暫く落ち着いた読書の時間が持てずにいた
3日ほど前から読み始めたのが
吉田修一の「横道世之介」
2010年本屋大賞3位を受賞した作品だ。ちなみにこの年の大賞は「天地明察」(冲方丁)←これは未読。
大学進学のために横道世之介が上京してきたところから話は始まる。
ぽわんとして憎めないごく普通の男の子である世之介の、何気ない日常が過ぎていくだけの大学生活の一年間を丁寧に描き、合間に世之介と触れあった人々の20年後を挿入しているのだが、それが効いている。
特別に大きな事件が起こる訳でもない日常の、小さなエピソードをつなぎ合わせて読ませる筆力はさすが。
ほんわりと温かい気持ちにさせてくれて、終盤にはちょっと泣けて。
忘れていた学生時代を思い出したりして、久しぶりに心が温かくなった作品だった。