2020/10/19
昨日の続き、練馬区立美術館で開催されている式場隆三郎「脳室反射鏡」展です。
美術館前のトピアリーの熊、よくできているわ。
「脳室反射鏡」って何だろうな、昔はそんな医療器具があったのかしらと思いましたが、パンフによれば、可視(科学)と不可視(芸術)の両極を往還した特異な個性を評する文字として、式場の著書から採って「脳室反射鏡」という副題にしたとのことです。
式場隆三郎(1898年~1965年)は、新潟医学専門学校(現・新潟大学医学部)に学んだ精神科医。医業のかたわら、民藝運動、ゴッホ論、精神病理学入門、性教育書に至るまで活動の場を広げ、約200冊の著書を著しています。
多方面に活躍の場を持つ精力的な人であったようです。
文学の白樺派に傾倒、民藝運動の柳宗悦を恩師と仰ぎ、画家のゴッホの精神病理学的な研究をして、ゴッホ論を著しました。
昭和30年、日本全国を巡回したゴッホ生誕100年の複製画展によって日本人は初めてゴッホという画家を知り、「炎の人」というイメージ像を決定づけました。また「裸の大将」山下清を物心両面で支援、プロモーターを務め、初期の草間彌生を見いだし支援しました。
事業家としてもやり手だったようですね。
展覧会場は人も多くなくて、思う存分時間をかけて眺めることができました。
著作本は芹沢銈介の型染布で装幀されていたり、河井寛次郎の陶器が展示されて、柳宗悦デザインの書斎机などから、民藝の影響が感じられました。
ゴッホの絵画から採ったゴッホ柄の浴衣やワンピースがあって、これは昭和30年のゴッホ展のときに展示されたようです。今見ても古い感じがしない、今でも着れそうなおしゃれなものでした。
市川市国府台に式場病院という精神科の病院があります。こちらが式場隆三郎が昭和11年に開業した病院で、孫にあたる方が受け継いでいるそうです。きれいなバラ園のある病院だそうです。