今日は着物を着て、炉開きに行ってきました。
炉開きは茶人のお正月とも言われ、おめでたいお席。着物も色無地の一つ紋を着ていきました。
この着物は私が大学を卒業するときに両親に作ってもらったもの。
卒業式はどうしても袴にしたかったんです。なぜか?・・・はい、ハイカラさんに憧れて(#^.^#)
袴はレンタルにしましたが、着物は鮫小紋の好きな色で作ってもらいました。
あ、鮫小紋といっても本物の江戸小紋の高級なのとはちがいますよ、もちろん。鮫小紋の地紋の小紋・・・?と言ったらいいのかしら。
母は「これやったら、年取ってもずっと着られる」と言っていましたが、こんな明るいのはそんな先まで着れへんわあ、なんて言ってました。
でも、もう20数年経っていますが、こうして着ています。
数年前に背のところに縫い紋を入れてもらいました。無地でも紋があるのとないのとは全然ちがいます。
左上の着物のところに紋が入っています。わかるでしょうか。
帯は数年前にコツコツお金を貯めて自分で買った川島織物の袋帯。薄くお花に桃色と薄緑色が差しています。光の加減でこんなにしか写らなくて。
帯締めは夫の母に結納でいただいたもの。手組で作ってもらいました。
そして、帯揚げは私の母の形見です。
いろんな思いのこもったものを合わせてこうして置いてみていて、なんだか目の前がうるんできました。
あかん、こうしちゃおれない。早く着替えて行こう。
さっと着替えて家を出ました。袋帯はそうそうよく締めないからちょっと戸惑ったけれどなんとか。今日は不思議にきれいに着れたみたい。
るんるんで電車を乗り継いで向かっていると、えーっ、うそっ。
急ブレーキ? それほど激しくはなかったけど、いつもとちがう停まり方。そして「緊急停止の信号を受信?しました??」
なんかよくわからないけど、何かあったみたい。どうしよう・・・間に合わなくなる・・・いつ動くんだろう・・・。
やっと動き始めたけれど、いつ着くのか不安です。そういえば、昨日も打ち合わせに行くときに、東横線がストップ。事故の影響と、前が詰まってるから動けません・・・って。
あー昨日もそうだったんだし、こういうこともあるかと思ってもっと余裕を持つべきだった・・・。
最寄駅からダッシュ。どうにかこうにか、到着。
心にしみる有り難い時間を過ごして、帰途へ。
ちょっと駅で電車を待つ間に下をむいて撮ってみました。
きれいに着れたし、誰かに撮ってもらえたらよかったんですけどね・・・(^^;)
家を出るときは暖かだったけれど、そういえば今日は立冬。夕方になると、しんしんと冷えてきます。
持って行ってた道行コートを羽織りました。今年初めてだ・・・。
薄暗くなった道を歩いていると、何だかまた前がにじんでよく見えません。
今日はとても佳い日を過ごしました。とても楽しく満たされた日。
思えば、お茶を習ったらと母に言われて入った高校の茶道部。母の着物好きを見て育ち、自然と私も好きになった若かった時のこと。
今好きなこと、今日のこと、お茶も着物も全部母がいたからそれに触れ、好きになり、こうして今いるのだと、当たり前だけれどいつもは忘れているそんなことがふつふつと胸にこみ上げてきます。
母がいたからだった。
今日の日があるのは。
もちろん、そんな私を見守ってくれていた父の存在も大きいのだけれど、お茶と着物は母なくしては出会わなかったことなのだと今さらながら思います。
今日の楽しかったことを話したいな。こうしてうまく着れたのを見てもらいたいな。
叶わぬことだけれど、どうしてもどうしても思ってしまう。
まだ二十代だった私には母が一生懸命着物を選んでくれていた気持ちは全然わかりませんでした。でも、思いがこもった着物だということはどこかで知っていたでしょう。
母と選んだ着物を纏いながら、母の気配をちょっと感じた気がして、でもたしかなものにはなにもふれられず、それがまたさみしく悲しく。
暗くなった道をひとり家に向かいました。
この思いを胸に、また着物を着、お茶にふれ、感謝の気持ちを持って過ごしていきたいと思います。
コメントありがとうございます。
そんなふうに読んでくださってうれしいです
はい、写真誰かに頼んで撮ってもらいます。想像してる間のほうがいいかも
これからも大切に着続けたいと思っています