今月からKindleを導入しました。Kindle購入の青空文庫版が増えてます。
猫の古典文学誌 鈴の音が聞こえる (講談社学術文庫)の感想平安文学から夏目漱石まで日本の古典に現れる猫のあれこれ。猫が虎の子孫あるいは虎の師匠とされるなど、古くは虎に関係づけられていたという話と、島津義弘が戦場で猫の目の形から時刻を確認するために、朝鮮出兵に七疋の猫を帯同したという話が面白かった。冒頭の「猫」と「狸」の話は、猫型ロボットと言いつつたまにタヌキみたいと言われてしまうドラえもんを何となく想像してしまうがw読了日:11月5日 著者:田中貴子
廃藩置県近代国家誕生の舞台裏 (角川ソフィア文庫)の感想府藩県三治制の徹底によって中央集権化をはかるというのが当初の明治政府の既定路線であり、完全に藩を廃止してしまうことまでは考えていなかったこと、廃藩置県はそれを断念せざるを得なくなった状況で、西郷・大久保・木戸らによる一種のクーデターとして断行されたことなどを論じる。こういうのをクーデターと言うのかどうかわからないが、廃藩置県をめぐる動きが版籍奉還より段階的・計画的に進められたものではなく、かなり「グダグダ」なものであったことはよくわかった。読了日:11月9日 著者:勝田政治
満韓ところどころの感想青空文庫版を読書。夏目漱石による日露戦争後1909年の満洲探訪記だが、芥川龍之介の中国旅行記なんかに比べるとだいぶ中国に対する温度差があるなと。こちらの方が良くも悪くも中国に対して無関心。この無関心さが、探訪記が中途で終わっていることとも関係しているのかなと。小ネタとしては、途中で現地人が麻雀らしき遊びをしている場面があるが、麻雀という言葉は出てこない。この頃にはまだ麻雀が日本で知られていなかったということか。読了日:11月10日 著者:夏目漱石
「棲み分け」の世界史―欧米はなぜ覇権を握ったのか (NHKブックス No.1222)の感想「棲み分け」をキーワードに、なぜ西欧でサイエンスと資本主義が発達したのかを探究。広範な分野の研究・著作を参照しているが、どうも著者の専攻の西欧史以外の理解が大雑把だなと。例えば中国では権力の棲み分けが無かったとしているが、中国の王朝が「小さな国家」として位置づけられる幇や会党を基本的に放置していたのは、西欧のそれとは異なる形態であるかもしれないが、やはり権力の棲み分けと言えるのではないか。近年與那覇潤『中国化する日本』などグローバルヒストリー的な著作の刊行が相次いでいるが、同様の問題を抱えている印象。読了日:11月14日 著者:下田淳
上海 (岩波文庫)の感想青空文庫版で読む。五・三〇事件をテーマとしているが、主役の参木が「巻き込まれ型主人公」のせいもあってか、イデオロギー性はそれほど感じない。「魔都」上海的な描写も盛り込まれており、当時の雰囲気はそれなりに感じられる描写になっているか。読了日:11月15日 著者:横光利一
幕末史 (ちくま新書)の感想題名の通り幕末の政治通史。「攘夷」という言葉が単に排外主義と鎖国の堅持を意味するだけでなく、条約改正交渉なども含めて外国に対して強い行動に出ることを広く指した言葉であったとか、面白い指摘が盛り込まれている。開国派・尊攘派・公武合体派等々「~派」というくくりが幕末政治史の理解を無駄にややこしくしているという指摘には納得。読了日:11月19日 著者:佐々木克
古寺巡礼 (岩波文庫)の感想青空文庫版で読む。以下、第十三節より印象に残った部分の抜き書き。「固有の日本人の「創意」などにこだわる必要はない。天平の文化が外国人の共働によってできたとしても、その外国人がまたわれわれの祖先となった以上は、祖先の文化である点において変わりはない。」読了日:11月22日 著者:和辻哲郎
達人伝 ~9万里を風に乗り~(1) (アクションコミックス)の感想Kindle版99円セールで購入。『蒼天航路』の初期のようなノリで出だしはいい感じ。中盤以降の超人大決戦みたいなノリにならないことを祈るばかり…読了日:11月24日 著者:王欣太
〈運ぶヒト〉の人類学 (岩波新書)の感想「運ぶ」という営みについて、著者お馴染みの「文化の三角測量」によって考察。日本・中国絡みだと天秤棒による運搬が取り上げられています。『天工開物』の挿画の中の天秤棒がおそらく竹ではなく木製だとしているが、絵で見ただけでそのようなことが判断できるのだろうか?本書の図版から見る限り木製と確定する根拠は薄いように思えるが… 読了日:11月24日 著者:川田順造
王道の狗3の感想加納は大阪事件以来の因縁があった金玉均のもとを離れ、上海へ。加納と風間についてはあれで結着がついたということだろうか?方向性が定まらないまま上海までたどり着いて孫文と出会ってしまったという感じがするが…読了日:11月24日 著者:安彦良和
私本太平記〈巻1〉あしかが帖 (1959年)の感想昔の大河ドラマの原作にもなったということで、青空文庫版で読書。藤夜叉とか一色右馬助のキャラクターなんかもここから借りてきたものなんですね。今回は高氏青年が藤夜叉と再会し、後の直冬となるはずの息子の顔を見るまで。読了日:11月25日 著者:吉川英治
豊臣秀頼 (歴史文化ライブラリー)の感想これまで何となく凡庸とされ、母の茶々ともども嫌悪の念や悪意が向けられがちであった豊臣秀頼の再評価をはかる。秀吉死後の豊臣家も単なる所領65万石の一大名以上の権威を誇り、第二の天皇家的な存在となりつつあったということで、(著者の意図とはずれるかもしれないが)なぜ豊臣家が徳川幕府によって滅ぼされねばならなかったのかが再認識できた。読了日:11月28日 著者:福田千鶴
MASTERキートン Reマスター (ビッグ コミックス)の感想あれから20年、マスターに新たに修士という意味が加わってしまった。キートン先生が博士号を持ってないからと揶揄されるところなんて見たくなかった… ノリは前作とまったく変わりません。読了日:11月30日 著者:浦沢直樹,長崎尚志
猫の古典文学誌 鈴の音が聞こえる (講談社学術文庫)の感想平安文学から夏目漱石まで日本の古典に現れる猫のあれこれ。猫が虎の子孫あるいは虎の師匠とされるなど、古くは虎に関係づけられていたという話と、島津義弘が戦場で猫の目の形から時刻を確認するために、朝鮮出兵に七疋の猫を帯同したという話が面白かった。冒頭の「猫」と「狸」の話は、猫型ロボットと言いつつたまにタヌキみたいと言われてしまうドラえもんを何となく想像してしまうがw読了日:11月5日 著者:田中貴子
廃藩置県近代国家誕生の舞台裏 (角川ソフィア文庫)の感想府藩県三治制の徹底によって中央集権化をはかるというのが当初の明治政府の既定路線であり、完全に藩を廃止してしまうことまでは考えていなかったこと、廃藩置県はそれを断念せざるを得なくなった状況で、西郷・大久保・木戸らによる一種のクーデターとして断行されたことなどを論じる。こういうのをクーデターと言うのかどうかわからないが、廃藩置県をめぐる動きが版籍奉還より段階的・計画的に進められたものではなく、かなり「グダグダ」なものであったことはよくわかった。読了日:11月9日 著者:勝田政治
満韓ところどころの感想青空文庫版を読書。夏目漱石による日露戦争後1909年の満洲探訪記だが、芥川龍之介の中国旅行記なんかに比べるとだいぶ中国に対する温度差があるなと。こちらの方が良くも悪くも中国に対して無関心。この無関心さが、探訪記が中途で終わっていることとも関係しているのかなと。小ネタとしては、途中で現地人が麻雀らしき遊びをしている場面があるが、麻雀という言葉は出てこない。この頃にはまだ麻雀が日本で知られていなかったということか。読了日:11月10日 著者:夏目漱石
「棲み分け」の世界史―欧米はなぜ覇権を握ったのか (NHKブックス No.1222)の感想「棲み分け」をキーワードに、なぜ西欧でサイエンスと資本主義が発達したのかを探究。広範な分野の研究・著作を参照しているが、どうも著者の専攻の西欧史以外の理解が大雑把だなと。例えば中国では権力の棲み分けが無かったとしているが、中国の王朝が「小さな国家」として位置づけられる幇や会党を基本的に放置していたのは、西欧のそれとは異なる形態であるかもしれないが、やはり権力の棲み分けと言えるのではないか。近年與那覇潤『中国化する日本』などグローバルヒストリー的な著作の刊行が相次いでいるが、同様の問題を抱えている印象。読了日:11月14日 著者:下田淳
上海 (岩波文庫)の感想青空文庫版で読む。五・三〇事件をテーマとしているが、主役の参木が「巻き込まれ型主人公」のせいもあってか、イデオロギー性はそれほど感じない。「魔都」上海的な描写も盛り込まれており、当時の雰囲気はそれなりに感じられる描写になっているか。読了日:11月15日 著者:横光利一
幕末史 (ちくま新書)の感想題名の通り幕末の政治通史。「攘夷」という言葉が単に排外主義と鎖国の堅持を意味するだけでなく、条約改正交渉なども含めて外国に対して強い行動に出ることを広く指した言葉であったとか、面白い指摘が盛り込まれている。開国派・尊攘派・公武合体派等々「~派」というくくりが幕末政治史の理解を無駄にややこしくしているという指摘には納得。読了日:11月19日 著者:佐々木克
古寺巡礼 (岩波文庫)の感想青空文庫版で読む。以下、第十三節より印象に残った部分の抜き書き。「固有の日本人の「創意」などにこだわる必要はない。天平の文化が外国人の共働によってできたとしても、その外国人がまたわれわれの祖先となった以上は、祖先の文化である点において変わりはない。」読了日:11月22日 著者:和辻哲郎
達人伝 ~9万里を風に乗り~(1) (アクションコミックス)の感想Kindle版99円セールで購入。『蒼天航路』の初期のようなノリで出だしはいい感じ。中盤以降の超人大決戦みたいなノリにならないことを祈るばかり…読了日:11月24日 著者:王欣太
〈運ぶヒト〉の人類学 (岩波新書)の感想「運ぶ」という営みについて、著者お馴染みの「文化の三角測量」によって考察。日本・中国絡みだと天秤棒による運搬が取り上げられています。『天工開物』の挿画の中の天秤棒がおそらく竹ではなく木製だとしているが、絵で見ただけでそのようなことが判断できるのだろうか?本書の図版から見る限り木製と確定する根拠は薄いように思えるが… 読了日:11月24日 著者:川田順造
王道の狗3の感想加納は大阪事件以来の因縁があった金玉均のもとを離れ、上海へ。加納と風間についてはあれで結着がついたということだろうか?方向性が定まらないまま上海までたどり着いて孫文と出会ってしまったという感じがするが…読了日:11月24日 著者:安彦良和
私本太平記〈巻1〉あしかが帖 (1959年)の感想昔の大河ドラマの原作にもなったということで、青空文庫版で読書。藤夜叉とか一色右馬助のキャラクターなんかもここから借りてきたものなんですね。今回は高氏青年が藤夜叉と再会し、後の直冬となるはずの息子の顔を見るまで。読了日:11月25日 著者:吉川英治
豊臣秀頼 (歴史文化ライブラリー)の感想これまで何となく凡庸とされ、母の茶々ともども嫌悪の念や悪意が向けられがちであった豊臣秀頼の再評価をはかる。秀吉死後の豊臣家も単なる所領65万石の一大名以上の権威を誇り、第二の天皇家的な存在となりつつあったということで、(著者の意図とはずれるかもしれないが)なぜ豊臣家が徳川幕府によって滅ぼされねばならなかったのかが再認識できた。読了日:11月28日 著者:福田千鶴
MASTERキートン Reマスター (ビッグ コミックス)の感想あれから20年、マスターに新たに修士という意味が加わってしまった。キートン先生が博士号を持ってないからと揶揄されるところなんて見たくなかった… ノリは前作とまったく変わりません。読了日:11月30日 著者:浦沢直樹,長崎尚志