今日はキルギス大統領選挙の投票日。長い一日が先ほど終わり、ビシュケク市内の宿泊所に帰ってきたところです。
昨日面会したオトゥンバエワ大統領は、何と1時間20分にわたって熱く語り、この選挙の歴史的意義を訴えました。中央アジアにおける民主的な政権の移行は史上初のことであり、自由で公正な選挙を実施する共同作業としての選挙監視活動の意義を強く感じました。
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写真:トクモク市の投票所(農業大学)前で。左から中屋大介衆議院議員、私、首藤信彦衆議院議員(団長)、藤谷光信参議院議員、宮崎岳志衆議院議員)
私たちは昨年に続き、キルギス、ロシア、タタール、ウズベク、ウイグル、ドゥンガン、ドイツ系など様々な民族が共存するトクモク市を中心に活動することを決め、その後、ビシュケク郊外、ビシュケク中心地、さらにトラブルが報告されたビシュケク郊外の投票所で投票および開票の様子を監視しました。
約50キロ離れたトクモク市には朝7時前に到着し、投票所設置の様子を見ていたのですが、昨年顔なじみになっていた投票所の責任者(ドゥンガン人女性)からは突然投票開始前にスピーチを要請され、私が代表で挨拶をしました。例のないことで驚きましたが、今回の選挙の意義、そして日本の国会議員が参加する意味についてお話ししました。
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写真:国家斉唱の後、投票所内でスピーチをする私。今朝はマイナス4度。暖房のない室内ではみんな防寒着着用でした。
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写真:スピーチをする私。温かい雰囲気に感動しました。
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写真:投票所スタッフの女性と。背景は大統領選挙の候補者です。
全体としては大きな混乱はなく、開票に立ち会った投票所では先ほど開票も終わり、首相を辞任して立候補したアタンバエフ候補が有効得票の7割近くを獲得する圧倒的な力を見せました。一方、投票所によって有権者数のばらつきが大きく、有権者数がキャパシティーを超えた投票所では19時の時点で列を作っていた有権者が投票できない事態も起こりました。また、投票用紙と名簿の二ヶ所にサインすることで投票所で費やす時間が長くなったことも、時間がかかった要因でした。
昨年、首藤信彦衆議院議員と活動した際には、FAXを使っての投票結果の報告、また、混乱を避けるために選挙人登録は投票所では行わず事前に終えておくことなどを提案したのですが、昨日、中央選挙委員会を訪問した際にはどちらも今回の選挙プロセスに反映されていることを知らされました。上記の点についても次回以降の選挙では改善されるよう、明日の記者会見などで指摘することにします。
明日はOSCE選挙監視団およびEU議員との意見交換、ババノフ第一副首相との会合、また今日の選挙についての記者会見を行います。
今回のミッションを支えてくださっている在キルギス日本大使館の方々、また選挙監視活動の意義を理解し、国会開会中にもかかわらず送り出してくれた民主党関係者には心から感謝です。
事前にはどの候補も過半数をとれず、決選投票になるという見方が強かったですが、実際の選挙結果はバキエフ前大統領失墜から中心的役割を果たしてきたアタムバエフ首相が圧勝となり、再び混乱状況に陥るかもしれない、という多くの人の不安を一掃するものとなりました。こちらもホッと胸をなでおろしたのが正直なところです。
オトゥンバエバ暫定大統領の、「これでバキエフ前大統領の勢力が復権しようとする動きが完全に払拭された」というコメントは、選挙結果から見ればキルギス国民の多くの思いを代弁しているものにも思えます。昨年の議会選挙で無関心から旧勢力の残存と議会第一党を許した国民が、今回はそれを阻止すべく責任感を持って、より多くの人が投票した結果、今回の首相圧勝につながったと言えるかもしれません。(南部ではウズベク系住民に無言の圧力がかかり、多くの人が不安から投票を見合わせたというニュースも入っていますが、トクモクはいかがだったでしょうか)
次の関心は、首相の後継人事ですね。兼任もあり得る、との意見もあるようですが、議会制定着のためにはけじめをつけた先例が必要でしょう。ただ個人的には、まったくの象徴的存在ではなく、権限を持った監督機関のような活動をしてきたオトゥンバエバ暫定大統領のポジションは非常に有効なものだと感じました。このような独立機関としての大統領の存在は、政治システムとして斬新であると感じましたがいかがでしょうか?