博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『華族』

2007年07月13日 | 日本史書籍
小田部雄次『華族』(中公新書、2006年3月)

タイトル通り華族大百科という感じの本ですが、面白く読んだのは華族と現在の皇室との繋がりを示す記述です。本書では華族の相続が男系による継承しか認められなかったことが、昨今の皇位継承に関する議論で旧皇族・旧華族の論者が女系による皇位継承を頑強に否定していたのも、こうした事情が関係しているのではないかと推測しています。

その他、現在の皇室に繋がりそうな話を拾い上げてみると、

○華族の中から生物学・昆虫学・植物学など博物学の研究者を多く輩出。→魚類の研究者である現在の天皇陛下のほか、生物学の研究に従事されている方が多いことに影響?本書では皇族出身の華族で、鳥好きが高じて山階鳥類研究所の創設者となった山階芳麿についても触れています。この山階鳥類研究所は黒田清子さんが勤務されていた所ですね。

○戦前には婦人雑誌の巻頭で華族の令嬢・夫人の写真が掲載されることが多く、またゴシップも含めて彼女らに関する記事が頻繁に掲載された。→現在の女性週刊誌で、特に皇后・皇太子妃らに関する記事が頻繁に掲載されていることに影響?

といったところでしょうか。

あとは、昭和天皇が華族の中でかつての五摂家など旧公卿の家柄に親近感を抱いており、大戦後に華族が廃止される際にも彼らの爵位剥奪には未練を感じていたらしいという話が興味深かったですね。
コメント
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