(写真は大和川でみた夕日です)
戯夢人生 The Puppetmaster
満足度 ★★★★★
感動度 ★★★☆☆
人形劇師の想い出・語り口調 ★★★★★
人形劇師の人生の表現 ★★★★☆
時代・台湾表現 ★★★★★
1993年 台湾 143 分
監督 侯孝賢
この作品には元人形劇師が 回想の語り手として登場。
映像の信仰の途中に老人が、過去の思い出を語る。
老人の声はわれて しわがれており、時々入る日本語が、東寺の台湾の時代性を表す。
淡々とした、死を読むような話しぶりは彼の『戯夢人生』そのものを感じさせる。
映画に品位さえ与えている。
舞台は植民地時代から日本の敗戦までの台湾。
その時代を駆け抜けた人形劇師(1919生)の物語。
台湾伝統の人形芝居・布袋戯や芝居に興味を持って借りたこのビデオ(DVDではない)
想っていた内容とは全く違ったが、どこか小津作品を感じさせ、心は和む。
おそらくこの映画の構図のとり方によるものではないだろうか・・・
カメラアングルが、最近の多くの映画とは異なり、割合に単純。
斜め構図などはあまり使われてはいない。
色は柔らかで、コントラストを和らげているようだ。
牧歌的な風景。菜の花の咲く農道を歩く時の砂埃は、日本ではみられない。
待ってましたの人形劇や演劇のシーンは興味深い。
人形劇はにほんの文楽のようなものではなく、こどものころに遊んだ 手をしっぽりと入れる手人形。
手は両方使われ、人形遣いが歌い、語り、演じる。
人形師の後ろには能楽の後見のような方がおられ、違う人形を手にはめなおしたり、サポートしている。おそらくこの方もピンチヒッターできるのではないだろうか。
人形劇は屋外で行われる。
祇園祭の小さな鉾のような舞台で、文楽のように途中に道も作り、手(腕)だけで立体的に歩かせたり、動かして表現するようだ。
日本軍が中国の人形師を雇い、反欧米、日本の優位にたった人形劇が行わせていたらしいことを考えると、穴があれば入りたい。
植民地時代をやんわりと表現。
あからさまに日本帝国主義批判をするわけではないが、問題定義がはっきりとした映画だといえる。
老人の回想する語り口調が、心に染み入る・・・・・・そんな映画なのである。