博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『少林僧兵』その5(完)

2009年01月23日 | 武侠ドラマ
『少林僧兵』第29~最終34話まで見ました。

列表山に潜入した月文は父親の汪直に素直に従うふりをして倭寇たちの信用を得、若蘭父子の救出をはかります。若蘭父子は無事に戚継光のもとに帰還できたものの、月文は土壇場で倭寇に捉えられ、両足の筋を断たれることに…… そして戚継光は若蘭の父親から15年間秘蔵していた朝廷の軍資金を譲り受けて水軍を組織し、列表山の倭寇に対して攻勢に出ることに……

ということでいよいよラストバトルです。師父大脚僧の仇討ちがかかっている月空も下の画像のごとく緊那羅王のペイントを施し、気合い充分です(^^;)



しかしこの期に及んでよく分からない行動をとるのが風語。月文を救出しにやって来た月空を武士の情けで見逃してやったかと思えば、その後汪直から戚継光暗殺の命を受けて寧波に潜入し、月空に阻まれるといきなり切腹しちゃいます…… で、秀子は風語の遺体とともに舟で日本に戻るのですが、この2人、何のために登場したんだかよく分かんないままになっちゃいましたね……

ラストシーンでは汪直が自分の身ひとつで舟に乗って逃れて行きますが、その後ポルトガル人とともに種子島に漂着し、日本人に鉄砲を伝えたりするわけですね(^^;) (ポルトガル人が種子島に漂着した時に「五峰」と名乗る明人が同乗しており、それが汪直(王直)であるとする説があります。ドラマ中でも西洋製の鉄砲や仏郎機砲を導入するシーンがありました。)

【総括】

少林寺の方丈が制作に名を連ね、武僧がアクションシーンを全面バックアップということで当然アクションが期待された本作ですが、蓋を開けてみるとアクションシーンはおおむね早回しで撮影されていてそれほどの見所というわけでもなく、それよりも日本絡みのツッコミ所の方が気になり、しかも実質的な主役は月空・月文といった少林武僧ではなく戚継光という有様…… 

作品としてはそこそこ出来が良いのですが、ハンバーガーを注文したつもりが牛丼が出て来たという類の違和感を感じざるを得ません。

「『少林僧兵』は古代版の『士兵突撃』」(そういう軍事ドラマが去年あたりにヒットしたようです)という論評もアップされてますが、指揮官戚継光の「腐りきった上司が意地悪してこっちに武器とか食糧を送ってくれないんですけど、どうしたもんでしょうか」「その上司の従兄弟がうちの部隊の隊長なんですが、従兄弟の権威を笠に着て言うことを聞かないんで、処刑しちゃっていいでしょうか」「唯一物分かりがいいと思ってた上司が援軍と称して少林寺の武僧を連れてきたんですけど、僕が欲しいのは兵隊であって個人戦しかできないファイターじゃないんですが」「その物分かりのいい上司が政争に敗れて投獄されちゃったんですけど……」「親身に面倒見ていた女の子が実は倭寇のスパイだったんですが、どうしよう」といった懊悩に感情移入いながら見るのが正しいのかもしれません(^^;)
コメント
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