有吉 佐和子 (著)
1987年、大学時代、『複合汚染』を読んで以来有吉佐和子作品に興味を持ち、端から読み漁ったうちの一つ。中国の民衆の生きざまと、文革後の文化人たちの話を「聞き」、中国の過酷さと頼もしさを知った。
今年は2021年。再読し、ピンとこなかった中国地名をネットで調べればどんな田舎でも地図上に表れ、土地勘をもって読むことのできるテクノロジーの進歩と、それに伴い今や経済大国第二位となった中国の発展ぶりが相まって、三十年の月日の流れを感慨深く思い返されながら読了した。
昔はもっと友好的で、日本は中国の歴史に対する尊敬をもち、高度成長後の日本は中国を支援し円滑に良い関係を築いていたと思います。
良い指導者が殺され、物の分かる方々が日本人と共に悩み、それが度々訪れている筆者の日常の中で変化してゆきます。友情を保っていたのに、暗殺されてしまう無念さや動乱の時期を経て、今に至っているというのがよく分かります。
文革という大混乱の直後の中国レポート。
ここから現代中国の発展が始まる。一方、直前までの中国の混乱した様子が被害者達の口吻から垣間見ることができる。
大変、貴重な歴史資料であり、かつ、有吉佐和子さんの読み手を飽きさせない筆致と構成力で書かれた作品。すーと、最後まで読み切ることができました。
「有吉佐和子の中国レポート」を読みました。1979.3.5発行。
有吉さんが1978.6、5度目の訪中時の話です。1966.8の文化大革命の後の中国、人民公社の農村の人と一緒に暮らしたレポート。
化学肥料と火薬、農薬と毒ガスの歴史を話しながら、化学肥料と農薬の弊害(複合汚染)を説く著者。中国の農業の2つの顔、無農薬と農薬漬けの状況をレポートしてます。重苦しいレポートでした
文革直後の雰囲気が伝わってくる。VIP特権を活かし、各地の人民公社を訪ね歩いた取材記録。筆者は中国の農業に大きな可能性を感じるとともに、農薬乱用による土壌汚染にも憂慮している。慧眼。
中国という国が今、資本主義の悪い所だけを学んだかのように得体のしれないほど膨れ上がり、旧市街の破壊と替え玉とCGを駆使してまで先進国のイメージ作り優先のオリンピックを強行し、地球環境を汚染しまくり、少数民族を圧迫する中華思想に走り、歪んだ一人っ子政策をやめたものの、平和や協調という語句は辞書に無いかのごとく国際社会で振る舞い、大挙して日本に押し寄せ爆買いをしている現状を、もし有吉佐和子が生きていたら、どんな「新・中国レポート」を書くだろうかとしみじみしてしまう。
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