阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

「テロとの闘い」 日本政府は何をすべきか

2007年10月22日 01時56分10秒 | 政治
 私はホームページをふたつ持っているのですが、今回、久しぶりに国際協力活動ホームページを更新し、「テロとの闘い」に関する下記のような意見を載せました。


 テロ特措法によって施行されているインド洋上の給油活動は、果たしてアフガニスタンにおけるテロ対策として、日本政府が寄与できるベストの方法なのだろうか?

 同時多発テロから6年が経過したが、「テロとの闘い」により同時多発テロで亡くなった方々より遥かに多くの米兵が戦死し、さらに、おそらく10万人を超えるアフガニスタン市民が殺戮された。
 
 そして、インド洋で海上自衛隊が給油している燃料は、イラクでの米国の戦争に流用されていることも確実視されている。

 一方、徹底した空爆によって消滅したはずのタリバンは各地で復活し、アルカイダは以前より強力な組織としてイラクを初め中東・アフリカで勢力を拡大しつづけている。

 アメリカ主導のテロ対策は、各地でアメリカや同盟国への憎悪を生みこそすれ、真のテロ対策になっていないことは明らかであろう。

 テロ特措法自体、インド洋上での「無料のガソリンスタンド」よりも、避難民救助や支援がその中核業務であったがゆえに国民にも一定の理解を得、さらに、これが一過性の緊急措置であるというところから、特措法(特別措置法)として成立したのである。

 日本政府として、どのような方法で「テロと闘う」ことが、効果を最大化できるのか、今、まさに本質的な議論を行うべき時であろう。

 私自身は、カンボジア、モザンビーク、東ティモールで自衛隊が派遣されていた、全く同じ時期に国連やNGOの一員として平和構築活動を行った経験がある。

 カンボジアでは、国連やNGOのプロジェクトが、現地における効果を最大化することを目的として行われていた一方、自衛隊は、最も安全とされたタケオ州を中心に施設大隊を派遣し、道路の簡易舗装などを行った。

 しかし、撤退後、雨期が一度来ただけで道路はボロボロになり、「日本の軍隊は撤退した時に道路を持って帰ってしまった」と現地では揶揄されていたほどだった。

 現地の方々には、「復興に貢献」することではなく、「安全に任務を遂行する」ことだけが目的であると映ったはずだ。

 カンボジア、モザンビークでは自衛隊員の方々と本当に親しくなり、綿密に情報交換を行った。「役に立っている」「現地に感謝されている」という政府・与党の説明は、非常に一面的であり、自衛隊員の多くはそうは思っていなかった。(しかし、彼らは自分の意見を述べる権利は与えられていない)

 本来自衛隊が持っている実力、士気の高さ、さらに対費用効果を考えると、もっと有効に寄与できる方法を見出す必要がある。

 私自身、武力によって争う状態を終結させるための、選挙支援活動を各国で行ってきた。また、平和を定着させる上での障害を取り除くため、武装解除や、除隊兵士の社会復帰支援などに取り組むとともに、農村の開発などにも関わってきた。

 私は「米国の戦争への貢献」であるテロ特措法を、「顔の見える貢献」としての復興支援活動にシフトすべく見直す必要があると思う。
つまり、テロの根本原因になっている貧困解決活動への転換だ。

 その方が遙かに有効な「テロとの闘い」になるからだ。「活動の意義」「対費用効果」「活動のリスク」を秤にかけ、日本としての特性を生かせる援助をすべく、見直すべきだ。

 2004年10月、私はアフガニスタン大統領選挙の支援活動に赴いたが、
アフガニスタンの人々は、生活の安心を守る直接的な支援を求めていることを痛感した。

 「使途不明の洋上ガソリンスタンド」ではなく、戦争で荒廃した農村の復興、
元兵士の社会復帰支援、教育、医療など、現地の人々が本当に求める協力をすべきであろう。

 真のテロとの闘いとは、テロを力で押さえ込んで憎しみの連鎖を引き起こすことではなく、テロの根本原因である貧困の解決と和解を促進することなのだ。


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