在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Dobbiamo parlare di Sergio Rubini イタリア映画 話がある

2016-03-11 09:04:58 | 何故か突然イタリア映画
Dobbiamo parlare 話がある
監督 セルジョ・ルビーニ

劇場的、2カップルの痴話喧嘩コメディ



上映後にある監督のインタヴューが、都合でたまにない時がある。
今回がそうで、現在制作中の作品の撮影の天気の都合(このところ雨続き)で、急遽どうしても来れなくなった、ということである。
仕方がないが、魅力が半減するのは避けられない。
普通は映画館やテレビで見て終わり、なので、インタヴューがあると魅力が倍増、というのも道理ではないのではあるが、やはり監督自身から生の声で作品についての話が聞けると魅力は増える。

劇場向け。
実際に劇場で上演されているようだが、まさに劇場向け。
たまたまこういうアイデアになったのか、それとものちの劇場上演を意識して制作したのか。
まず、とても広い2階建、最上階、テラス付きのアパートであるが、撮影はその中だけ。一瞬、アパートの玄関先と階段部分が映るが、それだけ。
登場人物もほんの一瞬映るアパートの管理人、そして、やってきてはすぐに帰ってしまう友人4人を除いて、2組のカップルだけ。
たった一晩の出来事なので、着ている洋服も最初から最後までほぼ同じ。
つまり、4人、優秀な俳優がいれば芝居になってしまう。
映画ではなく、演劇を見て帰ってきたような印象を受けた。

笑わせる場面がたくさんあり面白かったのであるが、先が読めてしまう映画でもあった。
つまり、しばらくすると、これはどうもこのアパート内だけで、外の撮影はないような気がする、とか、これは他の登場人物はいなくて4人だけかも、とか。
そして、ストーリーも若干。

ヴァンニは小説家(あまり売れているようには見えないのだが)で、ローマ市のど真ん中、アパートなのに2階建という大きなアパートを借りて、リンダ(実は彼のゴーストライター)と同棲している。
10年目の記念日、友人たちとアートの展覧会に行き、その後夕食という予定にしていたのだが、そこへ、リンダの一番の親友、コスタンツァがやってきて、「夫の浮気が発覚したのよ」。なんとか追い返すのに成功するのだが、と思ったら、今度は夫のアルフレードがやってきた。
展覧会と夕食の予定は諦め、親友夫婦の仲裁に入ることにする。
その後は演劇的パターン。

大雨になって、窓から水がしみこんでくる。→バケツを持って大騒ぎ。
動物嫌いのリンダが、入ってきた猫に悲鳴をあげる。→難なく捕まえ追い出す。
掃除機をかけようと思ったら停電。→ロウソクをつける。
一緒に展覧会に行くはずだった友人4人がやってくる。→雰囲気を見てすぐに帰る。
事件はこれくらい。

最初はコスタンツァとアルフレードが喧嘩。妻は、別れるわと言いながら実は別れなくない。夫も、ごめんなさい、許してね。
そのうち喧嘩が飛び火して、最初は優しくおとなし~いリンダが、今度は不満を爆発。矛先は、親友のコスタンツァ、そして、同棲中のヴァンニ。
その頃には、最初のカップルの喧嘩は落ち着いている。
最後、仲直りしたように見えたヴァンニとリンダだが、それでもやはりリンダが家を出ていってしまう。ここだけ、一瞬、へ~、ほ~、だったが、この雰囲気では3日で家に帰るか、帰ってきてくれ~と迎えに行くか。。。

会話がポンポンと飛び交い、リズム良く、アパート内の撮影だけとはいえ、よくアングルを捉えている感じで、退屈はしない。
笑いを誘う会話、場面など多数あり、コメディとしては非常によくできていると思った。
映画館(ここは映画館ではないのだが)ではなく、劇場に演劇を観に行った感じ。
なんだかむしゃくしゃしている時に見るといいかも。

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