Fiore 花
監督 クラウディオ・ジョヴァンネージ
少年少女の監獄(更生施設)での囚人たちの恋愛。
このような身であっても男女が惹かれるのは同じ。
そして、本物の(元)囚人たち、本物の建物を使って、リアル。
おすすめ。
結構良かった。そして後述するが、かなり考えさせられたこともある。
「更生施設の少年少女たちの恋愛もの」なのだが、監督の意図は、まず「恋愛映画」。そのシチュエーションが、更生施設入りの少年少女たちのものである、ということだそう。
ダフネはまだ20歳にもならないくらい。家出していて、携帯の恐喝で小金を稼いで暮らしていたが、ある日、とうとう警察に捕まり、少年 少女専用の監獄(更生施設)に入れられてしまった。
そこは、男女が別の棟になっていて、お互いちらっと顔を見ることはできるが、直接顔を会わせることができる機会はミサの時だけ。
いつの間にか、ジョシュと惹かれあってしまう。
先に年期を終えて、ピッツェリアで働きだしたジョシュを、義理の弟の献身式のために1泊外出の許可をもらったダフネが、逃げ出して追いかけて行ってしまう。
私たちがいるフツーの世界とは違う恋愛映画を作りたかった、というのが監督の意向。
まだかなり若く、3作目。しかし、超有名映画「ゴモッラ」のテレビシリーズの監督の一人でもあり、かなり良い経験を積んでいる。
上映後のインタヴューは非常に興味深かった。
監獄であるだけでも未知の世界だが、それが少年少女のものとなるとなおさら。
まず、撮影の前に、本当の監獄(更生施設)に半年ほど通い、いろいろな話を聞いたそう。
建物は、3つの棟(未成年、男性、女性)に分かれているとのこと。
囚人は21歳まで(現在は25歳まで)で、未成年のセクションは完全に立ち入り禁止。
男女が触れあう機会はなく、手紙を含めた交流も禁止。
しかし、ミサの時間(宗教に興味がなくてもみんな喜んで参加)と年末のパーティーだけは顔を合わせられる。
実際に聞いたエピソードをストーリーに盛りいれている。
毛布に火をつけたり、喧嘩、殴り合い、異性と触れ合う機会はないので、レズ的行為やら(でもとても綺麗に描いている)いろいろ。
興味深いのは、出獄した時に働けるように、いろいろな講習があること。
裁縫、美容、男性はピザなど、お互いがモデルになったりしてやるところがかわいい。
映画の話が出てから、それじゃあ、ということで、演劇の講習もやったとか。
だからか、結構演技の上手い出演者たちのほとんどが実は本当の囚人だった人たち。
ダフネは違うが、例えばジョシュは3年の刑を終えて出たのだそう。
そして、撮影された建物も本当の少年少女の監獄(更生施設)。
これは、数年前のラクイラの地震で壊れた本物の建物を、地震後改装したがそのままになっているというのを使ったから。
一般人には全く関係ない世界の本物が見れる。
さて、かなり考えさせられたのは、ダフネのお父さんも前科者という設定だが、実際に少年たちと話をすると、残念ながら8−9割の子供達の親が前科者であるということ。
これは、イタリアに真面目に暮らして、彼らの犠牲になっている身としては非常に困る話である。
つまり、前科者に子供を作るなとは言えないが、明日、規制をする、という世の中になれば反対できなくなる。
家に泥棒2回、車2台、ステレオ数台、携帯のひったくり数回、なくした財布は一体いくつかわからない。
その度に、この手の人たちを恨むからである。
人権はわかるが、負の連鎖は断ち切ってほしい、と願う。
ということで、一応、こっちの現実とは切り離し、あっちの世界のことだけを考えると、非常に興味深い映画だった。
ただ、刑期を終えずに逃げたら、どうせ最後は捕まるし、ますます出られなくなるよ〜と、おばさんはダフネには言いたかった。
監督 クラウディオ・ジョヴァンネージ
少年少女の監獄(更生施設)での囚人たちの恋愛。
このような身であっても男女が惹かれるのは同じ。
そして、本物の(元)囚人たち、本物の建物を使って、リアル。
おすすめ。
結構良かった。そして後述するが、かなり考えさせられたこともある。
「更生施設の少年少女たちの恋愛もの」なのだが、監督の意図は、まず「恋愛映画」。そのシチュエーションが、更生施設入りの少年少女たちのものである、ということだそう。
ダフネはまだ20歳にもならないくらい。家出していて、携帯の恐喝で小金を稼いで暮らしていたが、ある日、とうとう警察に捕まり、少年 少女専用の監獄(更生施設)に入れられてしまった。
そこは、男女が別の棟になっていて、お互いちらっと顔を見ることはできるが、直接顔を会わせることができる機会はミサの時だけ。
いつの間にか、ジョシュと惹かれあってしまう。
先に年期を終えて、ピッツェリアで働きだしたジョシュを、義理の弟の献身式のために1泊外出の許可をもらったダフネが、逃げ出して追いかけて行ってしまう。
私たちがいるフツーの世界とは違う恋愛映画を作りたかった、というのが監督の意向。
まだかなり若く、3作目。しかし、超有名映画「ゴモッラ」のテレビシリーズの監督の一人でもあり、かなり良い経験を積んでいる。
上映後のインタヴューは非常に興味深かった。
監獄であるだけでも未知の世界だが、それが少年少女のものとなるとなおさら。
まず、撮影の前に、本当の監獄(更生施設)に半年ほど通い、いろいろな話を聞いたそう。
建物は、3つの棟(未成年、男性、女性)に分かれているとのこと。
囚人は21歳まで(現在は25歳まで)で、未成年のセクションは完全に立ち入り禁止。
男女が触れあう機会はなく、手紙を含めた交流も禁止。
しかし、ミサの時間(宗教に興味がなくてもみんな喜んで参加)と年末のパーティーだけは顔を合わせられる。
実際に聞いたエピソードをストーリーに盛りいれている。
毛布に火をつけたり、喧嘩、殴り合い、異性と触れ合う機会はないので、レズ的行為やら(でもとても綺麗に描いている)いろいろ。
興味深いのは、出獄した時に働けるように、いろいろな講習があること。
裁縫、美容、男性はピザなど、お互いがモデルになったりしてやるところがかわいい。
映画の話が出てから、それじゃあ、ということで、演劇の講習もやったとか。
だからか、結構演技の上手い出演者たちのほとんどが実は本当の囚人だった人たち。
ダフネは違うが、例えばジョシュは3年の刑を終えて出たのだそう。
そして、撮影された建物も本当の少年少女の監獄(更生施設)。
これは、数年前のラクイラの地震で壊れた本物の建物を、地震後改装したがそのままになっているというのを使ったから。
一般人には全く関係ない世界の本物が見れる。
さて、かなり考えさせられたのは、ダフネのお父さんも前科者という設定だが、実際に少年たちと話をすると、残念ながら8−9割の子供達の親が前科者であるということ。
これは、イタリアに真面目に暮らして、彼らの犠牲になっている身としては非常に困る話である。
つまり、前科者に子供を作るなとは言えないが、明日、規制をする、という世の中になれば反対できなくなる。
家に泥棒2回、車2台、ステレオ数台、携帯のひったくり数回、なくした財布は一体いくつかわからない。
その度に、この手の人たちを恨むからである。
人権はわかるが、負の連鎖は断ち切ってほしい、と願う。
ということで、一応、こっちの現実とは切り離し、あっちの世界のことだけを考えると、非常に興味深い映画だった。
ただ、刑期を終えずに逃げたら、どうせ最後は捕まるし、ますます出られなくなるよ〜と、おばさんはダフネには言いたかった。