米子で途中下車した切符で また安来で途中下車
足立美術館まで安来駅前から無料バスが出ている
定員28名 なので早めに来たが早く着きすぎた
バスを待つ人は誰もいない 駅構内のロッカーに荷物を入れ
観光案内で割引券を探すがない聞くと
向うのローソンで入場引換券を安く買えるとおしえてくれた
それを買ったり湖畔まで行ったりして時間をつぶした
バスは定刻に来て ちょうど定員になった
島田のような街をぬけ 山に向かって進む
ちょうど家に帰るような風景だが違うのは南に進む
バスは20分で足立美術館に着いた
田んぼを埋め立てたような場所に建物は存在した
入場券売り場に列ができ入り口をふさいでいた
帰りのシャトルバスの整理券をもらって中に入った
ガラス越しに広大な日本庭園が見えた
庭園ガイドの時間を確かめ しばし庭を眺めた
美術館学術員の説明が始まった
岩をポイントに向うの山並みを取り入れる手法
庭園を流れる水は 遠くの滝から来ているように見せる
日本海の赤松は育ったままに斜めに植えられている
松の下の苔は水分補給のために地面に炭を敷きそこに植えてある
また庭園の樹木は大きくなりすぎると植えかえて調和を保つ
毎朝開館前に職員全員で庭の掃除や手入れするなど説明してくれた
これを造ったのは磐田の人と聞いていたので確かめた 違うといわれた
なぜ日本庭園に芝生を使うのかも伺った
「保水の関係で緑を保つに芝が適している」
この庭園が初めて芝を取り入れたなど教えてくれた
庭の紅葉もきれいな時期で 得した気分だ
窓越しに 額縁に入った絵のように見せる趣向見事だ
特別展のために館内はすべて横山大観作品で埋め尽くされていた
「白梅」の木の形や色に魅了され「無我」の表情はいつまでも見ていたい
大観 最大の作品「紅葉」 その大きさと派手さに圧倒される
庭を眺めながらの喫茶室コーヒー100円は安いと思ったら
私が桁を見間違えていた そこには入らなかった
上村松園「娘深雪」は島田にも縁のある「朝顔日記」
そのヒロインそれも見たかったが ポストカードで由とした
併設する魯山人や河合寛次郎の焼き物も見ごたえがある
また柱に掲げた魯山人の「人を誉めたことがない」言葉に感動した
帰りのバスの時刻まではまだ早い
整理券はすべて満席で空きの券は遅い時間だけ
近くの安来節会館でパックのカヤクご飯で昼食
まだ時間がある バスが空いていれば整理券がなくても乗れる
一人だけなら乗れたが それでは仕方がない
念のために早い時間のバスの券を探しに受付まで行った
先ほどなかった30分早いバスに空きがあった
同じ道を駅まで戻った JR安来駅から松江に向かった
下は 北大路魯山人のことば
「芸術家の境涯」
魯山人はむずかしい奴だと思っている人がいる 変人だという人もある
わがままな人だと思っている方もあるらしい うるさいおやじだという評もきく
口の悪い先生だともいわれている どれひとつとして私を誉めた言葉はない
だがあいつはずるい奴だとか いやしい奴だ とかいわれないだけありがたいと思っている
こんなにいわれるのは当然だと私は満足している
私が人のことを誉めたことが殆どないのだから 誉められる道理がない
世の人々からよくいわれようと思えば いたってやさしいことだ
だが うまくもないものをうまいというわけにはゆかぬ
また 資格のないものを高く評することもできぬ
たいがいの人は私を嫌いだという 私が誉めてやらぬからだ
別にけなすわけではない 本当のことをいっているだけなのだ
世の中の人は 本当のことをいわれると さしつかえる人が多すぎるから私を敬遠してしまう
心にもない誉め言葉をいって 北大路は善人だといわれるよりは
ひとりぼっちで座っている方が安らかだ
(下へ続く)