阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

小さな国益追求よりも、地球社会の課題解決に貢献できる日本を目指そうーカンボジアでの選挙制度改革支援

2014年08月26日 00時00分11秒 | 政治
                      
 今、結いの党との合流を目指し政策議論の最終段階です。私が外交政策の根幹にしていきたいのは、小さな国益、狭い愛国心よりも、地球社会の課題解決に貢献できる日本、尊敬される国としての日本を目指すことです。その意味では、平和への貢献、民主化支援などにより軸足を置いた貢献をすべきと考えています。それが結果的には日本の国益にもつながってくるからです。

 国会議員として私が長年取り組んでいるテーマのひとつはカンボジアにおける民主化支援です。私は1992~3年に国連の文民要員として国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の選挙部門で勤務した経験があります。その後も多くの紛争地域で選挙の実施を含む平和構築に関わったこと、カンボジアにおいて計4回の国政選挙に技術アドバイザーや選挙監視要員として関わったこともあって、自由で公正な選挙の実施には特に力を入れてきました。その鍵は、選挙人登録において不正が起こる余地をなくすことと問題提起してきましたが、その点は一向に改善されず、昨年7月の総選挙後、選挙人名簿に不正があったとする野党救国党が国会への登院をボイコット。国会が正常に機能しない状況が続いていました。

 そんな折、フン・セン首相から選挙制度改革支援の要請が日本政府に寄せられました。日本はこれまで「民主化支援」という大きなテーマへの関与には消極的でした。積極的に関与すれば内政干渉と紙一重になる可能性があるからと私は考えています。従って、投資に関する法整備支援などは積極的に行ってきましたが、政治体制の変革につながる本丸である選挙支援に関しては機材提供などの技術支援や、選挙監視チームを派遣することが中心でした。今回のカンボジアにおいても基本的にはカンボジア側の要請に従って技術的な支援をするとの立場です。しかしこのままでは不正が起こり得る余地を残したまま「日本のお墨付きをもらった改革」となりかねないと私は危惧しています。

 そこで私はカンボジアの与野党指導者、また政府関係者に会い、特に選挙人登録の段階で不正が入る余地をなくす方法について意見交換することにしました。また、日本の技術でIDカードを電子化することによって選挙のたびに問題になる有権者登録の不正を防ぎ、将来は社会サービス向上にも寄与できるシステム作りを提案しました。UNTACの時には自分自身が担当する村々をまわり、全員を面接して選挙人登録を行ったことなどの経験をもとに、IT技術とあわせて不正をなくす具体的方法について提案、説得をしました。特にソー・ケーン副首相、サム・リャンシー救国党党首、イム・スオスダイ国家選挙管理委員長は非常に前向きでしたので、今後はこれらの提案を具現化できるよう、今後も日本、カンボジアの双方に働きかけていく予定です。

 今回は選挙制度改革の議論を通してアジアの民主主義の在り方についても様々な視点で意見交換をしました。欧米諸国は援助の提供や国際経済の枠組みへの参加を約束することで民主主義の導入を求めてきましたが、最近、中国の存在によって「民主主義でなくても経済発展できる」という考えが発展途上国にも広がってきています。そんな中、アジア的な価値観や文化を踏まえた新しい民主主義の在り方を考え制度化していくのは日本の役割だと思います。

 民主主義が十分に機能せず物事が独裁的に決められる国の政権は概ね中国との相性が抜群です。インフラ整備などは環境や人権への配慮を気にせずにスピーディーに安いコストで可能になるからです。しかし、国民の声がより反映される政治体制になれば、住民の声を反映した持続可能性の高い開発につながります。その際にはより高いモラルを持った日本の企業にとってのビジネスチャンスも大きくなるはずです。

 現在、日本維新の会の党内では、新党を結成するに際しての政策議論を続けています。私が主に担当をしているのは外交安全保障とエネルギー政策ですが、安倍政権のもとでは今は政治の大きな流れが短期的な国益や狭い愛国心の方向に向かっているように思えてなりません。私たちが実現すべきは地球社会の問題解決に貢献するため、あらゆる分野で既得権益にとらわれない持続可能な新しい方向性を打ち出すことです。それをより多くの野党との連携にもつなげていくことを目標に議論と行動を続けていきます。



ソー・ケーン副首相兼内務大臣と。選挙制度改革の担当大臣で、政権ナンバー2とされる副首相と2時間、選挙制度改革案について具体的に議論できました


サム・ランシー救国党党首と。お会いするのは今回が3度目です。財政経済大臣の時に政権の腐敗を追及して追放されて以来、変化を求める人々のカリスマ的存在。その人気は圧倒的です。


イム・スオスダイ国家選挙管理委員長。97年の選挙法制定に携わるなど選挙制度構築の中心的存在です


テップ・ゴーン上院第二副議長と会談後。主に人民党の改革方針について話を伺いました。


フン・マニー議員と。フン・セン首相の三男で後継者と言われています。友人として2度目の来訪を大歓迎してくれました


ジアプ衆議院議員と。人民革命党時代の1981年からの重鎮議員です。人民党の歴史や役割について詳しく話してもらいました


民主化支援NGO、COMFRELのコル・パンニャ氏と。彼とはアジア各国の選挙支援活動で一緒に活動した仲間でもあります。アジアのノーベル賞と言われるマウサイサイ賞の受賞者です。