東京多摩借地借家人組合

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賃貸住宅の更新料って払わなければいけないの?

2007年11月24日 | 契約更新と更新料
(Q)今年の4月で、今の賃貸物件に住み始めてから2年がたちます。管理会社からも契約満了の通達が届きました。そこには当たり前のように「契約更新される場合は○月○日までに更新契約金(毎月の賃料1カ月分)を振り込みください」との記載があります。

 何も知らなければ、非常に苦しくても払わざるを得なかったのでしょうが、最近、色々読んでいると、支払う必要がないという内容や消費者契約法に沿って支払い拒否ができるとの文をよく目にします。

 本当のところどうなのでしょうか? 契約書には、「更新料:新賃料の1カ月分」と明記されてはいます。

(千葉県 20歳代 会社員 男性)




(A)総合的な判断が必要
 意外に難しい問題だということを、初めに申し上げておきます。

 更新料は、元々は、数十年という長期の更新期間を義務付けられている借地契約であった慣習が、いつの間にか短期間である借家契約にも適用されてきたという歴史があるようです。そういう意味で、「悪しき慣習」ともいえます。したがって、法律で定められた報酬ではありませんので、一言でいえば、「契約時に当事者が合意していなければ、つまり、契約書に特約がなければ払わなくても良い」ということになります。

 しかし、実際は、ほとんどの契約書に記載されているのが現実でしょう。この場合、仲介業者が説明をごまかしていたなどの立証をすれば無効主張できますが、契約書に記載されているのであれば、なかなかその立証も困難です。

 最高裁の判例でも出ればスキッとするのですが、それもなく、地裁レベルの裁判例でも無効説は、ほとんどないのが現状です。その肯定説の主流的見解の一つに、「更新料により、家賃の値上げを抑制する効果も認められるとすれば、問題はない」という見解があります。なるほどその通りで、家賃を含めたトータルでとらえて初めて、消費者にとってどの程度の不利益があるかが決まってくるでしょう。とすれば、「更新時に更新料を払ったのだから、今期は家賃の値上げはしないでね」という要求はできそうですね。

 もちろん、こんなグレーゾーンの慣習をいつまでも放置しておくこともできませんので、東京都などは、礼金・更新料をなくす方向で指導をしていますし、公営公団住宅や住宅金融公庫融資物件などでは、初めから礼金・更新料を設定していません。そして、このような世論を受け、民間でも「礼金・更新料なし」をうたった賃貸住宅も出始めています。ただし、その分の帳尻を合わすために、後からの賃料値上げや、敷金の返還を拒むような「うそつき商法」では、何にもなりませんが……。

 ということで、なかなか満足のいく回答はできませんでしたが、目先の売り文句や現象だけではなく、トータルで良質の物件を見抜ける能力を高めることが、賢い消費者の条件といえそうです。

(住宅ねっと相談室カウンセラー NPO理事 石田 光曠)

コメント
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