再結成中のストリートスライダーズのライブに行った。
今日がツアーファイナル。
今後についてはなんの発表もないけれど
今日がもう本当に最後のライブの可能性もある。
さいごを目に焼きつけたい。
京阪電車で大阪へ向かう。
淀屋橋駅から地上に出ると夕暮れ。
土佐堀川沿いを歩き、ホールへ向かう。
空の茜色が 川面に映る。
フェスティバルホールが見えてきた。
この中に彼らがいるんだと思うだけで、ファンになって35年、いまだに脈が乱れる。
私はひとり参戦。
座席に着くと、右隣の席の人が、話しかけてきた。
東京から来たという、人懐こそうなスキンヘッドにタオルを巻いたメガネの人。
少し面倒に思ったけど、これも一期一会だと思い直し、
開演まで30分ほど、その人と喋ってすごすことにした。
スライダーズの出身地である東京の多摩地区について、
どんな雰囲気の街なん? どんな空気感?などと聞く。
デビュー前のスライダーズが演奏していたという、福生の米軍基地の雰囲気とかも聞く。
ライブ中、
「あなたがいて、今の私がある」と
メンバーを見てずっと思っていた。
「今の私」といったって
何か成し遂げた人間でもなく
今の自分が何か良いというわけではなく
ただ「現在の私」というだけの意味だけれども。
スライダーズに出会って、
私はなんらかの列車のようなものに乗って、元いた場所から出発したような気がしている。
あれよあれよという間に出発してしまった。
出発する以外の選択肢はなかった。
それまでの価値観をあっさり捨てて、飛び乗った。
その列車は、地を駆ける列車ではなく、
銀河鉄道999のように、高く昇っていく。
きっと、とどまってはいけなかった場所から、手をのべて、転がりこむように飛び乗った。
あっという間に、列車は地上を離れた。
16歳でギターを買って、
一生のやることができた。
憂鬱や悲しさや悔しさを変なふうにこじらせず、それをガソリンとして走ることを覚えた。
それをひたすらやっていたら、
たくさん間違えても、なんども最悪の暗闇に転がり落ちたとしても、
またなんとか道に帰ってこられるだろう。
隣の席の人が
「やべぇ俺、泣きそうだ!」と言った。
「泣け、泣け」と笑い合った。
スライダーズの曲のなかには
感じていても、ことばに出来ない、なんとも言えない倦怠や憂鬱がマイルドに溶け込んでいる。
その種類が、自分にはとてもなじむものだった。
ここのホールにいる人はみんなそうなんだろう。
私にいろんなことを教えた人がそこにいてギターを弾いている。
当時の美しい姿ではなく、確実に老いている。
ギターのサウンドも、フレーズも何もかも当時とは違う。
バンドマンが歳を重ね、老いていく姿を見ていたい。
背中を見ている。
自分がゆく道の背中を。
それは同じ道ではないのだけれど、方角はこれで合っている。
いろいろしゃべっていた右隣の座席の東京の人とは
これきりもう二度と会うことはないだろうけれど、そういうのがいい。
だから、ライブで隣の席になって喋った人とは、連絡先を交換したりしない。
「ありがとう、ほなまたね!」
ほなまたねといえば、
来年の春に本当に最後のツアーがあることが、終演後に発表になった。
驚いた!
でも、本当に最後だとはっきりわかっていたら、逆に行きたくないかもー
お別れを言いたくないような気持ちもあるの、悩む。。。
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