在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

イタリア映画の紹介 Ella e John di Paolo Virzi' ロング、ロング・バケーション

2018-03-08 23:29:26 | 何故か突然イタリア映画
Ella e John ロング、ロング・バケーション
監督 パオロ・ヴィルズィ



結末は、当然のごとくわかっていた。
知っていたわけではないが、これ以外の結末は考えられないからだ。

日本語でももうタイトルが付いているが、もはやイタリアの大御所監督の一人となったパオロ・ヴィルズィ監督の新作「ロング、ロング・バケーション」。



ジョンはアルツハイマーか、記憶がかなり耄碌している。
エッラは頭ははっきりしているが、体はもう限界に達している。

夏のある日、突然二人が家出した。
人生最後のロング、ロング・バケーションへの出発。
小さい子供達を乗せて、昔々、大 活躍した古いキャンピング・カー「レジャー・シーカー」で。

目指すは、ジョンが傾倒しているヘミングウェイの美術館。



112分と比較的長いが、道中いろいろなことが起こる。

かなりコメディ。それも爆笑コメディ。
タイヤがパンクしたり、強盗に襲われたり、警察に捕まりそうになったりというよくあるストーリーの他、ジョンの昔の浮気が暴露、それも相手がお隣さんだったこともあり、頭にきたエッラがジョンを施設にぶち込んだり。

両親が病気なのに家出してしまった。
それもキャンピング・カーで、どこに行くのかもわからない、ということに動揺する、息子と娘の反応も非常に面白い。
息子はうろたえるが、娘は比較的冷静。
ああ、こんなもんだよね、と、親になった今ではなんとなくこの違いを理解できる。



未だに中の良い夫婦には実にじーんとくる物語。

そういう人がいない人の中には、年老いた病気の夫婦の逃避行、そんなもんよね、と批判的にもなるだろう。

確かにかなり綺麗事。
でも、離婚、再婚の多い昨今、浮いた話の一つはあれど、最終的に家族愛、夫婦愛を貫いた夫婦の愛の物語として、非常に評価できると思う。

日本でも上映は確実なので、ぜひ見て欲しい。

ほろっと涙。

なお、今回は、ヴィルズィ監督が、現在の撮影の方で問題が起こり、突然来れなくなった。
インタヴューでいろいろな話を期待していたのだが、とても残念。

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