夫の従兄が亡くなったと知ったのは新聞に死亡広告が掲載されたからだった。従兄はI市で建設業を営んでいる。活動的な人ということもあり市ではそこそこの名士のようだ。
死亡欄に載っただけなら葬儀には行かなくても良いくらいの薄い関係だけれど「広告として掲載されたのだから行った方が良いだろう」と夫は言い、私も一緒にと言うので同行した。
従兄は元気そうな人だったが、死因は心筋梗塞。突然の事だったという。74歳では旅立つには少し早い。
私たちは参列しなくても良いかなと言うくらいの関係だけれど、I市に住む義姉夫婦は参列するはず。顔を合わせることが出来たら、夫は義兄に話があった。しかし葬儀は社葬で、参列者も多く、ホールから人があふれてイスも足りないほど。これでは義兄を探すことは難しそうだ。
通夜式が終わり最後のお焼香を済ませて出口に向かった時に義兄が寄って来た。義兄も夫を探していたようだ。けれど一緒にいるはずの義姉の姿は見えない。義兄も疲れた顔をしているように見えて、義姉の体調が心配になった。
と言うのも、毎年4人で食事会をしていたのだが、今年は出来ないとの電話を昨年の暮れに受けた。義姉が手術を受けたと聞いて、年末に義姉宅を訪問した。卵巣腫瘍だったけれど悪性ではないようだと言って、その時は元気そうに見えたけれど予後が悪いのではないか。
そうは思っても、こちらからは体調に変わりはないかどうか聞くくらいしかできない。この心配が杞憂であれば良いのだけど。