暫らく前になるが、中学時代を共にした友人から手紙が来た。
疎遠になった時もあったけれど「一緒に映画を見に行きましょう」との誘いを受けてから年に一度、ふたりで映画を見に行くようになった。最後にあったのは2013年の秋。
その何年か前から彼女は病を得て、一緒に映画を見に行く事は無くなったが年に一度は会っていた。2013年に会った時も出掛けて来るのも大変だろうと思い、私が彼女の最寄り駅まで行くからと言ったのだけれど「たまには出掛けなきゃ」と言って駅まで出向いてくれたのだった。
思いがけなく手にした手紙。
私の健康を気遣う文章のあと自分の近況に触れていたが、それを読んで愕然とした。
一昨年に上あごの骨が腐ると言う事になってしまい病院通いをしています。
悪い骨を削ったり、上の歯を抜歯したり、痛み止めを飲んでもちょっと効かなかったりと辛い時期が続いたのですが最近やっと口の中が落ち着いて歯を入れる準備が出来るようになりました。
上あごの治療も並行してするようなので、あと4,5ヶ月で普通の食事が出来るのかなアと待ち遠しく思っているのですよ。
何と言うことだろう。会わなくなってすぐ、彼女は辛い時を過ごす事になっていたのだ。
普通の食事が出来るという当たり前の事を待ち遠しいという彼女を思い、ちょっと泣いた。
それから何日もかけて、私はようやく返事を書いたのだった。