在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

イタリア映画の紹介 Nico ニコ di Susanna Nicchiarelli

2017-11-16 19:23:10 | 何故か突然イタリア映画
Nico ニコ (タイトルは「ニコ、1988年」とも紹介されている)
監督 スザンナ・ニッキアレッリ




ニコという歌手は知らなかった。
日本では有名だったのだろうか。

背が高く、美人だったのでモデルをし、ウォーホルに気に入られ、ウォーホルプロディースのヴェルヴェット・アンダーグラウンドに参加し、成功、ウォーホルのミューズとなる。しかし、グループを去り、ソロ活動をするとは言っても、イメージが強烈すぎたのか、最後は日本でいう「ドサ回り」に近い音楽活動を続けた。

そのニコが49歳で死ぬ前の2年間の音楽活動を描いた作品。

ニコって誰?
80年代のミュージシャン?
モデルもしてたの?
未婚でも子供はいたのね。
何かを吐き出すような歌詞、歌い方。
どこから出るのか、すごいオーラ。

ウォーホル、ストーンズ、ボブ・ディラン、そして子供の父親はアラン・ドロンらしい、など、当時のすごーーーい有名人の名前がニコの周辺に挙がるのだが、ニコが亡くなったのは1988年のこと。49歳。
早い死だったと言える。

タバコプカプカ、そしてドラッグ。いやー、すごい。

こんな時代があったねー

今の50代に人にとって、古き良き時代とは80年代、それを象徴するような映画にしたかった、というのが監督の趣旨。



イタリアの80年代は赤い旅団の風が吹きまくり、決して良い時代ではなかったのではないか、という意見も出たのだが、イタリアに焦点を当てたわけではないし、ドラッグはあれど、それなりに懐かしさ覚える80年代を写したようなニコの、人生最後の数年の行き方を描いてみたかった、とのこと。

映画の中で歌を歌っているのは、本物のニコではなくニコ役の女優。デンマーク人。
ニコは知らないが、こんな感じのオーラを出していたんだろう、というのが見て取れるほどはまり役。

監督は、映画を作ると決めて、ニコの息子も含め、ニコを知っている人に随分あったそう。
だから、幾つものエピソードは本当にあったことだそう。

決してニコのビオグラフィー映画ではないが、きっともっとニコらしい一面を描いたのだと思う。

今年のベネチア映画祭でオリゾンテ(ホライズン)賞を受賞。