阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

予算委員会での質疑

2013年06月11日 22時38分15秒 | 政治

 ずいぶん前のことになりますが、3月18日に質疑に立った予算委員会(TPPについての集中審議)の会議録がアップされているので掲載します。

予算委員会でTPPについて集中審議

 今、成長戦略についての集中審議を要請していますが、安倍総理は拒否をしています。アベノミクスは予想より早く失速。最近は株価が大幅下落を続けて13000円前後で推移しています。成長戦略を発表した昨日も大幅安。黒田総裁が就任して大胆な金融緩和を始めた時よりも前の水準に戻ってしまいました。安倍総理は調子がいい時は「結果が全て」って強気だったのですが、成長戦略に関する7時間の予算委員会を約束しておきながら、株価が下落してからは様々な理由をつけてやろうとしません。私たちは自民党には絶対に提示できない既得権益と闘う成長戦略を提示すべく、私も政調副会長としてマニフェスト作りを担っています。私の担当は主に外交安全保障分野ですが、インフラの海外展開などはまさに成長戦略の中核です。国益を守ること、地球益、人類益に配慮することのバランスを考えながら、今、政策について考えているところです。

 都議会議員選挙の応援などでマイクを持っていると、維新への逆風とともに、安倍政権に対する見方も変わってきたのを感じます。既成政党にはできない規制緩和で産業構造の転換を図る!という維新の姿勢を訴えていきます。



○阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 私たち日本維新の会は、自立する個人、自立する地域、そして自立する国家の実現を唱えております。TPPへの交渉参加によって、これらの我々の理念を確かなものにする、その上で、総理のこの交渉参加に向けての戦略と覚悟、そして責任のとり方について、きょうは質問をさせていただきたいと思います。

 私が聞きたい大きなテーマは、二つございます。

 一つは、先ほど自立と申し上げましたが、アメリカからの自立をいかに実現するか。TPPという多国間の交渉の中で、アメリカに対していかに主張して、そして日本の国益をかち取っていくか、これがまず一つです。そして同時に、TPPへの参加によって、日本だから国際社会に貢献できる、その価値をいかに最大化するか、いかに国際社会の信頼を得るための戦略をここに反映させていくか。

 この二点について、本質的な部分をお聞きしたいと思いますので、できる限り総理にお答えをいただきたいと思います。

 さて、まず、このTPP交渉への参加を決断されたこと、この点については心から敬意を表します。自民党内部にも大変に大きな激烈な反対があり、非常に厳しい道のりであったと思います。

 しかし、ここからの交渉はさらに厳しいものになると思います。

 きょうも何度も議論はあったと思いますが、私は、このTPP交渉に参加するという中で、公正な競争条件の放棄、これがあってはいけないと思います。ただ、実際にこのプロセスで、既にアメリカに対する大きな譲歩をする要因をつくっているように私には思えてなりません。

 聖域なき関税撤廃を前提とする限りは反対、この言葉を聞いて、多くの方々は、自民党はTPP交渉参加に反対するんだなと思ったと思います。しかし、何のための事前協議なのか。これはどんな聖域をつくるか議論するためなんですから、最初からあった聖域を交渉してかち取ったように見せるこの手法、これは政治手法としてはすぐれているかもしれませんが、納得できない、こう思っている方も多いんじゃないでしょうか。

 オバマ大統領は、アメリカにおいて雇用をふやすことが大統領選挙の公約でした。ですから、とにかく日本には参加をしてほしかった。もともと交渉カードはこちらにあったわけですから、逆に、聖域を獲得することの難しさを演出したことで、足元を見られてしまった。国内では聖域を守ったように説明できても、アメリカに対しては、日本にとって最強の輸出品目である自動車において、公正な競争条件の確保を放棄するという、とんでもない譲歩からスタートしなければいけない、このようになっているように私には思えます。

 今、WBCが開催されていますが、なぜ予選の段階で四番バッターを引っ込めるような戦いをするのか。自動車の関税の撤廃、そして日本の安全基準を守る、これは絶対に譲ってはいけないと思います。ここに戦略があるなら、総理、ぜひ御説明をいただきたいと思います。

○甘利国務大臣 必要に応じて総理からも御答弁があるかと思いますが、担当大臣として、先に答弁をさせていただきます。

 日米首脳会談で、文書として幾つかの項目が確認をされました。これは実はそう簡単ではなかったやりとりであります。総理は相当な決意を持って、相当タフなネゴシエーションをして、そして、あの文章をつくり上げることができたんだと思います。ということは、向こうにとってみれば、ああいう文書は、なくて済めばない方がいいと思ったはずです。だからこそ、そう簡単に事がなせなかったわけであります。

 そこで、具体的に、日米のトップがトップの責任として文書で確認したというのは、いや、我々はわかっていたとか、我々もそうだったとか、どう言おうと、文書で両国首脳が確認できたということの大きさを超えることはできないんだと思うんですね。そういうことが一つあります。

 それから、我々は白地で交渉を担当したわけではありません。

 政権を担当して二カ月強で、安倍総理は決断をしたわけであります。それは、もうタイムリミットが迫っている、つまり、日本の国益をしっかり守りながら、世界益といいますか、関係者のみんながウイン・ウインの関係になっていくということで、我々が主張できる時間、残されている時間がもうかなり少なくなっているということで決断をされました。

 ということは、今までの経緯が白紙で我々は担当したわけじゃなくて、今まで過去二年間、前政権で交渉に前向きに取り組んでいくんだということを宣言されて、それ以降、いろいろな水面下の交渉はあってきたはずなんであります。それを受けて、今度は我々がそこからスタートしなきゃならないということでありますから、今までの経緯は全部なしねというわけにもなかなかいかぬのだろうと思います。

 そういうもろもろのことを含めて、そこからいかに国益を最大限にしていくかという交渉が始まるわけでありますから、その辺の事情は御理解をいただきたいと思います。

○阪口委員 確かに、交渉の内部でいろいろな葛藤があるんだと思います。

 アメリカとは、二国間協議においては腕力で負けるかもしれない。しかし、だからこそ多国間の交渉をする、多くの国々と協力をして、これまでの二国間交渉ではかち取ることができなかったものをかち取っていくのが、私はTPPに参加する意義だと思います。

 米国は、日本が輸出する際の、乗用車二・五%、またトラック二五%の関税撤廃の猶予を求めている。しかし一方で、日本は、アメリカそして海外からの輸入に関税をかけていない。これはまさに不平等だと思います。このあたりを何としてもなくしていくことがTPPに参加する意義であるとすれば、最初の段階でここを譲歩する、ここは何としても頑張ってほしいと私も思いますし、多くの日本国民も思っているのではないでしょうか。

 これでは強い日本とは言えないんじゃないか、こういった懸念を持つわけですが、総理、どのようなお考えでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 交渉ですから、こちらがとりたいものが全部とれて、守りたいものが全部守れれば、それはそれにこしたことがないわけでありますが、それぞれの国が自分の国の国益を最大化しようとしてぶつかり合っているのが経済交渉でございます。

 その中で、ただいま甘利大臣から御説明をさせていただきましたように、既に二年という月日が経過している中において、日本側に残されている時間はもうないというところでの決断はしなければいけない。ここで決断をしなければ、基本的には、ある意味においてはもっと不利になっていくわけでございまして、さまざまなルール、話し合いがどんどん進んでいってしまいますから、後から入っていって、そこはもう変えられないという中にあって、むしろ入っていくハードルは上がるわけでございます。

 そこで、この中において、もう三月しかないということで、二月の首脳会談において何とか我々は、農業のセンシティビティーということについて、首脳間における文書において、我々が聖域と考えている分野において認めさせることができたと思います。

 もちろん、委員がおっしゃるように、工業製品、特に自動車は、日本はその生産力、生産性が高いわけであります。いわば、いかにこの強い自動車において我々が獲得できるかということもまさに大きなポイントでございますが、それは、ずっと今まで交渉している中において、我々が受け継いで交渉していくわけでございますが、そこにおいては、まずは、こういう問題について交渉していきますよということについて確認するということを文書に書き取ったわけでございまして、現在も交渉は継続中でございますが、TPP全体としてとにかく最善の道を求めていきたい、このように思っております。

○阪口委員 これからTPPの参加交渉に臨むということで、既にある種のハンディがあるという厳しい状況であること、それは理解をいたしました。

 既に決まった約束事を覆すのは難しい。これは、二〇一一年におくれて参加を表明したカナダ、メキシコなども、交渉を打ち切る権利は九カ国のみにある、既に現在の参加国で合意した条文は原則として受け入れ、再交渉は要求できないなどの厳しい参加条件を言い渡されております。

 この点については、総理がオバマ大統領と日米首脳会談をされたときには、必ずしも明快にアナウンスされていなかった、三月の七日から十日前後に徐々に明らかになってきたという認識を私は持っているんですが、私が懸念するのは、こういったハンディがある中で、どのように聖域を守っていくのか。交渉力で守るとおっしゃっていますが、何を根拠に交渉力と言っておられるのか。この点について、ぜひ考えをお聞かせいただきたいと思います。

○甘利国務大臣 メキシコ、カナダに対してどういう文書か念書か知りませんけれども、出されたかというのは、関係国は一切明らかにしておりません。ただ、現時点で日本にその種のものが来ているかといえば、これはありません。

 そして、交渉でありますから、もちろん、やってみなければわからないという点は当然あります。ありますけれども、マルチのいいところは、私もWTOの会議に大臣としていろいろな場面に参加をしました。少数国会合で、十日間、会議室に缶詰で大臣だけでやったという経験もあります。そういう経験から申し上げますと、マルチのよさというのは、全部が利害関係一致していないのであります。この部分はここと共闘できるし、こっちの部分はあっちとだということもありますから、そこのマルチの場で、バイの場とは違った交渉術というのが展開できるんだと思います。

 恐らく、既に参加している国々の中には、日本にぜひ入ってもらいたいと。それは、世界経済で三番目の規模の日本が入ってきて、自分たちと共闘できるところは共闘できるんじゃないか、そういう期待感があるからだと思います。

 あらゆるマルチの場面での交渉術を駆使して、国益の最大化を図っていきたいというふうに思っております。

○阪口委員 交渉における力の源泉になり得る大きな要素は、私はインテリジェンスだと思います。先方がどのようなチームで交渉に臨んでくるのか、また、彼らがどういった力を持っているのか、過去に交渉の中で何を要求し、どのような戦術で要求を実現してきたのかというようなことをあらかじめ我々がしっかりと把握をして臨んでいく、これは絶対に必要だと思います。

 安倍総理も、日本のインテリジェンス機能をもっと高めなくてはいけないという意識は共有していらっしゃると思いますが、この重要な交渉、本当に日本の将来を決めるであろうTPP交渉に臨むに当たっての、こちら側のインテリジェンス体制、これはどうなっているのか。そして、実際に先方に対する情報をどの程度収集して、そして分析できているのか。この点、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

○甘利国務大臣 TPP交渉は、その他の交渉、例えばWTO交渉と比べて、守秘義務というか、これがかなりきつくかかっております。ということは、外側にいるとほとんど情報がとれない。参加表明をし、そして交渉参加が認められるに従って、アクセスの密度が濃くなるということであります。でありますから、我々は、交渉の参加表明から参加への了解に向かっていく段階で、少しずつ情報の扉が開かれていくと思います。

 関係各国と、もちろん、日本にシンパシーを感じている国はたくさんあるわけでありますから、もう声明をしたわけでありますから、態度が明らかでないときよりは少し前へ進んできたと思います。その交渉に参加する進展度合いの深化に従って、濃度の濃い情報が集められると思います。その体制をしっかり組んでやっていきたいと思います。

 主要閣僚会議は、総理が直ちに設置をされました。間もなく事務方の強力なチームも編成したいと思っております。強力な布陣をしいて、しっかりとした情報がとれるように、そしてその分析に従って国益を最大化できるように全力で取り組んでいきたいと思っております。

○阪口委員 今、答弁を聞いていて、正直ちょっと私、不安を感じるんです。これから情報がとれるであろうというような期待も込めたお答えだったように私には思えたんですが、しかし、現時点で、TPP交渉に参加するのであれば、相当したたかに、もう情報の収集と分析ができていなければいけないんじゃないかと思います。

 また、実際に交渉に当たるのは政府の方々が中心だと思いますが、ありとあらゆるネットワークを通して、これまで発表された情報のみならず、先方がどのような戦略で来るかということをしっかりと収集して分析するオール・ジャパンのチームをつくっていく、これが必要だと思うんですが、総理、この点についてはどうお考えでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 経済交渉においても、情報収集力は極めて重要であります。米国も、多くの国々も情報機関がございますが、そうした情報機関も時には活用して、経済交渉にその情報を分析し使うことがございます。

 日本には、米国のCIAとか英国のMI6のような、ああいうさまざまなオペレーションをやるような情報機関はございません。しかし、そんな中においても、日本のできる最大限の情報収集はしているわけでございますが、今、阪口委員のおっしゃった問題意識を持ちながら、これはもちろん、政府だけではなくて、議員が海外に行って、そして多くの国々の議員と接触する中においてとってくる情報という中にも有効な情報もあるわけでありますし、事実、WTO交渉においては、自民党の農林水産関係の議員が海外に出ていって、相当情報をとってきたこともございます。

 そういういわば総合力を今度のTPP交渉には活用しなければならないだろう、このように思うわけでございますので、これは党派を超えてぜひ御協力をいただきたいと思います。

○阪口委員 まさに、この点については、党派を超えてオール・ジャパンで対応していかなければいけないと、私も問題意識を共有しております。

 さて、具体的な交渉分野についてさらにお聞きしたいんです。

 知的財産分野においては、医療品や治療方法などの特許権を強化して輸入拡大を図っていく、これは米国の大きな戦略でございます。米国は、日本に対して、出願から二十年と定められた特許の保護期間を、販売から二十年に変えていく、このような戦略で来ている、このように聞いております。

 出願してから販売するまで大体十年前後かかるということですから、特許期間が終わった後に有効成分でつくる日本のジェネリック医薬品の使用については、これは医療費を抑える切り札でありながら、この期間が延びることによって、医療費を抑えるという戦略が機能しなくなる可能性がございます。

 国民皆保険制度、これは必ず守ると先ほどから総理は強調していらっしゃいますが、このような別の分野でしっかりと我々の要求が認められなければ、結局、国民皆保険が崩れてしまうような状況が生まれてしまうかもしれない。

 私は、この特許に関して、国民皆保険を守る観点でも相当な戦略を持って臨まなければいけないと思っていますが、この点についてのお考え、総理、お願いします。

○甘利国務大臣 知財につきましては、日本側も非常に関心の高いところでございます。

 実は、小泉内閣のときに、知財戦略本部というのができました。それは、私が、党の知財戦略が必要だということで調査会を立ち上げまして、申し入れをしまして、それ以来、政府に、官邸に戦略本部ができて、知財戦略というのが進んできたという経緯があります。そういう点で、非常に我が国としても関心の高いところでございます。

 模倣品や海賊版をこの世界から駆逐するというのが戦略上の目標でもありますし、それから、特許を初めとする知財のしっかりとした管理、国際標準についても、日本が知財先進国としてしっかりリードしていかなければならないというふうに思っております。

 一国の一方的な主張が通らないというのがマルチの場でありますから、正論をきちっと論陣を張って、仲間をふやし、しっかりとした知財管理ができるようにしていきたいというふうに思っております。

○阪口委員 ありがとうございます。

 最初に、日本が提供できる価値について、これをTPPを通して実現していくという私のテーマについてお話をしましたが、この点についても議論をしたいと思います。

 今後、アジアのインフラ需要は、十年間で六百兆円を超えるとも言われております。その上で、大きなライバル、これは中国ですね。港湾施設をつくる、あるいは高速鉄道、道路、上下水道などインフラ整備をしていく上で、中国は、恐らく非常に安いコストで、スピード感を持って、さまざまな国に提供できる体制を整えている。

 一方で、では、日本は何をもって中国と対峙していくかというと、これは、その国の国民にとって本当の幸せにつながるような、希望の制度をパッケージで提供していくことではないかと思います。

 具体的には、人材の教育ですとか、あるいは法整備支援、また環境技術をパッケージで提供していく。そういった取り組みを通して民主化に貢献をしていく。このことが、結局は、日本が、そういったインフラの輸出に関して、中国その他の国に勝っていく土台をつくることにつながっていくと思います。

 私は、TPPによってこれらを加速して、同時に、日本だから提供できる価値をしっかりと提供していく、そういった戦略をぜひパッケージで展開していただきたいと思うんですが、この点について、総理、お考えを伺いたいと思います。

○甘利国務大臣 中国のインフラとTPPの関係。これからTPPが、中国も含んで、いわゆるアジア太平洋地域の経済連携にどうつながっていくか。

 これは、TPPは最終着地点ではなくて、最終着地点はFTAAPというのは、これは与野党共通の認識だというふうに思っております。そういう中で、TPPが、FTAAPのルール、ある種、いろいろなシステムのたたき台といいますか、土台になっていく可能性があるからこそ、総理はそれもあって決断をされたわけであります。

 適切なルール、日本は、インフラに関しては、単にインフラ自身の優秀性もさることながら、オペレーションに関して、パッケージで全部輸出することができるわけであります。その中には安全、安心ということが極めて大事な要素に入ってくるわけであります。

 ハードもソフトも、システムもオペレーションも含めて、いいシステムが将来輸出できるように、日本は、技術的にも、あるいはオペレーションでも頑張りたいと思いますし、TPPを通じてある種のルール、リーズナブルな、適切なルールができるということも期待をさせていただきます。

○阪口委員 この点については、まさに日本だから提供できる価値であるという意識で、ぜひ戦略的に展開をしていっていただきたいと思います。

 さて、四月十三日にアウン・サン・スー・チーさんが来日をされます。私は、実はこのスー・チーさん側と連絡をとって、国会議員の方々との面談の機会を何とかつくりたいと思っています。先方がおっしゃるには、今回は、特に苦しいときにお世話になった方々と会いたい、今議員でない方も含めて、彼女が軟禁状態にあるときから支えてくれた方々にぜひ会ってお礼を言いたい、このようなことをおっしゃっています。

 昨年の一月九日、私、ミャンマーでアウン・サン・スー・チーさんに会っていました。まさに、そのときに、今私が申し上げた希望の制度の輸出と、そして同時にインフラの輸出、これをどのように組み合わせて民主化の進展に寄与できるのか、このような議論をさせていただきました。

 ちょうど同じ時期に安倍総理もミャンマーに行っていらっしゃったと思いますが、スー・チー氏にはお会いになったんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 ミャンマーを訪問した目的が、アジアの子供たちに学校をつくる会においてミャンマーを訪問しまして、そしてその竣工式に参りましたので、これはヤンゴンから七時間ぐらい車で道なき道を行かなければ行けない場所に学校をつくったという関係上、余り時間がなかったものでありますから、スー・チーさんにお目にかかりたいという要望は出したんですが、時間がうまく合わなかったということであります。

 セイン大統領とは会談をいたしました。

○阪口委員 私がアウン・サン・スー・チーさんと会ったときには、民主化支援をしてくださる方々とはぜひ意見交換をしたいとおっしゃっていました。元総理で、大変に将来有望な、まあ、有望という言い方はちょっと失礼かもしれませんが、安倍総理がこのときにお会いにならなかったというのはちょっと残念だなというふうに私は考えております。

 さて、TPPを通して、日本の国益を最大化すると同時に、人類益そして地球益を最大化する、これを同時に実現していくのがやはり誇りある日本としての使命であると思います。

 実は私、今から二十年前、安倍総理がまだ国会議員になる前、初めての選挙に臨まれる時期であったと思いますが、カンボジアにおいて平和構築のボランティアをしておりました。ちょうどそのときに、私のルームメートで一緒に活動していた人が、中田厚仁さんという方でございました。御存じかもしれませんが、国連ボランティアの同僚として一緒に活動しているときに、銃撃をされて、命を落とした青年でございます。この四月八日が彼の二十回目の命日になるんですね。

 ルームメートですから、部屋で話をしていたときに、お互い、何で安定した生活を捨ててまでカンボジアに来たのかというような話をよくしました。彼の答えが、どんなにリスクがあっても、誰かがやらなければいけないことがあるのであれば、その誰かに自分はなりたいということでした。

 安倍総理が今回TPPの交渉参加を決断されたというのは、まさにこういう思いであると思います。何としても、交渉に参加を決断されたからには、ぜひしっかりとした果実をかち取っていかなければいけない。それが、日本にとっての果実のみならず、国際社会、地球社会にとってのプラスにつながっていく、こういったものでなくてはいけないと思います。

 このことに関して、一言、総理の決意をお伺いしたいと思います。

○安倍内閣総理大臣 こうした多くの国が入る、マルチの経済圏をつくっていくという中における交渉については、もちろん国益を守っていくということもそうでありますが、基本的には、自由な貿易環境をつくっていく、開放経済を進めていくことにおいては、それぞれの国々が利益を得る、そういうものでなければならない。一つの国が多くの利益を得て、一つの国がいわば貧困になってしまう、こういうルールであってはならないわけでありますし、こういう経済圏であっては将来に望みがないんだろう、そういうことも当然念頭に置きながら、志の高いルールづくりをしていく必要があるだろう、こう考えています。

○阪口委員 終わります。ありがとうございました。