東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

地主の土地明渡し請求に対して借地人に建物買取請求権あるのか

2007年11月09日 | 借地借家の法律知識
(問)地主が土地の明渡しを求めてきた。借地人は地主に対して借地上の建物を買取らせることが出来るというが、どんな場合に出来るのか。

(答)借地契約が終了した場合、本来ならば借地人は建物を取壊し、更地にして返却しなければならない。しかし、使用に耐えられる建物を壊すことは社会経済的利益の保護及び借地人が建物のために投下した資本の回収が出来ない。そこで借地人に「建物買取請求権」(借地借家法13条1項)を設けて借地に投下した資本の回収を可能にした。また間接的に地主に経済的負担をかけることによって更新拒絶を遣難いものにする効果をもっている。

 借地人が建物買取請求権を行使した場合、地主が買取を承諾しなくても、請求があればそれだけで建物の売買契約が成立する。その結果、地主は買取を拒否できず、建物を時価で買取ることになる。

 建物の時価は、「建物が現存するままの状態における価格であって敷地の借地権の価格は加算すべきではないが、この建物の存在する場所的環境は参酌すべきものである」(最高裁1960年12月20日判決)。即ち、地主が支払う建物の時価は建物自体の価格に場所的利益が加算される。この判例では、借地権価格を含めないとしているが、実際は借地権価格を考慮に入れている。

 それでは、どんな場合に「建物買取請求権」を行使出来るのか。一番多いケースは、借地人が更新請求をしたが、地主が更新を拒絶した場合である。

権利行使の要件は①借地期間が満了したこと②契約の更新がないこと③借地上に建物があることである。

 地主と借地人が合意の上で解約した場合はどうであろうか。判例は「土地の賃貸借を合意解除した借地権者は買取請求権を有しない」(最高裁1954年6月11日判決)としている。借地人が買取請求権を放棄したものと解されている。また地代不払い等の債務不履行や契約違反で契約解除された場合も判例は一貫して建物買取請求権を否定している。地主と借地人の間で買取価格について協議が纏まらなかった場合は、調停や裁判で適正な買取価格を決定してもらうことも出来る。

 建物の買取価格は、鑑定実務では概ね借地権価格の20~30%と考えられている。



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする