阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

バルト諸国の悩みと希望

2006年12月30日 01時19分50秒 | 日常
 ラトビア、およびエストニアでの観光開発調査から帰ってきました。

首都リガ、およびタリンは、13~15世紀にかけてハンザ同盟としてバルト海貿易を独占し栄えた街です。旧市街は中世ドイツの名残がある本当に魅力的な街並みでした。15年前まで共産主義に支配されていたとは思えないほどヨーロッパ的な活気にあふれ、フィンランドなどからの観光客も数多く見かけました。

 しかし、日本人観光客は本当に少なく、今回の滞在中も見かけませんでした。ラトビアが人口230万人、エストニアは130万人余りの小国でありながら、これといった資源もなく、経済的に発展する明るい展望はあまり見えません。そんな中、貴重な文化遺産を活かした観光開発は雇用の拡大、伝統文化の保全に有効に作用する可能性があります。

 リトアニアも含めたバルト3国では、ソ連からの独立(1991年)、そしてEU加盟(2004年)により自由が生まれた反面、経済格差から労働力の流出を招き、ソ連時代には強かった民族的なアイデンティーが急速に希薄になりつつあるようです。私のコーディネーター&通訳を務めてくれた女性によれば、民族、言語が共通し、地理的にも近いフィンランド、ノルウェー、スウェーデンなどスカンジナビア諸国に「出稼ぎ」に行く人々は多いけれど、多くの場合、労働条件は劣悪だそうです。経済格差に起因する差別、特にセクシャルハラスメントなどに対抗する手段もなく、彼女を含めこの問題で現地での仕事を諦め帰国する若い女性は本当に多いそうです。また、女性を目的にして訪れる観光客の増加も、双方の人心の荒廃に悪影響を与えているとのことでした。

 私の修士論文(経済学)は「持続可能な観光開発と経済発展」についてでした。観光開発は諸刃の刃。比較的早期に経済効果がある反面、様々な問題が生じる可能性も高いのです。オンリーワンとしての価値を高め、持続可能な開発を行うこと、つまり長年にわたって観光地としての価値、品格を保ち続ける努力を行うことが大切なのです。エストニアやラトビアの文化遺産は、様々な付加価値を与えることで持続可能な方向に開発できる可能性は大きいと思います。

 写真:エストニアの首都・タリンにて

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