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『妹背山婦女庭訓~吉野川』
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出演:十七世中村勘三郎 實川延若 中村芝翫 中村歌右衛門
1982年
121分
カラー
桜満開の吉野川。この川を隔てて領主大判事清澄(十七世勘三郎)と太宰家の後室定高(歌右衛門)は、領地争いで不和となっている。しかし清澄の子息久我之助(延若)と、定高の娘雛鳥(芝翫)はひそかに恋を育んでいた。両親の不和、そして両家を隔てる吉野川のために、若い二人の恋は叶わずやがて悲劇の結末を迎える…。舞台の華やかさと物語の悲しさが対照的に描かれる歌舞伎ならではの表現手法で、昭和の名優が揃った見応えのある名舞台をお見逃しなく。 (1982年/昭和57年3月・歌舞伎座)
テレビで『妹背山婦女庭訓~吉野川』を見た。
出演、十七世中村勘三郎 實川延若 中村芝翫 中村歌右衛門
この演目のこの出演者によるお舞台は、見ていて泣きました。
じんわりと涙があふれてでくるのです。
ひとえ やえ と ここの(心)えて………(要約 間違いの可能性あり)この複雑に入り込んだ掛詞の後の 急な展開は、言葉にはできません。
十七世中村勘三郎さんはわたしが高校生の頃、踊りが好きだった役者さんの一人。
前日に見た『仮名手本忠臣蔵 四段目』に出演されていた先代鴈治郎さんは後ろ向きで肩を落とされているだけで,悲しみが伝わってくる役者さんだった。
そして『妹背山婦女庭訓~吉野川』の十七世中村勘三郎さんは,間が素晴らしくよかった。
わたしが歌舞伎を見始めた頃にはお二方とも相当お年を召しておられたので、ステキ~といった感情は抱かなかったが、好きな役者さんだった。
實川延若さんは手が美しい。
台詞も好きだし、人形状瑠璃を見ているようなお顔立ちもいいなと感じた。
そういうと歌舞伎チャンネルで見た實川延若さんの『操り三番叟』は、とてもよかった。
中村歌右衛門さんが花道から登場されると、あたりがぱっと明るくなった。華がある役者さんだ。
二本の花道から客席を挟んでの中村歌右衛門さんと十七世中村勘三郎さんとの憎々し気な会話は、吉野川の幅を充分に味合わせて下さり、川の流れが聞こえてくるような錯覚を覚えた。
そして、わたくしの好きな中村芝翫さん………。
テレビで今はもう誰ひとりいらっしゃらない名役者四人出演の『妹背山婦女庭訓~吉野川』を見ることができ、しみじみよかったと感じるのでした。
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