この17日、友人のアフガニスタン人(ハザラ族)ヒサールさんが中心になって首相官邸前でデモを行いました。アフガニスタンへの日本の支援に対する感謝の思いを伝えるとともに、日本の援助が民族融和ではなく、民族対立をあおるために使われていることを指摘し、ぜひ考え直してくださいと平和的に、しかし切実に訴えるデモです。
ヒサールさんは、私が首藤信彦衆議院議員の政策秘書をしていた時、米国による対テロ戦争によって日本にやってきたアフガニスタン難民で、私たちは何とか難民認定を受けられるよう協力をしていました。今回、デモの後、できれば国会議員に声明を渡したいとのことでしたのでアフガニスタン情勢に関心のありそうな何人かの国会議員にお願いしましたが、残念ながら国会は今、選挙モード。時間を調整してもらうことは叶いませんでした。私自身も現場には行けませんでしたが、ヒサールさんが首相官邸前で読み上げた声明をそのまま紹介したいと思います。
「日本のみなさん こんにちは。私たちは日本に住んでいるアフガニスタン人です。 留学生から会社経営者まで 立場はさまざまですが、本日はアフガニスタンにいる国民の声を 日本政府と日本国民の皆様にお 伝え するために、集まりました。警備、警察のみなさん、本日はご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願いします。
まずデモを始める前に、先月、熊本県を中心に発生した、九州地方の地震において被災された方々に黙とうを捧げます。
まず、私たちはアフガニスタン国民の代表として日本政府、日本の国民の皆さんにお礼を伝えたいと思います。
アフガニスタンでは長く続いた内戦が終わり、現在は国の復興と成長に向けて歩んでおります。2001年にアフガニスタン暫定政権ができてから、日本はいち早く国際社会の先頭にたって、アフガニスタンの復興を支援して下さいました。2002年のアフガニスタン復興支援は東京会議から始 まり、兵士武装解除、社会復帰のDDR、治安維持、能力強化、人道支援、文化、教育、人材育成、インフラ整備、農業支援、医療、そして、大統領、議会選挙の選挙支援にいたるまで、幅広い分野でアフガニスタンの復興にご協力をいただくとともに、多大 な資金協力をして下さいました。日本からの支援は、つまりは日本国民の皆様からのご支援であります。私たちは日本政府をはじめ、日本国民の皆様一人一人に心から感謝しております。警備 さん、警察の方々、いま立ち止まって聞いてくださっている皆様、ご通行中のみなさまの一人一人の税金で、私たちの国は復興に進んでいます。本当にありがとうございます。
さて、今回のデモの主旨ですが、現在、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタンを結ぶ送電 線網、構築、プロジェクト、通称TUTAPが計画 されています。このプロジェクトは、アメリカ、日本が中心となり、また日本からの多大なご支援により進められようとしております。
ドイツの電力専門企業が、皆様もご存じのバーミヤンからのルートが一番最適、安全であると公表し、カルザイ前政権ではその計画を承認しました。政府は、アフガニスタン憲法 6条において、国のすべての地域、すべての民族に平等と同等の開発を与える必要があることを言っています。しかしながら、TUTAPプロジェクトでは、現在の政府のリーダーたちは、電気ケーブルのメインルートであるバーミヤンをルートから除外を決定しました。アフガニスタン政府はケーブルに関するアフガニスタンの人々の正当な要求に注意を払っておらず、政府の非道と独占的決定を主張 しています。
私たちは、バーミヤンの人々は、そのような決定は不合理であることと、国益とは反対の方向へ進 む決定であると思っています。この誤った政策により、短期および長期的に経済的に損失を生み出すでしょう。またすべての州に平等な開発という憲法に反しています。バーミヤンの代わりの送電ルートのサランルートは、十分な 安全性とセキュリティの欠如 が あります。
それはロジックと開発の確立された慣行と互換性がなく専門家の過半数によってサポートされていません。人々の大半は、サランルートへの移行に不満を覚えています。本来このTUTAPプロジェクトは経済発展の大きな後押しをするすばらしいプロジェクトであり、経済を取戻し、発展をすることは、つまりはご支援をいただいた世界の 国々、そしてその中でも日本の皆さんに恩返しをするチャンスでもあるのにもかかわらず、政府、官僚の私利私欲、非道、差別 によりこの国の重大なプロジェクトを衰退に導くものとなります。バーミヤンの人々、そして私たちアフガニスタン国民は、このアフガニスタン政府の決定は賢明ではなく、そのような決定に頑固に固持することは独裁以前の何ものでもないと思っています。この TUTAPプロジェクト問題について日本にはニュースはありませんが、先のほども申し上げましたように、日本の皆様のご支援により進められています。
アフガニスタンだけでなく、今は世界中でデモが行われています。このデモを通じて私たちはアフガニスタン政府にすべての国民への義務を尊重し、すべての国民が平等の権利と平等の開発の平等原則をアフガニスタン政府に求めています
このような平等な権利は憲法で強調し、バーミヤンにも平等に電気を通すことを求め、1 日でも早くこの不当な決定をやめ、国内および国際的な専門家にゆだね、真剣に政策を見直 しするように求めています。私たちは、表明します。民主的な需要を聞くために、政府に圧力をかけるために、貧困緩和と持続的な発展に責任を持っているアフガニスタン政府、国家 および国際人権団体、国際機関、援助国に寄付の資金が支配者と独占企業の政治家の個人的な意志の開発・ロジックに使用される傾向を見逃さないように訴え続けます。私たちはバーミヤンの住民の声、アフガニスタンの声として、アフガニスタン政府に対して、不正な計画を改めるように抗議します。日本政府に対して、日本国民からの税金を支援して拠出した後 に、正当に使われているかを監視 管理することをお願いしたいことと、日本は多大な協力をしているという強い立場から、ぜひ不正な計画を改めるようにアフガニスタン政府を指導 をしていただきたく思います。
私たちは日本の国民の皆さんの税金が不平等に使用され、このような現状になっていることに対して、アフガニスタン政府に憤りと怒りを感じているとともに、早くこの問題が解決 し、このプロジェクト 正当に進 められて、1 日でも早く復興発展をとげて日本の皆様に恩返しができる国になりたいと思っています。最後に、もう一度、日本の皆さんどうもありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いいたします。御静聴ありがとうございました。」
あるいは日本のODA(すなわち日本国民による血税)の功績が、他の国からの援助として現地国民に伝わっているケースもあるようです。
最悪の場合は、日本からの援助が独裁政権における権力者をさらに太らせる事態にも繋がったりしていることです。
なぜそのような事態が起きるのか?
それは現場を知る政治家が永田町にいないということでしょう。
難民認定ひとつとってみても、本当に世界の趨勢を理解している政治家が永田町に多く存在していれば、現在の日本のあり方は有り得ないことのように思います。
今、伊勢志摩サミットで三重県は全世界の注目を集めています。
今こそ国際社会における日本の存在感を世界に発信してもらいたいものです。