某書からです。
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奈良・平安時代には白粉(おしろい)の製法が
発達して、水銀や鉛を原料とした白粉が盛んに
作られるようになりました。
鉛の白粉は粉の質が細かく、のり、のび、つきが
他の材料では及びもつかないほど良いので、人々は
こぞってこれを使うようになりました。
欠点は恐ろしい毒性のある事でした。
慢性中毒にかかった役者などが、貧血、胃痛、嘔吐、
鉛疝痛、神経麻痺、膝関節痛、萎縮腎を起こしたり、
脳を冒されててんかんになったりしています。
母親が鉛白白粉を使っていると、乳児が貧血や
消化不良、脳膜症状を起こしたりもしました。
更に鉛分が皮膚の分泌物に溶かされて、皮膚は
弾力がなくなって黒くなり、それが顔のあちこちに
広がって、いわゆる白粉焼けになっていきました。
「古事談」の中に、清少納言の事を書いた話が
あります。
彼女はあまりにも濃い化粧に明け暮れていたために、
三十歳を過ぎるとにわかにその容姿が衰えてしまい、
宮中から去り髪を切って隠れ家に引きこもってしまい
ました。
その家の前を通った若い殿上人が中をそっと見ると、
鬼のような恐ろしい形相をした女が、すだれの下から
こちらを見ていたと記してあります。
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「古事談」は厳密な歴史書ではなく、「説話集」に
相当するもので、こうした事実はなかったようですが、
化粧品公害を思い起こさせる話ではありました。
フランスで水銀製の白粉の有毒性が問題視され始めた
のは16世紀頃と言われており、日本では明治時代に
鉛白粉の害が論じられ、1900年に国産の無鉛白粉が
初めて発売されたそうですが、鉛白白粉の、のびや
のりの良さから実際は昭和初期まで使用され続けた
そうです。
現在は鉛や水銀を含む化粧品は製造されていませんが、
代わりに石油製のものが多く製造されるようになり
ました。
これらに関してもまた安全性に関する疑問が多く提出
されていますが、いずれにしても十代のうちからあまり
化粧をしない事、化粧をしたまま就寝しない事、
出来るだけ刺激の少ない化粧品を選ぶ事などが勧められて
います。
しかしアメリカでも日本でも、子供のおもちゃに化粧
がありますし、子供の遊ぶ人形も厚化粧の顔のものが
多く、更に下地からファンデーションに至るまで素肌の
色が完全に見えないように厚く塗り込んでしまっている
学生さんの姿の写真を見る事があります。
化粧品が皮膚を壊し、それを隠すために更に化粧品を
使うといった悪循環に陥らない事を祈ります……。
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奈良・平安時代には白粉(おしろい)の製法が
発達して、水銀や鉛を原料とした白粉が盛んに
作られるようになりました。
鉛の白粉は粉の質が細かく、のり、のび、つきが
他の材料では及びもつかないほど良いので、人々は
こぞってこれを使うようになりました。
欠点は恐ろしい毒性のある事でした。
慢性中毒にかかった役者などが、貧血、胃痛、嘔吐、
鉛疝痛、神経麻痺、膝関節痛、萎縮腎を起こしたり、
脳を冒されててんかんになったりしています。
母親が鉛白白粉を使っていると、乳児が貧血や
消化不良、脳膜症状を起こしたりもしました。
更に鉛分が皮膚の分泌物に溶かされて、皮膚は
弾力がなくなって黒くなり、それが顔のあちこちに
広がって、いわゆる白粉焼けになっていきました。
「古事談」の中に、清少納言の事を書いた話が
あります。
彼女はあまりにも濃い化粧に明け暮れていたために、
三十歳を過ぎるとにわかにその容姿が衰えてしまい、
宮中から去り髪を切って隠れ家に引きこもってしまい
ました。
その家の前を通った若い殿上人が中をそっと見ると、
鬼のような恐ろしい形相をした女が、すだれの下から
こちらを見ていたと記してあります。
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「古事談」は厳密な歴史書ではなく、「説話集」に
相当するもので、こうした事実はなかったようですが、
化粧品公害を思い起こさせる話ではありました。
フランスで水銀製の白粉の有毒性が問題視され始めた
のは16世紀頃と言われており、日本では明治時代に
鉛白粉の害が論じられ、1900年に国産の無鉛白粉が
初めて発売されたそうですが、鉛白白粉の、のびや
のりの良さから実際は昭和初期まで使用され続けた
そうです。
現在は鉛や水銀を含む化粧品は製造されていませんが、
代わりに石油製のものが多く製造されるようになり
ました。
これらに関してもまた安全性に関する疑問が多く提出
されていますが、いずれにしても十代のうちからあまり
化粧をしない事、化粧をしたまま就寝しない事、
出来るだけ刺激の少ない化粧品を選ぶ事などが勧められて
います。
しかしアメリカでも日本でも、子供のおもちゃに化粧
がありますし、子供の遊ぶ人形も厚化粧の顔のものが
多く、更に下地からファンデーションに至るまで素肌の
色が完全に見えないように厚く塗り込んでしまっている
学生さんの姿の写真を見る事があります。
化粧品が皮膚を壊し、それを隠すために更に化粧品を
使うといった悪循環に陥らない事を祈ります……。