

第5回:小人のはなし

11月で次男が10歳になりました。助産師に「9つまでは膝の上って
いうでしょう。ずっと抱っこ抱っこで育てると、自然と膝の上から
降りて自立するのよ」と言われました。赤ちゃんの世話で手いっぱい
の時には、この抱っこ抱っこがそんな先まで続くのか!と思ったもの
ですが、子どもがいざ10歳を迎えるとその意味もよくわかります。
さて、10歳の誕生日だね、なんて話しをしていてふと思い出しました。
次男が4、5歳のころ、「母ちゃんあのよ、誰にも言わんといてよ」と
言って、自分の体の中に住んでいるという小人の話をしてくれました。
体の大きさはみんな同じだけど、大人も子どもも何人かいること。
話している言葉はわからないのだけど、なんとなく何を言っているのかが
わかること、など!そして7歳くらいになった時に、とうとう小人の家族が
次男の体から出て行ったと言うのです。手紙を置いて出て行った。でも
きっと小さいからまだうちの庭あたりにいると思う、と話していました。
そのことを思い出し、ふと「そういえば、あの小人の家族は今頃どこに
いるだろうね!」と次男に話してみると、「え?何の話し?」ですって!
何と彼はあの小人のことをすっかり忘れていたのです。
子どものファンタジーの中で一緒になって遊び、過ごせることが、
子育ての面白さかもしれません。あの小人の家族は確かに次男の心の中に、
私の心の中にいたなあ、と目には見えない大切なものに触れた気がしました。
※ この記事は、NPO法人土といのち『お便り・お知らせ』2019年1月号より転載しました。