10/22(金) 14:20配信
日刊ゲンダイDIGITAL
人の応援をしている場合か(東京8区、自民・長島昭久候補と甘利明幹事長=右)/(C)日刊ゲンダイ
31日投開票の衆院選は、自民党の単独過半数割れが濃厚になってきた。序盤から「与党300議席超」「自公で3分の2うかがう」と圧勝が伝えられてきた過去2回の衆院選とは状況が一変。予想を上回る苦戦に岸田自民は真っ青だ。
【秋田】1区と2区は大接戦 金田勝年元法務大臣は前回もギリギリ辛勝
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21日、主要メディアが一斉に報じた序盤情勢調査は、「過半数を視野」「単独過半数の攻防」などと、自民が単独で過半数(233議席)を維持できるかが焦点。現有276議席から40議席ほど減らすとみられているのだ。
■甘利幹事長も「しのぎを削る」情勢
これを見て慌てたのか、自民は21日、甘利明幹事長と遠藤利明選対委員長の連名で「急告 情勢緊迫」と題した通達を各陣営に送付。「多数の選挙区で与野党一騎打ちの構図になり、憂慮に堪えない」「多くのわが党候補者が当落を争う極めて緊迫した状況にある」などと危機感をあらわにしている。
もっとも、読売新聞(21日付)の選挙区ごとの詳報を見ると、通告を出した甘利幹事長自身が立憲新人と「しのぎを削る」情勢で、遠藤氏も立憲新人と「接戦」と書かれている。ともに野党が候補を一本化した選挙区だ。
「前回衆院選では、URをめぐる口利きワイロ問題を蹴散らして12選を決めたほど選挙に強い甘利幹事長が接戦とは、驚きました。選挙を仕切る幹事長がもし負けることがあればシャレにならない。候補者の応援で全国を飛び回っている場合じゃないのではないかという声も上がっています」(自民党関係者)
全289選挙区のうち、毎日新聞の調査では63選挙区、日経新聞では4割(約115選挙区)が与野党の接戦になっているという。その多くが候補一本化に成功した選挙区で、野党共闘が奏功した形だ。
比例復活のない長老組が苦戦
ベテラン勢が苦戦(左から金田勝年元法相、北村誠吾元地方創生相、衛藤征士郎の3候補)/(C)日刊ゲンダイ
一本化で一気に形勢が逆転した選挙区もある。とりわけ苦戦しているのがベテラン勢だ。
自民党が今月15~17日に実施したとされる最新情勢調査では、秋田2区の金田元法相(72)や長崎4区の北村元地方創生相(74)、福岡5区の原田元環境相(77)らが劣勢。熊本2区の野田毅氏(80)や福岡9区の三原朝彦氏(74)は、野党候補に10ポイント以上も引き離されている。大分2区の衛藤征士郎氏(80)も野党統一候補相手に0.1ポイント差まで迫られた。
「比例73歳定年制」で重複立候補できなかった長老組は、選挙区で負ければオシマイだ。
「安倍長期政権と、それを引き継いで安倍氏の残り任期を務めた菅政権に対する嫌悪感が、ベテラン組に対する忌避感に重なっている。政権交代の熱気がないのに、与党がここまで苦戦するのは、庶民の怒りがたまっているからでしょう。コロナ禍で、自民党支持層の自民離れが加速した。長期政権の反省もないまま野党批判を繰り返しているだけでは、投開票日までにさらに票を減らしかねない。今後の状況によっては50~60議席減もあり得ます」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
低投票率だと自公に有利という経験則も通用しなさそうだ。