日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

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悲しみと怒りで終わらせずにどう向き合うのか──児童虐待を考える

2018-07-01 | 東京都政・都議会のこと

 都議会代表質問で、共産党都議団が取り上げた児童虐待問題。他の会派からも様々な視点で質問がありました。

 日本共産党都議団は、2010年に「児童虐待ゼロの東京をめざして―日本共産党都議団の提言」を発表してこの問題に取り組んできました。

 この提言の内容は、今日的にも生かすことができる内容に富んでいます。

 代表質問でも「早期発見・早期対応の促進、相談支援体制の強化、社会的養護の拡充、子育て家庭の孤立と貧困の打開をはじめとした予防対策などの、総合的な対策を進めることが必要」だと求めました。

■児童福祉司のさらなる増員と経験年数を重ねることが必要

 そのカギとなっているのが児童福祉司です。急増する虐待相談に対して東京都は、児童福祉司、児童心理司などを、この3年間で119人増やしています。

 しかし、児童虐待の相談件数は増員を超える勢いで増えており、児童福祉司一人あたりの相談件数は、2006年度の19件が、2016年度は56件となっています。

 福祉保健局の児童相談所事業概要に基づく数字ですが、児童虐待以外の相談も含めて、大きく増えています。こうした動きに対応して、今年度予算では児童相談所の児童福祉司・児童心理司などが40人増員されました。

 しかし、共産党都議団の代表質問に対して、児童福祉司の人数は新たな国基準に比べ、あと90人増やす必要があることが明らかになりました。

 「提言」でも「児童相談所でも任期付雇用や非常勤の職員がふえ、せっかく経験をかさねたところで雇い止めになり、他県の職員として正規雇用されるなどの例がすくなくありません」と指摘していますが、児童福祉司や児童心理司としての経験が浅い職員が多く、蓄積されにくいという課題を解決していくことが求められています。

■児童相談所を増やすこと

 根本的には、児童相談所の増設が必要です。

 児童相談所の数は、全国ではこの18年間に36カ所増え、210カ所です。しかし、東京都は、1998年に台東児童相談所を廃止し、現在11カ所しかありません。

 町田市の例を引けば、担当は八王子児童相談所(八王子、日野、町田を管轄)ですが、通報があって駆けつけるまでに町田の南地区までは1時間以上を見なければなりません。

■警察との全件共有について

 日本弁護士連合会は、6月28日に「児童虐待死を受けての会長声明」を発表しました。

 そこでは、虐待事案について児童相談所と警察との全件共有について次のような指摘があります。

 事案によっては、児童相談所と警察が情報共有して対応することが必要な場面もあるが、児童相談所が育児に悩む親から任意の相談を受ける機能も担っていることに鑑みれば、全てのケースにつき児童相談所と警察が情報を共有することとなれば、かえって警察の介入により逮捕等に至る事態となることを懸念する親からの相談がされにくくなり、その結果、虐待の発生防止・早期発見の妨げとなる可能性がある。したがって、安易に警察を頼るべきではなく、真に子どもの権利保護の観点から慎重な対応が必要である。

 共産党都議団としても、全件共有については慎重な対応を行うべきというスタンスでこの間取り組んできました。

■孤独な状況からSOSが発信できるように

 私は、『ルポ虐待』『児童虐待から考える』などの著者ある杉山春さんの視点から多くを学ばされています。

 AERAdot.の記事「結愛ちゃん虐待死『ひどい親』と批判しても事件は減らない 『評価』に追い詰められる親たち」で、杉山春さんのインタビューが掲載されていますが、私は「良い親か悪い親かだけをジャッジするような社会では、虐待はより発覚しにくく深刻化する」という杉山さんの見方に共感します。

 インタビューでは次のようにも語っておられます。

 ひどい夫婦だと扇情的に騒ぎ立てることで、こういった人間の弱さを自分たちの問題として向き合い、どう解決していくかということから目をそらしている。それだけではなく、いままさに子育てがうまくいっていない親たちは罰せられることを恐れてさらに現状を隠そうとするでしょう子どもを守るには、親が安心して子育てをする環境が不可欠です。親を優しく受け止めて、必要な時には、安心してSOSが出せるような、社会の目の中で子どもを育てていくことを考えていくべきです

 記事の最後は「この事件を悲しみと怒りで終わらせずにどう向き合うのか。社会全体の子育てへの関わり方が問われている」という言葉で締めくくられています。

 

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