「補助金キックバックを隠すためという指摘も…」宮崎謙介氏が解説
兵庫県知事選をめぐり、兵庫維新の会の兵庫県議に、除名と離党勧告が出された。
斎藤元彦知事が出直し選挙を制してから3カ月、斎藤知事を調査する立場である百条委員会のメンバーだった岸口実県議と、増山誠県議の情報漏洩が明らかになったのだ。
岸口県議は真偽不明の文書を、増山県議は「非公開」とされた百条委員会の録音データを、斎藤知事の出直し選挙中に「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首に提供したとされる。情報提供により、立花氏は「兵庫県知事失職の黒幕は竹内英明県議」と真偽不明の情報を拡散。百条委員だった竹内氏は、SNSなどで誹謗中傷にさらされ、議員辞職後、2025年1月に亡くなった。
日本維新の会の吉村洋文代表は、県議による情報漏洩を受けて、「選挙にどこまで影響を与えたのかは分からないが、彼らがルールに反しているということは事実だから、するべきではなかったと思う」とコメントした。 この2人のほか、同じく兵庫維新の会所属の白井孝明県議の情報漏洩疑惑が浮上した。「自分が知っている噂レベルの話を立花氏に伝えるために連絡を取った」と話しているという。なぜ維新の会が、兵庫県の問題にここまで関与しているのか。前回の兵庫県知事選に出馬検討し、断念を表明した元衆議院議員の宮崎謙介氏は、「維新の中でもいろいろ割れていた」と指摘。
岸口・増山両県議が去った百条委員会では、新たに調査報告書の素案が協議された。そこでは「知事の言動は、パワハラ行為とみなされる可能性がある」「亡くなった元局長に対する県の対応について不適切な対応で、公益通報者保護法違反である」との内容が盛り込まれ、維新の会が主張してきた、パワハラ疑惑は「司法判断にゆだねるべきだ」、告発者への対応について「違法とまでは断言できない」といった文言が削除された。
宮崎氏が背景を解説する。「もともと(初当選時に)自民と維新が斎藤氏を推薦していた。当選後、今回の問題が起き、パワハラ疑惑や内部告発者への対応を調査するために百条委員会が立ち上がったが、この中に岸口・増山県議がいた。それぞれが斎藤氏を応援していたからなのだろう、こっそり百条委での議論をネット上での影響力がある立花氏に提供した」。
その後、「立花氏が『なぜ情報を隠しているのか、けしからん』と、斎藤氏を応援しようと立ち上がり、“2馬力選挙”を行った」結果、斎藤氏は再選したという。「その際に立花氏は『兵庫県知事失職の黒幕は竹内県議』と拡散した。竹内県議はそんな中で誹謗中傷にあって亡くなったという見方が強い。しかし、これ(竹内県議が黒幕)は実際は違ったのではないか、誤情報だったのではないかと。立花氏は『真偽不明の文章を俺に出しやがって』と怒った。怒った立花氏が情報源はこの人たちだと名前を出したことで、岸口・増山氏に目が向けられた」。
ではなぜ、維新ではない他党の立花氏に情報漏洩したのか。「新聞記者などに話を聞いたが、みんながその情報を知っていたが、真偽不明だし、情報源がないから出せないよね、で止まっていた。しかし(立花氏は)裏取りができない状態で発信した。(百条委員会の)音声データの内容は、元副知事が答弁の最後に『元県民局長のプライベートデータがあった』と言った瞬間に、百条委の奥谷謙一委員長が切った。議事録に残らないように切った。『切って何を隠しているんだ』とネットで拡散され、県庁の誰かが斎藤氏を追いやろうとしているという論調が生まれ斎藤擁護、オールドメディアはけしからんとなっていった」。
宮崎氏は、維新・吉村代表が知らないところで県議が動いていたと考察し、「情報がまさか漏れるとは思っていなかった。こっそり立花氏と『自分たちが出したとは言わないで』と握っていたとは思うが、こういう風になっちゃった。吉村氏は『選挙にどこまで影響を与えたのかは分からない』と言っていたが、本来のルール上であれば出てこなかった情報により投票行動が変わった。私は明確に、選挙結果に大きく影響を与えたと考える」と語る。
今後、斎藤知事はどうなるのだろうか。「もう一度、不信任を出すのか。当時は『不信任の内容がおかしい』と再選したが、内容が合っていたとなると、もう一回不信任を出さなくてはならないのが筋だ。(百条委の)結果が出てから、不信任を出さなければいけなかったのに、世論が沸いたため、議会側も我慢できずに出した。本来であれば、今ごろ1発目の不信任決議が出て、失職・選挙になるべきだった」。
また、兵庫県庁内部告発文書問題における「補助金キックバック」についても触れて、「阪神が優勝して、そのパレードのお金がなかったので捻出するために信用金庫に『寄付をしてくれ、その代わりに補助金をキックバックするから』みたいなことを言っていたという件。もしこれが本当だったら刑事事件になるので、議会どころの騒ぎじゃない。斎藤氏が絡んでいたとすれば間違いなく失職する。また違う流れで兵庫県政は混乱する」と指摘。また、「これを隠すために、関わっていた議員がいるのだろう。補助金キックバックスキーム自体が結構横行しているそうなので。そういう方々が、わかりやすい『おねだり』とか『パワハラ』という方に話をどんどん送っていったという話を聞いている」と補足した。
一連の事態について、有権者である兵庫県民に聞いたところ、「混乱している」そうだ。「斎藤氏をバッシングした後に、『実は違った』という情報が来て、また『やっぱり斎藤氏が悪かった』となると、何を信じていいのかわからない。とにかく早く安定した県政を取り戻して欲しいと思っているだろう」と述べた。 (『ABEMA的ニュースショー』より)
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