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ご近所の一人暮らしのおじいさんが救急搬送された話を書きましたが、これは別のおじいさんの話。
夕方仕事から帰宅すると、玄関の前の廊下に先に帰宅していた夫と見知らぬおじいさんがいた。
夫がわたしに「下に誰かいなかった?」
と慌てた様子で聞いてくる。
誰もいなかったと答えると、おじいさんに「ちょっと待っててください」といって階段をかけ下りていく。
取り残されたおじいさんと私。
70代後半くらいの元気そうなおじいさんだけど、いったい誰なんだろう?
と思っていると、
「私はどうしたらいいんでしょうか?」
とおじいさん。
あ、もしかして、このおじいさんは認知症なのかな?
背筋もシャキッとした大柄な人で、ちょっと高圧的な感じもする。
でも、なぜうちアパートのうちの部屋の前にいるの?
なんて答えたらいいんだろう?
夫が戻ってきた。
「この人ここの住人かも。部屋がわからなくなちゃったみたい。大家さんに電話して聞いてみる」
なるほど、ここの住人なんだ。
アパート内で迷ってるということか。
おじいさんに「カギは持っていますか?」と尋ねてみる。
この方も耳が遠いらしい。それにこちらはマスクしてるから(おじいさんはマスクしていない)聞き取りにくいのだろう。
「困ってるんですよ。どうしたら帰れるんですか?」
イラつくおじいさん。
「大丈夫ですよ。ここで待っていましょう。大丈夫ですから」
と、とりあえずおじいさんをなだめる。
大家さんに電話をかけている夫の様子では、部屋がわかりそう。
電話を切った夫、おじいさんの名前を本人に確認し、
「わかりましたよ。ついてきてください。」
向かった先は‥‥あらら、同じ階だ。
ワンルームの部屋が並んでいる棟。
ということは、1人暮らしなんだ…。
ドアを開け(カギはかかっていなかった)
「こちらですよ」
と案内する。
部屋の中を見ても、おじいさんはピンとこないみたいで、中に入ろうとしない。困った。
「中に入って、待っててください」
「大丈夫ですから、この部屋に入って待っててください」
といって中に入ってもらった。
表札の名前はあってる。
玄関のドアの内側に「一人で外出しないこと。帰り道がわからなくなるから」と書かれたホワイトボードが見えた。
間違いないはずだ。
おじいさんが中に入ってドアを閉めたところで、ちょっとほっとする。
でもおじいさんが混乱してまた外に出てくるかも?
「待っててください」って言ったから、一人で不安かも。
しばらく廊下で待ってみた。
ドアは開かない。おじいさんは自分の家だとわかったのかな?
しばらくしてベランダ側に回ってみた。
灯りがついていた。
大家さんに家族に連絡してもらうことにしたし、大丈夫だろう。
夫はおじいさんに顔を見たことがあったんだそうだ。
その日、夫が家のドアの前にいると、おじいさんがやってきて、どうやったら家に帰れるのかと聞いたのだそうだ。
よく、デイサービスの車がアパートに来るので、そのおじいさんだ!ととっさに思いついて、デイサービスの人がまだ近くにいるかもと私と入れ違いに階下へ行ったのだそうだ。
その日の夜、おじいさんの息子がお礼に訪ねてきた。
なんと、近所の知ってる人だった。
心配な身内が同じアパート(しかも同じ階)に住んでいるなら一言言っておいてくれたらよかったのに…。私は今までおじいさんを一度も見かけたことなく、もしおじいさんが道路まで出ていたら警察を呼ぶしかなかったところだったよ。
都会の希薄な近所づきあいの弊害を感じさせられるおじいさん事件が続いた。
賃貸暮らしで、いつもここは仮の宿りだと思っているけど、それではいけないのだろうなぁ。