尊皇攘夷: 水戸学の四百年 (新潮選書)の感想
大部の書であり、時代幅としては徳川光圀・朱舜水から徳川斉昭・徳川慶喜までがメインだが、水戸学にまつわるエッセー集という感じで、まとまりや流れはあるようなないようなといったところ。強いて流れを読み取るとすれば、水戸のファンタジーである水戸学と幕府のリアリズムとの角逐の歴史ということになるだろうか。『大日本史』や天狗党の乱など、水戸学に関わる基本事項は一通り押さえてある。
読了日:06月03日 著者:片山 杜秀
天正伊賀の乱-信長を本気にさせた伊賀衆の意地 (中公新書 2645)の感想
「忍者」の絡まない天正伊賀の乱始末記。関係する伊賀の在地領主たちの動向を事細かに追うほか、乱の性質上北畠信雄が主役のようになっており、同著者の前著『織田信忠』の続編のようにもなっている。乱の後日談としての神君伊賀越えの実態、「伊賀者」のその後も面白い
読了日:06月05日 著者:和田 裕弘
猫が歩いた近現代の感想
日本人は昔から猫好きだったのか?という疑問から入る猫と日本人の歩み。猫好きとされる人が同時に猫の虐待の担い手となったり、関東大震災や戦争による被災、戦時中の猫の供出、そして水俣病による猫の被害等々、我々が現在の文脈で「猫好き」となり、猫が「家族」の一員となるまでの苦難の歩みが描かれる。私自身と今は亡き飼い猫との暮らしも歴史の中に位置づけられるのだなと感じた。
読了日:06月07日 著者:真辺 将之
魔道祖師 1 (ダリアシリーズユニ)の感想
ドラマは意外と?原作に忠実に作られているのだなという印象。ただ、エピソードの順番が組み換えられており、またドラマのみのオリジナルエピソードもある(魏無羨と藍忘機との最初の出会いなど)。今のところドラマ版の方が優れているかな?という感じ。
読了日:06月10日 著者:墨香銅臭
古代史講義【氏族篇】 (ちくま新書)の感想
氏族の歴史を通じて日本古代史の通史としても読める配慮がなされているが、そういう配慮よりも、秦氏、中臣・大中臣氏、賀茂氏、百済王氏など、もっといろんな氏族について知りたかった。さすがに藤原氏だけで3章を割く必要はなかったのではないだろうか。
読了日:06月12日 著者:
魔道祖師 2 (ダリアシリーズユニ)の感想
原作の方は現在の話と過去の話とが交互に展開されているが、やはり時系列順に並べ直したドラマ版の方がわかりやすい。先にドラマ版で全体の展開を把握しているので引っかかりがなく読み進められている面がある。サービスシーン??的な演出は、著者自身が二次創作をやっているような感じもする。どぎつい描写は特になく、BL初心者としては読みやすい。
読了日:06月15日 著者:墨香銅臭
中国の歴史12 日本にとって中国とは何か (講談社学術文庫)の感想
最終巻は章によって執筆者が異なるオムニバス形式で、多くの章で末尾に加筆がある。特に上田信「中国人の歴史意識」の「祖先を取り戻すために」の崇山村の話に深く感じ入った。一方で日本文化は女性性に支えられているということだが、特に保守派の人士に見られる「ジェンダー」という言葉のに対する忌避感を見てると、日本の男性たちはそのことを認められるか?という気もする。
読了日:06月17日 著者:尾形 勇,鶴間 和幸,上田 信,礪波 護,王 勇,葛 剣雄
埴輪は語る (ちくま新書)の感想
埴輪の誕生から終焉まで。特殊器台・円筒埴輪→家形埴輪・威儀具→人物埴輪という埴輪の発展、埴輪が王の「まつりごと」を写し取ったものであること、女性有力者の存在を暗示する埴輪、そして継体天皇の即位など政治的影響による変化などを解説。埴輪を通じて、出土物を単体としてではなく全体の文脈に位置づけて見ていくという考古学の面白さが示されている。
読了日:06月18日 著者:若狭 徹
廃仏毀釈: 寺院・仏像破壊の真実 (ちくま新書, 1581)の感想
近代の廃仏毀釈の諸相を追う。神仏分離によって権現信仰、天王信仰が廃れたり、四国八十八ヶ所参りで札所の差し替えがあったりと、神仏習合の信仰のあり方で大きな影響があったとする一方で、民衆の間で仏像を保護する動きがあったことも紹介。ただ、一般論として廃仏毀釈による破壊は事実が誇張、脚色された伝承にすぎないとしているのは、印象論の域を出ないのではないかという気もするが…
読了日:06月21日 著者:畑中 章宏
下剋上 (講談社現代新書)の感想
「下剋上」を切り口に見る戦国簡史という趣。下剋上と言いつつも主殺しは忌避されたというあたりが面白い。あとがきによると、下剋上を扱った新書がほとんどないということだが、本書を読む限り下剋上というテーマは意外と論の形にはなりにくいのではないかという印象を抱いた。そこが新書で下剋上をテーマにしにくいことにつながっているのではないか。
読了日:06月24日 著者:黒田 基樹
源氏物語を読む (岩波新書, 新赤版 1885)の感想
全54帖のあらすじを順番に辿りつつ、歴史的な背景、その場面の元ネタとなった先行する物語、『源氏物語』内での同じ趣向の繰り返し、年齢などの設定上の矛盾などを指摘していくというスタイル。一種の講読として読むと楽しい。
読了日:06月27日 著者:高木 和子
雄略天皇の古代史 (志学社選書, 005)の感想
雄略本人の動向だけでなく、関連する氏族との関係や動向、彼らが奉ずる神格の祭祀など、思っていたよりも多角的な切り口があるのだなという印象。また史料も記紀など伝世文献だけでなく、稲荷山鉄剣のような出土文献、『宋書』倭国伝のような外国の文献と、他の大王と比べると割と豊富である。これらを駆使して、雄略政権の性質、達成について従来のものとは違った見解を打ち出している。そこに至るまでのアプローチの豊かさが本書の特徴ということになるだろうか。
読了日:06月29日 著者:平林章仁
大部の書であり、時代幅としては徳川光圀・朱舜水から徳川斉昭・徳川慶喜までがメインだが、水戸学にまつわるエッセー集という感じで、まとまりや流れはあるようなないようなといったところ。強いて流れを読み取るとすれば、水戸のファンタジーである水戸学と幕府のリアリズムとの角逐の歴史ということになるだろうか。『大日本史』や天狗党の乱など、水戸学に関わる基本事項は一通り押さえてある。
読了日:06月03日 著者:片山 杜秀
天正伊賀の乱-信長を本気にさせた伊賀衆の意地 (中公新書 2645)の感想
「忍者」の絡まない天正伊賀の乱始末記。関係する伊賀の在地領主たちの動向を事細かに追うほか、乱の性質上北畠信雄が主役のようになっており、同著者の前著『織田信忠』の続編のようにもなっている。乱の後日談としての神君伊賀越えの実態、「伊賀者」のその後も面白い
読了日:06月05日 著者:和田 裕弘
猫が歩いた近現代の感想
日本人は昔から猫好きだったのか?という疑問から入る猫と日本人の歩み。猫好きとされる人が同時に猫の虐待の担い手となったり、関東大震災や戦争による被災、戦時中の猫の供出、そして水俣病による猫の被害等々、我々が現在の文脈で「猫好き」となり、猫が「家族」の一員となるまでの苦難の歩みが描かれる。私自身と今は亡き飼い猫との暮らしも歴史の中に位置づけられるのだなと感じた。
読了日:06月07日 著者:真辺 将之
魔道祖師 1 (ダリアシリーズユニ)の感想
ドラマは意外と?原作に忠実に作られているのだなという印象。ただ、エピソードの順番が組み換えられており、またドラマのみのオリジナルエピソードもある(魏無羨と藍忘機との最初の出会いなど)。今のところドラマ版の方が優れているかな?という感じ。
読了日:06月10日 著者:墨香銅臭
古代史講義【氏族篇】 (ちくま新書)の感想
氏族の歴史を通じて日本古代史の通史としても読める配慮がなされているが、そういう配慮よりも、秦氏、中臣・大中臣氏、賀茂氏、百済王氏など、もっといろんな氏族について知りたかった。さすがに藤原氏だけで3章を割く必要はなかったのではないだろうか。
読了日:06月12日 著者:
魔道祖師 2 (ダリアシリーズユニ)の感想
原作の方は現在の話と過去の話とが交互に展開されているが、やはり時系列順に並べ直したドラマ版の方がわかりやすい。先にドラマ版で全体の展開を把握しているので引っかかりがなく読み進められている面がある。サービスシーン??的な演出は、著者自身が二次創作をやっているような感じもする。どぎつい描写は特になく、BL初心者としては読みやすい。
読了日:06月15日 著者:墨香銅臭
中国の歴史12 日本にとって中国とは何か (講談社学術文庫)の感想
最終巻は章によって執筆者が異なるオムニバス形式で、多くの章で末尾に加筆がある。特に上田信「中国人の歴史意識」の「祖先を取り戻すために」の崇山村の話に深く感じ入った。一方で日本文化は女性性に支えられているということだが、特に保守派の人士に見られる「ジェンダー」という言葉のに対する忌避感を見てると、日本の男性たちはそのことを認められるか?という気もする。
読了日:06月17日 著者:尾形 勇,鶴間 和幸,上田 信,礪波 護,王 勇,葛 剣雄
埴輪は語る (ちくま新書)の感想
埴輪の誕生から終焉まで。特殊器台・円筒埴輪→家形埴輪・威儀具→人物埴輪という埴輪の発展、埴輪が王の「まつりごと」を写し取ったものであること、女性有力者の存在を暗示する埴輪、そして継体天皇の即位など政治的影響による変化などを解説。埴輪を通じて、出土物を単体としてではなく全体の文脈に位置づけて見ていくという考古学の面白さが示されている。
読了日:06月18日 著者:若狭 徹
廃仏毀釈: 寺院・仏像破壊の真実 (ちくま新書, 1581)の感想
近代の廃仏毀釈の諸相を追う。神仏分離によって権現信仰、天王信仰が廃れたり、四国八十八ヶ所参りで札所の差し替えがあったりと、神仏習合の信仰のあり方で大きな影響があったとする一方で、民衆の間で仏像を保護する動きがあったことも紹介。ただ、一般論として廃仏毀釈による破壊は事実が誇張、脚色された伝承にすぎないとしているのは、印象論の域を出ないのではないかという気もするが…
読了日:06月21日 著者:畑中 章宏
下剋上 (講談社現代新書)の感想
「下剋上」を切り口に見る戦国簡史という趣。下剋上と言いつつも主殺しは忌避されたというあたりが面白い。あとがきによると、下剋上を扱った新書がほとんどないということだが、本書を読む限り下剋上というテーマは意外と論の形にはなりにくいのではないかという印象を抱いた。そこが新書で下剋上をテーマにしにくいことにつながっているのではないか。
読了日:06月24日 著者:黒田 基樹
源氏物語を読む (岩波新書, 新赤版 1885)の感想
全54帖のあらすじを順番に辿りつつ、歴史的な背景、その場面の元ネタとなった先行する物語、『源氏物語』内での同じ趣向の繰り返し、年齢などの設定上の矛盾などを指摘していくというスタイル。一種の講読として読むと楽しい。
読了日:06月27日 著者:高木 和子
雄略天皇の古代史 (志学社選書, 005)の感想
雄略本人の動向だけでなく、関連する氏族との関係や動向、彼らが奉ずる神格の祭祀など、思っていたよりも多角的な切り口があるのだなという印象。また史料も記紀など伝世文献だけでなく、稲荷山鉄剣のような出土文献、『宋書』倭国伝のような外国の文献と、他の大王と比べると割と豊富である。これらを駆使して、雄略政権の性質、達成について従来のものとは違った見解を打ち出している。そこに至るまでのアプローチの豊かさが本書の特徴ということになるだろうか。
読了日:06月29日 著者:平林章仁
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