阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や平和構築活動、趣味や日常生活についてメッセージを発信します。

ミャンマーの民主化支援について予算委員会で質問-国際選挙監視ミッションの受け入れを迫るよう求める

2012年03月05日 17時47分12秒 | 政治

 今朝行われた予算委員会(第3分科会)で、ミャンマーの民主化に対する日本政府の取り組みについて、玄葉光一郎外務大臣に質疑を行いました。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=TD(←このURLから入れる衆議院TVのページでカレンダーの部分の「3月5日」⇒予算委員会第3分科会の順にクリックして頂くと私の名前が出てきます)

 このブログでも報告しましたが、先日、民主化運動の指導者・アウンサンスーチー氏に会って意見交換した時、日本に対する一番の期待は民主化支援、特に法整備支援であることがわかりました。ミャンマーに対する日本の立ち位置は独自の外交戦略に基づいています。1990年の総選挙でNLD(国民民主連盟)が485議席中392議席を取ったにも関わらず政権に居座り続けた軍事政権に対し、欧米諸国は経済制裁などの圧力を加えながら、政治的な干渉も行ってきました。一方、ASEAN諸国や中国は、内政不干渉の立場を取り、欧米が経済制裁をしている好機に乗じて「実を取る」政策を続けてきたと言えるでしょう。日本はアジアの友人としてミャンマーの国民が必要とする人道的な援助を続けながら、相手の自主性を尊重しつつ粘り強く民主化を働きかける立場を取ってきました。

 米国に追従するのではなく、独自の方法で民主化を働きかけるというスタンス自体は評価に値すると思います。問題は、それが本当に機能してきたのかということです。

 私自身、「民主化支援」という活動に、アジアを中心に長く関わる中で感じてきた日本のスタンスは、基本的には「政治的にデリケートな問題に関わるリスクは避け、経済開発を支援することが、やがては民主化につながる」というものでした。市民社会に対する支援よりも政府に対する支援を行う。従って、政府との関係を重視し、たとえ、民主主義とは違う政治形態の政府でも内政干渉はしないのが日本外交の基本的スタンスでした。

 しかし、ミャンマーに対して経済制裁に準ずるスタンスを取っている間に中国やASEAN諸国にビジネスチャンスの多くは奪われてしまいました。また、大使さえも派遣していなかった米国は、ヒラリー・クリントン国務長官の電撃訪問以降、民主化の成否を握る国として存在感を増しています。

 一方の日本は、本来、共有できる政治的価値観を持ち、選挙によって選ばれた政治勢力として正当性があるはずの民主化勢力と信頼関係を十分に構築できていません。また、現政権に対しても、十分な影響力を行使できているのかどうか。例えば4月1日の補欠選挙に向けた準備について、選挙管理委員会を通して状況把握するよう外務省をプッシュしていますが、未だに会うこともできていないようです。

 従って今日の質疑では、一歩踏み込んだ民主化支援の在り方、戦略を問い質す内容になりました。一言で言うと、今後は政治的にデリケートな問題にも果敢に踏む込む勇気を持つべきです。

 最初の重要なステップとして、4月1日の補欠選挙において「国際選挙監視員」を受け入れるようミャンマー政府に強く迫ることを玄葉大臣に求めました。日本政府は補欠選挙の後、経済援助を加速させる予定ですが、自由で公正な選挙と、その評価・検証が可能な状況をつくることは新たな局面に入る前提条件とハッキリ伝えるべきです。このような選挙に向き合う姿勢については大臣とも認識を共有できたと思います。

 また、アジアや欧米のNGOなどと連携し、自由で公正な選挙、議会の民主化、人権状況、メディアの公正性などを監視する機関を通して行う、より長いスパンでの民主化支援についても提案しました。この点については次回の質問でより具体的に提案したいと思います。

 信頼できる選挙とグッドガバナンスや法の支配など政治・行政の民主化を確立し、経済の民主化にもつなげる。このことが、日本こそができる最大の貢献であり、経済分野における日本のアドバンテージを活かす必須条件でもあります。環境や人権、民族の多様性に配慮した持続可能な経済システムを作ることが中国などとの競争に勝つカギになります。そのためにも「民主化支援」という大きなテーマに真正面から取り組む必要があるのです。



写真上:ミャンマーへの民主化支援について日本の戦略を質す私


写真上:答弁する玄葉外務大臣


写真上:国際的な選挙監視ミッション受け入れの必要性について意見を述べる私



写真上:持続可能な経済システムのひとつの在り方として「公益資本主義」のコンセプトについてアウンサンスーチー氏に説明する私(1月9日)