キカクブ日誌

熊本県八代市坂本町にある JR肥薩線「さかもと駅」2015年5月の写真です。

遠藤彰子「街」@横浜美術館

2016年06月08日 | ☆おえかき
横浜美術館に行ってきました。

先日参加した「昔ばなし大学講演会」で知り合った方から、招待券をいただいたんです。そういうことでもなければ、出かけなかった展覧会ですが、縁というのはおもしろいですね。わらしべ長者のように、縁を手繰って色々な新しい世界と触れ合っているのがここ10数年の私の生活です。


やっていた展覧会は、これ。
「富士ゼロックス版画コレクション×横浜美術館 複製技術と美術家たち ― ピカソからウォーホルまで」



横浜美術館は、みなとみらい駅からすぐの便利なところにあります。前庭も広々としていて、子どもたちが駆け回っていました。美術館の建物も大きく近代的で、ゆったりとしていました。余り混んでいないのは、運営者としては頭が痛いのかもしれませんが、利用客の立場で言えばとても気持ちが良いですね。美術館などはやっぱりゆったりした気持ちで作品鑑賞したいもの。


こんなのがあったとは!
イヤホンをもって行けば、自分のスマホで、作品解説がWIFIで飛ばして聞けるというスグレモノ。イヤホンの貸し出しはあったのだけど、利用しませんでした。


展覧会は、版画や写真や印刷やコピー機などいろいろな複製技術の進歩と、それによって芸術家の表現がどう変わって行ったのか、芸術家はどう戦っていったのかというテーマでここ150年くらいの流れを俯瞰できるような内容でした。

全体を通して、ベンヤミンというドイツの哲学者の評論を通じて解説してあり、この文章が難しいのなんの!大学入試の現代国語の問題に出たら玉砕するような難解さ。
もちろん、こっちに現在芸術の素養がないから「ダダイズム」「キュビズム」「フォービズム」「シュールレアリズム」などなど全く意味が分からないから、そうなるのも無理はありません。

それでも解説文には学芸員の方の意気込みを感じました。


そしてなんか面白そうな「ニオイ」はあった。
なぜ現代の芸術があの抽象画にせよ、彫刻にせよ意味が分からないのか。
その答えがちらちら見えていた気がするんです。
まぁ、そこは焦らず、またの機会にゆっくり考えることにします。



こんなような作品がありました。(画像は展覧会紹介のサイトから拝借)


パブロ・ピカソ「貧しき食事」1904年


パウル・クレー「ホフマン的な場面」1921年



アンリ・マティス「サーカス」(詩画集『ジャズ』より)1947年


この作品は、戸村浩「Number of Stars Book A,B」2005年
「星の数」というタイトルがついていました。1ページずつ、紙テープで折ったような星の絵が描かれているのですが、その絵がどれも一つとして同じではないというのが面白いと思いました。よく見ないと気がつかないですけど。紙テープで5つの角がある星を作るとき、折り方に何通りあるのか、数学的に計算して作られてるんじゃないかと思いますが、どうだろう?この人の作品はほかにも面白いのがいろいろありました。(理解できてないものもありますが。それは宿題ということで)

これは現在流行してる「ZINE」ですね。こうやって複製技術は「いま」につながってくるのだな~。ストンと腑に落ちるものがありました。



全体を見終わると、それぞれの時代に、価値や技術や社会が変容していく事に合わせて、芸術家たちがさまざまに苦悩して新しい表現や創作に対する姿勢などを模索して行っている、というのがなんとなく理解できたように思いました。




企画展のチケットはそのまま「コレクション展」を見ることができます。
コレクション展というのは、常設展のことかな?と思いましたが、どうやら違うようです。
所蔵している作品の中からテーマに沿って、展示し直しているようですね。

今回は「横浜美術館が所蔵する作品の中から、まだ女性芸術家がきわめて稀だった時代に、困難に立ち向かいながら制作しつづけた女性たちの作品」が展示されていました。

いろいろいい作品がありましたが、いちばん印象に残ったのは、この作品。
遠藤彰子「街(Street)」
油彩 194×259cm 1983年



この大きさでは伝わらないかもしれませんが、一見して、みなとみらい駅の長いエスカレーターが思い浮かびました。描かれたのは1983年なので、みなとみらい駅はまだ影も形もなかったでしょうけど。
この作品が横浜美術館にあるのはぴったりだなと思いました。
帰りにショップで絵葉書を数点購入しましたが、絵葉書ではやはりあのインパクトは伝わらないので、また出かけて行って見たいと思います。
 

この方は、武蔵野美術大学の教授をされているようです。
武蔵野美術大学専任教師プロフィール
http://profile.musabi.ac.jp/page/ENDO_Akiko.html
(画像はこのサイトからお借りしました)

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