送信時のAC消費電力を感覚的に把握できるアイテムの入手をきっかけに

お陰様で、アマチュア無線の世界に漬かり始めて34年が経過しているが、学歴や職歴ベースでの私のキャリアはALL機械系のため、電気系の知識は電話アマ～1アマ国試に向けて受験勉強した無線工学と、アマチュア無線活動の成り行きで偶然得たもののうち、いずれも記憶に残っているもののみだ。そんな状況の中、長年の疑問だったネタを解決してくれそうな比較的安価なアイテムを見つけ、ポチッてみた。

このアイテム、商品名が“ワットモニター”とのことで、AC100Vで動作する製品の電源コードに介在させて使用すると、電気料金、二酸化炭素排出量、消費電力などを表示するものだ。このうち注目したのは消費電力で、この値を100で割れば消費電流が分かると気が付いた。

そう、長年の疑問とは、例えば「DC13.8Vで5Aの場合、AC100Vだと何Aになるんだ？」というものだ。こんな時、このアイテムを安定化電源に接続して、ダミーロードに送信した時の消費電力を読み取って100で割れば電流値が分かることになる。

一方、この値を求める計算式も併せて押さえておきたかったので、少ないキーワードセンスを駆使してネット検索し、その結果、“ 直流時の消費電力 ＝ 交流時の消費電力 × 0.82 ”という式に辿り着いた。まぁ電気業界では昔から有る当たり前の公式なのかもしれんけど、個人的には新ネタだった。

話を元に戻すが、この“0.82”はη＠効率とのことで、その位置付けが一般値なのか特定値なのかは不明だが、複数社の技術解説サイトで登場している値だったので、たぶん一般値なんだと思う。で、これらを踏まえ、FTDX10MからFMで定格50W送信した時のAC消費電流を把握していく。

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とりあえず計算から。なお、電圧はそれぞれDC13.8［V］、AC100［V］とし、DC電流は過去に測定した値を使用した。また、式に登場する各記号はACとDCを区別するため、一般的な充て字に“ac”や“dc”を加えた。

■FTDX10Mにおける29MHzFMでの計算上AC電流値
　Ｐdc ＝ Ｉdc×Ｖdc ＝ 15.4×13.8 ＝ 212.52［W］
　Ｐac ＝ Ｐdc／η ＝ 212.52／0.82 ＝ 259.17［W］
　Ｉac ＝ Ｐac／Ｖac ＝ 259.17／100 ＝ 2.59［A］

■FTDX10Mにおける51MHzFMでの計算上AC電流値
　Ｐdc ＝ Ｉdc×Ｖdc ＝ 15.8×13.8 ＝ 218.04［W］
　Ｐac ＝ Ｐdc／η ＝ 218.04／0.82 ＝ 265.90［W］
　Ｉac ＝ Ｐac／Ｖac ＝ 265.90／100 ＝ 2.66［A］

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計算後は測定。最初は無負荷時、さすがに0Wだね。



次に受信状態。44.9Wとのことで、消費電流は100で割るから0.5A程度らしい。



ここからメインディッシュ、29MHzFMで50W＠定格送信。お～、259.17W＠計算値に近いな。となるとAC消費電流は2.5Aか。



続いて51MHzFMで50W＠定格送信。これも265.9W＠計算値に近いな。値は29MHzとほぼ同じなので、どちらもAC消費電流は2.5A程度だね。



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最後にこの測定値を踏まえ、Ｐac＠計算値をＰacm＠実測値にしてη値＠効率を計算してみる。

　・29MHzFM：η ＝ Ｐdcc／Ｐacm ＝ 212.52／250 ＝ 0.850
　・51MHzFM：η ＝ Ｐdcc／Ｐacm ＝ 218.04／252 ＝ 0.865

結果は0.82＠一般値より大きくなった。実際問題、コード類のロスなどもあるので理論値より小さくなると思ったけど、逆に出た。

ぶっちゃけこの原因は分からないけど、安定化電源がスイッチング電源だから効率が高いとか？あるいはDC電流計がアナログだから元々高めに出る誤差を含んでいたとか？う～ん、考察の着眼点を多く持ちあわせていないので、今これ以上の深追いや検証は無理だ。

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と言うことで、長年の疑問に対して計算と実測で結果を得た。あと、個人的ににわか仕込みの公式を適用した計算が正しかったことも確かめられたと思いたい。実際問題、アンテナ終活済みの自宅で運用する機会はもう無いと思うが、今後何か思いついた時、電源関連の仕様を見極める際の参考になればと思う。