くくるくる 思うて渡る 龍田川 名残の錦 雲流に舞う
先日は大雨大風が二日続きましたので、もみじの見頃には遅いのですが、今年も龍田川に行ってまいりました。
地元のおばさんが、声をかけて下さいます。
「紅葉はもう終わりでっしゃろ。」
「層ですね。名残のもみじ、美しいですね。」
「ああ、今年はもう、おしまいやなぁ。」
業平道を歩き、例年のように思い出す
ちはやぶる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くくるとは (業平)
今年は「ちはやぶる」は言うまいぞと気恥ずかしさを隠しながら でたらめに 詠みあそぶ
くくるくる 思うて渡る 龍田川 名残の錦 雲流に舞う (乱鳥)
主な派生歌を見てみると 色々あるらしい…。
あやなしや恋すてふ名は立田河袖をぞくくる紅の波 (藤原俊成)
神無月みむろの山の山颪にくれなゐくくる龍田川かな (式子内親王)
霞たつ峯の桜の朝ぼらけくれなゐくくる天の川波 (藤原定家)
龍田姫てぞめの露の紅に神世もきかぬ峯の色かな (〃)
立田河いはねのつつじかげ見えてなほ水くくる春のくれなゐ (〃)
龍田川神代も聞かでふりにけり唐紅の瀬々のうき浪 (〃)
夕暮は山かげすずし竜田川みどりの影をくくる白浪 (〃)
立田山神代も秋の木のまより紅くぐる月やいでけん (藤原家隆)
春の池のみぎはの梅のさきしより紅くくるさざ波ぞたつ (藤原良経)
これも又神代は聞かず龍田河月のこほりに水くぐるとは (〃「新拾遺」)
秋はけふくれなゐくくる龍田河ゆくせの波も色かはるらん (藤原雅経「新勅撰」)
秋はけふくれなゐくくる龍田川神代もしらずすぐる月かは (後鳥羽院)
立田河くれなゐくぐる秋の水色もながれも袖の外かは (藤原道家「新後撰」)
見て下さいまして、ありがとうございました。
こころより、感謝いたします。 乱鳥