阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

闘わずしての撤退はない-消費税増税の前に衆議院の定数削減をやり切る

2011年12月30日 23時11分10秒 | 政治

 昨日(12月29日)深夜、民主党税制調査会において、消費税を2014年4月に8%、2015年10月に10%に引上げることを含めた抜本改革について全会一致で了解されました。

 増税についての私の基本的な考えを書きます。

①消費税の引き上げは財政再建、そして社会保障の安定財源確保のためには避けられない

②不景気の時に行う増税は、投資や研究開発費を抑制し、日本の国力を弱め、税収を減少させる可能性がある。従ってタイミングが重要であり、まずは円高、デフレを克服し、景気回復に全力を注ぐ

③増税をお願いするのであれば、公務員の総人件費の削減と共に、国会議員の定数削減など、私たち自身が身を切る覚悟を示すべき

 私はスウェーデンのかつてのエルランデル政権-つまり社会保障を充実させるために税金を上げ続け、選挙に勝ち続けた政権について研究したことがありますが、エルランデル首相さえも、最初はまず景気回復に専念しました。増税はそれ自体が目的ではなく、税収を安定的に確保するひとつの手段と考えるべきです。

 私はもともと、国会の定数削減よりも、国会議員の歳費を半分程度にカットすることの方が重要と考えてきました。日本の国会議員数は連邦制である米国よりは多いのですが、欧州各国に比べれば遥かに少ない数です。官僚とは違う視点を強化する、つまり国会議員が現場主義で活動することを容易にし、また少数派の意見をしっかり反映させるには国会議員の数をむやみに減らすべきではないと思います。

 一方、政治活動=ボランティア活動。つまり公益のために働く喜びが最大の対価であるべきで、選挙という不安定要因があるとは言え、平均的な公務員の年収程度で良いのではと思います。また、定数削減は、選挙基盤が不安定な議員には「生存権にかかわる」大きな試練ではありますが、盤石の基盤を持った議員にとってはさほどでもありません。税金からの支出を抑えることを考えても、国会議員全員が等しく身を切る歳費の大幅カットの方が良いと思います。

 しかし実際には多くの議員が歳費を政治活動に注ぎ込んでいます。選挙にお金がかかる現状のシステムを変えなくては、それこそ、お金のある人しか選挙に出ることができなくなります。従って「選挙に金がかかる」要因になっている弔電や祝電を禁止し、景観を著しく損なうポスターの掲示枚数に制約を与えるなど、法律でお金がかかる政治活動を制約すればいいのです。収入が減って国会議員の質が落ちるとは思いませんし、むしろお金が目的という誤った認識を持った人を遠ざける効果もあるでしょう。

 しかし、マニフェストを守る本気度を問われている今、衆議院の定数を480→400にする。つまり「定数削減」という最大の痛みを率先して実現することこそ、私たちの大きな務めであると考えを少し修正しました。歳費の削減は、私がまだ議員でいれば、その後大胆に行っていきます。

 私自身、衆議院の議員定数を480→400に削減するための議員立法を提出する発起人のひとりとして、12月26日に幹事長室に要望書を提出に行きました。次期総選挙で当選できる可能性を大きく下げる法案ですが、これは国民との約束。国会議員がまず身を切る姿勢を見せることが重要と考えています。

 
 今の国民の怒りは、民主党が国民のために闘うことなく撤退を繰り返しているように見えることが最大の要因です。国民の期待、それは官僚の既得権益打破であり、米国や中国などの大国にも理不尽なこと、国家の主権や国民の未来にかかわる交渉には一歩も引かずに立ち向かうことでしょう。しかしその前に、自分たちの既得権益に鋭く切り込む気概を示さなくては共感は得られません。私たち民主党こそがその覚悟を真っ先に示すことで政治への信頼の糸をつなぎとめる! そんな切なる思いを託した法案に賭けます。



 
 写真上:樽床伸二幹事長代行に要望書を提出した後の意見交換-福田衣里子衆議院議員のブログ(http://blog.livedoor.jp/ennriko555/)より引用



 写真上:提出前に作戦会議を行う様子-玉木雄一郎衆議院議員のブログ(http://ameblo.jp/tamakiyuichiro/)より引用

 私自身は写真を撮ることができなかったので、仲良しの同僚議員のブログからお借りしました。