         

 

原田ひ香著「ドライ」(光文社文庫)を読み終わりました 原田ひ香は1970年神奈川県生まれ。2005年「リトルプリンセス2号」で第34回NHK創作ドラマ脚本懸賞公募の最優秀作を受賞。2007年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞を受賞 当ブログでもご紹介した「三千円の使いかた」や「ランチ酒」シリーズなど著作多数

不倫のため仕事を追われ、離婚して子供たちと引き離され一人で暮らす北沢藍のもとに、実家の母親・孝子が祖母・ヤスを刺し、留置場に収監されている、という連絡が入る 藍は面会に行き母親と話し合い、金銭的に困窮していることもあり、実家に戻ることにする 生活力もなく喧嘩の絶えない女同士3人に手を差し伸べたのは隣に住む馬場美代子だった。祖父を介護して暮らしているという美代子に助けられ親しくしているうち、彼女の恐ろしい秘密が知れる

 

     

 

【以下ネタバレ注意】

予想外の展開だったのは、美代子が介護していたのは祖父ではなく、彼女は死亡した祖父をミイラにして2階に保管し、祖父の代わりに介護の対象となる老人を誘拐してきて世話をしていたことです 若い時からヤングケアラーとして家族の介護に縛り付けられてきた美代子にとって、何ができるわけでもなく、自宅で誰かを介護をすることにより「生活保護」を受けることで生計を立てていたのです これには、ケアワークに十分な対価を支払ってこなかった社会に対する批判が込められています

これまでの原田ひ香の作品群とはテイストの異なる深刻なテーマが取り上げられています 貧困問題、ヤングケアラー問題・・・考えさせられることの多い小説でした

         

今週は明日の火曜日から日曜日まで都響、N響、シティ・フィル、東響の各定期演奏会を中心に毎日コンサートが控えています 2月のヤマ場の週を何とか乗り切りたいと思います

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ストラディバリウスはなぜ高い? ~ 「チコちゃんに叱られる」から / 佐藤正午著「小説家の四季 1988ー2002」&「小説家の四季 2007ー2015」を読む ~ ライフワーク的エッセイ集

2023年02月12日 07時05分05秒 | 日記

12日(日)。昨日、たまたまNHK「チコちゃんに叱られる」の再放送を観たら「ストラディバリウスはなぜ高い?」という問題が取り上げられていました 正解は「高品質で希少性があり、300年経っても再現できないから」というものです ストラディバリの活躍していた17世紀半ばから18世紀半ばまでは「小氷河期」と呼ばれる寒冷期に含まれており、楽器の材料となる木材が固くて高品質のものが採れたといいます 現在のヴァイオリンの表板の厚さが3ミリなのに対し、ストラディバリウスは2ミリと薄く、より音が共鳴しやすくなっているそうです 表板が薄いと弦の強い張りに耐えられず、板が反ってしまう恐れがあるが、ストラディバリウスはそれに耐えられる木材で作られているとのことでした ちなみに、ゲスト出演した三浦文彰(2009年、ドイツ・ハノーファー国際ヴァイオリンコンクールで史上最年少の16歳で優勝)の所有するストラディバリウス「Viotti」(1704年製・宗次コレクションより貸与)は、現在の価格に換算すると6~7億円するそうです

Wikipediaによると、アントニオ・ストラディバリは1644年頃の生まれ(1737年没)と言われていますが、1667年から1679年まで二コロ・アマティの工房で楽器の製作技術を学び、2人の息子とともに生涯で1116挺の楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、マンドリン、ギターなど)を製作したとされ、約600挺が現存しているとのことです

「300年前の楽器なんてセコハンじゃね?」なんて言ったらチコちゃんに叱られそうです

ということで、わが家に来てから今日で2953日目を迎え、NHK党の記者会見が10日に開かれ、立花党首がガーシー参院議員への懲罰を検討する懲罰委員会が開かれたことに関し、オンラインでの弁明が認められないことについて、「学校に例えたら『どうして学校に来ないの?』『じゃあ電話で話します』『いやいや学校に来て話そう』っていう。何かハラスメントに感じますよね。直接会わないと話を聞かないというのは国会のハラスメントに当たるんじゃないか」と懲罰委員会サイドの判断に疑問を呈した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     学校の生徒と違い ガーシーには国民の税金から歳費が支払われてる 非常識政党め!

 

          

 

佐藤正午著「小説家の四季  1988ー2002」と「小説家の四季  2007ー2015」(いずれも岩波現代文庫)を読み終わりました 佐藤正午は1955年長崎県佐世保市生まれ。北海道大学文学部中退。1983年「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を受賞。2015年「鳩の撃退法」で第6回山田風太郎賞を受賞。2014年「月の満ち欠け」で第157回直木賞を受賞

「小説家の四季  1988ー2002」は佐藤正午が1988年(32歳)から2002年(46歳)までに各年4回(春夏秋冬)書き綴ったエッセイを収録したもので、彼の「ライフワーク的なエッセイ」の第1期に相当します

本書の初出は、日機装株式会社広報誌「BRIGHT」Vol.33ー40,45-48,64-90です エッセイの中で触れられている佐藤の著書は、1988年=「私の犬まで愛してほしい」、1989年~2000年=「ありのすさび」、2001年~2002年=「豚を盗む」です

 

     

     

1991年春のエッセイで、筆者は「小説家の日常生活」を紹介しています

「小説家はだいたい午後1時から2時のあいだに目覚める 目覚めるとすぐに冷蔵庫からリンゴを取り出し、まるごとかじりながら朝刊を読む 読み終わって、リンゴの芯を流しの三角コーナーに捨て、次にコーヒーを沸かす そのあいだにパジャマを脱いで着替え、ミルク入りコーヒーが出来上がるとそれを持って仕事部屋へ行き、机に向かう。コーヒーを飲みながら煙草を吹かす 窓の外を眺めながらもう1本タバコに火を点ける。窓からは港の景色が見渡せる コーヒーを半分ほど飲み終える。残りの半分は、港を出ていく連絡船を目で追っているうちに冷めてしまう。その冷めたのを一口すすってから、やおら万年筆のキャップをはずす 原稿用紙に視線を落とす。白い枡目に精神を集中させる 昨日はどこまで書いたんだっけ?  こんな風に、小説家の1日は始まる

上記のような生活が、年齢を重ねるうちに少しずつ変わっていくのがエッセイを読んでいくと分かってきます 朝起きて昼に仕事をして夜寝る「朝型」スタイルに変わります

この頃の佐藤正午の小説を読んでいて、これはどこから仕入れたネタだろう?  と疑問に思っていたことがありましたが、2002年春のエッセイを読んで解明しました    それは「おいしいリンゴの食べ方」です   つまり、【①リンゴを薄く櫛状にスライスする。②食パンを焼く。③スライスしたリンゴを焼いた食パンの上に重ねて乗せて食べる】という簡単なレシピです   これは佐藤正午が行きつけの店のママから「リンゴの一番おいしい食べ方を教えてあげる」と言われて伝授されたものだと書いています   前から一度作ってみようと思いながら、いまだに作っていません。今度リンゴが手に入ったらチャレンジしてみようと思います

食べ物の話ついでに、佐藤正午の友人で映画の助監督から教えてもらった「絶対、女が落とせるスパゲティ」の作り方が紹介されています 助監督の話では「女性に作ってやると絶対喜びます いちど味を覚えれば必ずこのスパゲティのとりこになる。作ってくれる男から離れられなくなる」という逸品です。レシピをご紹介してもよいのですが、それでは佐藤正午氏に印税が入りません。是非、本書をお買い求めください

         

「小説家の四季  2007ー2015」は岩波書店「世界」2008年から2010年、2012年、2013年に掲載、それ以降、岩波書店ホームページで2013年から2015年にかけて更新されたもので、「ライフワーク的なエッセイ」の第2期に相当します 佐藤正午が2007年(51歳)から2015年(59歳)までに年4回書き綴ったエッセイを収録しています

 

     

 

第1期のエッセイでは手書きで小説を書いていた佐藤正午は、時代に変遷とともに「手書き」の執筆から「ワープロ」入力へ、さらに「パソコン」入力へと変わっていきます これは多くの小説家に共通する執筆スタイルの変化ではないかと想像します

2009年秋のエッセイでは、編集者との間で面白いやり取りがあります 佐藤正午の小説「リボルバー」の文庫化にあたり、前書きに「汚名挽回」という言葉を見つけた編集者が、真夜中に佐藤氏に電話してきて、「汚名返上という言葉があるが、もしかして1980年代には汚名挽回とも言っていたのだろうか」と問い合わせてきたといいます つまり、「汚名返上」とは言うが「汚名挽回」とは言わないのではないか、という疑問を投げかけてきたということです これについて、佐藤氏は「広辞苑」に載っていない「汚名挽回」はあり得ない、としています。つまり、当時の編集者も佐藤氏も誤りに気が付かなかったということです 「汚名返上」「名誉挽回」ですね。この一例を見るだけでも、小説が活字になって製品化するまでに、小説家と編集者との間で一つ一つの言葉の使い方について厳しいやり取りがあるのだということが分かります

両書を読んであらためて分かるのは、佐藤正午は若い頃から一貫して、生まれ育った長崎県佐世保市のアパートの一室で小説やエッセイを書き続けているということです

佐藤正午ファンにはたまらなく面白いエッセイ集です 著者に印税が入るようお買い求めください

 

本日、toraブログのトータル閲覧数が760万ページビューを超えました( 7,601,310 PV。トータル訪問者数は 2,352,675 IP )。これもひとえに毎日ご訪問くださっている読者の皆さまのお陰と感謝しております これからも毎日休むことなく根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新国立オペラでヴェルディ「ファルスタッフ」初日公演を観る ~ 二コラ・アライモ、ホルヘ・エスピーノ、ロベルタ・マンテーニャ、マリアンナ・ピッツォラート、脇園彩、三宅理恵にブラボー!

2023年02月11日 07時02分22秒 | 日記

11日(土・祝)。北海道旅行に行っていた娘が雪のため無事に帰れるかどうか心配していましたが、昨日午後3時過ぎに無事帰宅しました 次は私が夜、新国立劇場から無事に帰れるかどうかでしたが、雪が雨に変わり全く問題ありませんでした

ということで、わが家に来てから今日で2952日目を迎え、NHK党のガーシー(本名・東谷義和)参院議員が10日、インスタグラムのストーリーに投稿、同議員の国会欠席の処分を検討する参院懲罰委員会の鈴木宗男委員長に向けて、「人を裁ける立場なん? 年齢も年齢やし、日向ぼっこ似合うでw」と反発した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     国会議員なら場外乱闘ばかりしてないで 帰国して国会に出て釈明しろ バカたれが!

 

         

 

昨日、夕食に「海老の肉巻き」「生野菜とアボカドのサラダ」「白舞茸の味噌汁」を作りました 海老の肉巻きは塩とブラックペッパーだけの味付けですが、とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、新国立劇場「オペラパレス」でヴェルディの歌劇「ファルスタッフ」のプルミエ(初日)公演を観ました キャストはファルスタッフ=二コラ・アライモ、フォード=ホルヘ・エスピーノ、フェントン=村上公太、医師カイウス=青地英幸、バルドルフォ=糸賀修平、ピストーラ=久保田真澄、フォード夫人アリーチェ=ロベルタ・マンテーニャ、ナンネッタ=三宅理恵、クイックリー夫人=マリアンナ・ピッツォラート、ページ夫人メグ=脇園彩。合唱=新国立劇場合唱団、管弦楽=東京交響楽団、指揮=コッラード・ロヴァーリス、演出=ジョナサン・ミラーです

 

     

     

歌劇「ファルスタッフ」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)がシェイクスピア「ウィンザーの陽気な女房たち」と「ヘンリー4世」の一部を基にA.ボイトが書いた台本により、1890年から92年にかけて作曲、1893年にミラノ・スカラ座で初演されました

太った老騎士ファルスタッフは、金目当てに人妻のアリーチェとメグに同文のラブレターを出す まったく同文と気づいた2人と、ファルスタッフに恨みを持つ従者バルドルフォとピストーラ、ファルスタッフを心良しと思わないフォードと医師カイウスは、みんなで彼を懲らしめることにする ファルスタッフをおびき出し散々な目に遭わせる間にフォードの娘ナンネッタと恋人フェントンの結婚も決まって、ファルスタッフが「この世はすべて冗談」と歌い出すフーガで大団円となる

 

     

 

私が新国立オペラ「ファルスタッフ」をジョナサン・ミラーの演出で観るのは2004年、2007年、2015年、2018年に次いで今回が5度目です

ジョナサン・ミラー(故人)は2004年のインタビューで、このオペラ公演の演出について次のように語っています

「舞台は17世紀オランダ絵画の描写に基づいて、当時の生活を細部にわたって表現しました というのも、シェイクスピアの時代のルネッサンス家屋の内部描写を詳細に行ったのはオランダ絵画しかないからです

このコンセプトに基づいて、舞台背景や登場人物の衣装は、まるでフェルメールに描かれた絵画の世界のようです

 

     

 

さて、歌手陣は総じて満足のいくパフォーマンスを発揮しました

主人公のファルスタッフを歌った二コラ・アライモはイタリア・パレルモ出身のバリトンですが、タイトルロールの「ファルスタッフ」を世界の歌劇場で60回以上も歌っているだけあって、堂々たる歌唱力と演技力を発揮し、抜群の存在感を示しました 私がこれまで観てきたファルスタッフの中で最も適役でした

フォードを歌ったホルヘ・エスピーノはメキシコシティ生まれのバリトンですが、とくに高音部が良く伸び、歌唱力抜群でした

フォード夫人アリーチェを歌ったロベルタ・マンテーニャはイタリア・パレルモ出身のソプラノですが、艶のある声質が印象的でした

クイックリー夫人を歌ったマリアンナ・ピッツォラートはイタリア出身のメゾソプラノですが、恵まれた体型を生かした十分な声量で深みのある歌唱を発揮しました

ページ夫人メグを歌った脇園彩は、新国立オペラでは「ドン・ジョバンニ」ドンナ・エルヴィーラ、「セビリアの理髪師」ロジーナ、「フィガロの結婚」ケルビーノ、「チェネレントラ」アンジェリーナを歌っていますが、日本人歌手で主役が張れる数少ないメゾソプラノです 今回も美しい歌唱を聴かせてくれました

ナンネッタを歌った三宅理恵は最近の新国立オペラでは「魔笛」パパゲーナ、「オルフェオとエウリディーチェ」アモーレを歌い好評を博しましたが、今回も透明感のある歌唱で聴衆を魅了しました

フェントンを歌った村上公太は第3幕のウィンザー公園で歌った恋の歌をはじめ、魅力的なテノールを発揮しました

コッラード・ロヴァーリス指揮東京交響楽団(コンマス=小林壱成)は、歌手に寄り添いつつ、特に第3幕では木管楽器を中心に登場人物の心情を見事に歌い上げていました

さて、ヴェルディは「リゴレット」「トロヴァトーレ」「椿姫」「ドン・カルロ」「アイーダ」「オテロ」と、どちらかというと「悲劇」を扱ってきましたが、彼が最後(79歳)に作曲したのは喜劇「ファルスタッフ」でした 本当のところは分かりませんが、ベートーヴェンが最後に残したのは「諸君、喝采したまえ、喜劇は終わった」という言葉だったという説があります これに倣って言えば、ヴェルディの場合は、「諸君、喝采したまえ、喜劇で終わった」ということになるでしょうか

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神尾真由子 ✕ 萩原麻未でグリーグ「ヴァイオリン・ソナタ第3番」、サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」他を聴く ~ 都民芸術フェスティバル「ヴァイオリンとピアノのためのデュオ」公演

2023年02月10日 07時02分34秒 | 日記

10日(金)。わが家に来てから今日で2951日目を迎え、マレーシア航空機が2014年7月、ウクライナ東部上空で撃墜され298人が死亡した事件で、オランダなどの国際合同捜査チームは8日、ロシアのプーチン大統領が航空機を撃墜したミサイルシステムの供与に直接関わった可能性が濃厚だとする声明を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンは 民間人の犠牲など 何とも思っていない ウクライナの惨状が物語ってる

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」「生野菜とアボカドのサラダ」「山芋の味噌汁」を作りました トンテキにはカイワレ大根がマッチします

 

     

 

         

 

昨夜、東京文化会館小ホールで都民芸術フェスティバル参加公演「ヴァイオリンとピアノのためのデュオ」を聴きました プログラムは①シンディング:組曲「古い様式で」イ短調 作品10、②グリーグ「ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ短調 作品45」、③エルガー「愛の挨拶 作品12」、④クライスラー「愛の悲しみ」、⑤同「中国の太鼓」、⑥ラフマニノフ「ヴォカリーズ」、⑦リムスキー=コルサコフ「熊蜂の飛行」、⑧マスネ「タイスの瞑想曲」、⑨サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」です 演奏はヴァイオリン=神尾真由子、ピアノ=萩原麻未です

ヴァイオリン独奏の神尾真由子は2007年の第13回チャイコフスキー国際コンクールで優勝、それ以降、国内外で活躍しています 現在、東京音楽大学教授として後進の指導に当たったいます 一方、ピアノ独奏の萩原麻未は2010年の第65回ジュネーヴ国際コンクールで日本人で初めて優勝、国内外のオーケストラと共演を重ねています

 

     

 

自席はJ列30番、右ブロック左から2つ目です。会場はほぼ満席です。この二人なら当然です

神尾が赤、萩原が黒の衣装で登場します     

1曲目はシンディング:組曲「古い様式で」イ短調 作品10です この曲はノルウェーの作曲家クリスチャン・シンディング(1856-1941)が1889年に作曲した作品です 当初、独奏ヴァイオリンとオーケストラのために書かれましたが、ヴァイオリンとピアノでも演奏できるように書き直されています 第1楽章「プレスト」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「テンポ・ジュスト」の3楽章から成ります この曲は初めて聴きます

第1楽章がいきなり独奏ヴァイオリンによって超高速で演奏され、唖然としました あまりにも神尾の演奏が完璧なので、反ってR.コルサコフの「熊蜂の飛行」のような 速さだけをひけらかす作品のように思えて、これでは「忘れられた存在」になるのも無理はないと思いました 第2楽章は一転、ロマンティシズムに溢れた曲想でした 第3楽章では作曲者の熱い思いが醸し出されました

2曲目はグリーグ「ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ短調 作品45」です この曲はエドワルド・グリーグ(1843-1907)が1886年から87年にかけて作曲しました 第1楽章「アレグロ・モルト・エド・アパッショナート」、第2楽章「アレグレット・エスプレッシーヴォ・アラ・ロマンツァ」、第3楽章「アレグロ・アニマート」の3楽章から成ります

恥ずかしながら、この有名な曲も初めて聴きます この曲も第1楽章冒頭の独奏ヴァイオリンの強烈なアッパーカートにやられました 何という激しい音楽なのだろうか しかし、それはいつまでも続くわけではなく、抒情的なメロディーが現れます そして再び激しい音楽が・・・というように、激情と抒情との対比がこの楽章の魅力のようです 第2楽章は萩原麻未のピアノソロから入りますが、この演奏が抒情的で素晴らしかった 神尾のヴァイオリンはピッツィカートひとつとっても根性が座っているというか、一音一音に意味が込められています 第3楽章では、神尾と萩原の丁々発止のやり取りが まるでバトルのように展開し、刺激的な演奏を展開しました まるで生まれたばかりの作品の演奏に立ち会ったような気もちになりました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はエルガー「愛の挨拶 作品12」です この曲はエドワード・エルガー(1857-1934)が1888年に作曲、同年ロンドンで初演されました エルガーから婚約者のキャロライン・アリス・ロバーツへの「愛の挨拶」として書かれました 神尾はどこまでも優しく美しいメロディーを奏で、萩原がそっと寄り添いました

2曲目はクライスラー「愛の悲しみ」です この曲はフリッツ・クライスラー(1875-1962)が1910年に出版した3曲から成る「古典的手稿」の1曲です 神尾 ✕ 萩原は何となくアンニュイな雰囲気を醸し出していました

続けて演奏されたクライスラー「中国の太鼓」は、クライスラーがサンフランシスコのチャイナタウンを訪れた時に着想し、1910年に発表しました 神尾 ✕ 萩原はリズム感よく中国の雰囲気を醸し出していました

次いで演奏されたのはラフマニノフ「ヴォカリーズ」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1915年に作曲したピアノ伴奏付歌曲です 「ヴォカリーズ」とは歌詞のない歌のことを意味しますが、神尾は美しいヴィブラートで流麗に演奏しました

次の曲はリムスキー=コルサコフ「熊蜂の飛行」です この曲はニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844-1908)が1889年から1890年にかけて作曲した歌劇「サルタン皇帝」の間奏曲です 神尾の演奏を聴いていたら、本当の熊蜂の飛ぶときの羽音が聴こえてきました 恐るべし神尾真由子

次はマスネ「タイスの瞑想曲」です この曲はジュール・マスネ(1842-1912)が1894年に作曲したオペラ「タイス」の間奏曲です 神尾は美しいヴィブラートで清らかなメロディーを奏でました

最後の曲はサラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」です この曲はパブロ・サラサーテ(1844-1908)が1878年に作曲した作品で、「ジプシー(ロマ族)の歌」という意味です この曲でもガツンとやられました 神尾は自由自在にヴァイオリンを操り、萩原がピタリとつけます 何という情熱的な演奏だろうか すごい演奏を聴いてしまった

神尾 ✕ 萩原は満場の拍手にグルック「メロディ」を抒情的に演奏、それでも鳴りやまない拍手にサラサーテ「スペイン舞曲集 作品23」から第2番「サバテアード」を超絶技巧で演奏し、再び大きな拍手に包まれました

今回のコンサートを聴いてあらためて思ったのは、神尾真由子のヴァイオリン演奏の並外れた底力と、萩原麻未のピアノ演奏の素晴らしさです

どうやら同じ「都民芸術フェスティバル」でも、東京文化会館小ホールは東京芸術劇場と違って、スマホによるカーテンコール撮影は禁止されているようです    すごく残念です

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「リバーサルオーケストラ」第5回を観る ~ どんな曲が流れた? / 荻上直子監督・松山ケンイチ主演「川っぺり ムコリッタ」 & 沖田修一監督・のん主演「さかなのこ」を観る ~ 早稲田松竹

2023年02月09日 07時02分33秒 | 日記

9日(木)。昨夜、日テレで「リバーサルオーケストラ」第5回を観ました ストーリーは

「朝陽(田中圭)との再会を喜ぶかおり(相武紗季)は、初音(門脇麦)の姿を見つけると、復帰に期待を寄せる かおりの勢いに初音は戸惑い、玲緒(瀧内公美)も思わぬ恋敵の出現に気が気でない そんな中、シンフォニーホールの4月のこけら落とし公演で、玉響は高階フィルと対決することが報告される   しかし、初音はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のソロの練習が思うようにいかずに焦りを感じている

 

     

 

さて、今回のストーリーで登場した音楽は、ビゼー「アルルの女」組曲から「ファランドール」、シベリウス「フィンランディア」、ラフマニノフ「前奏曲嬰ハ短調作品3-2」、ドヴォルザーク「交響曲第9番」から第2楽章「ラルゴ」、チャイコフスキー「交響曲第5番」から第4楽章、チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」から第1楽章 & 第3楽章、ビゼー「カルメン組曲」といった曲でした いつものように、清塚信也氏により巧みにアレンジされていて分かりにくい曲もありました この前も書きましたが、コマーシャルが多いです とくに後半はドラマが再開されたと思ったら、またすぐにコマーシャルが入り、「えっ、またかよ」という感じでした    民放なので仕方ありませんが、もう少し何とかならないでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で2950日目を迎え、国連安全保障理事会で対北朝鮮制裁の履行状況を調べる専門家パネルが3月にも公表する最終報告書案の内容が明らかになったが、それによると北朝鮮が2022年に過去最高額の暗号資産(仮装通貨)を奪い取ったと指摘している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       いくら経済制裁をしたって 盗人猛々しい北朝鮮には通用しない  奪い返さなきゃ!

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキのソテー」「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 魚を定期的に食べようと意識しています 寒い夜は日本酒の熱燗です

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「川っぺりムコリッタ」 と「さかなのこ」の2本立てを観ました

「川っぺりムコリッタ」は荻上直子監督による2021年製作映画(120分)です

北陸にある小さな町にある塩辛工場で働き口を見つけた山田(松山ケンイチ)は、社長から紹介された古い安アパート「ハイツ ムコリッタ」で暮らし始める できるだけ人と関わることなく、ひっそりと生きたいと思っていた山田の静かな日常が、隣の部屋に住む島田(ムロツヨシ)が「風呂を貸し手てほしい」と山田を訪ねてきたことから一変する 山田と島田は少しずつ友情のようなものが芽生え始め、夫を亡くした大家の未亡人・南(満島ひかり)、息子と2人暮らしで墓石を販売する溝口(吉岡秀隆)といった住人たちとも関りを持つようになり、楽しい日々を送っていた しかし、山田がこの町にやって来た秘密が島田に知られてしまう

 

     

 

この作品は、荻山直子監督が2019年に発表したオリジナル長編小説を、自身の脚本・監督により映画化したものです

タイトルの「ムコリッタ(牟呼栗多)」は仏教の時間の単位のひとつ「30分の1日=48分」を表す仏教用語で、「ささやかな幸せ」を意味します

山田は過去に詐欺行為で刑務所に入れられ、出所して塩辛工場の社長が”更生のため”彼を受け入れたことが分かります 島田はアパートの裏庭でキュウリやトマトなどを栽培し自給自足の生活を送り、自らを「ミニマリスト」と称していますが、何しろ金がないので、毎日のように野菜を持って山田の家にきては風呂に入り、勝手に炊飯器からご飯をよそい、冷蔵庫から缶ビールを出して飲みます 山田は「世の中にこんなに図々しい人間がいるのか」と思いながらも、一緒に食べて話をするうちに”慣れて”きて、それが普通のことのようになります 島田の生活信条は「毎日生活している中で、少しでも幸せを感じることが出来ればいい 美味しい野菜が採れた。今日も炊き立てのご飯が食べられる。そんなささやかなことでも幸せを感じることが出来れば、人は生きていける」というものです それが「ささやかな幸せ=ムコリッタ」であり、荻山監督のテーマなのです

キャスト陣が素晴らしい 暗い過去を持つ山田役の松山ケンイチはもちろんのこと、図々しくも憎めない島田を演じたムロツヨシの個性的な演技は唯一無二です 未亡人・南を演じた満島ひかりの沖縄アクセントの話し方が凄くいい 墓石を販売する溝口を演じた吉岡秀隆を見て、満男も歳を取ったなぁと思いました

箸を持って山田の家に勝手に上がり込んで、炊飯器のご飯をよそいながら山田に語りかける「ご飯ってね、ひとりで食べるより誰かと食べた方が美味しいのよ」という島田の言葉が強く印象に残っています 人間は人との交わりの中で生きているから人間なんだ、ということを端的に表しています

 

         

 

「さかなのこ」は沖田修一監督による2022年製作映画(139分)です

小学生のミー坊(のん)は魚が大好きで、寝ても覚めても魚のことばかり考えている   父親は周囲の子供とは少し違うことを心配するが、母親(井川遙)はそんなミー坊を温かく見守り、背中を押し続けた 高校生になっても魚に夢中なミー坊は、いつもみんなの中心にいて、なぜか町の不良たちとも仲が良い 卒業して独り暮らしを始めたミー坊は、魚に関係する仕事に就きたいが、水族館の仕事も、すし屋の見習いもうまくいかず悩んでいた そんな時にも魚への「好き」を貫き続けるミー坊は、たくさんの人たちに出会い、助けられて、ミー坊だけが進むことのできる道へ飛び込んでいく

 

     

 

この作品は、魚類に関する豊富な知識でタレントや学者としても活躍する「さかなクン」の半生を、沖田修一監督がさかなクンの自叙伝「さかなクンの一魚一会 まいにち夢中な人生」を基に、のん(能年玲奈)を主演に迎えて映画化したものです

男性の「さかなクン」を女性の「のん」が演じることについて、沖田修一監督は「性別は特に重要でない。中性的な魅力を持つ のんさん なら、違和感なく不思議とすんなり入っていける気がした」と語っています    監督の言葉通り、全く違和感がありませんでした

ミー坊のモデルになった「さかなクン」は、東京都出身、館山市在住。東京海洋大学名誉博士・客員教授を務めています

この映画は「好きなことを根気よく続けていけば、それを理解し支えてくれる家族がいれば、いつか誰かがそれを認めてくれて、引き上げてくれる」ということを教えてくれるのでぎょざいます

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする