阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

国葬で発した誤ったメッセージの検証

2022年09月30日 17時51分44秒 | 政治
やはり、国葬はやるべきではなかったと思います。

まず、政府が作成した映像は、安倍元総理を全人格的に肯定する内容になっていました。これが安倍ファンの集いや、国政報告会だったらいいでしょう。自民党葬であれば自由にやればいいのです。でも、税金を使って政府がこのような映像を作成し、国葬の場で流すべきではない。これでは、リーダーを称える独裁国家のPRビデオのように見えてしまいます。

菅元総理の弔辞が良かったという声も聞きます。確かに聞いている人々の心の琴線にふれるような言葉が展開します。構成もプロフェッショナルで、そこは大いに参考になります。しかし、決して言うべきではない言葉が、せっかくの弔辞を台無しにしてしまったと思います。

『天はなぜ、よりにもよって、このような悲劇を現実にし、いのちを失ってはならない人から、生命を、召し上げてしまったのか』という表現、全ての人の命は等しく価値があるものであり、全ての人の命は失ってはならないものです。公文書の改ざんを命じられ、自死に追い込まれた赤木さんの命も、統一教会によって家庭が崩壊し、自死に追い込まれた人の命も尊い。安倍元総理の命だけが特別失ってはならないものということはあり得ません。

『一歩後退すると、勢いを失う。前進してこそ、活路が開けると思っていたのでしよう。総理、あなたの判断はいつも正しかった。安倍総理。日本国は、あなたという歴史上かけがえのないリーダーをいただいたからこそ、特定秘密保護法、一連の平和安全法制、改正組織犯罪処罰法など、難しかった法案を、すべて成立させることができました』

国民の反対の方が多く、また憲法に反するとされる法案を、国会の議論を途中で打ち切って、数の力で強行採決に次ぐ強行採決。安倍総理の判断が全て正しかったとは到底思えません。

また、これらの多くはアメリカの戦争に協力するための法律であり、平和構築や民主化支援、紛争仲介外交など、日本が独自に平和に貢献できる可能性は大きく狭まることになってしまいました。国際社会の代表者を前に一方的に正しかったと言い切ったことは大問題です。

また、民主的な選挙で選ばれたミャンマー政府をクーデターで転覆させ、人権蹂躙を続けるミャンマー国軍の代表者を招いたことは致命的な失敗でした。世界で抗議の声が上がっていて、私のもとにも大きな反発の声が届いています。

臨時国会では国葬について様々な角度から検証しなくてはならないと強く感じます。