Assolo 独奏
監督 ラウラ・モランテ
熟女にオススメ
監督は映画の主役でもある女性、ラウラ・モランテ。100本近い作品に出演しているという有名女優でもあるが、監督としては2012年の作品に続いて2作目。
コメディでもあり、ドラマティカルな一面もある作品は、本人は「giocoso (おどけた、滑稽な、愉快)なドラマ」と称した。
主人公は50代の女性フラヴィア。
2度結婚し、2度離婚、それぞれの夫との間に一人ずつ、二人の息子がいて、現在は独身。二人の夫の心変わりが原因で離婚しているが、二人の夫はそれぞれ再婚し、フラヴィアはその再婚相手の女性たちともなんとなく友達の仲。年が年なだけに、同じように離婚した友人などもいる。
もともとの、白黒つけたがる生真面目すぎる性格もあるが、50代になって、未だにシングルで、何か空虚なものを感じている。
それにつけ込んで手を出してくる同僚もいないわけではないが、彼女自身が素敵と思う男性からは相手にされない。
社交ダンスクラブに入ってみても、男性の方が圧倒的に少ないので、踊る場面はほとんどなく待ちぼうけ。
精神科医に相談に行っても、話すのは人のことばかりで自分のことは話すことがない。今まで、どれだけ人に左右されてきたか、自分自身というものがなく生きてきたか。
惚れやすく、優しく、上の部屋に住んでいる若いカップルに放って置かれている犬を引き取って可愛がったりするのであるが、車の運転にトラウマがあることが象徴するように、人生の変化に対応していけない、自分に自信がない弱い性格をどっぷり背負っている。
通っている精神科医(老齢の女医)との治療を含めた会話とモノローグが中心になってストーリーが進んで行く。
最後は、古臭い髪型を変え、赤いスポーツカーを乗り回すまでに「成長」するフラヴィアが、もしかしたらいよいよ素敵な男性と出会うかも、で終わる。
中年の、いや、熟年の、同じような問題を抱えている女性には結構受ける作品だと思う。
更年期とか、人生の終わりが見えてきてどこか空虚なものが見えてきているとか、夫はいても生活がマンネリ化しているとか。。。
精神科の女医の語りは、いたって平凡ではあるが、この手の問題を抱えている人に対しては、とても上等、有効。
あちらこちら笑える場面があって、キラッと光る女医のアドバイスをふむふむと聞くだけでも悪くはないと思う。
ただ、全体の深みには欠ける。
若い時から片鱗は見えていたにしても、50代になって突然大きな問題になってしまう理由とか、社交ダンスを始める勇気があれば、こうはならないような気もしたり、「成長」したフラヴィアが最後ほとんど突然登場して、その間の変化をすっ飛ばしたり。
でも、それを深く考えない方が良い作品なのだろう。
上映後のインタヴューの時間は長かった。タイムリミットがあるわけではないので、なんとなくノルと長くなり、そうでないと20分程度で終わる。
意外に控えめな雰囲気をもち、壇上に上がった時、みんな一瞬、あれ~フラヴィアみたい、と思ったと思う。
一番最初の質問、自伝ですか?に、みんな爆笑。(モランテ自身も2度離婚し、今の夫が3人目、子供も二人いる)
違いますよ~私は免許を持ってるし~、と笑って答える。また爆笑。
ただ、もちろん見本になる人は数人いて、特におばさんがフラヴィアのような性格なのだそう。
でも、誰か特定の人を描いたものでも、大げさにある種の女性を社会的に見たものを描きたかったわけでもなく、これは一つのストーリーにすぎない、と。
登場人物は、最後は浮気される2番目の夫も含め、男女みんな、完璧ではなく、どこか何か抜けている。それでいいのよ~
今回の作品に関しての質問もたくさんあったが、なにせ女優としてイタリアとフランスで成功している人なので、そういった話も多く出た。
最初は舞台役者として始めたそうだが、その時は、役者の数より観客の数の方が少ないことも多く、ちなみにその頃は、観客の数の方が役者の数より少ない場合は上演を中止しても良いという(変わった)規則があったのだそうだ。
いろいろな役に挑戦するのは好きで、楽しくこなしているというのだが、フラヴィアのような、なんとなく自信なさげな細身のイメージが付きまとっているらしい。そんなところがかもしれないが、大御所女優にもかかわらず非常に好感の持てる人物あった。
映画も結構面白かったが、インタヴューもとても良かった。
監督 ラウラ・モランテ
熟女にオススメ
監督は映画の主役でもある女性、ラウラ・モランテ。100本近い作品に出演しているという有名女優でもあるが、監督としては2012年の作品に続いて2作目。
コメディでもあり、ドラマティカルな一面もある作品は、本人は「giocoso (おどけた、滑稽な、愉快)なドラマ」と称した。
主人公は50代の女性フラヴィア。
2度結婚し、2度離婚、それぞれの夫との間に一人ずつ、二人の息子がいて、現在は独身。二人の夫の心変わりが原因で離婚しているが、二人の夫はそれぞれ再婚し、フラヴィアはその再婚相手の女性たちともなんとなく友達の仲。年が年なだけに、同じように離婚した友人などもいる。
もともとの、白黒つけたがる生真面目すぎる性格もあるが、50代になって、未だにシングルで、何か空虚なものを感じている。
それにつけ込んで手を出してくる同僚もいないわけではないが、彼女自身が素敵と思う男性からは相手にされない。
社交ダンスクラブに入ってみても、男性の方が圧倒的に少ないので、踊る場面はほとんどなく待ちぼうけ。
精神科医に相談に行っても、話すのは人のことばかりで自分のことは話すことがない。今まで、どれだけ人に左右されてきたか、自分自身というものがなく生きてきたか。
惚れやすく、優しく、上の部屋に住んでいる若いカップルに放って置かれている犬を引き取って可愛がったりするのであるが、車の運転にトラウマがあることが象徴するように、人生の変化に対応していけない、自分に自信がない弱い性格をどっぷり背負っている。
通っている精神科医(老齢の女医)との治療を含めた会話とモノローグが中心になってストーリーが進んで行く。
最後は、古臭い髪型を変え、赤いスポーツカーを乗り回すまでに「成長」するフラヴィアが、もしかしたらいよいよ素敵な男性と出会うかも、で終わる。
中年の、いや、熟年の、同じような問題を抱えている女性には結構受ける作品だと思う。
更年期とか、人生の終わりが見えてきてどこか空虚なものが見えてきているとか、夫はいても生活がマンネリ化しているとか。。。
精神科の女医の語りは、いたって平凡ではあるが、この手の問題を抱えている人に対しては、とても上等、有効。
あちらこちら笑える場面があって、キラッと光る女医のアドバイスをふむふむと聞くだけでも悪くはないと思う。
ただ、全体の深みには欠ける。
若い時から片鱗は見えていたにしても、50代になって突然大きな問題になってしまう理由とか、社交ダンスを始める勇気があれば、こうはならないような気もしたり、「成長」したフラヴィアが最後ほとんど突然登場して、その間の変化をすっ飛ばしたり。
でも、それを深く考えない方が良い作品なのだろう。
上映後のインタヴューの時間は長かった。タイムリミットがあるわけではないので、なんとなくノルと長くなり、そうでないと20分程度で終わる。
意外に控えめな雰囲気をもち、壇上に上がった時、みんな一瞬、あれ~フラヴィアみたい、と思ったと思う。
一番最初の質問、自伝ですか?に、みんな爆笑。(モランテ自身も2度離婚し、今の夫が3人目、子供も二人いる)
違いますよ~私は免許を持ってるし~、と笑って答える。また爆笑。
ただ、もちろん見本になる人は数人いて、特におばさんがフラヴィアのような性格なのだそう。
でも、誰か特定の人を描いたものでも、大げさにある種の女性を社会的に見たものを描きたかったわけでもなく、これは一つのストーリーにすぎない、と。
登場人物は、最後は浮気される2番目の夫も含め、男女みんな、完璧ではなく、どこか何か抜けている。それでいいのよ~
今回の作品に関しての質問もたくさんあったが、なにせ女優としてイタリアとフランスで成功している人なので、そういった話も多く出た。
最初は舞台役者として始めたそうだが、その時は、役者の数より観客の数の方が少ないことも多く、ちなみにその頃は、観客の数の方が役者の数より少ない場合は上演を中止しても良いという(変わった)規則があったのだそうだ。
いろいろな役に挑戦するのは好きで、楽しくこなしているというのだが、フラヴィアのような、なんとなく自信なさげな細身のイメージが付きまとっているらしい。そんなところがかもしれないが、大御所女優にもかかわらず非常に好感の持てる人物あった。
映画も結構面白かったが、インタヴューもとても良かった。