感想:男はつらいよ50 お帰り寅さん

2020-01-17 07:08:01 | 映画


公式サイト


もうずいぶん昔のことになるが、地元のテレビ局で
毎週「男はつらいよ」の放送をやってた時期があって
別に寅さんファンではなかったが、やはりずっと観ていると引き込まれる面白さがあった。

世間のしがらみからドロップアウトして好き放題に生きる寅さんに憧れたものの
結局自分は逆ドロップアウトして真っ当な生き方をしているわけだが
その精神性はいまだに根付いてる。

まあそんなわけで、寅さんにハマるほどの歳ではないにしても
邦画ファンとしてこれは観に行くべきだと感じた!



映画のストーリーとしては、脱サラして作家になった満男と
学生時代に付き合っていたイズミの再会によるロマンス。
時折、過去作の映像が挿入されて寅さんの存在感を散りばめる。


毎週シリーズを1作ずつ観るぶんにはまったく違和感はなかったんだが
20年以上のブランクってのはやはりでかすぎる。
メインキャストがほとんど死んでて草。
あんなに元気だった佐藤蛾次郎も今にも死にそうだしな…。



しかも過去作の映像もあまり入ってこなくて悲しい。
結局観客が観たかったのは寅さんの歯切れの良い口上なわけで、
それをほとんど出さずにウジウジした満男の過去話をメインにされても
ちっとも面白くないし気持ちよくない。

どんなに哀しくてもそこに必ず前向きさがあって、
虚勢を張ることで笑いに変わる寅さんのキャラクターが全てなんだよなぁ。
こんな出涸らしを見せられるなら普通に総集編にしてくれたほうがどんなに良かったことか。

あらゆる価値観が変わった今の時代に寅さんをゾンビのように復活させて
恰好良い場面はろくろく出さずにむしろウザがられてるような部分をピックアップして
一体何がやりたかったのかまったくわからん。

寅さんに出てた役者たちが老いたのを見せられただけ。
年寄りの思い出にすがるだけの映画になんの価値があるんだろう。


そういやオープニングの桑田佳祐が歌う「男はつらいよ」のテーマもまあ良かったんだが
エンドロールでの渥美清の原曲は、やはり別格に素晴らしくて胸に刺さった。
桑田佳祐いらねえじゃん…。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする